【完結】フィジカルお化けおじさん、異世界へ行く3 作:タラバ554
朝からヘスティアファミリアのホームは重い空気になっていた。
ファミリアに所属する命からの春姫に対する問いかけに言葉が詰まるおじさん。
リリちゃんはそれ見た事かと言わんばかりの目線を向けているし、野郎共は雰囲気にビビッて口を噤んでいる。
「えーっと、春姫ちゃんの事はまぁ……一応おじさんも理解というか、状況は把握してるけどもだ……えー何というか」
「ええいまどろっこしい! ズバっと言えないのですか!」
「ひぇ……」
何故おじさんは一回り以上年の離れた子に詰め寄られてるんじゃ……悪いのはおじさんなのか?
「なあ命、落ち着けよ」
「しかしヴェルフ殿!」
「お前の気持ちも分かるが相手は神と結婚した男だぞ?」
「……」
何とか落ち着いてくれたのでもうスパっと決めるか。
「よし、おじさんもグダグダ引き延ばすのも趣味じゃないのでちゃんと答えを出します! でも! 流石に時間をくれ。今日の夜に結果報告って事で」
◆◆◆◆◆
命ちゃん、春姫ちゃん、リリちゃんの三人が退室して盛大に溜息を吐きながら椅子から崩れ落ちる。
「おじさん、大丈夫か?」
「ヴェルフ君……取り合えずおじさんの部屋からノートPC持ってきてくれる?」
「おっ、おう」
ヴェルフ君がおじさんの部屋にノートPCを取りに行ってる間に軽くヘスティアちゃんと話す。
「それで、おじさんはどうするんだい?」
「あー取り合えずはヘスティアちゃんとイシュタルちゃん、それからベル君、ヴェルフ君も一緒に話し合いかな」
「え"っ、僕もですか?」
「君は今後色んな女の子を泣かせそうだから今の内に第三者目線で学んでおきなさい」
「はぁ」
無自覚って本当に怖いな……ベル君その内刺されるんじゃねーの? ……いっその事School Daysを見せて無作為に手を出せばこうなるって悪い見本を見せた方が……。
「おじさん、持ってきたぞ」
「あんがとね、君もちょっと見ていきな」
「へ? 良いんですか……その……」
「良いの良いの。形は違うけど君もいずれこうなる可能性あるから」
「??」
「君の二つ名ってさ、ヘファイストスさんに告白したのが由来でしょ」
「……は? はぁ!?」
「いずれ神と結婚して、でも鍛冶師として大成したら狙ってくる女なんてゴロゴロ出てくるだろうからその時の為にベル君と一緒に勉強していきな」
「俺はあの人以外とそんな事になるつもりは!」
「おじさんだって同じだっつーの。それでもこういう状態になってるんだから本人の意思とは関係なくこういう事に遭遇すんのよ、人生は」
「……うすっ」
「もしもし? イシュタルちゃん?」
『どうしたおじ?』
「ちょい女性トラブルがあって……問題解決にイシュタルちゃんに相談したいんだけど今良い?」
『分かった、直接が良いんだろ?』
「ありがとう、助かるよ。直ぐ迎えに行く」
と言う事でイシュタルちゃんとPCで連絡を取っておじさんが【テレポーテーション】でアラハビカに迎えに行き、全員がヘスティアファミリアのホームに集まった。
「えー……改めて説明すると、春姫ちゃんの件で結論を今晩までに出したいと思います」
「春姫の件?」
「ほら、春姫君はおじさんに助けられたろ?」
「ああ、私と同じ日に助けられたらしいな。聞いてる」
「それで春姫君はおじさんに密かに恋慕しているけど君と結婚してるからどうしよう、って話さ」
「何だ、そんな事か」
「えっ」
そんな事言いました?
「というかおじ、春姫は確か16だったが良いのか? おじが何時も20がどうこう言ってた奴」
「あ~、このさいソコは一旦横に置いとく。というかソレを含めて考えたら結論が全く違う方向に飛んでいくから……ん"~~~、オラリオの常識で考えよう……」
「オラリオでの常識かぁ……ベル君ならどうする?」
予想外だったのかヘスティアちゃんに話の先を向けられ焦るベル君。
「へ?! 僕ですか!?」
「折角おじさんが身を挺して勉強させてくれてるんだぜ。君も考えないと」
「え、え~っと、そうですね。その……おじさんが何で悩んでるのか良くわかりませんが……春姫さんが良いなら良いのではないでしょうか?」
「ベル……お前」
「ベル君まじかぁ」
「中々胆力のある子供だな、ヘスティア」
「ふはは……ありがとうイシュタル」
「???」
本人全く悪気も何も無いなこりゃ。鈍感とは思ってたが……もうちょい、いや今はソレよりおじさんの事だ。
「えー、ベル君のポンコツっぷりは置いておくとして」
「なんでですかぁ! ていうか僕ポンコツなんですか!?」
「そこらへんは後でヘスティアちゃんにみっちり教えてもらいなさい。さて、話を戻してオラリオの常識的には結婚してる男が他の女に手を出すってどうなん?」
「場合によるだろうな」
「場合?」
「まず『冒険者』として、コレはおじも春姫もヘスティアファミリア所属だから特に問題にはならん。次に『男女』としてだが、ぶっちゃければ経済的に問題なければ良いだろ」
「そうなの!?」
「当然本人が納得してるってのが最低条件だ。早い話がおじの国で言う『愛人』だな」
「おじさんの所での話をされると一気に手を出せなくなる……」
「大体何がそんなにイヤなんだ?」
「前にも話したじゃん、ウチの国じゃ20歳以下には……」
「それだが問題無かっただろう?」
「うん?」
「20以下の娘でも問題なく出来たじゃないか」
「は?」
「どういう事だい、イシュタル」
「私の所のアマゾネスを使って調べたけど普通に抱けるんだから別に春姫でも問題ないだろって話さ」
待って、今何て?
