【完結】フィジカルお化けおじさん、異世界へ行く3 作:タラバ554
何であんなに長くなったかはおじさん(作者)にもわからん。
現代ネタは多分またちょいちょい出るかもですが許して。
「ふむ、おじさんが習ってた柔道……この本を見る限り完全に対人の武術だな」
「そりゃアッチにはモンスター居ないし、戦う相手なんて人以外はおらんよ」
おじさんが子供の頃に習ってた柔道に関する本を渡してパソコンに柔道の試合動画を送って数日。柔道をマスターしたというタケミカヅチさんの元を訪れた。
んで、技術だけでタケミカヅチさんと乱取りしてるんだが……まー強い。技をかける事は出来るが決まらん。
それなのに向こうにはポンポン投げ飛ばされる。いや、本当にこれで一般人と同スペックの身体能力なの? いや、おじさん自身も一般人スペックまで身体能力を落として相手してるけど頭おかしくなるぞ。
「うーん、やっぱ冒険者になるとどうしても身体能力に依存する癖があるな。折角の武術が勿体ないぞ」
「いやー……ここまで実証されると何も言い返せんわ。つーか何で数日でそんなに完璧なのよ! 重心が全くズレてないし!」
そう、幾ら体を揺すって乱そうとしてもこの神ってば体幹と重心が一切ぶれない。しかも技をかけてくるタイミングがえげつなく、こちらが動く直前の起こりを潰す様に技をかけてくるもんだから逆にコッチの重心が乱れて簡単に投げられてしまう。
「そりゃそういう武術だからそうしているまでだ」
「いや……簡単に言うけどソレをあっちでやれる人間がどれだけ少ないか」
「人の身になっても神だしな」
「おみそれしました……」
快活に笑うタケミカヅチさん。こりゃ教わる事が多いわ。
「それでおじさん、スキルに関しても検証したいって話だったな」
柔道を改めて体に叩き込んだ後、軽い球形を挟んでからスキルの検証に移る。
日本で発覚した【幸運脂肪】の『同意がある場合に限り他者のシボウを操れる』という一文。コレがまさかの同意書による書類でも効果があった事で改めてスキルを調べてみようと思ったと説明。
するとタケミカヅチさん、同スキルの別の一文に注意を向ける。
「おじさん、この『あらゆる害悪から体を守る』と『害悪に対する自動カウンター』ってのは何が違うんだ?」
「……えっと、何だろう?」
改めて考えると確かに変だ。害悪ってのは『害となる悪いこと』だから攻撃から身を守るって意味で捉えてたけどソレなら『害悪に対する自動カウンター』だけで良いはず。
二人して頭を捻る。そうするとタケミカヅチさんが急に刀を持ち出して来た。
そして刀を一閃。おじさんの眼前まで刀身が迫って止まる。
「どうだ?」
「……えっ、何が?」
本気で分からんおじさんにタケミカヅチさんが淡々と語る。
「おじさんのオラリオに来た経緯とか諸々聞いた時にどうしても気になった事があってな……落ち着きすぎなんだ」
「ほ?」
「普通、見ず知らずの訳が分からない所に知らない間に移動して、まして異世界に等移動したら頭がおかしくなる」
「……そうかな? おじさんは割と普通だったけど」
「そう、ソコだ。どうも話を聞いてると恩恵を授かる前からこのスキルは発動していた様だ。であるならばこの『あらゆる害悪から体を守る』って言うのは精神的な害悪を指してるんじゃないか? それならおじさんの異常な落ち着き具合も説明がつくぞ」
「いやいや、おじさんだって結構慌てふためいたりするよ? この間の元陛下との対談だってめっちゃ緊張したし」
「それはおじさん自身が緊張したからではないのか? 私が言ってるのは『外部からの精神的な害悪』に対する防御スキル効果なんじゃないかと睨んでる」
思い返せば一般人と変わらん時にベートに蹴りを食らおうとした時もめっちゃ落ち着いてたな。アレ? コレマジでは?
