【完結】フィジカルお化けおじさん、異世界へ行く3 作:タラバ554
『あーたーらしいー朝が来た♪ きぼーうのあーさーだ♪』
日が昇り始めたオラリオにラジオ体操の歌が流れる。
おじさんが来てからの毎朝の恒例行事。
最初こそ嫌がってたヘスティアだが、習慣化した今ではコレをやらないと一日がもやもやしたまま過ごすことになる為、今日も今日とておじさんと一緒にラジオ体操を行っている。
因みに廃教会の教会部分は解体してそれなりの建物を建てて貰った。居住区が地下ってあまり好きじゃないし狭いのよ、図体がデカイおじさんからすると。
「ふいー、おじさん。君は今日、この後どうするんだい?」
「軽く体を慣らしてから21~24階層を一周して帰ってくるよ。午後には約束通りそっちの職場に行くから一緒に飯でも食おう」
「おっ、良いね~。おごってくれるのかい?」
「良いよ、その前に朝飯だ~」
「お~!」
数分の体操を行い今日の予定を話し合う。ヘスティアファミリアの恒例行事。
今日の朝飯はおじさんの当番なので味噌汁に納豆、焼き鮭に目玉焼きにソーセージという朝っぱらからハイカロリー飯。
とは言え、それは大皿に盛ってるのでヘスティアちゃんは食べる分だけ皿によそい、他は全部おじさんの胃に収まる。
「そういやおじさん、この間ヘファイストスの所の武器を使ってたけどどうだった?」
食後のお茶を飲んでると何度か聞かれたこの質問。
「悪くはなかったけど、やっぱ耐えれなかった。御覧の通り」
そう言って取り出す半ばから折れてボロボロになったバトルハンマー。
「でもこれってヘファイストスの所の中級鍛冶師君が作った奴だろう? 結構良いお値段だったろうに……1週間で此処まで見事に壊すかね」
「それなりに気を付けて振るってるんだけどね」
暫く食後のお茶を二人で楽しんでからヘスティアがホームを出る。
ソレを見届けてからおじさんは丸盾だけを身に着け気合を入れる。
「対象『ダンジョン21階層』【テレポート】」
出てきた穴に飛び込めばソコは先ほどまで居たヘスティアファミリアのホームではなく、ダンジョン21階層だった。
「そんじゃ、今日も元気にお金稼ぎしますかね!」
◆◆◆◆◆
あれから約3時間、きっちり24階層までの魔物を蹂躙したおじさんはヘファイストスファミリア本店の入口に来ていた。
「おじゃましまーっす。ヘスティアちゃんいる~?」
「おっ、来たねおじさん」
「うぃ~、それにしてもヘスティアちゃん」
「何だい?」
「おじさんの渡した服着ないの?」
「あんなメイド服着れる訳ないだろ! 大事な箇所がほぼ丸見えじゃないか!」
折角日本で買ってきたエロエロメイド服はどうやら気に入らなかったらしい、ヘスティアちゃんを揶揄いながらバトルハンマーを作ってくれた鍛冶師と面談したらめっちゃ落ち込んでた。
おじさんのlvに見合う武器って事で紹介された鍛冶師だったが、おじさんの戦闘スタイルについてこれてない。
まぁスキルを使った荒技のおじさんストライクって100キロを超える巨体がスパーボールの様に跳びまわり、その速度を維持したまま突っ込むのだ。当然武器に掛かる負担もデカイ。
だましだまし使ってたバトルハンマーも1週間持たずに途中で折れてしまった。
で、今日はヘファイストスさんが直々におじさんに会ってみると。
「ヘファイストスは今書類仕事してるはずさ。折角だし一緒にお昼にしよう」
「出た~ヘスティアちゃんの陽キャプレイ。そういう所おじさん好きよ」
「……君はまったく。くれぐれもボクの友人に変な事はやめてくれよ?」
「うぃ」
溜息を一つはいてヘスティアちゃんが扉を叩く。
「ヘファイストス~? 入るよ~?」
◆◆◆◆◆
軽い自己紹介をしてお昼を共にする為三人で食事処へ向かう。
着いた先で適当に注文、取り合えずメニュー3ページ分位注文する。
「聞いてた以上に食べるのね……」
「そう?」
「ヘファイストス、これでもおじさんは抑えてる方なんだ」
「これで!?」
「自分一人ならメニュー2周位かな」
ヘファイストスさんが絶句してるので暫くお待ちください。
