【完結】フィジカルお化けおじさん、異世界へ行く3 作:タラバ554
ロキファミリアが気合を入れている頃、オッタル達を76階層へ移動させる。
フレイヤファミリアには感謝と嫉妬とその他諸々、色んな感情を向けられている。……これは何か……後ろから刺されない様に気を付けないといけないやつだな?
手を出される事が無い様に祈っておこう。
「よし、それじゃあオッタル、後は宜しく」
「最初の約束通り……だな」
「うん、それじゃあね」
「ああ、フレイヤ様の名に誓おう」
フレイヤ、ロキの両ファミリアが配置に付き合図を待っている。
両陣営から見て丁度反対側に位置どったおじさんとベル君。
「んじゃ、ベル君。いざって時は頼むね」
「はい!」
右手を前にして意識を熊に集中……やはり此方へ顔を向ける……何となく感じてるんだろう? おじさんが吸収した精霊ちゃんの身体を。
特大の花火で合図を出してやるぜ。
「火よ、来たれ──
猛よ 猛よ 猛よ 炎の渦よ 紅蓮の壁よ 業火の咆哮よ 突風の力を借り 世界を閉ざせ 燃える空 燃える大地 燃える海 燃える泉 燃える山 燃える命 全てを焦土と変え 怒りと嘆きの号砲を 我が愛せし英雄の命の代償を──
代行者の名において命じる 与えられし我が名は
【ファイアーストーム】‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼」
詠唱が完成すると同時に虚空から滲み出る様に出現する燃え盛る巨岩。ソレ等は纏った炎を燃え上がらせながら凍った大地に突き刺さりその場に居た狼型の取り巻きモンスターを巻き込んで爆散。
地形を大きく変えて熊型に多少のダメージを与えつつ周囲に居た狼をごっそり減らした。
立ち上がる煙と凍土を溶かす業火の音が周囲に響き渡る。普通のモンスターであればひとたまりもない一撃。
だが熊型のモンスターは傷こそあるものの悠然と立ち、雄叫びを上げるとまるで待機していたと言わんばかりに周囲から狼が集まって来る。その身を捧げる事が正しい事だと言わんばかりに狼は駆け寄り次々と熊の背から生えた触手に飲まれていく。
狼を呑む毎に肉が盛り上がり、毛皮が覆い、傷が癒えていく。
焼け焦げ虚空を睨んでいた熊の瞳が再生した途端、その瞳は一点に注がれる。
間違いなく此方を……おじさんを認識している。それを自覚した瞬間、背筋をゾクゾクとした怖気が走る。
熊型のモンスターが背中から生えた無数の触手で狼を呑みながら体勢を二足歩行から四足歩行へと変え四肢に力を入れた時、再び業火が熊を焼いた。
「来た。なるほど、確かに派手な合図だ」
それは嘗て59階層で相まみえた堕ちた精霊が使っていた魔法。忘れたくとも早々に忘れられるモノではない。
その威力を知っているからこそ、味方が使っている事が心強い。
「後衛はあの魔法の着弾後に魔法を解放しろ! サポーターは魔剣を装備して迎撃用意! 前衛は僕に続け!」
フィンの号令を合図にロキファミリアが各々動き始める。
サポートとして来たLv4までの者は魔剣を装備し狼の群れに備え、前衛は獲物を構えて走り出す。
そしてリヴェリアを筆頭とした魔法部隊は―――
「総員、魔力を引き出せ、一撃の威力を上げろ……」
「間もなく、焔(ひ)は放たれる。忍び寄る戦火、免(まぬが)れえぬ破滅。開戦の角笛は高らかに鳴り響き、暴虐なる争乱が全てを包み込む。至れ、紅蓮の炎、無慈悲の猛火。汝は業火の化身なり。ことごとくを一掃し、大いなる戦乱に幕引きを。焼きつくせスルトの剣……」
手に持つ杖を介して身体の魔力を待機させている魔法へ注ぐ。文字通り魔法使いとしての秘奥を行使しながら部下を鼓舞するエルフの王族は引き出した魔力に髪を揺らしながらその双眸を敵へと向けていた。
そしてリヴェリアの後方に陣取ったレヴィーヤはLv4にも関わらずLv6のリヴェリアを超えるその馬鹿げた魔力を完全に掌握していた。
「誇り高き戦士よ、森の射手隊よ。押し寄せる略奪者を前に弓を取れ。同胞の声に応え、矢を番えよ。帯びよ炎、森の灯火。撃ち放て、妖精の火矢。 雨の如く降りそそぎ、蛮族どもを焼き払え」
溢れ出る魔力までも全てを操作し詠唱中の魔法と待機させている魔法へ注ぎ込む。
この堕ちた精霊本体との闘いにおいて
「放て! 我が名はアールヴ【レア・ラーヴァテイン】‼‼‼‼」
「【ヒュゼレイド・ファラーリカ】、