サッパリとした男前 とりまる   作:mowさん

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めちゃくちゃ遅くなりました。申し訳ない。
執筆する時間が全然取れなかったのと、ネタが思い浮かばなかったのが主な原因です。
ネタがまじで思いつかないんで、更新少し遅くなりそうです。

あ、活動報告にネタ募集してるんで何かあればお願いします。


15話 バレンタイン③

 

ーーー真木ちゃんの匂いがする!

 

太刀川隊作戦室に木霊した三上の声は、その場にいる全員の体に稲妻を走らせた。

張本人である三上は勿論、容疑者である京佳、その他のファンガール達は動揺を隠せない。

そんな混沌の中、綾辻が震える声を上げた。

 

「みみみみみみみかみか!?ままま真木ちゃんって……あの真木さん!?」

 

「うん…京佳くんから真木ちゃんの匂いがするの…」

 

「勘違いじゃないんですか?」

 

「勘違いじゃないもん」

 

草壁が疑問の声を上げ、三上は短くそれに答える。その後、再び京佳の胸元に顔を埋めてクンカクンカと匂いを嗅ぎ始めた。傍から見れば完全に変態である。

 

「うん、間違いない。真木ちゃんの匂いだよ」

 

再び爆弾を投下する三上の瞳は真剣そのものであり、嘘を言っているようには思えない。この場の雰囲気が少しずつヤバくなっている事を察した京佳は、額に冷や汗を浮かべる。

 

「あの、三上先輩…俺から真木先輩の匂いがするって?…気のせいじゃないすか?」

 

何とかこの状況を打破しようと、京佳は苦しい言い訳をする。何とか捻り出した言い訳だったが、それは三上の一言でバッサリと切り捨てられた。

 

「私、真木ちゃんと一緒にいること多いもん。真木ちゃんの匂いはすぐ分かるよ」

 

「…京佳くん、ちょっとお話聞かせてもらえるかしら?」

 

いつの間にか冷たい眼になった三上に続き、絶対零度の雰囲気を醸し出す加古が口を開く。

ここが凍土なのではと錯覚するほどの冷たい雰囲気を放つ加古を前に、京佳は背筋を震わせながらも何とか弁明の言葉を紡ぐ。

 

「いや、ほら…その、真木先輩と映画見てたんすよ。それだけです」

 

「ふーん、そう?」

 

京佳の弁明に対して冷徹な笑みを浮かべた加古はソファから立ち上がり、ゆったりとした歩調で歩き始めた。ソファに座る京佳の背後まで回ると、京佳の肩に自らの頭を乗せ、耳元でそっと囁く。

 

「ただ映画を見ていただけで、嗅いで分かるほど匂いがつくかしら?…ねえ……本当は何してたの?」

 

耳元で囁かれた京佳の背筋がゾワッと震える。

ーーーこの場にいたら、死ぬーーーと、直感で理解した京佳は立ち上がって逃げ出そうとするが、加古が京佳の肩をがっちりと押さえ込んでいるため立ち上がることが出来ない。

加古以外にも、綾辻と三上、草壁の3人が冷たい瞳で京佳を見つめている。どう考えても逃げ出せる状況ではない。

完全に四面楚歌。もはや逃げ場はなかった。

 

「言えないことをしてたのかしら?」

 

加古の綺麗な声音が、今はとても恐ろしい。ゆっくりと耳に浸透していく声は、京佳にとっては悪魔の囁きにしか聞こえなかった。

もはや、この場を切り抜けるには本当のことを言うしかない。ホラー映画にビビって女子の先輩に抱きついた、という余りにも恥ずかしい事実を。

そんな恥ずかしすぎる事実を赤裸々に告白してしまえば、京佳のイメージやプライドが粉々に崩れ去ってしまうだろう。しかし、正直に告白する以外に道は無い。

覚悟を決めた京佳は、ゆっくりと息を吐いた。

 

「その、真木先輩と…冬島隊の作戦室でホラー映画を見てて…」

 

「うん?へ〜………それで?」

 