「はぁ、噂通りムチャクチャね。飲食店で噂されてるわよ『ボーナスキャラ』って」
「ですってよ、ヘスティアちゃん」
「それは君だろう!」
「大丈夫、ヘスティアちゃんなら食べた分は胸に行く」
「むき~~~~!」
◆◆◆◆◆
注文した料理が届き始めて直ぐに食事を開始、さっさと食わんと後の料理を置く場所がないのだ。
そして食事をしながら本格的におじさんの武器の話になる。
「それで、ヘスティアは新しい鍛冶師を紹介して欲しいって事よね」
「うん、申し訳ないけど君が紹介してくれた子が作った武器じゃおじさんのステイタスに耐えれなかった。だからもっと上位の子を紹介して欲しい」
「……確かにあの子の作った武器が折れてたけど、こんな短期間で壊れる様な雑な作りじゃないはずなのよ。一体どんな使い方したの?」
一瞬どうしたものかと考えたが目の前のプチトマトを使って実演して見せる事に。
「このプチトマトがおじさん、腕がダンジョンの通路、口に敵が居ると思って」
そう言って両手を前に出して腕の間をプチトマトが恐ろしい速さで飛び跳ねる。
掌から手首、二の腕と反射の回数が100を超えた辺りでプチトマトはおじさんの口に入り咀嚼される。
どうだ? とおじさんが肩をすくめて見せるが怪訝な顔で此方を見て溜息と共にうなだれるヘファイストス。
「そりゃそんな使い方なんて想定してないわ。あの子の武器じゃ耐えきれない訳ね」
「だもんで、基本この盾が今はメインウェポン替わり」
「仕方ない、良いわ、紹介はしてあげる」
無事に上級鍛冶師の紹介をしてくれる事に。
「その代わり一つ交換条件良いかしら?」
「なんじゃらほい?」
「あなたのその盾をちゃんと見せてほしいの。私が知る盾の中でそこまで仕上がってる盾を見た事が無いわ」
どうする? とヘスティアちゃんに視線を投げかける。
「ま、ヘファイストスならそう言うのは分かってたよ。ソレ込みでおじさんに盾を持ってきてもらったんだ。でもね、ヘファイストス。君はコレを見たら間違いなく驚く。君が声を抑えられるならここで、無理なら君の部屋にしよう」
「……あんたがそこまで言うなら私の執務室にしましょうか」
「すまないね、ヘファイストス」
あっ、もう戻る感じ? じゃぁ1時間で食べ終わるから二人で先に戻っておいて。
「そこはおじさんも一緒に戻るながれだろう!?」
ヘスティアちゃん、悪いがおじさんは良い感じの雰囲気をぶち壊してでも食事を続ける。ゆっくり飯を食う為だけに普段からダンジョン半日で切り上げてるのだ。いくらあきれ顔してもコレは譲れん。
◆◆◆◆◆
きっちり一時間で料理を食切った。
「本当に食べきったのね……」
「君のお腹は相変わらずなんでも飲み込むね」
「腹半分って感じ、後で少し潜るかな」
「突っ込み切れないわ。早く戻りましょう」
三人でヘファイストスさんの執務室に戻った。ついでにおじさんは屋台で食い物買った。
やらんぞ。
「いらないわよ」「お腹いっぱいだよ!」
「さて、改めてその盾を見せてもらおうかしら」
「へーい」
そう言って腰に取り付けていた丸盾を渡す。
「凄い……これ、ラウンドシールドの見た目だけど中身はそんなものじゃない……これは誰の作品!?」
「ヘファイストス、ソレがボクがあの場で盾を見る君を止めた理由さ」
「どういう事? 何でこの盾に私のエンブレム……いえ、私の銘が入っているの!?」
ふっふっふ。ふふふのふ。焼き鳥食いながら見る美人の困惑顔は最高だ。
ビールが欲しくなる。ヘスティアちゃん買ってきて。
「ああ……って買ってくるかー!」
「何をー!?」
この顔を見ながら飲む酒の旨さが分からんのか!
「君はなんでこう、場を茶化すかな!?」
「それがおじさんという生き物だ」
「本当に君って奴は……」
苦労を掛けるねぇ、ヘスティアちゃん。
「さて、何故覚えの無いヘファイストスさんの……いえ、ヘファイストスちゃんの盾があるのか! それは!」
「それは?」
「それは……ヘファイストスちゃんの愛の証!」
「……は?」
おぉ、目が点になってる。これは流れで押し切れる!!?
