【完結】フィジカルお化けおじさん、異世界へ行く3   作:タラバ554

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105 おじさんと鍛冶

おじさんが仕事してたらヘファイストスさんから時間が取れないかとメールで連絡が来た。

 

「あの……そーいうのはヴェルフ君に悪いので」

「そんな事言わずに……ねっ?」

 

頬を上気させて鍛冶の女神が迫って来る。何処か正気ではない目はおじさんを見ている様で別の何かを見ているのか焦点が合っていない。

女神特有の色香の様なモノを漂わせながらこちらに迫りくるヘファイストスさん、遂におじさんの膝の上にまたがり肩を押さえつけられた。

 

「お願い……もう、我慢出来ないの……」

「ヘファイストスさん……」

 

無言で見つめあう事でやっと彼女と目線が合ったような気がする。

段々と彼女の顔が近づいて来て……。

 

 

 

そのまま気絶してしまった。

 

 

 

気絶した彼女をソファーに寝かせてから提示された品物を検品する。

彼女が作った刀剣類。そのどれもが見事で彼女の店に並べたら最低でも億の単位が使われるだろう。

そんな彼女が求めて来たのはなんと日本円。大方日本側から何かしらを買いたいって話だろうけど……この人ってPC操作は結構手一杯だったから通販の存在に辿り着く事は無いと思ってけどどっから知識仕入れて来たんだ?

一旦その疑問は頭の片隅に追いやって提示された品を改めて見る。鍛冶の女神たるヘファイストスが作った刀剣類。

そのどれもが見事の一言で切れ味がどれも鋭い事は疑いようがない……が、何か既視感が……。

暫く眺めていたが正解が浮かんでこなかったのでヴェルフ君にPC越しに相談する事に。

丁度休憩中だったらしくヘスティアファミリアの談話室を背景に通話に出るヴェルフ君。

 

んで、件の刀剣をカメラに映してあーだこーだと話していたら横から正解を知る人物が顔を出した。ヘスティアちゃんだ。

 

何でもyoutubeで包丁作りの動画を見て触発されたヘファイストスさん、経営者というコネをフルに使い。従業員として雇っていたヘスティアちゃんに動画内で使われる薬品類の代わりになるモノをオラリオで探すという仕事を行っていたらしい。

そして報告の際に会話の流れで『通販で買ってしまえばいいのに……』と言ったんだとか。

まあ、ヘファイストスさんはオラリオで手に入るモノで作り上げるのが大事なのだと言って今提示されている作品を作り上げたらしいが……問題はこの後。

ウチの主神様は親友である彼女のそういった真摯な態度に感化されて協力を惜しまなかった。その結果として自分の趣味のネットサーフィンをしている最中に所謂鍛冶関連の技術書がある事を知った……。

ヘスティアちゃんは喜々として書籍の存在を伝えた。親友が喜んでくれると。

確かに喜んだ、だがヘスティアちゃんは入手方法のフォローという部分がすっぽりと抜けていた。結果としてソレを紹介してからのヘファイストスさんは凄かったらしい。

彼女としては技術書は欲しい。異世界の鍛冶に関する技術が綴られた書物をせめて一度だけでも読んでみたい、だがそれを買う金も、手に入れる為の手段も持っていない。

そんな悶々としたまま毎日を過ごす内に手元の異世界の技術で作った趣味の作品ならおじさんに買い取ってもらえるんじゃないだろうか。あわよくば購入の件も引き受けてくれるのでは。

一杯一杯だった彼女の考えは段々と芽生えた欲に支配され……今日の行動に繋がったんだという。

 

事の経緯が分かったので目の前に転がる剣に対する対応をどうするか……、おじさんの目利きじゃ正直凄い、格好いい、位しか分からん。個人的にはアリなので最悪買い取ってトラベラーの中に仕舞っておくのも悪くない。

とは言え値段は正確に分からん品の為に値付け出来ない……仕方ないので一旦椿ちゃんに断りを入れてからヴェルフ君を迎えに行く事にしよう。

 

「椿ちゃーん」

「おお、おじさんではないか。どうした?」

「いやぁ……執務室でヘファイストスさんが気絶してっから見ててもらえる? ちょっとヴェルフ君呼ぶからさ」

「主神様が? ううむ、分かった診ておこう」

 

