サッパリとした男前 とりまる   作:mowさん

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こんにちは
ペース激遅ですが何とか更新してます
誰か俺にネタをくれ!!!


14話 バレンタイン②

 

「あ~~……やっぱホラーきっついな……」

 

烏丸京佳は疲れたような表情でボーダー本部の通路を歩く。

先程まで京佳は、那須玲&真木理佐という映画好き2人とホラー映画鑑賞会を実施していたが、案の定ホラー描写に耐えられずに死にかけ、SAN値がピンチっていた。

那須と真木による手厚い介抱によって何とか正気を取り戻したが、脳裏には先程まで見ていたホラー映画の描写が鮮明にこびりついている。

その恐怖によって足取りは心成しか速くなり、出来るだけ背後や横に意識を向けないようにしながら目的地へと急ぐ。

ホラー映画を観た直後、実際には何もいないはずなのに、背後に何かがいると感じてしまう現象。今の京佳は正に、その現象に苛まれている。

故に、京佳は一直線に目的地へと急ぐ。

 

数分歩いただろうか、漸く目的地に到着した。

京佳は何事も起こらなかったことに安堵しながら、扉を開けた。

 

「お疲れ様……で…え?」

 

扉を開けると、驚愕の光景が広がっていた。

視界に飛び込んできたのは、いつも通りの作戦室……ではなかった。

普段とは明らかに違う点が1つ。目の前のソファの上に美少女達が並んで腰かけている。加古望、綾辻遥、三上歌歩、草壁早紀の4人が、ゆったりとした様子で腰かけているのだ。

ちなみに国近はソファですやすやと寝ているが、これはいつもの光景なので問題ない。

そのうちの1人、加古望が笑顔でこちらを向き、挨拶をしてくる。

 

「おかえりなさい、京佳くん」

 

加古は表情こそ笑顔だが、瞳は一切笑っていない。言いえぬ圧を感じる眼差しだった。

困惑を隠せない京佳は、無言でゆっくり扉を閉めた。

 

「ふ~~~……」

 

京佳は静かに目を閉じ、深く息を吐く。

もしかして部屋を間違ったのかもしれない、そう考えた京佳は瞼を上げ、2つの瞳で目の前の扉をしっかりと確認する。

扉はどこからどう見ても太刀川隊作戦室に繋がるものであり、何度も作戦室に訪れている京佳が間違えるはずもない。

であれば、今見た光景は幻覚だろうか。月詠やらの瞳術を掛けられた覚えはないが、もしかするとホラー映画によるあまりの恐怖で、脳みそが疲れているのかもしれない。

 

「……よし…」

 

静かに息を吐き、深呼吸。数回の深呼吸の後、再び静かに扉を開く。

作戦室の中では先程と同様に、加古望、綾辻遥、三上歌歩、草壁早紀の4人がソファに腰かけており、国近はソファですやすやと眠っている。

どうやら、目の前に広がっている光景は幻覚の類ではなさそうだ。

よく見ると太刀川と出水の姿がないが、京佳がそれを疑問に思う前に加古が口を開く。

 

「おかえりなさい、京佳くん」

 

先程と一字一句違わぬ挨拶を投げかけてくる加古の瞳はやはり笑っておらず、冷たい瞳から発せられる言葉に表せない圧が京佳を襲う。

下手したらさっき見たホラー映画より恐いかも、と思ったがそれを口に出すことはない。口に出したらどうなるかは、火を見るよりも明らかだからだ

冷たすぎるプレッシャーを一身に受けながら京佳は静かに目を閉じる。そして、心の中でひとこと。

 

ーーーなんだよこの状況は。

 

京佳が心の中で呟いた言葉は誰にも聞こえるはずもなく。

京佳の胸中に静かに沈んでいった。

 

ーーー

 

時間は少し遡り、京佳がホラー映画を観て死にかけ、真木と那須に抱きついて半泣きで震えている頃。

太刀川隊の作戦室では、太刀川隊の面々が何時ものようにグダグダと駄弁っている。もはや作戦室というよりだらける為の部屋と化しつつあった。

もし定期的に掃除をしている京佳がいなければ、恐らくこの部屋は死ぬほど散らかり、他の追随を許さない魔境になっているだろう。

 

