ホワイトデーのお返しを渡すため、ボーダー本部内を歩き回っていた京佳。手に持った袋の中にあるマカロンの数は大分減り、残りはあと少しとなっていた。
そんな彼の次の目的地は那須隊の作戦室。既に作戦室前に到着しており、扉をノックすると直ぐに制服姿の那須が出迎えた。
「京佳くん、いらっしゃい」
「おつかれさまです。体調は大丈夫ですか?」
「ええ。最近は調子が良いの」
そう言って可憐に微笑む様子は、まさしく美少女。その美麗さは淑女と呼ぶに相応しい。
そんな那須に相対すは、ボーダーイケメンランキングで3指に入る烏丸京佳。
あまりにも顔面偏差値が高い2人が並んで談笑する姿は、まるでドラマや映画のワンシーンだ。
なお、ボーダーイケメンランキングの3指に入るのは烏丸兄弟と嵐山准だ。
5指となると次点に隠岐孝二が入り、最後1人に関しては明確には決まっていないが、開眼した堤大地という説が有力だ。
閑話休題。
雑談も程々に、京佳が本題に舵を切った。
「那須先輩、バレンタインはありがとうございました。これ、お返しです」
「わ、ありがとう。大事に頂くわ」
「味はあんまり期待しないでください」
「ふふ、大丈夫よ、絶対美味しいわ。本当にありがとう、また一緒に映画見ましょ?」
「はい、是非」
「ホラー映画ね」
「……うす」
那須から映画鑑賞のお誘いを受け、京佳は了承するも、ホラーという単語を聞くと瞬く間に顔色が曇っていく。どうやら、未だにホラーを克服できていないらしい。
しょんぼりとした京佳に対し、楽しそうな笑みを受かべる那須はまるで女神……いや、京佳をイジって楽しんでいるところを見るに、内面は小悪魔かもしれない。
「…じゃあ、俺はこれで」
「ええ。いつでも遊びに来てね」
ホラーのことを思い出し若干顔色の悪くなった京佳を、那須は小さく手を振って見送る。
京佳の背を見送る那須は、次はどのホラー映画を見せて京佳の反応を楽し………ホラーの克服を手伝おうかと考え、いたずらっ子のような笑みを零した。
ーーー
さっぱりした男前・とりまるが向かう最後の目的地は、ボーダーの顔こと嵐山隊の作戦室だ。
作戦室に到着した京佳を出迎えたのは、嵐山隊の女子メンバー2人。
オペレーターの綾辻遥と、万能手の木虎藍だ。
「京佳くん、いらっしゃい」
「烏丸先輩!お疲れ様です!」
「綾辻先輩、おつかれさまです。木虎もお疲れ」
京佳が作戦室に入ると、座っていた木虎は立ち上がって挨拶をした。傍から見ていても緊張していると一目でわかるが、京佳は気にする様子なく返事を返す。
木虎藍。何を隠そう(隠せていないが)彼女は生粋の烏丸京介のファンガールでだ。彼女は京佳の兄である京介のファンであるが、ほぼ同じ造形の京佳に対しても多少は緊張してしまうようだ。
木虎でさえ烏丸兄弟の前では普段のツンとした態度は鳴りを潜め、しおらしい乙女になり下がってしまう。
「あれ、嵐山さん達は?」
「嵐山さんと時枝君は外で広報のお仕事中、佐鳥君は書類仕事に疲れすぎて奥で仮眠中」
京佳の問いに綾辻がスッと答えた。広報の仕事や大量の書類仕事などしたことない京佳は「広報部隊って大変すね。いつもお疲れ様です」と労いの言葉をかけた。
「ありがと。でも京佳くんもボーダーと新聞配達の掛け持ち大変でしょ?」
「まあ確かに新聞配達は朝しんどいっすね。けど高校入ったら別のバイトにするんで大丈夫です」
「そうなんだ。あんまり無理はしちゃだめだよ?」
「はい、ありがとうございます」
京佳と綾辻が雑談する中、木虎は何やらソワソワと機会を伺っているようだ。それに気付いた京佳が、木虎へと声を掛ける。
「木虎?どうした?」
「あ、いえ、その……烏丸先輩は元気ですか?」
「?俺は元気だけど」
「あ、いやあの、そうじゃなくて…」
いまいち要領を得ない木虎に京佳は首を傾げる。数秒の思案の後、木虎の言わんとしていることを理解した。
「ああ、もしかして京介のこと?ふつうに元気だよ」
「そうなんですね。異動してからあまり本部に来てないみたいなんで…」
「まあ、もう玉狛所属だしな。あ、けど今日は来るって言ってたよ」
「ほんとですか!?」
「うん。ホワイトデーだし」
木虎の表情が一気に明るくなる。彼女は今日一日、京介からバレンタインのお返しが貰えるかどうか気が気でなかったのだ。
本人は平常運転を心がけていたが、嵐山隊の面々にはバレバレだった。普段はポーカーフェイスなどお手の物だが、烏丸関係のこととなると木虎はややポンコツになってしまう。
「まあ、ホワイトデーってことで、俺からも綾辻先輩にお返しです。よかったら食べてください」
「ありがと~!あ、マカロンだ!美味しそ~」
京佳が綾辻にマカロンを手渡したタイミングで扉がノックされた。綾辻が「どうぞー」と声を掛けると扉が開き、京佳が最も信頼し、最も互いを知っている人物……双子の兄であり、もっさりした男前の烏丸京介が姿を見せた。
