【完結】フィジカルお化けおじさん、異世界へ行く3   作:タラバ554

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仕事再開したら時間がっ!
ついでに言うと今回出したフルプレートのデザインを実際に描いてたら時間かかりました。


103 おじさんと調査3

「あれが……妖精?」

 

オッタルの目に映るのは氷柱に浮かぶ女性の様なナニカ。そしてソレを腹に抱える様に佇む熊型のモンスター。だがそれはクマと呼ぶには背中から生える触手と周りにうろつく狼型モンスターを捕獲し触手で飲み込む様はとても妖精と呼べる光景ではなかった。

 

「う~ん、幸い気づかれてないけどこれ以上近づくとやばいな」

「む? 俺はまだ近づけると思うが……」

「いや、おじさんの方がやばい。撤退しよう」

 

下手に留まるとマズイと感じたので直ぐに【テレポーテーション】で50階層へ。

改めて腰を落ち着けて先ほどの相手と自分の戦力を図る。

 

「どう? オッタル君はアレに勝てそう?」

「邪魔が入らない、そういう状況下なら戦えるだろうが……周りの狼が厄介だな」

「あれなー、推定Lvどれくらいだろう」

「Lv6の中盤から後半なら相手に出来るだろう」

「だよねー、おじさんも一匹なら対応出来そうだけど群れで来られると対応しきれないな。後、気づいてたか分からんけど、熊の足元見てた?」

「足元? いや、見てなかったが」

「足元にさ、触手? 根っこ? まぁそんな感じのが広がってたのよ」

「……」

「あそこでヤバイって言ったのは根っこのテリトリーに入るから。氷柱に浮かんでた女の目がちょいちょいこっちを見てたの気付いて無いでしょ」

「……見てたか?」

「うん、何となく察知してたんじゃねーかな」

 

索敵範囲の広さに触手での攻撃手段。根を外せば移動も俊敏そうな動物型。

だが大きさは10メートルはあり、熊の動きと氷柱の中の女性の動きはリンクしてなかった。

どう考えても人数揃えたから勝てるとは言えないタイプだ。

 

「んまー、今後アレが目標かな。どうにかしてアレを屈服させるのが目標」

「そしてソレを手伝えと?」

「嫌なら嫌で良いよ」

「……その場合何をする?」

「? 別に何も。おじさんがオッタル君に勝てる訳じゃないし、せいぜいフレイヤちゃんへの貸しを増やすくらいかな。あぁ、そういや最近あの子(フレイヤちゃん)がおじさんの故郷に興味持ってるって知ってる?」

「故郷?」

「うん、どこから知識を仕入れたのか、サブカル……まあ色んな娯楽が山の様にある国でさ。性に関しても非常に富んだ「絶対止めてくれ」国で」

 

食い気味に止めて来たオッタル君の肩を優しく叩いて何も言わずにテレポーテーションを開く。今日はオラリオに戻って酒でも飲もう。

 

◆◆◆◆◆

 

調査の目的である妖精ちゃんの本体を確認出来たのは良いがソレから暫くは冒険者から一歩引いて他の仕事に勤しんだ。アラハビカの運用やポーションの解析、リリちゃんの装備開発に日本との折衝。それに闇派閥の調査、討伐。

何でおじさんがやってるんだろうと思う事もあったがお陰でオラリオも大分住みよい街にもなってきたし、その影響もあってかアラハビカに来る一般商人も増えた。

日用品や衣類に関しては求める人が非常に多いので意外と馬鹿にならん収入になってる。それと日本でのポーション販売が本格化して日本円も安定して稼げるようになった。

おかげで社員にボーナス渡せるし給料も引き上げれたので万々歳。ただ福利厚生をおじさんが一手に行うというのはそろそろ避けたい。プロのマッサージ師雇おう。だっておじさんもぐり(前世プロ)だし。

 

そんな感じで地固めを粛々と進めて来たがやっと一つの到達点に辿り着いた。それはおじさんが件の妖精ちゃんの本体をテレポートを利用して観察していた時にメールで届いた。

 

 

 

from:ヴェルフ

to:おじさん

 

ヴェルフっす。

リリ助用の鎧、仮組出来ました。

明日にでも集まれませんか?

