【完結】フィジカルお化けおじさん、異世界へ行く3 作:タラバ554
「えーっと、ウチの
「いえ、良いのよ。頼んだのは私なんだし」
気絶から回復したヘファイストス様に謝って取り合えず武器の買取の話をする。とは言え正直性能が分からんのでヴェルフ君、ついでに椿ちゃんも交えて話を。
「実際問題、コレの性能ってどうなんだろう。ヴェルフ君と椿ちゃんから見てどう?」
「……何ていうか……切れ味とかが良いのは分かるんですけど……コレ、何の金属を使ったんです?」
「私も見た事無い素材だな。モンスターの素材か? まさか希少素材?」
「えっと……その……」
言いづらそうに眼を逸らすヘファイストスさん。
じっと刃物に目を落とす。どこか見た事のある特徴的な茶色。
「(ヘファイストスさんが仕入れた情報ってyoutubeが中心だよな……え"っ、コレってまさか?)」
何となく思い至って彼女の顔を見る。額に薄っすらと浮かぶ汗、言いづらそうに結んでいる口。
改めて刃物を見る。やっぱり見た事のある色。彼女の性格とか考えると……。
「まさかコレ!」
「実はソレ……じゃがいもなの」
「「「「じゃが……いも?」」」」
ヴェルフ、椿、ベル、アスフィの4人の声が重なる。
各々が手に持つ刀剣の類を改めて見る。デザインは最近オラリオで流れているアニメに出てくるデザインを踏襲しており非常に洗礼されている。
切れ味等も間違いなくある。ヘファイストスファミリアのマークこそ入って無いがモノ自体の出来は間違いなく良い物で一級品と言っても通用する品だ。
だが、コレの正体が『じゃがいも』となると途端に微妙な品に見えてくるから不思議だ。
「ええ、コレじゃがいもから出来てるんですか!?」
「主神様よ、冗談だろう?」
「私としてはデザインが好きですし……サブウェポンとしてなら使うのもアリですね」
「じゃがいも……じゃがいもかぁ……」
四人共正直どう反応していいか割らない状態らしい。
うぅん、さては仕入れた情報を試してみたい欲求に駆られて作ったな。刀身の色から見るに割と野菜が多いなこれ。
「多分皆が持ってるのがジャガイモシリーズで、こっちのは緑黄野菜系。コッチの赤いのは……肉っすか?」
「ええ、テーブルのこちら側は野菜シリーズ。でコッチ側はお肉シリーズなの。液体から作るのにも挑戦したかったけどどうしても薬品が手に入らないから流石に諦めたわ」
「いやいや……よくコイツ等も作れましたね」
「実際問題苦労したわよ。ヘスティアに色々情報を仕入れて貰った上で実験を繰り返してたけど中々思い通りの効果が出なくてミアハに手伝って貰ったりしたもの」
「ははあ、薬師の手伝いもあったらそりゃある程度形にはなるか」
当たり前の様に話している内容に呆れるヴェルフとアスフィ。モノ作りの経験がほぼ無いベル君は話の内容こそ分からないがおじさん関連というのだけは分かる為、何となく納得。
それに引き換え椿ちゃんは……頭宇宙猫になってるな……。そっとしておこう。
「んで、日本円で買ってくれって話だったけど……鍛冶の技術書が欲しいからでしょ? それ位ならおじさんが渡すけど? ほら、盾のメンテナンスとかして貰ってるし」
「うーん、アレって……少なくとも私の印が入ってるものだし……お金を取るモノじゃ無いし……」
「じゃあお礼の品として受け取ってよ。ヘスティアちゃんみたいに無駄遣いする訳じゃないからそれ位渡すよ」
「因みにヘスティアの無駄遣いって具体的には?」
「子供向け半ズボン」
とは言えんしなぁ……。
「趣味……つーか、癖?」
「……あえて深くは聞かないわ」
「助かります」
自分の所の主神を貶める言葉は吐きたくないぜ。
「取り合えず鍛冶関連の書籍を見繕って持ってくるよ。……この刀剣類はどうしよう? 一応ネタ枠の武器みたいだけど」
「うーん、技術を試す為のモノだし下手にこっちでは売れないから対価として受け取ってくれないかしら」
「材料は兎も角、モノとしてはしっかりしてるし……ヴェルフ君、値段としてはどれ位?」
「え、あー……いや待ってくれ、武器としての値段はあるが……材料費がじゃがいもだしな……ヘファイストス様、これの材料費ってどれ位っすか」
「ああ、こっちに帳簿があるわ。来て」
ヴェルフ君が材料費を見て目を白黒させてるのを他所に、残りの4人であーだこーだと野菜武器を品評会する。
「しかしまぁ……おじさんの世界が色々と進んでるのは知ってはいたが……まさか金属以外から武器を作り出すとは」
「椿ちゃんってその辺の知識は仕入れなかったんだ」
