サッパリとした男前 とりまる   作:mowさん

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おまたせしました…


19話 B級ランク戦②

 

 『全部隊、転送完了。マップは市街地A。天候は晴、時刻は昼です』

 

 那須隊、柿崎隊、諏訪隊の3部隊が転送された。転送位置は、照屋、諏訪、日浦がマップ東側、中央に堤、那須、笹森、西に柿崎、巴、熊谷だ。

 モニターに大きく表示されたマップを見ながら、解説席に座る2人が各部隊の動きを見ながら口を開いた。

 

 『予想通りスタンダードなマップだね。まずは全部隊合流を目指す感じかな?』

 

 『諏訪隊が3人とも比較的近いですね。那須隊も那須先輩と熊谷先輩もすぐ合流できそうです。問題は、東と西で分断されてる柿崎隊ですかね。照屋さんが孤立してるので、諏訪さんが狙いに行くかも』

 

 柿崎隊の照屋が東で孤立しており、西にいる他2人と合流するには諏訪隊と那須隊を越えていく必要がある。照屋が仲間との合流のため行動を始めたタイミングで、諏訪隊の面々が動き出した。

 

 『京佳先輩の予想通り、諏訪隊は浮いた照屋隊員を囲みに行く動きを見せています。那須隊はひとまず合流優先か』

 

 『那須隊は合流してから東に乱入するんじゃないかな。日浦ちゃんも東側で射線通してるし』

 

 『柿崎隊は照屋さんを助けに行くみたいですけど、間に合うかは微妙なところです。時間との勝負ですね』

 

 柿崎と巴が全力で東に向かう中、那須隊も同じく東へと向かっていく。しかし、移動スピードは柿崎隊の方が上だ。

 

 『柿崎隊、那須隊の2人も東へと向かう。しかし、那須隊は移動スピードが少し遅いような気がしますが…』

 

 『那須隊は敢えてゆっくり移動してますね。柿崎隊と諏訪隊がぶつかったタイミングで漁夫の利を狙ってるんじゃないですかね』

 

 『ザキさんも漁夫られるのを覚悟で助けに行ってるね。て、あ、照屋ちゃんヤバい』

 

 柿崎隊が到着する寸前、諏訪の散弾銃によって緊急脱出した。あと一歩間に合わなかった柿崎と巴は、そのまま諏訪隊に攻撃を仕掛ける。

 

 『ここで照屋隊員が緊急脱出!救援は惜しくも間に合わず。柿崎隊はそのまま、諏訪隊に攻撃を仕掛けます!』

 

 『人数は2対3ですが、射程は柿崎隊の方が上ですし、日佐人は純粋な攻撃手ですから、撃ち合いの人数差はイーブンでしょう。距離を詰めないと諏訪隊は一方的にやられちゃいますね』

 

 京佳の言葉通り、諏訪隊の面々はシールドを張りながら前進し、柿崎隊へと近づこうとする。対する柿崎隊は後退しながら射撃でバリバリと諏訪隊を削る。

 2部隊の激しい攻防が繰り広げられる中、空中を縦横無尽に駆け巡る弾丸が諏訪隊、柿崎隊の面々を強襲した。

 

 『ここで那須隊長が2部隊を射程に捕らえた!容赦ない両攻撃の鳥籠が柿崎隊と諏訪隊を襲います!』

 

 『那須さんの弾は相変わらずえげつないね』

 

 『そうですね。えげつない那須さんの弾のお陰で諏訪隊の足が止まりました。その場所は……日浦の射程圏内です』

 

 京佳が告げると同時、ビルの屋上から放たれた弾丸が堤の胸部を撃ち抜いた。

 那須の変化弾によってシールドが広がり、さらに足も止まっていた堤は為す術なく緊急脱出した。

 

 『堤隊員が緊急脱出!日浦隊員の狙撃が突き刺さりました!』

 

 『良い追い込みだったね』

 

 『はい。弾で追い詰めてから仕留める。とはいえ、ここまで綺麗に決まったのは那須先輩の変化弾だからこそですね』

 

 『那須隊長の変化弾は普通の変化弾とは違うのでしょうか?』

 

 京佳の言葉に反応したのは草壁だ。解説を円滑に進めるため、京佳に質問を投げかける。

 

 『変化弾は難しいトリガーなので、普通は予め何個か弾道のパターンを決めておいて、その中から選んで弾道を設定するんですが、那須さんは毎回リアルタイムで弾道を設定してるんですよね。そのうえ相手の動きを先読みする能力に長けているので、予想以上に弾が追ってくる。個人的に戦いにくい相手です』

 

