ひとしきり話し終わった俺はリムルに話していく。
「…リムル、こいつがそういう訳で俺が向こうで死ぬ前の彼女の伏部一颯だ」
「初めまして、伏部一颯です!
航がお世話になってます」
「お、おう!よろしくな!」
「で、一颯。このスライムが俺の相棒のリムルだ。
俺達と同じ日本出身の転生者」
「リムル・テンペストだ。
リアスとは仲良くやらせてもらってるよ」
「り、リアス?」
一颯がその言葉を受けて少し怪訝な顔を見せたので俺が説明していく。
「ああ。こっちでの俺の名前だ。
お前が呼ぶ分には今まで通り航で構わねえよ」
「あー、そういうことか。
リムル、よろしくね!」
リムルと一颯はそう言葉を交わしていく。
…一颯は、俺が死んだあと数年間、就職したもののあまり気持ちが入らなかったそうだ。
そんな中、家への帰り道で事故に遭い、この世界にやって来た…ということである。
そして転生してきてからは、魔物に襲われるのが嫌になってきたらしくこの雪原を作り出した…ということである。
だいたいそれが1週間ほど前。俺が籠り始めた時期とほぼ同じだから確定であろう。
「…で、一颯。
お前のユニークスキルってなんなんだ?」
俺がそう聞くと一颯は答えてくれる。
「私の能力は
2人に分かりやすく言えば、原種とアローラ、両方のキュウコンの力を使えるって能力だよ」
…なるほどな。
キュウコンみたいな姿はそう言うことか。
「確かリアスも似たような能力だったよな。リアスは600族だっけ?」
「ああ。全ての600族になれるって能力だよ」
「え、それズルくない!?
私キュウコンだけなんだけど!?」
「…そのせいか分からないけど、寒さには滅法弱くなっちまったんだよ…。
いまはメタグロスに変身してるからなんとかなってるけど、コイツじゃなかったら多分今凍え死んでる」
一颯の「あ、そうなんだ…」という声に続けてリムルが話しかける。
「…にしてもよ、一颯。
お前はこれからどうするつもりなんだ?」
その言葉を受けて一颯は考えていく。
「どうしよっかなー…。
特にしようと思ってることなかったんだよね。
…航がここに来てるって思ってもいなかったし」
それを受けて、俺は一颯に話していく。
「それじゃあよ、俺のところに来ないか?
この近くで町作っててよ。
少なくともあそこにいれば魔物に襲われる心配もないだろうし」
「え…いいの?」
「ああ。「お前をもう1人にはしない」って言ったろ。
…リムルもいいだろ?」
俺がそう言うと、リムルは「ああ」と話していく。
「リアスがいいって言うなら俺から言うことはなんもねーよ。
それにあの町に人の一人や二人増えてもなんてことねーだろうしな」
「…あ、ありがとう!」
一颯はそうリムルに頭を下げる。
「別に大したことねーよ。…あと、一颯。
お前って名前付けってしてもらったか?」
「ん?名前付けって何?」
「この世界じゃ名前付けすることで能力が大幅に上がるんだとよ。
…その様子じゃ、まだやってもらってないみたいだな」
俺がそう話すと一颯は「だって人に会ったの、航が初めてだからさ」と返してくる。
「それじゃ、お前が名づけしてやったらどうだ、航君?」
そうリムルが俺に話しかけてくる。
「うん、私も航がいい!
お願い、航!」
一颯もそう俺に言ってくる。
…そう頼まれたら、断れねーな。
「分かったよ。
…とはいえ、お前はお前だ。
改めて名付けるけど…。
…一颯。
お前の名前は一颯だ。これからもよろしくな!」
「うん!こちらこそお願いね、ご主人様!」
一颯がそう話すと同時に、俺の体は物凄い虚脱感に襲われる。
「やっば…!」
「え、航!?航!?しっかりしてよ!?」
この虚脱感はゴブリン達に名付けて以来…、いやそれ以上だぞ…!?
「あー、名前付けで魔素不足になっちまったか…」
俺が地面に手を着く姿を見て、その訳を知っているリムルはそう話していく。
「…え!?先に言ってよ!?大丈夫だよね!?」
一颯がそう話してくるが、俺に知識者からの無情な声が聞こえてくる。
《…個体名リアス・テンペストの魔素が個体名一颯への名づけにより減少。
これより低位活動状態へ移行します。
完全回復の予想時刻は1日後です》
…なるほどな。
まあ一颯のやつ、俺と同じ魔人っぽいしな…。
ゴブリン達と比べたら、そのエネルギーは比べ物にならないのだろう。
「…リムル。…明日までの丸一日、一颯の案内とか頼むわ…」
「ああ、了解した。しっかり体を回復させてくれ」
リムルは俺にそう話してくる。
「一颯、ちょっとしばらくの間休むわ…。
分からないことあったらリムルに聞いてくれ…」
「え、ちょっと航!?航ってば!」
そんな一颯の声を聞きながら、俺の意識は途絶えていった。