「京佳くん、遅いね~」

 

「なんか用事あったんすかね?」

 

ソファにだらしなく腰掛けながらスマホゲームをする国近。彼女が発した言葉に、同じくソファに座っている出水が反応する。

普段であれば、既に京佳は作戦室に来ている時間のはずだが、一向に来る気配がない。何かしらの用事があるのだろうと出水が予想したところで、餅を乗せた皿を手に持った太刀川が口を開いた。

ちなみに、太刀川は”ボーダー敷地内でのきな粉餅”が禁止されているため、今皿に乗っているのは海苔餅だ。

 

「……今日はバレンタインだしな。女子に捕まってんだろ」

 

「「あ~~~……」」

 

餅をモグモグと頬張りながら言う太刀川の言葉に、出水と国近は納得の声を漏らす。

京佳がモテるのはボーダーでは周知の事実であり、彼のファンは数え切れない。

そして今日はバレンタイン。京佳にチョコを渡したい女子が大量発生し、京佳が多くの女子に囲まれる光景というのは想像に難くない。

更に、今年は兄である京介が本部にはいないのだ。去年以上の女子が京佳に群がるのは明白だろう。

女子に囲まれた京佳が苦笑いを浮かべつつ、次々に渡されるチョコを受け取っていく様子を容易に思い浮かべた出水は、京佳に対して同情を贈った。

 

「そういや、柚宇さんから俺らにチョコってないの?」

 

ふと、思い出したように出水が言う。その声には、去年もあったし今年もあるんじゃない?という期待が込められていた。

出水の発言から数秒後、国近は「ふっふっふ」と変な笑い声を上げながらぬるっと立ち上がった。

 

「あるに決まっておろ~~う」

 

自信満々の様子の国近。腰に手を当てて豊満な胸を張りながら答えた。

そんな自信に満ちている国近を見て、太刀川の体に電撃が走る。

 

「国近……おま……ま、まさか…」

 

絞り出すように言う太刀川。言葉の続きを紡いだのは、胸を張ったままドヤ顔を披露する国近だ。

 

「察しがいいね~、太刀川さん。……その通り!今年は~…手作りだよ~ん!」

 

「「うおおおおおお!」」

 

「今ちゃんと作ったよ~」

 

例年通りであれば市販品をポイっと渡すだけだった国近が、手作りのチョコを持ってきた。

その事実を目の当たりにし、太刀川と出水は喜びのあまり狂喜乱舞。大声で叫び、喜びを全身を使って表現していた。

テンションMAXな2人を静止するように、国近が静かな声音で言う。

 

「ただし、渡すのは全員揃ってからね~。唯我くんは今日来れないみたいだからあれだけど、京佳くんが来るまで大人しく待っていること~!」

 

「「はい!!」」

 

まるで犬の躾をしているかのようだ。

その後、京佳が来るまで待つことになった国近と犬2匹は再び普段のようにソファ座り、これでもかという程にダラダラと寛ぎ出す。とはいえ、犬たちはワクワクのあまり少し落ち着かない様子だ。

その数分後、作戦室の扉がノックされた。「ついに京佳が来た…!」と確信した犬たちは、全速力で扉へと向かい、ハイテンションで扉を開けた。

 

「遅かったじゃねえ…か…?」

 

「京佳!お前を待ってたんだ…ぜ…?」

 

「こんにちは、出水くん、太刀川くん」

 

扉を開けたイッヌたちの前に立っていたのは、烏丸京佳ではなく、烏丸京佳ファンの方々だった。先頭に立つ加古が、いつも通りの微笑みを浮かべる。

加古、三上、綾辻に加えて、何故か草壁もいる。犬どもからすれば、ファンガールに混じって草壁がいるのは意味不明だった。

もしや、草壁もファンガールの仲間入りしたのか…?という説が浮かび上がるが、今はその疑問を解消している暇はない。

出水はデジャヴを感じ、無言のままゆっくりと扉から離れていく。出水が戦線離脱したため、必然的に太刀川がファンガールの対応を行う(ことになってしまった)。

 

