【完結】フィジカルお化けおじさん、異世界へ行く3 作:タラバ554
総理大臣テロ襲撃事件の翌日、不安もあったが過去の恩もあり大量の荷物を抱えたアミッドをオラリオに送りだした。
「で、大臣はもう大丈夫なんですか?」
「ええ、今は意識もはっきりしているし念のため検査を受けている所ですが何事も無ければ一日様子を見て退院になるでしょう」
「そいつは良かった」
林さんと対面で大臣の様子を聞きやっと安心出来た。
何かあればアミッドから買い上げた残りのエリクサーもぶち込む予定だったけど使わなくて済むならそれでいいか。
「それで何ですが……一つ確認したい事が」
「何でしょう」
「その……今回使った薬はどういった効果なんでしょうか?」
「どういった? ……肉体の再生を促す薬という認識ですが」
「その……大臣の身体は確かに再生して健康になっているんですが、何というか……少し若くなっているんです」
「……若く?」
「ええ、なので医者が細かく検査をしていて……ただコレが知られると色々厄介な事になりそうなのでコチラで情報規制をかけました」
「ありがとうございます……でもそんな効果は……今回使用した薬は費用がかかるので研究対象とはしていませんでした。ちょっと……今いるメンバーから更に絞って研究してみます」
「その方が良いでしょう。恐らくソレは基本的に使わない方が良い類のものかもしれません」
◆◆◆◆◆
予想外の報告を受けて考える事と作業が増えた事に頭を悩ませつつ飛行機と電車で自宅まで戻る。だらだらしたいので酒とツマミを買い、向こうに持っていく物品をコンテナ毎トラベラーに仕舞い自宅に戻った。
家に帰りつくと何やら段ボールで荷物が……検査で通って来た物だから変なモンじゃないだろうけど、何も注文して無かったよな?
箱を開けてみると……おじさんの同人誌だった。
もう一度言おう。
おじさんの同人誌だった。
【緊急】ダンまち同人誌作った奴来い【放送】
「おい、おじさんの同人誌作った奴」
『?』
『おじさんが出る同人誌?』
『おじさんが竿役のダンまち同人誌の事か?』
『意外とあるよな』
『でもダンまち最新作でおじさんの嫁が作中死亡してたのは驚いた』
『人気だよな嫁×おじの本』
『作中ベル君はチート化が凄い』
「今日家に帰ったらおじさんの家に同人誌が届いてたのよ」
『草』
『www』
『公式に同人誌送るやーつ』
『まじかよ、迷惑過ぎるだろ』
「いやね、おじさんだってさ。同人誌自体は嫌いじゃないし二次創作とかして貰っても良いのよ」
『なら良いのでは?』
『何か問題があったのか』
『きっと碌な事じゃないぞ』
『何が飛び出してくるのか楽しみだ』
画面が居から本を取り出すとそこに握られた一冊の本。
「問題の一冊がこちらです。『おじさん(細)×おじさん(太)』という地獄の様な作品を生み出した奴。作るのは勝手にしてくれて良いが送って来ないで」
『wwwwwwwww』
『大草原www』
『うわぁ……』
『これはヒデェ』
『おじ×おじwwwww』
『こwれwはwひwどwいw』
『草草の草』
『需要is何処?』
『自己供給型の究極wwww』
『何故コレを選んだしw』
「中はまだ見てないけどもうタイトルからしてヒデぇ……何だよ『異世界おじさんの
『究極(自愛)www』
『描いた奴頭おかしいよww』
『中を見るつもりなのか』
『自ら地雷を踏みに行くスタイル』
『おじさんのそういう所は好感持てる』
『真似はしたくないがな』
「んで、中身は……うっわぁ……初手事故からのプラナリアみたいに増えるおじさんって」
『わーぉ』
『R18Gを装ったブラクラかい』
『これは色んな意味で名誉棄損で訴えたら勝てるのでは?』
『草も生えない』
黙々と読み進み最後まで本を読み進めたおじさんはページを捲る度に顔色が悪くなっているのが配信画面越しですら見て取れた。
その為、流石のコメント欄でも心配の声が上がる。が、それに反応する気力すら湧いてこない。
「……普通の同人誌だったら一言物申すだけのつもりだったけど中身が完全に脅迫文なのでコレ描いた人は真面目に訴えるのでよろしく。いや、頭おかしいって」
『まさかの展開w』
『おじさんの所へ届くものって検閲なかったっけ?』
『検閲ガバかよ』
『そりゃ同人誌の体を装った脅迫文とは頭オカシイもんは想定外じゃろ』
『そもそも本人の同人誌を通す時点で変』
『陰謀の匂いがしますねクォレハ』
その後は他の同人誌に関して軽くコメントを添えて配信を終了。ノーマル本は良いけどBLは送ってこなくてよし。嫁さんとのイチャコラ本はすごくうれしかったので嫁と読むと言ったら作者と思われるコメントが発狂してたのはウケた。
後でSNSフォローしとこ。
配信終了後に即刻弁護士に連絡して名誉棄損で訴える事に。
結論から言うと頭ファビョった人だった。『異世界に行くのは俺だった!』だの『俺の能力を奪ったんだ!』とか。
余りにも酷かったので言ってやった。
「じゃあ行けば?」
「は?」
「だから、行けば? 異世界」
「おまえが〇×▲!!!?」
「……そんなに未知の世界に行きたいのなら送ってやろうか? その変わり二度と戻って来れる保証も、ましてや生きていける保証も無いけど」
そこで相手の罵声がピタリと止んだ。そしたらオラリオに飛ばせだどうだこうだと言ってくる。
「あんたはあんたの異世界に行けば良いじゃん。つーかランダムに飛ばすんだから俺だって先が何処か分からないんだよ。
あんな本を描く位に鬱憤が溜まってたんだろ? その鬱憤を別の世界で良い方向に使えばこっちでうだうだ生活するよりマシなんじゃねーの?」
異世界に移動出来る事は周知の事実だしランダムジャンプできる事も公開じゃ。ナメられ続けるのも好きじゃないし。
そして相手は異世界に旅立つ事になった、勿論きちんと賠償金は払って貰った上でだけど。
金をどうやって工面したとかは一切聞かないし興味なし。ただ当日は本人+政府関係者が来てたけどもう全スルー。ささと終わらせましょ。
「対象:コイツが行くはずだったどっかの世界 【ワールドテレポート】」
テキトーな事言ってるが単純にランダムで繋がった穴に男は大量の荷物と共に飛び込んでいった。周りで見てた人間からすると急に人が消えたから驚くだろうけど。
んで、後で何処の世界に繋げたのか聞かれたけどおじさんも知りません。本当にランダムに繋げたし再度繋げるつもりもないから覚えてもない。
彼が自力で戻る方法? 知らん。
俺、言ってたよね。
「二度と戻って来れる保証も、ましてや生きていける保証も無い」
その後遺族を名乗る奴が来たけどその辺りに通達した上で本人が選んだ事なのでおじさんは責任取りませんと突き放した。
裁判起こされたけど、そもそも口頭でのやり取りが栽判所の中で行われたので公式記録にばっちり残ってる訳で……。結果、おじさん勝訴。
おじさんのネットのあだ名が異世界おじさんになりました。
例のイチャコラ本を読んだ後、イシュタルちゃんが作者フォローしてるのワロタ。
おじさん、正式(?)に異世界おじさんと呼ばれる様に
次回、おじさんと調査