「この強制幸福というのは?」
「あー、単純に気持ちいいらしい」
「……」
「えーっと、おじさん自身は効果分からんけど……快楽系の気持ちよさらしいっす」
「おじさんのスキルは体をいじるのだよな」
「うん」
「という事は苦痛を感じさせない為の効果だろうな」
「???」
「考えて見ろ、普通体の脂肪を燃焼させる様な運動はどれだけの苦痛と時間を伴う? ソレを一気に行うのであればソレ相応の苦痛がある……それを抑える、又は感じさせない効果じゃないか?」
本当にこの人って武人の神? めっちゃインテリ系なのでは?
そして【庇護脂肪】に関して。
「このスキル……というかおじさんのスキル全般に言える事だが……
「んんん??」
タケミカヅチさん曰く、普通はちゃんと意味が通じる書き方になるはずなので一部がカタカナで表記されるのは可笑しいらしい。
「そんな事言われても……ヘスティアちゃんは何も言わなかったからそういうモンだと思ってたし」
「まぁ、ヘスティアも比較対象が無かった時だからな。しかし、うーむ……態々ぼかす様な記載のされかたというのが気にかかる。……複数の意味があるんじゃないのか?」
そう言って取り出した紙にさらさらと書かれる日本語。
シボウ=脂肪/死亡/志望/子房/柴生/四坊/芝生
サイセイ=再生/再製/最盛/犀星/祭政/済世/済生/最成/採精/載成
「恐らく言葉遊びの要領だな。スキル名には明確に脂肪と記載があるにも関わらず効果説明でシボウとカタカナが使われているのはおじさんの認識に委ねられているのだろう」
それは……何と言うかスキルの規模を超えてない??
「はっきり言えば異常だな。だがそもそもの話だ、おじさん自体が異常だぞ」
「え? どゆこと?」
「魔法が無い、スキルも無い。そんな世界から最初どうやって世界を移動した?」
「どうって……いつの間にか」
「ソコだ。普通に考えて世界間の移動なんて神ですらホイホイとは出来ないしやらん。それがおじさんは気づかない内に出来ていた。何が原因か分からんがその結果がこのスキル群じゃないか?」
もうぐうの音も出ません。誰だよこの神を脳筋と思ってたの、めっちゃ頭回るやん。
「あれ? って事はこのシボウ表記を死亡と考えた場合って……」
「多分この対になる表記は『再生』で『蘇生』と同義の再生だろうな」
「……じゃあ【幸運脂肪】のシボウが『子房』の場合は?」
「調べてみたがコレは植物の胚珠を指す言葉らしいな。つまり生殖器……人で言えば子宮や睾丸に当たるのだろう? であるならその辺りを操作できるって事じゃないか?」
ちょっと汗が流れて来た。何か段々話大きくなってない?
「じゃあ『柴生』は? シボウとも読めるなくもないけど一般的にはシバセイになるけど」
「どうだろうな。おじさんの認識がシバセイと読むなら当てはまらないんじゃないか? そういう意味じゃ芝生もシバフか?」
「そうだね、後は四坊も流石に意味が通らないというか……訳が分からん」
「なら多分こうだろう」
『シボウ(脂肪/死亡/志望/子房)を操る』
「体に着いた脂肪を使って望む形、つまり志望に変える。また必要に応じて子房、つまり子を成す器官を操り、死亡という死に関する事象を操るという事じゃないか?」
思っていた何十倍もの効果を書き出され冷や汗が出る。
「それから……」
「ちょ、ちょっと待って。情報量が多すぎる、頭とお腹痛くなってきたからちょっと休ませて」
「おっ、おう……大丈夫か?」
「いや……ちょっと無理。今日は一旦帰るわ」
「うむ、折角だから他のスキルなんかも考察しておくぞ」
「おっ、おなしゃす……」
何だろう、自分に不備があった訳じゃないのにこの疲労感。
コレ……動物実験とか必要だよなぁ……。
明かされるおじさんのスキル
思いの他に自分のスキルの壊れっぷりに頭を痛めるおじさん
次回、おじさんとスキル2
壊れが加速する