「その、真木先輩のことを……抱きました…」

 

静寂が、作戦室を包む。

ファンガール達は状況を呑み込めていないようで、ポカーンとした表情を浮かべている。

周囲の雰囲気が可笑しくなったことを察知した京佳は、疑問を表情に浮べた。しかし、この雰囲気になったのは完全に100%京佳の責任である。

動揺した京佳は今、「抱きつきました」ではなく「抱きました」と言ったのだ。言葉に意味自体に大差はない。実際、京佳の言っていることは真実である。京佳は先程、真木の腕を抱いている。

が、「抱きました」という言葉をただ抱きついたという意味で捉える人間は居ないだろう。

事実、この場にいるファンガール達は、「抱く」という言葉を全く違う意味で捉えていた。

京佳がしっかりと言葉を選び、「抱きつきました」と言っていればこれから起こる惨劇は防げただろう。もし、「腕を抱きました」と言えばこんな事にはならなかっただろう。

だが、タラレバを話しても意味は無い。

既に、過去一の破壊力を持つ爆弾が投下されてしまったのだ。

 

「…え、京佳くん?嘘よね?」

 

「……うそ、え?京佳くんと真木ちゃんって…え?」

 

「……じゃあ、京佳くんの…初めてって…え、うそ…」

 

加古、三上、綾辻は順番に震える声を上げる。ちなみに、草壁は発言の意味を理解した瞬間、完全に放心してしまっていた。

京佳の言葉足らずによって、一瞬で作戦室は混沌に包まれた。

血の涙を流しそうな目で京佳を見つめる加古。

涙目で京佳を見つめる三上に、ふるふると全身を震わせている綾辻。

京佳の言葉が信じられず、魂が口から飛び出そうになっている草壁。

またしても何も知らない国近柚宇さん(17)。

 

「…え、なんすかその反応…。…まあ確かに、先輩の女性に対して失礼だったかもしれませんけど……真木先輩も了承してましたよ?」

 

「なっ……!?」

 

更なる爆弾投下。作戦室は混沌を超え地獄の様相を呈してきた。

そしてタチが悪いことに、京佳は何一つ嘘を言っていない。

真木は実際に「遠慮せず私の腕使っていいからな」と言っているのだ。

 

故に、京佳は理解が追いつかなかった。なぜ、目の前の女性たちはこんなにも狼狽えているのだろう。魂のようなものが口から出ている者もいる始末だ。

確かに腕に抱きついたのは少し問題があったかもしれないが、お互いの了承があったのだ。R指定に引っかかる行為でもないし、別に問題ないだろう。

そこまで考えたところで、京佳はハッとした。

あ、2人きりで映画を見ていたと思ってるから、変に疑われているのかーーと。

 

そして再び、京佳は口を開く。

そこから発せられる言葉が、この地獄をさらに悪化させるとは知らずに。

 

「あ、補足ですけど、別に二人きりじゃないですよ。那須先輩もいましたから、安心してください」

 

「な……なん…だと…?」

 

女性陣の脳に再び稲妻が走る。

京佳は今何と言った?

真木だけではなく、那須もその場にいたと…そう言ったのか?

それが意味するのはつまりーーー3Pということではないか。

 

「京佳くん…?」

 

「はい?」

 

京佳のすぐ後ろに立っていた加古は震える声で京佳の名前を呼ぶ。京佳は呆気からんとした様子で返事をするが、ここで再び周囲の異変に気が付いたようだ。

加古のみならず、三上と綾辻、草壁も先程以上に様子が可笑しい。彼女らは先程まではあわあわと狼狽えていたのだが、今では据わった冷たい目で京佳を見つめていた。

あれ、俺なにか不味いこと言ったか?と京佳が自らの発言を遡ろうとした瞬間、三上が口を開く。

 

「京佳くんって…真木ちゃんと那須さんと付き合ってたりするの?」

 

「…は?……いや、付き合ってないですけど」

 

一瞬質問の意味を飲み込めなかった京佳だが、何とか頭を回転させて答えを返す。すると、背後の加古が再び言葉を放つ。

 

