【完結】フィジカルお化けおじさん、異世界へ行く3 作:タラバ554
おじさんがタンク、ベル君がアタッカー。とは成らなかった。
どちらかというとアタッカー2枚構成。
ベル君が張り付いて回避とアタック、おじさんは跳ね回って奇襲。
ベル君には魔法がチラつき、おじさんは頼みのヤドリギをガン無視して攻撃してくる上にヤドリギ攻撃で傷付く事すら無い。
正直このモスヒュージは詰んでるのだ。
暴れ回るモスヒュージの体中から生えているトゲをベル君が切り落とし、注意が逸れた瞬間に別角度からおじさんの重たい一撃が入り足を止める。そうするとまたベル君の攻撃が入り……と無限ループ。
耐えかねたモスヒュージが雄叫びを上げて振り払い再生を行いながら跳びまわるおじさんに蔦を伸ばして攻撃を仕掛けてきた。
その攻撃方法を見て触れて、殴り飛ばしたおじさんは『なるほど』と思った。
「(別に態々近づく必要も無いんだ)」
ベル君の動きが段々と洗練されていく中、おじさんの方は段々とモンスターへの接触が、近づく距離が離れていく。
かと言ってモンスターへの攻撃が無くなった訳ではなくおじさんの攻撃は間違いなくモスヒュージへとダメージを与えている。
空気を蹴る事で方向転換を行っていたおじさんはモスヒュージの触手攻撃を見て空気を殴り、打撃を伝える術を手に入れた。
そこからは正直消化試合である。
モスヒュージの攻撃はすり抜けベル君のナイフは体を切裂き体力を削り、おじさんの打撃はモスヒュージの部位をへし折り動きを鈍くする。
やがてベル君がモスヒュージを仕留めるべくタメに入る。その時間稼ぎをおじさんはあえてモスヒュージの正面に立ち身構える。
モンスターとしての生存本能か、ベル君のタメているモノが弱点の火属性だからか……焦り必死な強化種はまるでおじさんなど目に入らないと言わんばかりに遮二無二突っ込んでくる。
当然それをおじさんが許す訳がない。
ゴライアスを模した皮膚は硬く、その下に在る肉は柔らかく。文字道理流動を体現する。
そしてソレはスキルの性質であるカウンターにも寄与しおじさんの攻撃は一段階昇華する。
ベル君につかみかかろうとするモスヒュージを掴み押し込んでくる力を受け、それを余す所無く取り込み足から腰、胴から腕へと伝播させる。
おじさんが掴んでいた腕が爆発したかのように爆ぜる。
「ゴライアス・ストライク……ってなぁ」
強化種はよろけ、呆けた様に尻もちをつく。
そしておじさんがモスヒュージの眼前から離脱すれば、そこにはチャージが完了したベル君。
「神様……ウェスタの名前……貰います」
後退し水路へ逃げ込もうとする強化種に対しヴェルフ君の氷の魔剣による退路の封鎖。強化種がヴェルフ君の方を見るがそんな隙を見逃すはずがない。
反射で壁を跳びまわり続けていたおじさんが強烈な蹴りで強化種をベル君の方へ吹き飛ばす。
「やっちまえ! ベル君!」
「行くぞ……アルゴ・ウェスタ」
逃げられないと悟ったモスヒュージが押し出された蹴りの勢いのままベル君へ突っ込んでいき、ベル君もまた右手に構えたヘスティアナイフに炎とチャージの光を纏わせながら駆けていく。
ヘスティアナイフは炎の軌跡を描きながらモスヒュージの口を、肩を、胴を、腿を、手首を、頬を、膝を切裂きその部位を焼いて行く。
勝負は一瞬で決着が付き、残ったのは強化種の魔石だけだった。
敵を送るかの様に炎の渦が舞い散っていく。
それが余りに恰好良く……やはり主人公はベル君なのだと思う。
強化種のモスヒュージを討ち取った事で救護者達の体に寄生していた蔦は消え去った。
討ち取った直後に氷の一部が動いて誰かがベル君に話しかけていた様に聞こえたが……おじさんの位置からは良く見えなかったがベル君が何も言ってこないから問題無いのだろう。
◆◆◆◆◆
その後は救護者をある程度回復させてから18階層のリヴィラの町へ。
一応伝令役って形でおじさんはヘスティアちゃんに説明へ、実際にはテレポートで一瞬だが2日程時間を掛けて往復する。じゃないとテレポートを隠した意味が無くなってしまう。
因みに救助した冒険者の欠損部位は後日ヘスティアファミリアに来ればおじさんが治療するとの約束もしておいた。因みに対価はおじさんへの貸しという事になっている。
「つー訳で、ベル君達全員無事にリヴィラの町に着いてるよ。ヘスティアちゃん」
「そっか、君達が無事で何よりだ……それと、本当の本当に不味い時はおじさんの魔法を解禁して良いからね? 魔法を守ってまで死んじゃったら意味が無いんだから」
「解ってるって。何かあれば脱兎の如くってね」
そうしてリフレッシュしてからリヴィラの町に戻ったおじさんに待っていたのは、『疾風、リュー・リオンの冒険者殺害』という報告だった。
強化種との戦闘を終えたおじさん一行
おじさんが戻った時には事件は既に起きていた
次回、おじさんと疾風
おじさんは予言を覆せるのか