 『那須さんはゾエさんも苦手だな~。足遅いから削られちゃうんだよね』

 

 『ゾエさんは的もデカいですしね』

 

 それ本人に言っていいのか…と会場は思ったが、当の本人は一切気にした様子なく会話を続ける。

 

 『そそそ。避けれないんだよねえ。瘦せようかな~』

 

 『ダメです』

 

 『えっ、なんで?』

 

 『俺は今の丸いゾエさんが好きなんで』

 

 京佳の一言で会場が沸いた。黄色い声援がチラホラ聞こえる。それと同時に観戦席から北添に向けて恨めしい視線がいくつも突き刺さるが、北添は全く気付かぬまま若干照れながら言う。

 

 『ちょ、まってまって。京佳くんイケメンすぎじゃない?キュンってなっちゃうからやめてよ』

 

 『あの……いちゃついてないで実況してください』

 

 『『了解』』

 

 草壁が冷たい声音で告げると、京佳と北添はすぐさま仕事モードに戻った。

 決して、「私も京佳先輩に好きって言われたい…!北添先輩ズルい…!」とか思いながら口を開いたら冷たい声音になってしまった訳ではない。

 草壁早紀はデキる女なのだ。仕事に私情は挟まない。だから全然嫉妬なんかしていない。

 この実況が終わったら京佳を絶対お茶に誘おうなどと決意しているが、断じて嫉妬などしていない。してないったらしてない。

 

 『さて、堤隊員が落ちたことで人数は3ー2-2となり、諏訪隊と柿崎隊が1人少ない状況になりましたが……』

 

 『ん~やっぱ諏訪隊苦しいな~。諏訪隊が火力を出すには距離を詰めないといけないけど、片方に詰めるともう片方に横取られちゃいそうだし』

 

 『狙撃手を抑えに行こうにも、この銃撃の中で隊を分けたら削り殺されるのは目に見えてます。とはいえ、このまま戦うのも苦しい。なにかしら状況を変える1手が欲しいですね』

 

  解説2人の言う通り、諏訪隊がジリジリと削られていく。そこで、諏訪隊は無理に詰めようとせず、1度退く判断を下した。

 2人でシールドを張りながら下がり、柿崎隊、那須隊の射程から逃れる。

 

 『諏訪隊は退く判断をしたようです。他の2部隊は無理に追わない模様』

 

 『まあ、今無理に追うと裏を取られて挟み撃ち、なんてことにもなりかねませんからね。諏訪隊は一度引いて、距離を詰めるチャンスを待つつもりでしょう』

 

 残る2部隊の銃撃戦が加速する。射程持ち2人の柿崎隊が有利かと思いきや、那須の変化弾が障害物をものともせずに柿崎隊を襲うため、ほぼ互角の様相を呈している。

 このまましばらく互角の撃ち合いが続く…なんてことにはならなかった。仕掛けたのは那須隊だ。

 那須が放った弾丸は今までと違い直線的に進んでいき、着弾と同時に爆発を引き起こした。炸裂弾だ。

 柿崎隊の周囲に爆風と住宅の倒壊によって起きた砂煙が舞い上がる。煙によって視界が塞がれる中、柿崎が何かを察知し叫ぶ、と同時に巴とともに大きく飛び上がった。

 飛び上がった直後、爆炎が切り裂かれた。下手人は熊谷、旋空弧月による一撃だ。斬撃は回避されたものの、それで充分だろう。

 柿崎隊は宙に浮いた。空中にいるということは、身動きが取れないという事。2人に向けて那須隊の集中砲火が浴びせられる。

 那須の変化弾に日浦の狙撃。柿崎隊は何とか致命傷を避けたものの、巴は右足を蜂の巣にされ、柿崎は右腕を失った。

 このまま那須隊が畳み掛ける…といったタイミングで、遠くのビルから流星が飛び立った。

 

 『ここで日浦隊員が緊急脱出!得点は笹森隊員!』

 

 『諏訪隊の作戦がハマりましたね。諏訪隊は銃撃戦の漁夫の利じゃなく、初めから日浦を狙っていた。これで邪魔な狙撃手が消えて、人数差はイーブンです』

 

 『人数は同じだけど、柿崎隊はダメージが大きいよね。一旦退こうにも虎太郎くんの足が削れてるし、中々に厳しい』

 

 『ですね。那須隊はこのまま柿崎隊を狙いそうです』

 

 京佳の言葉通り、那須隊は変わらず柿崎隊を狙う様子を見せ、笹森もバッグワームのまま主戦場へ向かう。

 那須隊が柿崎隊へと猛攻を仕掛ける中、家の陰から飛び出した諏訪が散弾銃を放ち、熊谷を蜂の巣にした。

 