「ふぅん。じゃあ、体だけってこと?恋愛感情はないの?」

 

「(体だけ…?どういう意味だ?)…まあ、ないですね」

 

京佳は加古の言葉の一部を不審に思うが、考える前にとりあえず質問に返答する。

加古の言葉の意味を考えようとした瞬間、背後から加古が京佳に抱きつき、身動きを封じた。

 

「えっ?」

 

「恋愛感情がないなら、私でもいいってことよね?」

 

加古に背後から抱きつかれ、耳元で囁かれる京佳。

ボーダーに多数のファンがいる京佳とも言えど、女性に抱きつかれて耳元で囁かれるという経験は初だ。しかも、京佳はこう見えてバリバリの思春期である。年上の美女に抱きつかれては平静を保つのは厳しい。その証拠に、見るからに狼狽えている。

その隙を逃さず、加古が追撃を仕掛ける。

 

「お姉さんが優しくしてあげるから…ね?」

 

「…は?それってどういう…」

 

加古は京佳の顎に手を添え、強制的に横を向かせる。真横を向いた京佳の顔の正面に自分の顔を持ってくると、ゆっくりと顔を近づけていった。

 

「え、ちょ…!」

 

京佳は何とか抵抗を試みるも、ガッチリと抱き締められているため上手く体を動かせない。

2人の距離が徐々に近づき…そして唇がーー。

 

「「ちょっと待ったーーー!」」

 

触れ合う前に、蚊帳の外に放り出されていた三上と綾辻が大声を上げてソファから立ち上がった。

その大声で草壁も正気を取り戻すも、2人と同じように加古に向かって殺到することはなく、どさくさに紛れてコソコソと何かをしている。

物凄い勢いで京佳らの元へと近づくと、2人は加古の腕をガシッと掴み、京佳から引き剥がそうと力を込める。

 

「離れてください!!何1人だけ抜け駆けしようとしてるんですか!」

 

「みかみかの言う通りです!そんなの許しません!」

 

京佳の周囲で、ファンガールたちによるキャットファイトがスタートした。京佳は完全に巻き込まれており、身動きが取れない。

ワイワイガヤガヤと、作戦室は阿鼻叫喚の地獄絵図の様相を呈する中、今までソファで眠りこけていた国近が余りのうるささに目を覚ました。

 

「ん〜、うるさいなぁ〜………え、なにこれ、どういう状況?」

 

目を覚ました国近は、周囲の状況を確認した瞬間に本気で困惑する。周囲のやばすぎる状況を目にし、普段寝起きがあまり良くない国近も一瞬で目を覚ました。

 

「あ、国近先輩。あー、これは…えー……」

 

そんな中、女子たちのキャットファイトから何とか抜け出した京佳が、国近に状況を説明すべく口を開くが、何と説明すればいいのか分からず、それ以上言葉が出てこない。

 

「…あ〜……ん〜……もっかい寝るね〜…」

 

「え、ちょ、まってください国近先輩」

 

国近は目の前の惨劇に手を出すことを諦め、再び睡眠の姿勢を取るが、京佳はそれを何とか阻止しようと右往左往。

既に睡眠の姿勢に入りかけていた国近だったが、京佳の助けを求めるような視線を受けてしまったため、複雑な表情を浮かべた。

目の前の惨状に手を出すのが面倒臭いという気持ちと、京佳の助けを無碍にするのは心が痛いから何とかしてあげたいという、背反した2つの感情がせめぎ合い、なんとも言えない表情になってしまっていた。

国近は大きく溜め息をつくと、ソファから面倒くさそうに立ち上がって戦場へと赴く。国近はオペレーターとはいえボーダー隊員、戦場から逃げ出して助けを求める後輩を助けるのも、ボーダーに所属するA級隊員としての責務である。

ーーー最も、逃げてきた後輩は国近と同じくボーダーに所属するA級隊員であり、尚且つ戦闘員なのだが、その事実には目を向けないようにした。

 

「こら〜!いい加減にしなさ〜い!」

 