「え、あ~…皆様お揃いで……何の用?」

 

何の用か予想出来ているものの、太刀川は念の為問いかける。

 

「京佳くん、いるかしら?」

 

返ってきた答えは案の定。というか、それ以外の理由でこの面子が太刀川隊の作戦室に来る理由はほぼない。

 

「あ~残念だが、今日はまだここには来てねーぞ」

 

「そう。どこにいるか知ってる?」

 

「知らん」

 

加古の問いかけに対し、太刀川は噓偽りなく答える。事実、京佳はここには来ていないし、京佳の居場所など太刀川には知る由もない。

京佳がホラー映画を観ながら美女2人に甘やかされているなど知らないし、ましてその相手が那須と真木などとは誰も予想もできないだろう。

 

「本当に?」

 

「いや、まじだって。噓つく意味ねーだろ」

 

太刀川を一瞬疑っていた加古だが、噓を吐いてはいないと判断したようだ。疑いの目線を止める。

太刀川らも知らないとなると、とうとう打つ手がなくなってきた。どうするべきか……と加古が思案していると、後ろに控えていた綾辻が提案する。

 

「じゃあ、京佳くんが来るまでココで待たせてもらえばいいんじゃないですか?」

 

「……!名案ね!そうしましょう!」

 

綾辻の案を聞いた加古は微笑みながら即採用。

一方、綾辻の案を聞いた太刀川と出水は顔をひきつらせた。「え?ここで待つの?噓だろ?めんどいから帰ってくんない?」とでも言いたそうな表情だ。

ここで勘違いしてほしくないのは、太刀川と出水も加古らを嫌っているわけではないということだ。

加古も綾辻も三上も草壁も容姿が整っているうえ性格も悪くないため、嫌いな男子は少ない、というかほぼいないだろう。

しかし、京佳が絡むと話は別だ。ファンガール達は基本的に京佳が絡むと頭が悪くなるため、京佳が絡んだ案件では関わりたくないというのが太刀川と出水の本音だ。

草壁は一見大丈夫そうに見えるが、この面子と行動を共にしているとなると油断はできない。加古らのアホさに毒され、草壁もアホになっている可能性は大いにある。

アホになった草壁を見てみたい気持ちはあるが、それ以上に面倒事に巻き込まれたくなかった。

 

太刀川の背中に、出水の視線が突き刺さる。背中に突き刺さる視線は「断ってください!」と訴えているように感じた。

隊員からの頼みを無碍にはできない。隊長としての威厳もある。ここはきっぱりと断るべきだ、と太刀川は判断した。

太刀川は頼りになる背中で「任せろ」と返事をすると、真剣な眼差しで加古を見据える。

真剣な表情を見せる太刀川に、加古が微笑む。

 

「いいわよね、太刀川くん?」

 

「悪いな、加古。俺らも忙しいから」

 

「ふうん」

 

「ああ。申し訳ないが帰ってくれ」

 

「じゃあもうレポートは手伝わな」

 

「ってのは冗談だ。遠慮なく入ってくれ」

 

隊長の威厳とは何だったのか。真剣な表情はまったく意味を成さず。威厳もクソもないただのダメ人間がそこにはいた。

情けない姿を見せる自らの隊長に冷たい視線を浴びせる出水。

見るからに気落ちし、全身から敗北感を溢れさせている涙目の太刀川。

意気揚々と作戦室に侵略してくるファンガール達。

そんなことより、どうやって誰にもバレずに京佳にチョコを渡すか考える草壁。

いつの間にかソファで寝落ちしている国近。

太刀川隊作戦室に、混沌が生まれようとする中、出水と太刀川は全く同じことを考えていた。

 

((隙を見て逃げよう……!))

