「後ろは任せて!オーロラ、ベール!」
一颯がそう言うとオーロラのようなカーテンが俺とリムルの後ろに広がっていく。
「…よし、これで思う存分暴れられるな」
「ああ。助かる、一颯」
俺とリムルはそう返していく。
「…後悔するなよ?」
そうしていると、オーガたちからそう言う声が聞こえてきた。
まず最初に攻撃を仕掛けたのは黒髪のオーガで、その手に持っていた鎚を振り下ろしてくる。
だが、俺とリムルはそれをしっかり回避していく。
「お前は少し動けなくさせてもらおうか。
…でんじは」
俺はそう言って微弱な電流を黒髪オーガに流して、動きを地に伏せる。
そして黒髪のオーガが倒れると同時に、死角から紫髪の女オーガが棍棒をふるってくるが、俺とリムルはしっかりと躱していく。
「こいつは、俺が相手しよう」
リムルはそう言いながら、足払いをかけて態勢を崩した所を左手の指先から出した『粘鋼糸』でグルグル巻きにする。
「転びそうですよ、お嬢さん」
…おい、何カッコつけてんだリムル。
そして、青髪のオーガが足元からリムルの顔面に突きを放つ。
しかし、金属が硬質なものとぶつかる鈍い音が響き、青髪のオーガの直刀は見事に折れた。
あの腕、『身体装甲』で防いだみたいである。
「リアス!」
「了解!」
ガードしたリムルが俺に向けてそう叫ぶと、俺はそれに答えて距離を詰める。
「そらよっ、ドラゴンテール!」
俺はそう言いながら尻尾を大きく振り回してぶつけ、青髪のオーガを吹っ飛ばす。
吹っ飛ばされたオーガは木に背中から激突し、倒れ込んでいる。
…これで残るオーガはあと3人。
赤髪のオーガとランガが牽制している桃髪のオーガ、そして不穏な雰囲気を漂わせる白髪の老オーガだ。
そしてその老オーガは今まで細めていた目を開いて話していく。
「…ブラックスパイダーの『粘糸・鋼糸』、甲殻トカゲアーマーサウルスの『身体装甲』。
もう片方の者のは分かりませぬが、見たところ、麻痺系と攻撃特化の物。
不意打ちへの反応速度を見るに、どちらも『魔力感知』を持っておるでしょう。
他にも多数の魔物の業を体得しているやもしれません。ご油断召されるな、若」
…マジか。リムルが洞窟で捕食した魔物の名前とスキルを見ただけで言い当てやがったぞ、あの人。
しかも魔力感知を持ってることも気づかれてる。
「…リムル、あの爺さんかなりやり手だぞ。
あんまりこっちの手の内は見せない方がいいっぽいな」
「ああ、俺も同感だよ」
そしてリムルは自分の言葉に続けていく。
「…なあ、ここら辺にしないか?俺達の実力は分かっただろ?」
「俺達もできることなら戦いたくはねえんだ。
これ以上は戦っても無駄だろ?
俺たちの言い分も聞いて欲しいんだが」
「黙れ、邪悪な魔人め」
俺たちはそう話すが、オーガはそう言って聞く耳を持たない。
「ええっと、だからな…」
実力差を見せればある程度は聞いてもらえると思ったんだが…。
「確かに貴様達は強い、だからこそ確信が深まった。
やはり貴様は奴らの仲間だ。たかが
オーク…、確かリグルドと出会ったときにそんなこと話していたか。
「おい、それって一体どういう…」
「黙れ!全ては貴様ら魔人の仕業なのだろうが!」
俺がそう返すがオーガは改めて叫んでくる。
「待てよ、だからそれは誤解…」
リムルがそう言うと同時に、俺の耳にある音が聞こえてきた
「この音…!
リムル!」
俺はそう言いながら、リムルを右腕で吹き飛ばす。
いつの間にか、気配を消した老オーガが刀を振るってきていた。
…やっぱり、やって来やがったか。
だが、避けきれなかったリムルの右腕がそこに斬り落とされていた。
「む…、ワシも耄碌したものよ。
頭を刎ねたと思ったのじゃが…、次は外さんぞ」
そう言いながら、老オーガは刀を鞘に納めて再び構える。
俺達の『魔力感知』を掻い潜り、リムルの『多重結界』と『身体装甲』をあっさりと破ったみたいである。
「すまねえ、リムル。
乱暴なやり方になっちまって」
「いや、仕方ねえ。
むしろ頭を避けれただけでも感謝だわ」
俺がそう話すが、リムルはそう返してくる。
「どうやら蛮勇の方だったようだな。
右腕を失い、発狂しない胆力と、その危機察知能力は褒めてやる。
確かに貴様達は強かったが、二人で俺達を相手取ろうとしたその傲慢さが貴様達の敗因だ。
冥府で悔やみ続けるがいい!!」
オーガがそう言いながら刀を振り下ろして出してきた斬撃を俺達は回避して、俺は切り落とされたリムルの右腕を拾う。
「…リムル!」
「助かる!」
そして受け取ったリムルはその右腕を吸収する。
その事にオーガ達が驚く様子を見せる。
「すぐに調子に乗っちゃうのは、俺の悪い癖だな」
「ああ。すこしずつでも直していこうぜ?
弱点ないやつなんていないけど、工夫によってその弱点を減らすことはできるんだからよ」
「そうだな。アイツの忠告痛み入るよホント」
「…やっぱ大胆さの中にも慎重さは必要になってくるな」
「「ホントホント。ああ、もう超痛い…。
まあ…。
『痛覚無効』と『超速再生』が無ければの話だけどな」
そう言いながらリムルは仮面を外し、オーガ達に顔を向けた。