 

 

 

あのデザインで難航した鎧が遂に……そう思うと直ぐにでも移動したいがこっちもこっちで止める訳に行かないからメールを返すにとどめる。

 

 

 

from:おじさん

to:ヴェルフ

 

了解。

アスフィちゃんにも連絡しとく。

 

◆◆◆◆◆

 

翌日、ヘスティアファミリアのホームに集まった3名。部屋の隅に鎮座する大風呂敷。

自分が関わった物が形になるというのはやはり格別なものがあり、まだシルエットしか分からないのにワクワクが止まらない。

 

「ヴェルフ君、早く見せてよ」

「それじゃあ早速」

 

風呂敷を外して現れたのは銀がメインにサブに黒、金と青が差し色になった小柄なリリちゃんに合わせたフルプレート。各所の装飾は草花で統一されておりボディラインが若干見える様な形をしており女性である事を示している。

ヘルムは生物的な特徴は控えめにスッキリさせ、かと思えば首から下はボディラインを出しながらプレートの位置が若干BlackSUNの様な生物的配置にされており、鎧でありながら細かく分かれたプレートが折り重なって威圧感を醸し出す。

 

「おぉー」

「後はコレに腰布を当てて……」

「私の用意したベルトとリンクさせれば完成ですね」

 

そう言ってアスフィちゃんが持ってきたのは前回から改良を続けていたベルト。

早速ベルトの機能と鎧の機能をリンクさせるとベルトに吸い込まれる様に鎧が消えていく。最後に残ったのは腕輪とベルトのみ。

それをちょちょいとヴェルフ君がグローブに加工して腕輪付きグローブに。

 

「よし、早速リリちゃんにこいつを付けて貰ってテストしよう」

 

 

 

「本当に出来たんですか……」

「長かったねー」

「資金と時間をつぎ込んでやっとここまでこぎつけましたからね」

「苦労の連続だったがやりがいのある仕事だったぜ」

 

呆れながらもローブの上からベルトを付けるリリちゃん。しかし一つ気になったワードがあったらしく質問してきた。

 

「因みにどれ位のお金がかかったのですか?」

「「「……」」」

「私が把握しているのは私の開発費用だけですので……」

「あー、俺も自分の分だけだな。諸々を知ってるのはおじさんだろ?」

「んん-ーー、一応形は出来てるけど細部がまだだから……まぁちゃんと完成したら教えてあげるよ」

「……何か今の時点で嫌な予感しかしないのですが」

 

そう言いながらも何時も通りカメラをセットした前に位置取るリリちゃんに加工済みの指ぬきの革グローブを渡す。

残りの二人はというと……カメラの後ろに椅子を置いて完全に観客モードだ。

生ライダー楽しみにしてた二人だもんな。無言でリリちゃんにスタートの合図を送ると自然とポーズを取り始めるリリちゃん。

 

肩幅に開いた足、身体を右に捻りながら頭は俯き気味にしたまま握る拳。当然の様に右は縦、左は右肘に近づけ拳を固める。

ギリギリと鳴るグローブに合わせ怪しく光る両手首に装着したリングとベルト。深呼吸をしてベルトとリングに宿る淡い光が瞬き頂点に達した瞬間、真剣な目で前を見据えてポーズをとっていく。

キレのある一連の動作。淀みなく動く変身ポーズは原作を知っている者ほど本物を連想させる。

そして最後のポーズをキメてクロスさせた両手を振りほどき掌を腰の後ろに回る程に開いた時、彼女の変身は完了した。

ベルトと腕輪から浮き上がる様にして彼女の身体に装着されるフルプレートはリリの知覚出来る範囲を広げ、高い機動力、厚い防御力、鋭い攻撃力を与える為の外装になる。

 

「おー!」

「よっしゃぁ!」

「感無量です……!」

 

変身を熟した本人はその万能感に、制作に関わった3名は自分達が作ったライダーに感動している。

直ぐに動作テストに入りたい所だが、そこはぐっと我慢をしてベルトを中心に稼働しているシステムが動作している事を確認したら変身を解除して貰った。

今後暫くはリリちゃんとアラハビカで変身テスト行って、変身動作に問題が無ければ戦闘テスト。

それが終われば最後に追加兵装システムを試して本当の意味で完成になる。

 

これが終われば一つの肩の荷が下り、やっとアスフィちゃんとヴェルフ君に新しい依頼が出来るぜ。

 

尚、お披露目した後に各ファミリアから来た変身装備の発注についてはおじさんとしてはお断りしており、どうしても望む場合はヴェルフ、アスフィ両名から許可を取る事を条件として発表した。

この許可を超えて来たのは今の所ベル君だけだが……ベル君は素で強いので要らないでしょ。

あとリリちゃん、原作見た後でしれっとエクシードチャージを開発するのは辞めて。ソレ、システムに過負荷がかかるの!

ヴェルフ君とアスフィちゃんも楽しむのは良いけどちゃんとシステムとして確立させねーとハード壊れるからな! 壊れたらお前らに修理費用持たせるぞ!

そう言ったら顔を青ざめながらリリちゃんを止めてシステムを確立させるまでチャージ禁止になった。

実際開発費用を伝えたらリリちゃんは泡拭いてぶっ倒れた。正直スマンかった。




おじさんの目標を共有して修行を共にしたオッタル君

遂に完成したリリちゃんの変身セット

次回、おじさんと性能テスト
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