 

京佳が帰ってくるまで、残り24分。

映画のクライマックスシーンを観ている京佳は、真木の腕に抱き着いて震えていた。

 

ーーー

 

そして現在に至る。

現在、作戦室にいるのは加古らファンガールと国近、そして京佳のみ。太刀川と出水の姿はない。

実は、出水と太刀川は数分前に「忍田さんに呼ばれているから」という理由で逃げ出すことに成功していた。

加古らも別に太刀川達に用はないため、見逃したのだった。

しかし、太刀川と出水は戦場からは逃げ出せたものの、2人には更なる苦難が待っている。

具体的には、ランク戦ブースやらラウンジやら行く先々で京佳のファンガールに出会い、京佳宛のチョコを死ぬほど預かるという苦難なのだが……。A級1位の精鋭たちだ。きっと乗り越えられるだろう。

 

閑話休題。

京佳の目の前には、4人の美女(と昼寝する女子1人)がいる。

体面になるように2つ置かれているソファの片方には加古、綾辻、草壁が座り、もう片方には三上と国近(眠り)が座っていた。

目の前に漂う微妙な雰囲気にたじろぎつつ、京佳は何とか口を開く。

 

「えっ…と…」

 

「急にごめんね、京佳くん。私たち、京佳くんにチョコ渡したかったんだけど見つからなかったから……作戦室にお邪魔させてもらってたの」

 

困惑気味の京佳に声をかけたのは三上だ。優しい声音で話しかけると、京佳の緊張も少しは取れたようだ。

 

「ああ、なるほど。すみません、ちょっと用事があって」

 

「ううん、全然いいのよ。ところで電話にも出なかったけど、何してたの?」

 

続いて問いかけてくるのは加古だ。微笑を浮かべながら口を開いているが、言葉にはどことなく棘があるように感じる。

京佳は「着信なんか来てたか……?」と疑問を浮かべたが、その疑問はすぐに解消することになる。

京佳は映画を観る際、スマホの電源を切っていたことを思い出した。より映画に没頭するため、電源を切っていたのだ。

京佳はスマホを取り出して電源を付けると、加古や綾辻から何件かのメッセージと着信が届いていたことを確認した。

 

「あ~すみません。映画見てたんで電源切ってました」

 

流石に「怖さのあまり那須先輩と真木先輩に抱き着いて半分泣きながらホラー映画を観てました」とは言えないので、真実を隠しながら事実を伝える。噓はついていないので問題ないだろう。

京佳の説明を聞いた女子たちは納得した様子を見せた。

 

「何の映画見てたの?」

 

「ホラー映画っす」

 

「へ~!京佳くんホラー好きなんだ!」

 

「まあ、得意ではないですけど……」

 

「立ったままだと疲れるわよ?座って話しましょ」

 

「あ、確かにそうすね」

 

綾辻や三上と会話をする京佳に加古が声を掛ける。

加古の言葉に促されるまま、京佳は空いているスペース……三上の隣へと腰掛ける。

ソファに腰かけて直ぐ、三上が驚愕の声を上げた。

 

「えっ……?」

 

「?どうしました、三上先輩?」

 

三上の声に反応したのは今まで静かにしていた草壁だ。尊敬する先輩が急に声を上げたので疑問に思ったのだろう。

三上は無言のまま、京佳の胸のあたりに顔を近づけ、くんくんと匂いを嗅ぐ。

「何をしてるんだこの人……」という京佳の困惑の目線を一切気にせず、三上は犬のように京佳の胸元を嗅ぐ。傍から見ればただの変態女子高生にしか見えないが、京佳は困惑こそすれど特に抵抗は示さなかった。

後に京佳は語る。「俺があの時、三上先輩を止めていれば……あんなことにはならなかったのかも…」と。

 

「み……みかみか…?」

 

流石に不審に思ったのか、綾辻が三上に声をかける。

その瞬間に顔を上げた三上は表情を驚愕の一色に染め、わなわなと震えながら声を上げた。

 

「……京佳くんから、真木ちゃんの匂いがする!!」

 

「「「「えっ!?」」」」

 

本日、太刀川隊の作戦室に特大サイズの爆弾が投下された。

 




ちなみに、黒江は前話の後こっそり逃げ出しました
面倒事に巻き込まれたくないんじゃ

第二次 書いて欲しいキャラ

  • 那須玲
  • 熊谷友子
  • 真木理佐
  • かわいいかわいいマリオちゃん
  • 香取葉子
  • 小佐野瑠衣
  • 今結花
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