【完結】フィジカルお化けおじさん、異世界へ行く3 作:タラバ554
50階層のセーフポイントでロキファミリアに飯テロをかました翌日。とても良く寝れたおじさんは早速59階層に向けて歩みを進めようとした……ら、ロキファミリアに捕まりました。
「いや、何でおじさんを捕まえるのよ」
「おじさん……君、昨日あんな事やってそのまま行けると思ってるの? 全員が手を出さなかったのだって僕が収めた結果だからね?」
フィンがぶつくさ言ってるが要はお前だけ旨いもん食ってるんじゃねぇって事だろうに……ふむ、しかしそうか、こいつら腹が減ってというより旨い物に飢えてるのか。
「よし、フィン取引しない?」
「取引かい? ソレは僕らが矛を収める様な取引かな?」
あっ、コレはやばい。目がマジだ。
◆◆◆◆◆
あの後めっちゃ日本和牛のBBQをおごらされた。ついでとばかりに備蓄してたビールも大放出させられた。畜生。
だがそのかいあってロキファミリアの足は一日止まる。まぁおじさんも半日足止めを食らったが半歩先を行けたのはラッキー。
「ってなるはずだったのに……ガレスゥ! 何時までおじさんを掴んでるんだ! いい加減離せや!」
「いいや! あの酒の出所を聞くまで離さんゾ!」
キンキンに冷やした各種ビールをケースで出したらドワーフのおっさんに捕まりました。
ふぁっきんごっと!
「だーから! アレはおじさんの故郷の酒だっつってんだろ!」
「じゃから何処で手に入るかが知りたいんじゃ! あんな旨い酒地上でも飲めん! 何処で手に入る!?」
「無理無理、オラリオどころか世界中でおじさんしか買ってこれねぇよ。以上、はい議論終わり」
そうやって抜け出そうとするとより一層力が籠められる腕。
「つまり、お主に頼めばアレを買えるんじゃな?」
oh、ソノ目、さっきも見たなぁ……。
◆◆◆◆◆
結局放してくれませんでした、ドワーフ種族の酒に対する執着を舐めてたわ。マジキチレベルで酒に関して妥協しねぇこいつ。
吹っ掛けても地球産のお酒を諦めるという事が無いドワーフに身柄の安全という名目で拘束されたおじさんは結局先んじて59階層に赴く事敵わず……というか進ませてくれません。
「だから! おじさんはこの先に用があるっつってんじゃんか!」
「お主の様なレベルで単身向かうのは自殺行為じゃと言うておろうが!」
話が平行線で全く進まん。
結局の所ロキファミリアと一緒に進むこととなった。一部メンバーは納得いってないみたいだがこの際無視。
ロキファミリアのメンバーに引っ付いて進み……まぁトラブルもちょっとあったが全員無事に58階層に辿り着いた。そこで小休憩をはさむって事で足止め。おじさんだけ先に行くとの言はガレスに無理やり封殺された。
悔しかったのでロキファミリアが倒した58階層のドロップアイテムを全部回収してやった、持てないと言って捨てるつもりだったらしいから有難く頂戴する。
◆◆◆◆◆
んで、ぬるっと来ました59階層。
記憶通りもう何か卑猥な大人のオモチャみたいな形になった精霊の子が居ます。
アイズちゃんが『精霊』とか言って回りがわちゃわちゃしてるけどどうしようかな~。
「おい、おじさん。本当にお主の待ち人はこんな所に居るのか?」
「居るよ、見えてるじゃん」
「見えて……?」
「ほら、あれ」
そうやって目の前で咲いた彼女を指さすと全員が何言ってるのコイツ見たいな顔しとる。
「とりあえずお先~」
そう言ってから一気に走り出す。おじさんストライクで跳ねまわりながら芋虫を越えて精霊の眼前に飛び出る。
「よっ、お久」
「アナタ、ダァレ?」
振りかぶって来た右手を全力のミニストライク(脚)ではじき返す。
「おじさんの事を忘れたって? 直ぐに思い出すさ」
にやりと笑ったおじさんが気に食わないのか顔を顰めて詠唱を始める精霊。それと同時におじさんも詠唱を始める。
『突キ進メ雷鳴ノ槍代行者タル我ガ名ハ
「突き進め 雷鳴の槍 代行者たる我が名は
周囲に浮かぶ雷の射出口、鏡合わせの様に対となり互いに雷をぶつけ合う。余波でおじさんが吹き飛ぶが空中を蹴って宙へ留まる。
『閃光ヨ駆ケ抜ケヨ闇ヲ切リ裂ケ代行者タル我ガ名ハ
「閃光よ 駆け抜けよ 闇を切り裂け 代行者たる我が名は
鏡写しでの魔法の、しかも同一魔法での応酬に精霊に怒りの表情が見える。
ここまでの接近を許しての戦闘自体がイレギュラーなのだろう、対応が非常にお粗末だ。迫りくる物理攻撃は脚を使ってのミニストライクで。短文、超短文詠唱に関しては同魔法で捻じ伏せてチャンスをうかがう。
チラリと下を見ればロキファミリアはどうやら芋虫の排除を行っているらしい。おじさんの邪魔をされないので上々と思いながらおじさん棒を取り出し最大展開で振るう。
「食らえ! DVアタック!」
「ナメルナァ!」
葉っぱの様なモノが精霊の顔を覆い防がれてしまう。殴った感触は……鉄?