「手前にとっては今の技術を磨くのが優先でな。よそ見をしている暇は無い」
「ストイックですね、椿・コルブランド。クリエイターとしてはあの世界に触れるのは刺激的ですよ?」
「なんというか刺激が強すぎるのだ……主神様ですら、ああなのだぞ。鍛冶以外を見る事になりかねん」
「あ~、それはちょっと分かります。僕もナイフ捌きの情報を仕入れに調べてたらいつの間にか別の興味を惹かれるモノに行きあたって、気が付いたら一日経っていたなんてのもありました」
やっぱりオラリオの住人にとっては情報社会っつーのは毒なんじゃろうか? おじさんにしてみたら当たり前過ぎて情報社会じゃないと逆に落ち着かないんだが。
「……最悪全員からPC取り上げるって選択もあるけど」
「「「「それだけはやめて(ください/くれ/ちょうだい)」」」」
言った瞬間、ヘファイストスさん、ベル君、ヴェルフ君、アスフィちゃんから異口同音で返事を返された。思わず椿ちゃんに両肩を持ち上げるジェスチャーで返すと笑われた。
◆◆◆◆◆
「んじゃ、武器はおじさんが全部預かるね。今後お試し武器はこっちで引き取とる、その代わりの品物をヘファイストスさんに渡すって感じで」
「ええ、折角だから椿も見る? あなた日本にはついて行ったんだから日本語は読めるでしょ? 書物なら余計な情報も入ってこないだろうし」
「ふむ、それならまぁ」
それを見ていたアスフィちゃんが何やら思い至っておじさんに話しかけて来た。
「おじさん、この間の件。この間の旅行メンバーを動員すれば行けるんじゃありませんか?」
「ん?? この間の件??」
「開発リソースの件ですよ、開発したくてもリソースが足りなくてって件」
「……えっ、ヘファイストスファミリアを巻き込めって話?」
「いえ、ヘファイストス様とミアハファミリア辺りなら協力してくれるんじゃないですか? 特にミアハファミリアは金欠状態ですからお給料を出せば……」
ヘファイストスさんは兎も角、ミアハファミリアか……確かディアンケヒトファミリアの借金とか契約辺りを考えたらファミリアが潰れる寸前だったような?
「あら、何か作ろうとしているの?」
「今私とヴェルフ、それとおじさんでリリルカ・アーデの専用装備……特殊装備を作ってる最中なんです。私の方はある程度方針も決まって余裕が出来たのでもう一つ作りたいものがあるのですが一人では手が足りない為に暗礁に乗り上げてるんです」
「へえ、面白そうね。因みに何を?」
「アレです」
そう言いながら例の棚の方を指さすアスフィちゃん。つられてヘファイストスさんが目を向けるとソコに置いてあるのはスズキのオートバイ1/6「カタナ」のプラモデル。
「……えっ、アレ作るの?! というか作れるの!?」
「少なくとも理論は仕入れて大まかなシステムまでは作り上げたんです。なので後は細かい所を詰めて造りこめば理論上出来るんですが……」
ベル君が立ち上がって棚からプラモデルを取り出して手に持つ。
「バイクかぁ……あれば便利ですよね」
「仮にオラリオで造るならオフロード式かな、冒険者用っつーかリリちゃん用だからダンジョンで使えるバイクとなるとかなり頑丈になるし、モンスターに負けないってコンセプトかねぇ」
「バイク型ライダースーツとかもシリーズにありましたよね」
「ドライブだっけ。確かベル君は見てたよね」
「はい、僕としては主人公の乗る車が赤くて恰好良いなーって」
車ねぇ……ぶっちゃけ化石燃料を魔石燃料式に変更出来ればこっちでも作れそうではあるけど……。
「現実問題、開発に割くリソースが無いし、オラリオに乗物産業なんて無いので一から育てる手間を考えたらやめておこうかって」
「なので、ヘファイストス様やミアハ様にお手伝い頂ければ良いではないですか」
「いや、アスフィちゃん。それはム「私は構わないわよ」チャでしょ……お?」
思わず声の方を見れば『カタナ』のプラモデルを持ったヘファイストスさん。
「コレと同じものが作れるのよね? 私の作る武器や防具とはまったく違うけれど……造形から分かる。コレには機能美がある。こんな新しい物……鍛冶師としては作って見たくなるじゃない」
思わず顔を見合わせる
やめておけと思う反面、造れるんじゃないかという考えが頭をもたげている。
「んん~~~~、アスフィちゃん。おじさん今から技術書を取り寄せしてくるからどの位の開発スケジュールになるか試算しておじさんにメール頂戴」
一オタクとしてSFや特撮アイテムを現実に出来るなら見て見たいという欲には勝てない。はぁ~、またコレで忙しくなるなぁ畜生。
人と神が好奇心で繋がる
次回、おじさんと変身