揺蕩う蓮ノ花   作:風梨

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約1600字
5話連続更新3話目



接続話

 

 

 

「──んー、困ったね」

 

「隊長ォ? 珍しいやん、こんな早い時間に隊主室におるなんて、槍でも降るんちゃうか」

 

「ちょっとリサちゃん。ボクはいつだって真面目な隊長だろう?」

 

「そーやなァ。女性隊士と飲み会ばーっかりしてなければ、ウチかてそう思うてやるんも、やぶさかやないけどなー」

 

「周りが放ってくれなくってね。モテる男の辛さだよ」

 

「はいはい、それで? 一体何を『あーうー』言いながら悩んでんねん。あんたらしくもないわ。キリキリ吐きや」

 

「ひどいなぁ。……ほら、曳舟隊長が『昇進』するだろ? 代わりに誰か推す人いないかと思ってね。まぁ四楓院の姫君が推薦出しそうなんだけど、一応ね」

 

「そういや、そーやなぁ。──零番隊、か」

 

「そうそう。まぁ隠してる話じゃないけど、あんまり他言しないようにね。で、どうしようかな〜って」

 

「あの人でええんちゃうか? ホラ、確か隊長は同期やろ。──十三番隊の副隊長。めちゃめちゃに強いって噂には聞いとるけど」

 

「彼かい? ……うん、強さって意味なら、たぶんボク以上だろうね。でも、彼は隊長になる気はないみたいだよ、浮竹の下から離れる気はないっていつも言ってるからねぇ」

 

「京楽隊長以上、ねぇ。『卍解』も習得しとんかいな」

 

「ま、たぶんね。ボクは直接見てないけど、ある人が断言したからさ」

 

「ある人?」

 

「そ、ある人。まー、でもね。彼に関して言えば、『始解』ですらボクは勝てる気がしないよ。彼が本気出せば、尸魂界が消えるんじゃない? 危険視されて無間に収監されないためだけに、()()()から権力求めたくらいだからね」

 

「む、無間? なんやけったいやな」

 

「そ、まぁ前回も入ったことあるんだけど、あれはそーゆー意味じゃなくって、ただの『始解』のお披露目だったからねぇ」

 

「どえらい危険な『始解』なんか?」

 

「あんまり話せるもんじゃないんだけど、山じいが『本気』で抑えにかかったからねぇ」

 

「……十三番隊副隊長。綱彌代時灘ねぇ。もうそいつが隊長でええやろ。引きずって無理やり羽織着せえや」

 

「おいおい、外では敬称つけておくれよ。彼自身は気にしやしないだろうけど、周りがとにかくうるさいから。……前みたいには、気軽に話せなくなっちゃったね」

 

 少し寂しそうに、京楽が微笑んだ。

 

 

 

 

 

「──では、これにて隊主資格試験を終える。資格十分として、浦原喜助を新任十二番隊隊長として認める事とする。準備は欠かさぬように」

 

「りょ、了解っす」

 

「ハキハキせんか!」

 

「痛いッ!! ……総隊長。いっこだけ、聞いてもいいですか」

 

「なんじゃ、よもや合否基準ではあるまいな」

 

「違います違います。……そこの、卯ノ花さんにもお聞きしたいんスけど、時灘サンはなんで隊長にならないんスか」

 

 新任隊長を選ぶための隊主試験として、この場には総隊長である山本元柳斎重國、朽木銀鈴、四楓院夜一、そして、卯ノ花烈が列席していた。

 ゆったりと浦原喜助を見遣る卯ノ花は、ゾッとするほどの冷たさを滲ませていた。

 

「──四番隊隊長。やめい」

 

「……失礼をしました。浦原喜助さん」

 

「あ、いえ。こちらこそスミマセン……」

 

「浦原喜助。お主にそれを説明する義理はなく、必要性も感じぬ。何故問うのか」

 

「……だって、おかしくありませんか? 実力的に考えても、立場的に考えても、あの人が隊長じゃないって、違和感しかないっす。ボクより適任がいるのに、ボクを隊長に据えるのって、どうなんすかね」

 

「……元柳斎殿。彼が秘すると誓うのであれば、お答えしても良いのでは」

 

「四番隊隊長。これはたかが副隊長の話題ではない。綱彌代家からの勧告を無視するものと知れ」

 

「いずれ、彼も知るでしょう。各隊の隊長であれば知っている話です」

 

「いや、ワシは知らんがの」

 

 抜け抜けとそう言った夜一に構わず、元柳斎は言葉を続けた。

 

「……まぁよい。浦原喜助、この場で聞く話は外部に漏らす事を許さぬ。よいな?」

 

「わかりました」

 

「……今から、300年以上前になるか……。奴の『始解』はこの元柳斎が。そして、その後は卯ノ花が確認した。──無間での、一幕じゃ」

 

 思い出すように、元柳斎は杖を力強く握りしめた。

 

 

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