 『諏訪隊長が隠密からの散弾銃で熊谷隊員を蜂の巣に!熊谷隊員は緊急脱出となります!』

 

 『諏訪さんはずっと近くに隠れてたんだね』

 

 『バッグワームを着て隠密しつつ、部隊を分けていましたね。日佐人が上手く日浦を倒したことで諏訪さんへの注意が薄れ、その意識の隙間を上手く突きました』

 

 『さあ、先程までの有利な状況から一変、那須隊が残り一人となり窮地に立たされています』

 

 『不利な部隊が狙われやすいのは勿論ですが、有利な部隊も狙われやすくなりますからね。と、言ってる傍から、また有利になりそうな隊が狙われますよ』

 

 奇襲で熊谷を落とした諏訪。そのまま再び離脱しようとしたが、那須と柿崎隊に集中砲火をくらう。

 3人の弾幕に耐え切れず、諏訪は緊急脱出。さらに、諏訪を狙うと見せかけた那須の変化弾が巴へと向かい、反応が一瞬遅れた巴は全身を撃ち抜かれた。

 

 『諏訪隊長、巴隊員が続けて緊急脱出!諏訪隊長に止めを刺したのは柿崎隊長のため、柿崎隊のポイントとなりました。これでポイントは3-2ー1!諏訪隊が僅かにリードしていますが、どの部隊にも勝ちの目は残っています!』

 

 『どの部隊も残り1人です。日佐人もいつの間にか近くに来てますし、もうすぐ決着ですね』

 

 『有利なのは……那須隊かな?エースの那須さんが無傷で残ってるし。逆に虎太郎くんは厳しそう』

 

 『ん~どうでしょう。位置が割れてない日佐人がタイミング次第で有利取れそうな気がしなくもないです。虎太郎は少し厳しいですが、まだチャンスはありますよ』

 

 『那須さんは虎太郎くんをじわじわ削ってくつもりかな。日佐人くんの位置が分かってないからあんまり踏み込めないし』

 

 那須は変化弾を使ってじわじわと巴を追い詰めていく。足を削られた巴は変化弾を両防御で防ぐが、なかなか反撃することができない。

 少しずつ削られる巴。シールドが欠け始めたタイミングで笹森が仕掛けた。

 

 『笹森隊員、カメレオンを起動!狙いは巴隊員か!』

 

 『削れてる方を狙いに行きましたね。那須先輩は機動力が高くて狙い辛いですし』

 

 笹森のカメレオンを用いた奇襲。それを察知した那須は行動に移る。

 自分が狙われていないと確認した瞬間、両手に変化弾を出現させた。

 

 『那須隊長、両攻撃の構え!これが最後の攻防になるか!』

 

 『日佐人くんが顔を出した瞬間を狙ってるっぽいね。あわよくば、2人まとめて倒すつもりかな?』

 

 巴の背後で笹森がカメレオンを解除。それと同時に那須の両攻撃が解き放たれる。

 笹森はシールドを張りつつ、弧月を巴に向けて振るう。対する巴は、右手の弧月で笹森の斬撃を受け止めると同時に、左手に持った拳銃を笹森の心臓…トリオン供給気管に向けた。

 巴が拳銃から放たれた弾丸が笹森の心臓を穿つ。数舜遅れて、那須の変化弾が巴の全身を貫いた。

 

 『決着!巴隊員の捨て身の攻撃が笹森隊員を倒し、那須隊長の弾丸が巴隊員を射抜いた!生き残った那須隊には生存点が追加され、最終スコア5-3-2で那須隊の勝利です!』

 

 『良い試合でしたね』

 

 『では、総評をお願いします』

 

 草壁の言葉に続いて、解説の2人が各部隊の総評をつらつらと話していく。

 

 『まず柿崎隊は転送位置が良くなかったよね。照屋ちゃんが孤立して最初に落ちちゃったのは痛かったな~』

 

 『誰しも囲まれれば苦しくなりますからね、囲まれる前に強引に突破するか、もしくはバッグワームで隠密するか。いずれにせよ囲まれる前に何とかするべきだったかなと』

 

 『まあ柿崎隊は3人組んでの火力戦が強みだから1人落ちたら戦力がガタっと落ちちゃうよね。今回もそれが原因で那須さんの弾幕に押されてたし。けど毎回3人が合流できるとも限らないから、3人行動に拘り過ぎないでそれ以外の戦略を用意すればもっと戦いやすくなるんじゃないかな』

 