この一発でおじさん棒の先端がちょっと変形してしまった。後で椿ちゃんに修理頼もう。
変態軌道のおじさんストライク(脚)で空中を跳びまわる。字面だけで見ると完全に事案だコレ。
悲しみに包まれながらも跳びまわり攻撃を続けているとロキファミリアの方で動きがあった。リヴェリアちゃんと……なんか弟子の子が魔法を唱え始めた。
それに気づいた精霊ちゃんも焦って魔法唱える。ちゅーか精霊ちゃんの方が詠唱早っ、マズっ。
『火ヨ、来タレ──
猛ヨ猛ヨ猛ヨ炎ノ渦ヨ紅蓮ノ壁ヨ業火ノ咆哮ヨ突風ノ力ヲ借リ世界ヲ閉ザセ燃エル空燃エル大地燃エル海燃エル泉燃エル山燃エル命全テヲ焦土ト変エ怒リト嘆キノ号砲ヲ我ガ愛セシ英雄ノ命ノ代償ヲ──
代行者ノ名ニオイテ命ジル与エラレシ我ガ名ハ
【ファイアーストーム】』
「火よ、来たれ──
猛よ 猛よ 猛よ 炎の渦よ 紅蓮の壁よ 業火の咆哮よ 突風の力を借り 世界を閉ざせ 燃える空 燃える大地 燃える海 燃える泉 燃える山 燃える命 全てを焦土と変え 怒りと嘆きの号砲を 我が愛せし英雄の命の代償を──
代行者の名において命じる 与えられし我が名は
【ファイアーストーム】」
空中でファイアーストーム同士がぶつかり合い衝撃と音がダンジョンを揺らす。詠唱を止めなかったロキファミリアの魔導士師弟の超火力が精霊ちゃんを焼く。
凄惨な声が響く中、物理攻撃手段を持つ面々が飛び出して……ってアイズちゃん来てるやん、それはアカンです。
「地よ、唸れ──
来たれ 来たれ 来たれ 大地の殻よ 黒鉄の宝閃よ 星の鉄槌よ 開闢の契約をもって 反転せよ 空を焼け 地を砕け 橋を架け 天地と為れ 降りそそぐ天空の斧 破壊の厄災──
代行者の名において命じる 与えられし我が名は
【メテオ・スウォーム】」
OK! ロキファミリアの足止め成功!
そんでもって、精霊ちゃんはぐったり。おじさんがここに来た意味もコレで報われるゾイ!
いくぞ、お前さんが欲しがってたもの、ちゃんと受け取れよ!?
「風よ、吹け
来たれ 来たれ 来たれ 風の道 暴風の障壁 天空の支配者よ 怒りを以て 敵を切裂け
代行者の名において命じる 与えられし我が名は
【トルネード・スウォーム】」
ギリギリでロキファミリアを出し抜いて(?)精霊へ迫るおじさん
何やら変な発言をしながらも精霊と同じ魔法を使う
次回、おじさんと精霊3
おじさんの目的とは……。