「どうも、こんばんは……京佳。お前も来てたのか」
「おっす京介。元気?」
「まあぼちぼち」
2人は双子であるため、顔の造形も身長もほぼ同じ。一目でわかる違いは髪型くらいだろうか。
京介の髪が多めでもっさりしているのに対し、京佳の髪は短めでさっぱりだ。それ以外の違いといえば、京佳の口元にある黒子くらいのものだろう。
それくらいしか違いが無く、もし2人が同じ髪型になってしまえば見分けるのは困難。そのため、昔じゃんけんで負けた京佳が髪を短くして見分けがつくようにしている。
例え短髪にするのが京介だったとしても、どちらも超イケメンで男前ということに変わりないだろうが。
ちなみに京佳は自分の髪型を気に入っているため、今のところじゃんけんの再戦は行われていない。
「京介くん、おつかれさま」
「か、かか烏丸先輩…!お、お疲れ様です!」
綾辻と木虎が京介に挨拶すると、京佳は小さく溜息を零した。
「木虎。烏丸だとどっちか分かんないから名前で呼べよ」
「む、無理です!!」
木虎に想い人を下の名前で呼ぶ勇気などあるわけもなく、京佳の言葉に全力で首を横に振る。
「無理かー。けど烏丸だと紛らわしいしな…。何とかしてよ、京介」
「俺に振るのか」
「長男だし何とかできるでしょ」
「長男ってそんなに万能なのか?」
京佳の言うことは完全に無茶振りだが、京介は弟の期待に応えるため真剣に考え始める。
そして数秒後、京介が相変わらずのクールな口調のまま言う。
「木虎、今日から京佳のことは"きょっぴ"と呼べ」
「きょ、きょっぴ!?なんですかそれ!?」
「渾名だ。これで俺と京佳の区別ができる」
「ええ…いや、そうですけど、さすがにその渾名は…」
困惑した表情の木虎がチラリと京佳に目線を向ける。京佳は木虎の視線を受け……。
ドヤ顔でサムズアップを返した。
「あ、いいんだ…」
「かわいい渾名だね~」
京佳のサムズアップに苦い笑みを浮かべる木虎とは対象に、楽しそうに笑みを浮かべる綾辻。
「先輩がいいなら……って、良くない!そんな渾名で呼ぶなんて失礼です!」
「失礼じゃないだろ。むしろ、本人が良いって言ってるんだから呼ばない方が失礼じゃないか?だよな、きょっぴ」
「ああ。むしろ呼ばれなかったらショックだわ。嫌われてると勘違いして泣いちゃうかも」
「呼んであげないと2人が可哀想だよ」
「……………わ、かりました。今度から…そう呼ばせてもらいます」
「「「まじか」」」
木虎をちょっと揶揄う悪ふざけのつもりだった兄弟(+便乗した綾辻)は、本当にいけるとは思っていなかったらしく揃って声を上げた。
後日、公共の場で京佳を「きょっぴ先輩」と呼び、それが噂で広がり、色々な人達(主に京佳ファンガール)に詰められるのは…また別のお話。
ーーー
ホワイトデーから少しだけ時は流れ、4月。
晴れて高校生になった烏丸兄弟は、ボーダー提携校の三門市立第一高等学校へと通い始めた。
ボーダー提携校ということもあり、他の高校と比べると圧倒的に正隊員は多い。京介のクラスには奥寺や時枝、京佳のクラスには佐鳥、別役、笹森、半崎がおり、他のクラスそして上の学年にも多くのボーダー隊員が在学している。
入学してまだ1週間。昼休みに昼食を食べ終わった京佳、佐鳥、笹森の3人(残る2名は防衛任務中)は、教室の一角で駄弁っていた。
「そういえば、今月でB級ランク戦も終わりだな」
「あ、もうそんな時期か。入学とかで忘れてた」
︎︎京佳の言葉に笹森が反応する。ボーダーのB級ランク戦は1年で3つのシーズンに別れており、3ヶ月で1シーズンが終了する。今月で今シーズンのランク戦が終了となり、A級昇格に挑戦する2チームが決定する。
「今順位どんな感じ?」
「んーと、ちょっと待って。調べるから」
佐鳥が言うと、笹森がスマホを操作し始める。数分後、調べ終えた笹森が2人に順位表を見せた。
「こんな感じ。今シーズンは18チームだから、上位は6位からだね」
1位 生駒隊
2位 弓場隊
3位 王子隊
4位 東隊
5位 香取隊
6位 鈴鳴第一
7位 諏訪隊
8位 那須隊
9位 荒船隊
10位 漆間隊
11位 柿崎隊
笹森のスマホに表示された順位表を見て京佳と佐鳥は各々反応を返した。
「王子隊すごいな。まだ昨シーズンに結成したばっかなのに」
「元弓場隊の2人に有望な若手の樫尾君がいるからねー。全員頭良いし、走れるし、そりゃー強いっしょ」
「ウチも今期は上位でシーズン終了を目指してるから残りも頑張るよ」
「鈴鳴と1ポイント差だもんな。頑張れ」
笹森は気合十分といった様子。そんな彼に京佳は激励の言葉をかける。
「京佳と佐鳥も頑張ってね。B級ランク戦が終わったら次はA級ランク戦が始まるんだから」
A級ランク戦はB級ランク戦のオフシーズンである5月、9月、1月に行われる。そのA級ランク戦にB級の上位2チームが参加し、設けられた昇格基準を満たせば晴れてA級に昇格となる。
