【完結】フィジカルお化けおじさん、異世界へ行く3 作:タラバ554
数日後にベル君達が帰って来た。どうやらギルドからのミッションは達成、ウィーネちゃんも同胞(?)のゼノスの集団に合流出来たらしい。
おじさんもその間に色々調べたがイケロスファミリア所属って事と人工迷宮ってのがある事位以外の有力な情報は無かった。
あいつら人工迷宮の鍵も持ってないんだもの、苦労に対してリターンが少なすぎる。
戻ってきてからベル君は落ち込んでるし……これは暫く駄目かもしれん。
ヘスティアちゃんと話した内容も今の所棚上げだな、資金面で全く足りないし。
ダンジョンに潜ってない分、ギルドの書類仕事をおじさんがノーパソに纏めて処理してたらオラリオ全域への放送が行われた。
18階層がモンスターに襲撃されたと。ソレに対し冒険者を招集して対応にあたる……が、次の瞬間奪還からダンジョンへ潜るのが禁止にされた。
ギルドの指示が180度変わる事に街がざわつき浮足立っている。
その後対応はガネーシャファミリアが当たると正式に発表されたというのをホームで伝え聞いた。
「そっか、そんでソレにベル君が参加をすると」
「そう。ウラノスからの指示だ……そしておじさん、君にも」
「……え? おじさんも討伐参加?」
「いや、ウラノスが面会をしたいそうだ。例の件に関して」
何でギルド? つーか例の件?
◆◆◆◆◆
フェルズに案内されてやってきましたギルドの最奥。
「君が噂のおじさんか……」
「初めまして」
だだっ広い割りに明かりが無くて暗い部屋に座りじっとこちらを見てくる老成した神、ウラノス。
出された椅子はまさかの石。ケツ痛くなるぞコレ。
「ゼノスの支援を君に依頼したい」
「まあ、支援は良いけど具体的には? つーかおじさんのこの状況で動じないのも凄いなアンタ」
イシュタルちゃんが過去最高に引っ付いて離れなかったからこのまま来たけど……、まったく動揺してないな、フェルズから連絡行ってた?
「本来ならイシュタルにも聞きたい事があったが……ソレでは無理そうだな」
「察してくれてありがとう。多分心の傷だから時間かけないと駄目っぽいのよ。おかげでまともに外歩けないし」
「ふむ……君はゼノスを安全に移動させる事が出来き、人に近しい容姿であれば人とほぼ変わらない形に変容させる事も可能と聞いた。これは事実か?」
「(をーい! ヘスティアちゃん話って大枠話しただけじゃないのかよ!)」
「どうした? 出来ないのか?」
「はぁ、出来る」
「そうか、であればゼノスの支援に協力して欲しい。その代わりと言っては何だがイシュタルの件はこちらでも手を打とう。そしてヘスティアから聞いた君の計画だが……君の口から再度説明を受けたい」
割と思いつきで言ったのがここまで話大きくなるとは……。
◆◆◆◆◆
ウラノスと計画の詳細を詰めているとウラノスの発言が唐突に止まった。
何事かと思えばフェルズから連絡がありウィーネちゃんがダイダロス通りで暴れていると言う。
念のために面談は中断しておじさんはホームへ帰還。戻ったら誰も居なかったので自室で精霊ちゃんの隣に座って人心地つく。
◆◆◆◆◆
結局ダイダロス通りでの一件は神イケロスを追放する事で解決。
ただし、冒険者は騒ぎの起こったダイダロス通りを中心に捜索を続行、そして一般人からの風当たりが強くなりヘスティアファミリアは好感度最悪。
さてさて……マジでどうすっか。
そんな事を考えていたらヘルメスが訪ねてきた。どうやらゼノスたちの救出をと言ってきた……だが怪しい。
この話はヘスティアちゃんから聞かされた。つまりおじさんにはこの話を振って来なかった。おかしくない? テレポートは知ってるから当然というか集団転移魔法に辿り着いて良いはずだけど……。
もしかしてアイツあえて気付いて無い振りしてるという事は無いよな? ありえそう。渡された手記ってのも胡散臭い。
もう一度位〆ないと駄目かな……。
◆◆◆◆◆
事件から一夜明けた翌日の夜。フェルズから連絡が来た。
伝言は暗号化されていたが無事リリちゃんが解読、内容は助力の申し込み。そしてヘスティアちゃんからファミリア皆への問が投げかけられる。
ゼノスを見捨てるか、助けるか。日陰者の道か、日常の道か。
そしてベル君のゼノスを助ける宣言。周りの皆も前向きに救出に賛成している。
「その……おじさんはどうですか? ウィーネ達を助ける事に……」
「おじさん? 別に良いよ?」
「本当ですか!?」
「うん……というかさ、おじさんの魔法使ったらこの救助ほぼ失敗しないんだけど……」
「え?」
「だよね? ヘスティアちゃん」
「……ああ! おじさんの派生魔法‼‼‼‼」
「いや、忘れとったんかい……」
何で肝心な所でこんなにポンコツになるんだろうウチの主神。
ちゃぶ台をひっくり返すおじさん
そしてゼノスたちの行方は。
次回、おじさんとゼノス
遂におじさんが動く