【完結】フィジカルお化けおじさん、異世界へ行く3   作:タラバ554

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65 おじさんと結婚式2

フレイヤちゃんの暴走特急に悩んでいるオッタル君には胃薬と頭痛止めを送っておいた。因みに結婚式には来てくれるらしい。

で、イシュタルちゃんよ、何時までその録画データで爆笑してんの。

 

「いやっ、だって、フレイヤっフレイヤがっ、っひっひっひー、無理無理無理」

 

どうにもツボに入ったらしく目じりに涙をためながら破顔して机をバシバシ叩いてる。

 

「はーっ、それで? 渡した本って?」

 

おじさんは日本語の本をイシュタルちゃんに渡す。タイトルは『すべてがあなたのものになる 史上最強の乙女シナリオ』

 

「ぶっふぉ! 乙女wwww いや待って、おじはコレをフレイヤに渡したの?wwww」

「共通語に翻訳した奴を渡したぞ」

「wwww 駄目、お腹痛いwww ヒー、ヒー、フレイヤが乙女wwww」

「そんなに?」

「ちょっと考えてよ。良い男が居たら自分の魅力で全部落として、必要なら魅了を使って男を落としてた女だぞ? そんな女がコレを読んだ所で実行出来ると思う?」

「……そう言われたら無理かな」

「はー笑った。つまりはそういう事よ、フレイヤに男に合わせるって発想は基本的に無い。アイツは男に好かれたいが本気で好きになった事が無い、だからどうしていいか分からない。ま、ソレは私にも言えた事だがな」

 

美の女神ってのも色々と大変だなと思いながらも色々と結婚式の準備を進める。因みに今回の結婚式、社員の提案でyoutubeで配信するって企画が立ち上がりイシュタルちゃんが乗り気なのでやる事にした。

何か日本側ではかなり盛り上がってるらしいがSNSをあんまり見てないおじさんは詳しく知らん。むしろイシュタルちゃんの方がそっち方面は詳しいまである。

 

で、実際に式を開催する当日、日本だけじゃなくオラリオにも式の様子を神の鏡で見せる事になったとウラノスから報告があった。

どうやらコレをアラハビカの宣伝にするつもりらしい。

 

◇◇◇◇◇

 

その日、一部の神のみが出席する会合があった。会合という体の式典。

しかしその様子は唐突に表れた神の鏡によりオラリオ中で見る事が出来た。

白く、白亜の城を思わせる建築物。階段には深紅のカーペットが敷かれ左右にはあらゆる人種やモンスターまで並んでいる。オラリオの住人が鏡の映す映像に驚愕する中、荘厳な鐘の音が聞こえる。

鏡が映す映像はやがて一つの門を映し、その中から褐色の肌を純白のドレスに身を包み、ベールで顔を隠した女性が現れる。

そのプロポーションは見事で映像からでもその肉体がもつ淫靡さを感じ取れるはずなのだが……それ以上に女性が身を包むドレスは今までオラリオで見た事も聞いたことすら無い見事な刺繍とデザインをしており、女性とドレスの相乗効果でエロよりも神聖さの方が勝る。

女性に続いて門から冴えない男が白のタキシードを着て出てくる、ある意味オラリオで有名なその男。

それを見た瞬間、男の正体を知っている人物は女性の見当が付きざわついた。何せ男にくっ付いて日中に街を歩くという奇行を行っていたのだ、知っている人間は直ぐにソレと繋げてざわつく。

門から出て来た二人が深紅のカーペットが敷かれた階段を上りきり祭壇の前に辿り着く。鐘の音が止み目の前の神父が祝詞を唱え契約の質問を口にする。

 

「汝、この女を妻とし、健やかな時も病める時も、死が二人を分かつまで共にある事を誓うか?」

「誓います」

「汝、この男を夫とし、健やかな時も病める時も、死が二人を分かつまで共にある事を誓うか?」

「誓います」

「今ここに宣誓が行われた。この誓いに異議の有るものはこの場で申し立てよ。無ければ沈黙で答えなさい」

 

暫しの沈黙が場を支配する。都市全体が映像を見て行く末を見守っている。

 

「沈黙により二人の婚姻は成された。では指輪の交換を」

 

持ってこられた指輪はシンプルだが鍛冶師にはソレがオリハルコンで作られたモノであり更に中央にあしらわれた宝石が鉱物に詳しい者はムーンストーンである事が見て取れる。

ソレを男女が互いの薬指に通す。

女は自身の指に通された指輪を愛おしそうに見てベールから覗く表情が柔らかいモノだと映像を通して見て取れる。その表情にこの映像を見ている世の女性は頬を染めている。

 

「では両者、誓いのキスを」

 

神父の言葉で男は女のヴェールを上げる。そこにはオラリオでも有名な美の女神の一柱、夜の歓楽街を統率する神イシュタルの姿。だがその顔を知る神は全員が目を丸くする。

自分の知っている女神は目力が強く『夜の女』を思わせる顔のはず、だが鏡に映る女の顔は柔らかく、日向で微笑むその顔はまるで向日葵を思わせる笑顔。普段の彼女を知る者程に結びつかない表情に混乱する。

やがて男女は互いを抱きしめあいどちらからとともなく唇を重ねる。そこに情欲等は一切無く。神聖さだけがあった。

 

そこからはお祭り騒ぎ。アラハビカでは二人の結婚を祝う言葉が飛び交い、それに答える様にイシュタルがその手に持ったブーケを投げる。

オラリオではその映像に映る都市と出される酒や料理を見ながら乾杯が続き、都市や式が気になる者はギルドへ詰め寄る。

日本ではこの映像でイシュタルの同人や3Dモデルが出回り、一部信仰されるがソレは別の話。




遂に結婚したおじさんとイシュタル

披露されるアラハビカ

次回、おじさんと政府

※尚、ブーケトスは神の取り合いにより最終的に神デメテルが手に入れました。
 血涙を流した女神が多数居たとか……。
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