まじで遅くなりました
全然面白い展開が思い付かなかった。
早く更新しなきゃと焦った結果
更新遅れた上に大して面白くない話が出来上がるという1番ダメな感じになっちゃった。
要するにネタが思いつきませんでした。誰か俺にギャグセンスと文才をクレメンス
ーーバレンタインデー。
キリスト教圏の記念日であり、欧米などにおいて盛んなイベントである。
毎年2月14日に行われ、カップルたちが愛を祝う日。カップルだけではなく、家族や親友と祝う人もいるという。
日本でもバレンタインデーという言葉は広く浸透しており、主に女性が男性にチョコを贈る日だとされている。
男性が女性にチョコを贈る”逆チョコ”なる文化もあるにはあるが、基本的に日本では女性→男性の構図が一般的だろう。
本命チョコ、友チョコ、義理チョコetcetc…。様々な種類はあれど、世の女性は自分の身近な人、大切な人にチョコを贈る。
友人、家族、恋人、お世話になった人、憧れの人…。贈る方も贈られた方も、素晴らしい1日になることは間違いなしだ。
ちなみに、世の男子達は仄かな期待と希望を胸にこの日を迎え、貰えずに涙を流す者、貰えて狂喜乱舞する者など様々だが、今回は割愛する。
今回フォーカスするのは贈る側…即ち女性側の視点、それも片思い中の女性だ。
片思い中の女性は、意中の相手にどうやってチョコを渡そうか、受け取ってくれるだろうか、気に入ってくれるだろうか…と、渡す前も渡した後も、1日悶々とした気持ちで過ごすことになるだろう。
チョコを渡して気を引くことができるか否か、それは女性にとって”戦”といっても過言ではない。
ーーしかし、その意中の相手がとんでもないモテ男だった場合、単なる戦では収まらない。
数多くいるライバルたちにどうすれば差をつけられるのか、どうすれば一歩先へ行けるのか、彼に選ばれるにはどうすればいいのか…と、他からリードを取るために様々な戦略を弄し、ライバルたちを出し抜こうとする。
数多くの女性達が自らのプライドを懸けて戦うのだ。その様相はまさに戦争である。恋は戦争、とは上手く言ったものだ。
閑話休題。
ここはボーダー本部のラウンジ、普段から多くの人で賑わう場所ではあるが、今日はいつも以上に人が多い。そして、そのほとんどが女子だ。
数多くの女性が、ある人物たちの到着を待ちわびており、ラウンジは妙に静かな雰囲気に飲み込まれていた。
本日は2月14日。
このボーダー本部内で、恋の戦争の火蓋が…切って落とされようとしていた。
ーーー
加古望は、烏丸京佳を探してボーダー本部内を練り歩いていた。
大学の帰りにボーダー本部に赴いた彼女の鞄には、綺麗にラッピングされたチョコレートが入っている。
このチョコ――ちなみに、本命チョコである――を京佳に渡すため、彼の姿を探し回っているのである。
しかし、一向に京佳の姿は見えない。太刀川隊の作戦室やランク戦ブース、ラウンジなど彼が普段よく訪れる場所を回ってみたものの。京佳の姿は無かった。
本人に電話をしても繋がらない。どうしようもなくなった加古が、京佳の兄である京介に電話をしたところ、「本部に行ったはずっすよ」と言われたため、現在も虱潰しに探しているのだった。
ここまで見つからないうえ電話も繋がらないとなると、”何か事件に巻き込まれたのではないか”という疑惑が加古の脳内を過ぎる。
例えば、京佳を独り占めしようと画策するファンガールが京佳を拉致したーーという可能性も有り得なくはない。
普通に考えれば、ボーダー本部内でそんな犯罪行為が行われたとは考えにくいが、烏丸兄弟の人気を考えれば有り得ない話ではない。特に、京佳となれば尚更だ。
これまでのボーダー本部は、京介派と京佳派に分かれており、人数比率は五分五分だった。しかし、京介の玉狛支部への移籍に伴い、京介派から京佳派へ乗り換える女子が多くいた。そのため、京佳ファンの派閥は他の追随を許さないほど大きなものになっていた。権力はないにせよ、人数だけで見れば圧倒的なのだ。