◆◆◆◆◆

 

ヘスティアファミリアに到着すると、皆で出迎えてくれた。丁度いいので迎えてくれた皆の前でヘスティアちゃんにデコピン一発。

 

「ぐおおおお~~~、何を~~~」

 

痛みに頭を抱えるヘスティアちゃんだが注意はせねば。

 

「あのさぁ、友達想いは良いけど存在だけ教えて放り出すのは違うんじゃない?」

「えー、だっておじさん通販で買う時は色々許可取れって五月蠅いじゃんか」

 

ぶつくさと文句を言う主神の頭を拳で挟んで言い聞かせる。

 

「そ・れ・は! 値段も何も確認せずに欲しいもんをポンポンと買おうとするヘスティアちゃんが悪いだろうが! いくら資金があるとは言えおじさんはムダ使いは嫌いなんだよ!」

「あだだだだ! ごっ、ごめんなさ~い」

 

ウメボシアタックで沈んだヘスティアちゃんを春姫ちゃんに任せてヴェルフ君、ベル君と共にヘファイストスファミリアへ行く。

ベル君はヘファイストス様の作った武器を見て見たいとの事なので同行する事に。

 

「すまんね、武器の目利きに関しちゃ正直さっぱりでさ。情報が揃っている中から選ぶのなら得意なんだけど……」

「ははは、構わないっすよ。普段から貴重な素材回して貰ったりしてますし。何より俺はヘスティアファミリアの鍛冶師なんだ。鍛冶方面に関しちゃ頼ってくれた方が嬉しいっす」

「そういや最近ヘファイストス様の作る武器のデザインって何か恰好良くなったよね。今までのも勿論良いんだけど鮮麗されたというか」

 

ちょっと前から日本側のデザインを取り入れ始めたヘファイストスさんの武器に興味津々のベル君にヴェルフ君が苦笑しつつ、二人と一緒にヘファイストスファミリアに戻って来てみれば、そこにはヘファイストスさんを診ている様に頼んだ椿ちゃんと診察をしているアスフィちゃん……何で居るの?

 

「私は()()を同行の士とやろうかと」

 

そう言って取り出したのは仮面ライダー555のプラモデル。以前道具やら何やらと一緒に取り寄せたっけ……いやまて、同行の士?

 

「ええ、ヘファイストス様とはデザイン面で色々と話をする仲なので……ああ! 椿さん! 下手に触らないで!」

「ほほう……最近主神様の部屋に飾ってあった珍妙な人形はお主が仕入れていたのか」

「飾ってある人形?」

 

疑問を口にするとおじさんの後ろにある棚を指さす椿ちゃん。つられてそちらに顔を向ければ布がかけてある棚がある。

近寄って布を捲って見ると……。SFメカ、ヒーロー、魔法少女まで、基本小ぶりなプラモデルやフィギアが細々と並べられている。

後アニメの設定資料集。こっちはゴブニュファミリアにも同じ本を納品つーか渡してる奴だ。

差し詰め趣味の棚? フィギアケースでも送ると喜ばれそう……ってそうじゃなくて。

 

「あー、そういやイシュタルちゃんとやり取りしてたのソレ(プラモデル)だったね」

「はじめは手あたり次第でしたが最近はもっぱらヒーローモノですね」

「あの棚を見るに作ったのはアスフィちゃん?」

「ええ、好きなモノ以外でヘファイストス様が気に入ったデザインのものは譲ってます」

 

成るほど……身近に日本から好きなモノを手に入れてる奴が居て、ただしソイツは大本のおじさんからの仕事をこなしてる上に物まで貰ってるから下手に相談出来なかったってパターンかな。

ヘファイストスさんって真面目だからなぁ……。

 

「まぁ、何だ。取りあえずヘファイストスさんの回復を待ってちょっとみんなで話そうか」




変身ベルト作成と同時進行で開発されるアイテム

異世界の技術に興味を惹かれながらも手が出せずに悶々としている女神

馬鹿三人と女神と純粋と鍛冶キチが交わる時、事態はあらぬ方向へ

次回、おじさんと鍛冶2

オタクに技術を持たせるな
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