【完結】フィジカルお化けおじさん、異世界へ行く3   作:タラバ554

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79 おじさんと旅行9

エリクサーを渡して暫くホテルで一人考えてた。

 

「しかし回復に注力っつても……」

 

やれる事はポーション渡す位しか出来ん。意識が戻ればワンチャンあるけど……今回の面子で回復持ちは居ないし……いや、一応確認しとくか。

携帯を取り出してイシュタルちゃんにかける。

 

「もしもし」

『おじか、どうした?』

「ちょい聞きたいんだけどイシュタルちゃん所の今回来てる面子で回復持ちって居る?」

『ん? ……アイシャ、今回の旅行の中に回復魔法持ちって居たか? そうか、居ないそうだ』

「そっか、分かった。ありがとね」

『早く帰って来いよ』

「うぃっす」

 

居ないか……となると、やっぱりスキルを開示するしかないかぁ……。出来れば避けたいけども『前』とは状況違い過ぎるしな、下手すりゃマジもんの戦争になるし……しょうがないか。

 

「もしもし主任さん? ちょっと口が堅くて偉い人……誰か知らない?」

 

 

 

「あ~、やっぱ林さんになるのね」

「それで、私に何用で」

「うん……まぁ、これから話す事を出来るだけ知られたくない。最悪の場合は……こっちに二度と帰ってこない事も視野に入れる」

「それはまた……穏やかじゃないですね」

「欲しかったモノを向こうで手に入れたから本当に本気でダメなら大事なモノは全部向こうに持っていくってのはアリなんだよね」

「……それで、話したい事は?」

「その前にウチから出てる本は読んでる?」

「『ダンジョンに出会いを求める少年と女神の間違い』通称『ダンまち』でしょう? 読みましたよ。異世界の事が書かれた書籍、このまま行けば年内にはベストセラーだ」

「んじゃ、その中で得られる恩恵もある程度分かる?」

「Lvとソレに紐づくステイタス、それからスキルと魔法が3つにLvUPで獲得の機会があるアビリティでしたっけ」

 

どうやら林さんはがっつり下調べをするタイプか、または要約した資料を読むタイプかな?

 

「そこまでわかってるなら話が早い。多分気づいてると思いますが私もね、持ってるんですよ。恩恵」

「……このタイミングで、かつ口が堅いって事は……」

「早い話が回復の手段を持ってるんですわ」

「やはりそうですか。解りました、人払いをしたら良いですね?」

「あー、多分ご想像されてる類のとちょっと違うんです」

「と言いますと?」

「私の回復方法には相手の同意が最低限要るんですわ」

「同意……ですか」

「はい、少なくともソレが無いと治療も何も出来ないんです」

「……同意……それはご家族の同意でも良いのですか?」

「……は?」

「いえ、ですから……医療行為ならご家族の同意があれば良いのでは?」

「…………それは……いや、行けるのか?…………」

 

同意って今まで本人の同意とばかり思ってたが……医療行為なら確かに家族の同意とかでやる事はある……。というか意識が無い人間にはそれが当たり前っつーか……、なら親父の時ももしかして……。

俺が悶々としていると林さんの決断は早かった。

 

「ではこうしましょう。貴方のおっしゃる『同意』。この『同意』の範囲がご自身も分からない、これは間違いないですか?」

「……はい」

「今は時間もありません、打てる手は全て打ちましょう。先ずは書類、同意書にご家族の書類を書いてもらって効果があれば良し。駄目なら……次にご家族とお会いして直接口頭で言ってもらう。これでどうです?」

「なるほど」

「では直ぐに取り掛かります。同意書は意識不明患者に対する家族への同意書でも?」

「えっと……じゃあソレで」

 

分かりました。そう言って出ていく林さん。……同意書とかそんなもん今まで全く考えてなかった。

一回スキル見直した方が良いかな。

くそ……頭痛くなってきた。少し横になろう。

 

◆◆◆◆◆

 

結論から言えば同意書でスキルは使えるようになった。

火傷も欠損もすっかり綺麗に治して意識も数時間後には戻った。まぁおじさんの脂肪はまたすっからかんになってしまったが……。

というか家族の同意書でスキルが発動できる事のショックがデカすぎて他の事がしっかり頭に入ってこない。ヘスティアちゃんに今回の事を相談してみたら……。

 

『そりゃおじさんの認識が大事なんじゃないの? 以前精霊の体を治療(?)した時も相手の同意無しだったでしょ? ソレを書類って形で同意したという認識がおじさんに生まれた事で発動条件を満たしたんじゃないかな。スキルも結構曖昧な所が多いから……結局はおじさん次第だよ』

 

二重の意味で頭がいてぇ……。色々と考えてしまうが過ぎた事、どうにか割り切ろう。

多分墓まで持っていく話だなこりゃ。

 

◆◆◆◆◆

 

意識が戻ったご夫妻から礼を言われた。ちゃんと対応出来てただろうか?

回復後に手段を問われたけど秘密ですと返しておいた。流石にスキル内容は明かせん。

少し話をしていたら神の話題になったので色々話してたらタケミカヅチさんの存在に思いのほか驚いてた。まぁ、日本っぽい国の神だしね。

んで色々話をした所、神社を紹介された。何でも日本で同名の建御雷神を祭ってる神社だそうで……連絡しておくからと言われたので最後に寄るか。

 

まさか元とはいえ陛下と二度目の邂逅を終えたおじさんは……もうグダグダ。

貯めてた脂肪も底つくし、気疲れで頭クラクラだし。

いっそのことテレポートで皆の所に戻ろうかなーなんて考えが過るがソレやるとまた面倒になるだろうし……。

 

「ねぇ林さん。コレ本気で言ってる?」

「いや……私も流石にコレは無いとは解ってるんですが……」

 

政治関係者の調査に神貸して下さいって言ってくる馬鹿はマジで止めろ。どれだけリスクあるか分かってるんか?

この手の事に協力しそうな神ってガネーシャさんが候補に挙がるけど……名前出たらインド圏は発狂しそうだしな。

ダンまちの海外展開は暫く止めとくか? ……配信してるから今更か。

あ~~マジで頭痛い! 旅行位トラブル無しでさせてくれ!

 

「解っててもこの話を持ってくるって事は……」

「……私より上の者からの依頼です」

 

本当……頭痛いよ。




スキルの新事実に頭を痛めるおじさん

旅行はどうなってしまうのか

次回、おじさんと旅行10
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