それほどまでに大きな派閥だ。変なことを考える人間がいても何らおかしくはない。
まして、拉致監禁では飽き足りず、ヤンデレよろしく「京佳を殺して永遠に一緒にいる…!」などと考える輩が現れる可能性は0ではない。
その考えに至った瞬間、加古は苦笑いを浮かべた。
(さすがにあり得ないわね。一週間姿が見えない、とかなら有り得るけど、まだほんの1時間程度だもの)
自らのあまりに可笑しい推理に対して苦笑いを浮かべつつ、加古は通路を歩いて行く。
とはいえ、このまま京佳が見つからないことを許容はできない。
何せ、今日は加古にとって勝負の日。チョコを渡して終わりというわけではない。その先まで…具体的にはベッドインまで済ませる覚悟でこの場に立っているのだ。
逸早く京佳を見つけなければ、他の人間に京佳を奪われてしまうかもしれないのだ。
(けど、このまま探してても埒が明かないわね…)
このまま虱潰しに探すのは時間の浪費が大きすぎる。
そう判断した加古はスマホを手に取り、ある人物に電話をかけた。
「…もしもし?ーー…」
ーーー
「京佳くん?…大丈夫…?」
冬島隊作戦室。
ソファに座っている那須が、自らの右腕に縋り付いて震えている男子ーー烏丸京佳に対し、頭を優しく撫でながら声を投げかけた。
京佳は小動物のようにプルプル震えながら、目の前のディスプレイに映しだされているホラー映画から背けていた。
「……無理はするなよ?」
そんな京佳の様子を見兼ねたのか、京佳の右隣に座っている真木が声を掛けた。その声に、京佳が震える声で答える。
「だ、だいじょぶす」
「…疑わしいな…」
「ふふ…じゃあ、進めるわね?」
「うす…」
薄暗い部屋のソファに、男女が3人。字面だけ見れば何やらいかがわしい雰囲気が漂っているが、残念ながらホラー映画を観ているだけである。
本日、この3人は冬島隊の作戦室で映画鑑賞会を実施していた。
真木、那須、京佳という何とも珍しい組み合わせだが、この3人が集まって映画を観るのは初ではない。
先週の土曜日、この3人で映画を観て以来、2回目の映画鑑賞会である。
前回の鑑賞会の際、京佳のホラー映画嫌いが露呈してしまった。その後、もう完全にプライドを捨てた京佳が2人に対し、「ホラー映画を克服するのを手伝ってほしい」と頼んだのだった。
2人は「また京佳の可愛い姿が見れる!」と満更でもなかったため、互いにWIN-WINの関係と言えるだろう。
本日鑑賞している映画は、洋画ホラーでも有名な一作だ。
養子として引き取った少女の狂気が徐々に露になっていく、幽霊ではなく人恐系の映画だ。
しかし、京佳は人恐系の映画も当然ダメなようで、蛇に睨まれた蛙のように縮こまってしまっていた。
「そんなに苦手なら無理して克服しなくてもいいんじゃないの」
「…いえ、一度言ったことなので。やれるだけやってみます」
真木が映画を観ながら言い、恐る恐る映画を観ている京佳が答える。ちなみに、まだ那須の腕に抱きついたままである。
男に二言はない、という事だろうか。小動物のような様子の京佳から吐き出された妙に男らしい言葉に、女子2人は少し感心するが、様子が完全に小動物の為かっこいいとは思わなかった。
ちなみに、京佳は口では男らしく言って見せたものの、内心では「もうやめたい」と泣き言を零しまくっている。
その後もなんやかんやあって映画は進んでいき、遂にクライマックス。
ラストシーンを鑑賞し終えた京佳は、今までにないほどに顔が死んでいた。魂が抜けてしまったのかと錯覚するほどである。
「死んだか?」
「まだギリギリ生きてるわね」
「丁重に弔ってやろう」
「真木ちゃん…まだ死んでないわよ?」
顔が死んでいる京佳を目撃した2人が、何やら不穏な会話を繰り広げているが京佳の反応は薄い。ホラー映画に奪われたのか?と錯覚するほどだ。