「ヘファイストスちゃんはおじさんに恩を感じて愛の証としてソレをくれたのだ」
「嘘ね」「嘘だね」
秒で看破された。ジト目女神見ながら食う焼き鳥うめぇ。
「なんで君はそんな嘘つくかな! 神に嘘は通用しない事知ってるだろ!」
「何事もやってみないと分からんじゃないか」
「ポジティブなのか馬鹿なのか……」
「ポジティブって言って」
「あぁハイハイ、ポジティブポジティブ」
うむ、ヘスティアちゃんの突っ込みレベルが上がってておじさん満足。
◆◆◆◆◆
さて、実はヘスティアちゃんにはおじさんの事は大まかに教えている。おじさんのスキルや出来る事、過去に経験した事も含めて。
やばい時は自らの判断で動くが基本はヘスティアちゃんの判断に従う事にして今は過ごしている。
主導権を握ってると思ってるヘスティアちゃんの頑張る姿。可愛いと思います。
まっ、そんなヘスティアちゃんもストレスの共有の為にヘファイストスちゃんを巻き込むまでに腹黒くなったのはアレだけどねー。
「というわけで、この子は世界を越える事の出来る子で、別世界の君からその盾を送られたらしい」
「そゆこと~」
「嘘……じゃないのね」
「嘘じゃないし、何ならヘファイストスちゃんの体のどこにホクロがあるか言おうか? お尻とか脇とか」
「!!! 言わなくていいわ……」
「うぇ!? おじさん別のヘファイストスとそんな仲だったの!?」
「ほかにも色々あったけどね~」
「……あえて聞かないでおく。これ以上胃を痛くしたくない……」
うむうむ、それが良い。
◆◆◆◆◆
色々話し合った末に椿ちゃんを紹介して貰った。やったぜ、これで此処でもおじさん棒作ってもらえる。
因みにヘファイストスちゃんの火傷を治せる事は伝えているので良い人見つかったら来る様に言ってる。
今回は誰とくっ付くやら。
そんな事をヘスティアファミリアのホームでおじさん棒を磨きながら考えているとヘスティアちゃんが風呂上りの状態で此方へ来た。
「おじさん、ステイタス更新どうする?」
「んー? やっとくかぁ」
◆◆◆◆◆
フィジカルお化けおじさん
Lv.3
《基本アビリティ》
力:S963
耐久:S984
器用:S912
敏捷:A880
魔力:S999
《発展アビリティ》
激運:S+++
魔導:C
狩人:B
対人:S
耐異常:S
《魔法》
【テレポート】
・対象を唱える
・対象へ跳ぶ
・派生詠唱【ワールドテレポート】
・世界を超える
・日に一度のみ
・派生詠唱【テレポーテーション】
・任意の人数と跳ぶ
・人数に応じて魔力消費増大
【トラベラー】
・荷物を格納
・貯蔵量により魔力消費量増加
【精霊魔法】
《スキル》
【幸運脂肪】
・シボウを操る
・あらゆる害悪から体を守る
・害悪に対する自動カウンター(相手のステータス依存)
・同意がある場合に限り他者のシボウを操れる
・強制幸福
【庇護脂肪】
・シボウ操作した者のステータスを上昇(任意)
・最大10段階
・体質操作可能
・シボウ消費で超サイセイ
・庇護対象カンチ
└庇護対象に関する行動時にステータス補正
・スキル使用時に魔力消費
【引継ぎ】
・シボウ時に同存在を呼ぶ → シボウ時に同存在に引き継ぐ New
・スキル/アビリティ/ステイタス/記憶の継承
・トリガー【死亡】
◆◆◆◆◆
「相変わらずムチャクチャなステイタスとスキルだ」
「実質Lv4みたいなもんだよね」
もう何年もLv3のまま、そろそろオールSが見えてきましたよ。
「相変わらずランクアップの経験値は無しか~」
あっコラ、おじさんの上で寝っ転がるとヘスティアちゃんの強制幸福が発動する。
「お金稼ぐだけなら十分なんだけどね~」
ヘスティアちゃんの肉の感触楽しみつつ受け取ったステイタスを見る。うむ、ステイタスが若干伸びたな。
「魔法の3スロット目は変わらず名前だけで空白と」
「前にも言ったっしょ。精霊を助けないと使えないって」
「今時精霊は居ないじゃないか」
「それに関しても言ったじゃない、当てはある『『けど今はその時じゃない』』」
ヘスティアちゃんとハモった。
「まーその内時期は来るさ、それに今の所は特に困ってないから良いじゃない」
「ボクとしては子供の魔法スロットが無駄に埋まってるのをどうにかしたいだけさ」
ヘスティアちゃんの頭を撫でてから寝室に送る。
相変わらずウチの主神は優しくて気苦労が絶えないらしい。
「今度は全部を救って幸福になるのさ……だから、早く来い。ベル・クラネル」
まぁ、来た所でヘスティアちゃんの胃痛の種になるのは確定なのだが。
金では買えないものがある。だが大体のものが金で買えるのもまた事実。
次回、おじさんとベル・クラネル
ヘスティアちゃんの胃が耐えれるのか、神のみぞ知る。