国近がぽわぽわとした力のない声で言い、ファイトを繰り広げる3人の頭頂部にゲンコツを食らわせる。

ゲンコツが頭部に直撃した3人は、ハッと我に返り、同時に国近へと顔を向けた。

 

「く、国近先輩!止めないでください!これは正義に基づいた戦いなんです!」

 

「そうです!加古さんの横暴を止めなきゃいけないんです!」

 

「なにを言ってるの。私はただ実力行使で京佳くんを手に入れようとしただけよ」

 

「「それがダメだって言ってるんですよ!!!」」

 

「も〜。皆1回落ち着いてよ。で、一体何があったの〜?」

 

争いを繰り広げていた各々が声を発し、再びカオスに包まれようとしたタイミングで、国近の全てを包み込むかのような慈悲に溢れた声が響く。

その声を聞き、再び正気を取り戻した3人。今度は京佳の方へと顔を向けた。京佳は「え、なんで俺?」という表情をしているが、今回に関してはコイツが原因なので情状酌量の余地はなしだ。

数秒後、意を決したように、最年長である加古が口を開く。

 

「京佳くんが、淫らなの!」

 

「「は?」」

 

京佳と国近の口から思わず間抜けな声が出てしまうが、それに構うことなく加古は続ける。

 

「京佳くんは、恋人でもない女の子を侍らせて、エッチなことをしてるのよ!!!」

 

その言葉に対し、残りのファンガール2人は深く頷く。

一方、京佳と国近は、頭の上に大きなハテナマークを浮かべたまま固まっていた。

 

ーーー

 

太刀川隊の作戦室は、先程までの喧騒狂乱が嘘のように静まり返っていた。

作戦室にいるのは先程までとほぼ同じ面子だが、国近を除いた面々は作戦室の床に揃って正座させられていた。ちなみに、その面子の中に草壁の姿はない。ファンガール達がキャットファイトを繰り広げる中、面倒事に巻き込まれたくないが故に隙を見て退出していた。あまりにも賢い判断である。ちなみに、ちゃっかりチョコは机の隅に置かれている。『京佳先輩へ 草壁より』という置き手紙も添えてあるあたり、抜け目ない。

 

閑話休題。

それぞれの言い分をしっかりと聞き出し、全ての事情を理解した国近は、目の前の人達のあまりのアホさに頭が痛くなりそうだった。今直ぐに不貞寝してしまいたい気分だったが、それを何とか堪え、事態を収集させるべく言葉を紡ぐ。

 

「えっと、話はわかったけど……とりあえず、女の子たちは暴走しすぎかな〜?」

 

「「「…すみませんでした」」」

 

正座させられている女性陣ーー先程まで戦争を繰り広げていたファンガール達ーーは、国近の言葉に対して申し訳なさそうに頭を下げた。

そして、その隣で同じく正座している京佳も、いたたまれなそうな表情をしている。

 

「京佳くんも、紛らわしい言い方はしちゃダメだよ。…まあ、双方の勘違いってことで、この話は終わりでいいかね〜?」

 

「「「「了解です」」」」

 

そんなこんなで、太刀川隊作戦室の乱は集結を迎え、解散へと向かった。

ファンガール達がおずおずと退出していき、加古、三上、綾辻は微妙な空気を漂わせながらボーダーの廊下を歩いていく。

そこで、加古はある事実に気がつき、小さく声を上げた。

 

「…そういえば、チョコ渡してないわ…」

 

「「あ」」

 

結局、何一つ目的を達成できなかったファンガール達だった。




ちなみに、ファンガールたちはこの後引き返しましたが、チョコを渡すだけで中に入れて貰えなかった模様。

ーー草壁ちゃんのこと全然描写してなかった。やっぱ期間空くとダメダメですね。少し強引ですが修正しました。

第二次 書いて欲しいキャラ

  • 那須玲
  • 熊谷友子
  • 真木理佐
  • かわいいかわいいマリオちゃん
  • 香取葉子
  • 小佐野瑠衣
  • 今結花
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