そんな京佳の様子を見かねたのか、何とか話を逸らそうとする那須。何やらいい案が思いついたのか、自らの鞄をごそごそと漁り始めた。
「京佳くん、これどうぞ」
「え…」
那須がカバンから取り出したのは、丁寧にラッピングされた小包。透明な袋の出口は可愛らしいリボンによって止められており、中には小さなカップケーキのようなものが3つ入っていた。
京佳は一瞬啞然とし、「なんで急に?」と疑問を浮かべるが、今日が何月何日なのかを思い出して漸く腑に落ちる。
今日は2月14日、所謂バレンタインデーというやつだ。京佳は学校でも大量のチョコを受け取っていたが、ホラー映画の衝撃が大きく今の今まで忘れてしまっていた。
「ありがとうございます」
まさか那須から貰えるとは思っていなかった京佳は驚きを露にしつつも、礼を言って小包を受け取る。
袋を手に取った京佳は、中身をまじまじと眺めながら口を開いた。
「これ、手作りですか?めっちゃ美味そう」
「ええ、美味しいかは分からないけれど…」
京佳の問いに、那須は少し照れた様子を見せた。
「お世話になってんのは俺の方なのに、なんかすみません」
「ふふ、いいのよ。ホワイトデー、楽しみにしてるわ」
「うす」
付き合いたてのカップルのような初々しい雰囲気が周囲に流れる。ちなみに2人は付き合ってないが、あまりにもお似合いすぎるので第三者が見れば付き合っているようにしか見えないだろう。
そんな中、1人静かに紅茶を嗜んでいた真木に那須が声を掛けた。
「真木ちゃんは何かないの?」
「私?あると思うのか?」
「ええ」
「………」
那須は微笑みながら、真っ直ぐに真木の鋭い瞳を見つめる。数秒間無言で見つめ合った後、真木が諦めたように息を吐いた。
「…はあ…那須には敵わないな…。…京佳」
真木は半分諦めたような様子で鞄に手を突っ込み、中からラッピングされた小箱を取り出した。
「那須のと違って市販のだが…どうぞ」
「まじすか。ありがとうございます」
京佳が小箱を受け取ると、真木から声が上がる。
「手作りじゃなくてがっかりしたか?」
「え?いやいや、手作りとか市販とか関係ないですよ。まじで嬉しいです」
「っ…!そ、そうか…」
満面の笑みで答える京佳に、真木は若干たじろぎ、勢いよく顔を背ける。よくよく見ると、真木の耳がほんの少しだけ染まっていた。
まるで、付き合う直前の男女のような甘ったるい雰囲気が流れる中、那須は微笑みながら2人の様子を見ていた。
ーーー
ボーダー本部ラウンジ。
本日も多くの隊員がラウンジに訪れ、休憩やら雑談やらを楽しんでいた。
その一角、周囲の楽しげな雰囲気とは一線を画す、異様な雰囲気を放っている一団がいた。
異様な雰囲気といっても、喧嘩をしているとかそういうことではなく、集まっている女子たちの気迫が原因だろう。
テーブルを囲み、椅子に座りテーブルを囲んでいる5人の女子。その中で最も最年長である加古望が口を開いた。
「じゃあ、貴女達も京佳君を見てないのね?」
そういって問いかける視線の先には、ボーダー本部でも屈指の美少女達が並び、首を縦に振っていた。
まず1人目は、嵐山隊オペレーターの綾辻遥。
2人目は、風間隊オペレーターの三上歌歩。
ここまではいつもの面子であり、加古を含めた3人は京佳ファンガールの筆頭として有名である。
以前発生した「おっぱい星人事件」からは少し大人しくしていた3人だが、バレンタインという一大イベントを完遂すべく、再び集まっていた。
ここまでは問題ない。問題なのはこの先の人物である。
3人目は、隊長である加古に無理矢理招集されてしまった、加古隊攻撃手の黒江双葉。
黒江は京佳のことを尊敬しており好感を持っているが、あくまで先輩としてである。恋愛感情はないにも関わらず、加古によって面倒な集会に召集されてしまった。
そして最後の4人目は、不運にもラウンジを偶然通りかかり、加古に捕まってしまった被害者ーー草壁隊隊長兼オペレーターの草壁早紀だ。
「となると、どこかの作戦室にいる可能性が高いわね…」