「あ~、前言ってた奴。君の所の眷属に頼んだんだ」
「ああ、実際に試したが問題無かった。多分倫理観の問題だな。逆に知らなければ問題とも思わんのは間違いない」
「えっと……お二人とも何を言ってるんでしょうか?」
「そもそもアイシャですら21なんだ、そんなに変わらんだろ」
「へ~、彼女もっと上かと思ったけど若いんだね」
つまりおじさんはいつの間にか未成年に手を出していた……?
盛大な音を立てておじさんがテーブルに頭をぶつける。その音に全員が驚くがぴくりとも動かない。
「お、おじさん?」
恐る恐るおじさんを起こすと白目をむいて気絶していた。神様達に言われてヴェルフと一緒におじさんを部屋へ運んで戻ると神様達がさらに話し込んでる。
「あの、神様。良かったんですか?」
「おじさんが『オラリオでの常識で考える』って言ってた以上答えは出てるからね」
「そうだな、おじの財力なら別に構わんだろ。というかそもそも駄目なら私が許してない」
「君って相変わらずその辺ルーズというか、おおらかと言うか」
「雄が優秀ならその分、雌を囲うのも必然だろう。それに春姫は元々私のファミリアなんだ、そこまで目くじらは立てないさ」
「問題はおじさん自身か」
「おじの奴、あれで意外と小心者だしな。腹が据わったり切っ掛けがあると意外と頑張るが」
「何か妙な所でウチの子達は似通ってるな」
そういって此方を見る神様達。うーん、神様同士の会話は難しい。
「ベル、お前はもうちょい勉強しような」
「?」
◆◆◆◆◆
気が付いたら自室だった。そして覚えている直前の事を思い出して頭が重くなる。
知らん内にヤってたんか……。いや、まぁ良いや。
良くは無いけど終わった事を気にしても仕方ない。それよりこの先だな。
二人にあって話を聞いたら結局好きにしろって話になった。
オラリオ的には本人が納得してりゃ問題無し。イシュタルちゃんも了承してるから好きにしろという。
そんな風に割り切れたら苦労しねーーー!
落ち着け、一応こっち側の世間一般じゃ複数も問題が無い。嫁さんも良い。相手が……春姫ちゃんはソレで良いのか?
あー、このままじゃハゲそう。……よし、後は春姫ちゃんに委ねるか。
◆◆◆◆◆
その日の夕食前のタイミング、全員が集まった所で発表です。
「はい、えー、結論! 世間的にも、家庭的にも受け入れて良しと言う事らしいので! 春姫ちゃんが良いなら受け入れます……がっ! 子作り等は後2年は待って下さい。おじさんの精神的にソコがギリギリっす」
「はい、よろしくお願いします」
「という事で春姫ちゃんとお付き合いする事になったよ」
『おいおい、エロゲ主人公かよ。おっさんなのに』
『おっさんだけど世界一の金持ちが約束されたおっさんなんだよな』
『ポーションだけで巨万の富が約束されたおっさん』
『色んな意味で世界をひっくり返すおっさん』
『おっさんがハーレム等、このリハクの目をもってしても読めなかった』
『狐っこと女神が嫁さんとかどこのラノベだよ……ラノベ出してるおっさんだった』
『薄い本が厚くなる』
「一応ダンジョンから帰ってきて書類に目を通したら、日本でポーションの販売を開始した~ってのと、今は政府関係者を中心に治験って名目で利用されてるよ。
効果は目に見えて判明しているだけでも色々と上がってて、単純な外傷から内臓疾患、面白い物だと眼や頭皮、習慣病に関しても効果あり、だってさ」
『ハゲにも効くって事ですか!?』
『毛根の復活が約束されたポーション?』
『また毛の話してる』
「あーでも注意があってさ、永久脱毛してた人の毛も復活してるらしいからソコは副作用って感じかも」
『デメリットか?』
『場合に寄りけりじゃ?』
『ハゲには福音だな』
春姫ちゃんとの付き合いを開始したおじさん
健全な付き合いをいつまで続けられるのか
次回、おじさんとゲーム