「ウチは木虎も入ったし、今期は4位以上目指すぜ!」
「まあ、俺は気楽にやるよ」
「お、余裕だなー京佳。さすがA級1位!昨期も圧倒的だったもんな」
「いや、昨シーズン俺はいないぞ」
京佳が所属する太刀川隊は不動の1位をキープしており、昨シーズンも圧倒的な強さを見せつけた。太刀川の単位を犠牲にした戦闘力に出水・烏丸(兄)サポートが加わると手が付けられない。
今期は京介が抜け京佳が加入したとはいえ、京介と京佳の実力は同程度。隊としての実力に一切の陰りはないだろう。
「あ、そういや土曜日の諏訪隊の試合だけど、俺が解説することになったからよろしく」
「そうなんだ。じゃあ恥ずかしい試合は見せれないな」
京佳の言葉に笹森は気合いを入れ直す。柔らかい笑みを浮かべながらも、瞳の奥には確かな闘志が燃えていた。
ーーー
『B級ランク戦ラウンド16、中位夜の部。実況は私、草壁早紀。解説にはA級1位太刀川隊の京佳先輩と、A級6位影浦隊の北添先輩にお越しいただきました。本日はよろしくお願いします』
『『どうぞよろしく』』
明くる土曜日。京佳が解説を勤めるB級ランク戦が始まろうとしていた。実況には草壁が着き、その横に京佳と北添が並んで座る。京佳が隣に座っていることで草壁の内心は結構荒れているのだが、それを努めて表に出さないよう実況の仕事を進めていく。
(きょ、京佳先輩が隣に…!今日もかっこいい…!またお茶したいな…って、落ち着きなさい草壁早紀!今は仕事中よ…!」
『さて、今夜の試合は諏訪隊、那須隊、柿崎隊の三つ巴になりますが、今回の組み合わせはどうでしょう?』
そんな草壁の内心など全く知らない2人の男は淡々と口を開く。
『いや〜面白い組み合わせだよね〜。どこも弾トリガーメインに戦うチームだから激しい撃ち合いが見れると思うよ』
『ゾエさんの言う通りこの試合は射程持ちが多いですね。ただ、那須隊には唯一狙撃手がいますから、他の2部隊がどう対策するのか見物ですね』
『となるとマップ選択権のある柿崎隊は狙撃の射線が通りにくいマップ…例えば工業地区などを選ぶ可能性が高いでしょうか?』
『ん〜…狙撃を警戒するなら工業地区は最適なんだけど、そうなると那須さんのバイパーが怖いよね』
『那須先輩のバイパーに射線は関係ありませんからね。工業地区は射線が通りにくい上に結構ゴチャゴチャしてますから、那須さんのバイパーは刺さりまくるでしょう。とはいえ開けたところでは中距離火力が高い柿崎隊が有利でしょうから、全然アリだとは思いますね』
『では、那須先輩のバイパーを対策するとなると、どのマップになりますか?』
『ん〜まあパッと思いつくのは市街地Dかな。モールの中で戦えば那須さんとの距離も詰めやすいし、遮蔽物も少ないからバイパーの強みも減るし、ついでに狙撃手も封じれるからね。柿崎隊は全員が近接もいけるから、純粋な射手に対して距離を詰めやすいってのは有利なはずだよ。まあ、那須隊には攻撃手もいるからそう簡単にはいかないかもだけど』
『ただ、そうなると怖いのは諏訪隊ですね。諏訪隊の近距離火力は圧巻ですから、市街地Dを選ぶと諏訪隊にやられる可能性が高い。柿崎隊が那須隊と諏訪隊に対してどう対策するのか、見物ですね』
『なるほど、マップ選択から見所満載ですね。と、どうやらマップが決定したようです。柿崎隊が選択したマップは市街地Aのようです』
『1番普通のところだ。対策しないのを選んだのかな?』
『そうですね。マップで対策するよりも普通に戦った方が良いと判断したんでしょう』
『お2人ともわかりやすい解説ありがとうございます。それでは、B級ランク戦、まもなく転送開始です』
解説も程々に、B級ランク戦が開始した。
A級昇格の条件は捏造です。まあ多分こんな感じやろ(適当)
第二次 書いて欲しいキャラ
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那須玲
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熊谷友子
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真木理佐
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かわいいかわいいマリオちゃん
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香取葉子
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小佐野瑠衣
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今結花