「作戦室…諏訪隊とかですかね?京佳くんって確か、諏訪さんに可愛がられてましたし、笹森君と仲良かったはずです」
「いえ、諏訪隊の作戦室にはいないらしいわ。さっき小佐野ちゃんに確認したの」
「う~ん、彼が行きそうな作戦室ってどこでしょう…」
加古、綾辻、三上の3名が真剣な表情で意見を交換する中、未だに状況を吞み込めていない草壁が隣に座る黒江に小さく問いかける。
「黒江…。これ、どういう状況なの?」
「…簡単に説明するとーー…」
黒江は草壁に向け、簡潔に説明を開始する。
京佳にチョコを渡したいが当の本人は行方不明。見つけ出すための作戦会議だーーと。
それを聞いた草壁は澄ました顔で「なるほど…」と答えるが、内心では焦っていた。
偶然通りかかったとはいえ、自分がここに呼ばれたという事は、自分も京佳にチョコを渡そうとしていること、鞄の中に手作りのチョコが入っているのがバレている。
ーーつまり、誰にも言っていない、自分しか知らないはずの京佳への気持ちがバレているのではないか、と。
目の前でああでもないこうでもないと会議が繰り広げられる中、草壁の脳は思考の海に沈んでいく。
なぜバレたのか、いつからバレたのか、京佳本人にもバレているのか、様々な疑問が草壁の脳内に浮かんでは消えていく。
しかし、当の草壁は知る由もないだろう。
草壁が会議に呼ばれた理由が「偶々通りかかったから」以外には何もないという事を。
厳密に言えば「偶々頭のいい後輩が通りかかったから取り敢えず参加させてみよう」という理由であり、それ以外の理由はない。
草壁の秘めた気持ちに気付いている人間はこの場にはいない。
「早紀ちゃんはどう思う?」
「えっ!?あ…そうですね…」
深い思考の海へと沈んでいく最中、加古に声をかけられた草壁は一瞬体を震わせる。
加古の質問に答えるため思考を巡らせるが、京佳が行きそうなところなど草壁のは見当もつかない。
作戦室にもランク戦ブースにもいないとなると、そもそもボーダーに来ていない可能性の方が高いのではないだろうか。
「京佳先輩ってそもそも本部に来てるんですか?」
「烏丸くん…あ、京介君の方に聞いたら、京佳君は本部に向かったって言ってたの。だから本部にいる可能性が高いわね」
草壁の疑問に答えたのは加古だ。そして、綾辻が続く。
「電話も出ないし、どっかで寝てるとか?」
「あ、有り得るかも!……寝るなら私を誘ってくれればいいのに…」
綾辻の考えに三上が共感した。後半にボソボソと何か呟いているのが草壁の耳に入ったが、気にしたら負けだと思い無視する。
「……もしかして、京佳くん。誰かと添い寝…いえ、下手すればそれ以上のことを…?」
加古が何やらはっとした様子で言うが、飛び出してきた言葉は突拍子のないものだった。
草壁が「流石にそれはないでしょ…」と口に出そうとした瞬間、尊敬するオペレーターの先輩2人が声を上げる。
「え、うそ…京佳くんの貞操が危ない!」
「えっ?」
「早く見つけないと京佳くんが汚されちゃいます!」
「ええ!?」
「2人とも、手分けして探すわよ。一番先に見つけた人は京佳くんを好きにしていいわ!」
「それ勝手に決めていいんですか!?」
草壁の困惑の声もツッコミも、もはや3人の耳には届いていない。
京佳の貞操が危ないと言って京佳を探そうとしているが、この3人が一番危険なのは火を見るよりも明らかだった。
勝手に暴走してしまったファンガールたちを呆然と見つめている草壁の隣、ツインテールの少女は呆れた目で自らの隊長を見つめる。
もはや普段の面影が無いほどのアホさを目の当たりにし、黒江は静かに目を閉じた。
一方その頃。貞操の危機が訪れている烏丸京佳は…。
「………」
「……京佳くん、生きてる?」
「返事がないな。…ただの屍のようだ」
ホラー映画で死んでいた。
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