 『序盤に堤さんが落とされて火力が落ちたのが痛かったですね。もし堤さんが生きていれば諏訪隊が勝ってたかもしれません。ただ、火力が落ちて他2部隊の中距離射撃に苦しんでましたが、上手く機転を利かせてチャンスを作ってましたね。部隊を分けて狙撃手を狙いに行くのとか、諏訪さんらしい大胆な作戦がハマった結果だと思います』

 

 『最後も日佐人くん惜しかったよね。虎太郎くんに倒されてなかったら那須さんと1対1になってた。カメレオンとか上手く使えばワンチャンあったよね』

 

 『那須隊は那須先輩を中心に上手く動けてましたね。合流してからの連携もばっちりだったと思います』

 

 『連携もそうだけど、各々の動きも良かったよね。熊谷ちゃんは普段は那須さんの護衛って感じだけど、今日は攻撃の鋭さもあったし、日浦ちゃんも足が止まった敵をしっかり仕留めてた。エースの那須さん以外がこれからもっと攻撃面を磨いてけば大きな武器になるんじゃないかな』

 

 『なるほど、お2人ともありがとうございました。只今の試合をもって暫定順位が更新されます。那須隊はB級中位トップである7位にアップ、諏訪隊は1つ順位を落とし、柿崎隊は変動なしとなっています。そして、次回のラウンドで今期のB級ランク戦は最終戦を迎えます。現在のTOP2は生駒隊と弓場隊となっていますが、最後までどうなるかは分かりません。次回はより一層白熱した試合になることでしょう。それでは、本日は終了となります。解説のお2人、ありがとうございました』

 

 『『いえいえ』』

 

 B級ランク戦が終了し、会場にいた隊員たちは退出していく。それは解説席の2人も例外ではなく、まずは北添が立ち上がった。

 

 「じゃ、ゾエさんこのあと防衛任務だから。お先~」

 

 「おつかれっす」

 

 そそくさと退出していく北添を横目に、京佳もヘッドセットを外して席を立った。そのまま北添の後を追おうとすると、草壁に声を掛けられる。

 

 「京佳先輩、お疲れ様です」

 

 「おつかれ」

 

 「……あの、良かったら、この後お茶しませんか?」

 

 顔を赤らめながら上目遣いで京佳を誘う草壁。普段のクールな雰囲気からは考えられない、乙女の表情をしている、もし佐伯がこの場にいたらあまりの驚きに目玉が飛び出しているだろう。 

 そんな可愛らしい草壁に対し、京佳は申し訳なさそうに答える。

 

 「あ~……悪い、これから予定あってさ。また今度でいいか?」

 

 「あ、分かりました。こちらこそ急にすみません」

 

 草壁は断られたことに一瞬落ち込んだが、先約があるなら仕方ないと納得する。そして同時に疑問を感じた。…京佳の言う「予定」とは一体何なのだろうか?

 現在の時刻は19:00。こんな時間からの予定とは一体?…まあ、普通に考えれば防衛任務だが、京佳はこの後オフのはず。

 となると、考えられるのは……。

 

 (ま、まさか……他の女!?)

 

 無いと言い切れないどころか充分に可能性はある憶測だった。京佳ほどモテる男なら女との予定の1件や2件、入っていて然るべきである。

 

 (と、とりあえず、その女が誰なのか聞き出さないと……)

 

 女関係なのが草壁の中で確定したらしい。聞き出してどうするつもりなのかは……まあ、言及しないでおこう。

 

 「ち、ちなみに、予定っていうのは……どこか出かけるんですか?」

 

 「ん、いや、出かけるっていうか、ただのバイトの面接だよ」

 

 「へ?」

 

 草壁の口から間抜けな声が漏れた。と同時にみるみるうちに顔が赤くなっていく。

 勝手に女関係だと決めつけた自分があまりにも恥ずかしく、今すぐこの場から逃げ去りたかった。

 

 「あ、そ、そうなんですね頑張ってくださいあ私もそろそろ行かないとでは失礼します」

 

 「お、おう……おつかれ…?」

 

 アナウンサーばりの早口で捲し立て、草壁はメタルスライムよろしくあっという間に京佳の前から逃げ出した。

 京佳は草壁の不審な様子に困惑しつつも、それ以上は特に気にせず目的地へと向かうことにする。

 

 

 次回!

 イケメン男子高校生が喫茶店でバイトを始めたら可愛い女の子しか店に来なくなった件~俺のラテアートがヤバいって、下手すぎるって意味だよな?~

 

 

第二次 書いて欲しいキャラ

  • 那須玲
  • 熊谷友子
  • 真木理佐
  • かわいいかわいいマリオちゃん
  • 香取葉子
  • 小佐野瑠衣
  • 今結花
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