【完結】フィジカルお化けおじさん、異世界へ行く3   作:タラバ554

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4 おじさんと酒場

エイナちゃんと話した後、ホームに戻って軽く座学をやっていたらベル君が思い出したように店の名前を出した。

 

「あっ、豊穣の女主人……」

「豊穣の女主人?」

 

聞けば朝ダンジョンに向かう途中で落とした魔石を拾ってもらったとか。ちょっと待て……。

 

「つまりベル君は自分が何体敵を倒したとか、魔石何個ドロップした。そーいう情報をちゃんと記録してなかったと?」

「あっ、いや、その」

「おじさんはちゃんと君に教えたよね、収支を記録しろって……」

「あはははっは……」

「ギルティ」

 

ホーム全体が揺れる音と振動が響く。ゲンコツで地面に埋まったベル君を引っ張り出しながらベル君用に算数のドリルを作るべきか本気で悩む。

 

「とりあえず行くか、豊穣の女主人」

 

◆◆◆◆◆

 

店に到着したらウェイトレスが一人駆け寄ってきてカウンター席に案内してくれた。魔石を拾ってくれたのもこの子らしい。

軽く礼をしてからメニューを開く。……割といいお値段するな、ベル君懐大丈夫なんか?

ちらりと横見れば顔を青くしとる。

 

「はぁ、ベル君。おごっちゃるから好きに頼め」

「えっ、でも」

「折角の飯が値段気にして楽しめませんはつまらん。次来るときまでに金を貯めとき」

「ありがとうございます。それじゃぁ……」

 

注文しようとしたら何かパスタ置かれた。思わず二人して女将さんの方を見る。

 

「そっちの坊やはあたしを唸らせる位大食漢なんだって? しっかり食べて金を落として行ってくんな」

「えぇ!? シルさん!??!」

「てへっ」

「ベル君大食漢だったのか……知らなかった。言えばちゃんとホームの料理増やしたのに」

「いや、絶対違いますから! っていうかおじさんは分かって言ってますよね!?」

 

まーねー。そう言いながら出されたパスタを一口。むっ、旨い。

記憶にはあったけど味までは思い出してなかったからな……ちょい割高だがこれなら値段は妥協点か。よし、食おう。

 

「女将さん、とりあえずメニューの端から端、全部持ってきて」

「言うねぇ、全部食いきれるのかい?」

「久々に当たりっぽい味だからちょい本気だす」

 

そう言って上着を脱ぐ。両手を合わせて……いただきまーす。

 

◆◆◆◆◆

 

天井にまで届くかのような皿の数々。料理を供給するだけで手一杯になり積みあがっていく皿。

店のリソースのほぼ全てを投入しても捌ききれない食事ペース。

周りの客も自分たちの食事よりその男がどこまで食うのかを見守る形となった。

既に料理の供給は2周目が完了しており3周目に突入。

調子よく食っていると女将さんから話しかけられた。

 

「店としちゃ在庫切れまで提供したいけど、今夜は予約が入ってるんだ。そろそろ終いでいいかい」

「ん、まぁ良いよ。今度は満腹まで食わせてくれりゃ」

 

「「「「「まだ腹いっぱいじゃないのかよ!!!!!」」」」」

 

店の客全員から突っ込まれた。

 

「ははっ、まさか本当にあたしをひぃひぃ言わせる客が来るとはね……せめて食後のドリンク位はゆっくりしていきな」

「あいあい」

 

そう言って出された飲み物で口を潤す。ん~、お腹膨れて幸せ~~。

 

「おじさん、凄く食べましたね……」

「まぁ腹七分?」

「ベルさんのお連れさん凄く食べるんですね」

「普段一杯食べてるのは知ってましたけど、ここまで食べるってのは知りませんでした」

 

膨らんだ腹で周りの音をぼけーっと聞き流す。ある意味一番至福の時だ。

大分ぼーっとしてると何やら騒がしい。少し頭をスッキリさせると何か騒いでる客。

おん? ベル君は何で俯いて……って出て行っちゃった。なして?

 

「シルちゃん何か分かる?」

「いえ……それが何も」

「まぁ取りえずお会計を『ミアかあちゃんの所で豪気なやっちゃなー』……ん?」

 

◆◆◆◆◆

 

会計を済ませて後ろを振り向けばロキファミリア。自分のコップ持ってロキの隣に座る。

 

「やっほ、ロキちゃん」

「んげぇ!? おじさん! 何で此処に居るんや!!」

「いや、普通に飯食ってたんだけどさ……ロキちゃんこそ何でいるの」

「遠征の慰労や慰労」

 

確かに周りにファミリアの幹部が揃ってら。

 

「ほーん、あっ折角だから聞くけどダンジョンの上層にミノタウロスが出たんだけど何か知らん?」

「……いや。ベートが喋ってたの聞いてなかったんかい」

「うん?」

 

話を聞けばロキファミリアの遠征で帰還中に遭遇したミノタウロスが逃げて上層に上がっていった。

とりのがしかけたが間一髪で間に合ったがミノタウロスの返り血で真っ赤になった新人が居たと。

ベル君の事やんけ。

笑われたから逃げ出したって所か? うーん、まぁしゃーないか。

 

「それで? その事はギルドに報告したん?」

「んあ? どうなん? フィン」

「いや……今の所は特に」

 

ほむ……。

 

◆◆◆◆◆

 

酒場でロキファミリアと別れベル君を探す。心構え等を覚える段階だったので庇護脂肪を使ってないので細かい場所が分からんが……まぁダンジョンやろな。

 




駆け出したベル君と追いかけるおじさん。

次回、おじさんとダンジョン

これも一種のアオハルか?
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