転生したら600族に変身できる魔人になった件   作:W297

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今回はキリがいいとこまで書きたかったので少し長めです。


3話 邂逅と友

 

 住処を離れて俺は洞窟の中を歩いていた。

 

 …そんな中。

 

「…なんだ、このオーラは…!?」

 

 俺よりもっとすごいオーラを感じた。というかここにいたのか。

 

 ここに来てから遠くに何かでっかいやつがいるな…とは思っていた。

 

 段々オーラが大きくなり、近づいていることを確信していた。

 

 さすがの俺も危険を感じたため、すぐに『消失者』のスキルを発動し気配を消す。

 

 …今の俺が敵う相手かどうかは分からない。

 

 だが、不安以上に好奇心の方が勝っていたため、そのオーラが発せられている方向へと足を進めていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『消失者』を発動させたまま、俺は岩陰からそのドでかいオーラが放たれている方向を見る。

 

(なるほど…ね。そりゃこんなに感じるわけだ…)

 

 俺が見たのはドでかいドラゴン。少し離れたこの位置からでもピシピシとプレッシャーを感じる。

 

 それと。

 

(なんだあの水色のプルプルしたやつ。…スライムか?

 

 ドラゴンとスライムってどういう組み合わせだ?)

 

  最強の竜と最弱のスライムってほんとどういう組み合わせだよ。

 

 そう思っている中、ドラゴンから俺の心の中へと声がかかる。

 

 

 

(我が名は暴風竜ヴェルドラ!

 

 この世に4体のみ存在する“竜種”が1体である!クァーハハハハ!

 

 …む。おい、怯えるなと言ったろうが)

 

 

 

 …うん。無理があるだろ。

 

 案の定、スライムは飛び上がってビビりまくってるし。

 

 この位置にいる俺でも多少の怖さを感じてるってのに。

 

 

 

(…それと、そこの岩陰に隠れているものも出てくるがよい。

 

 隠密スキルを発動しているようだが、我にそのようなものは通用しないぞ?)

 

 

 

 ってバレてるんすけど!?

 

 …マジか、『消失者』のスキル意味ない敵もいるんだな…。

 

 …まあ、こうなったら仕方ない。

 

 俺はドラゴンとスライムの元へと歩いていく。

 

(…に、人間…!?いやその耳はエルフか…!?)

 

「一応魔人って言う種族。基本は人間だ」

 

 俺はスライムにそう答えた後、ヴェルドラさんに話していく。

 

「初めましてヴェルドラさん、

 

 

 

 …そして、さようなら。

 

 どうか一思いに殺って下さい…」

 

 俺はそう言いながらその場に両腕を投げ出し仰向けになる。

 

 

 

(待て待て、あれぐらいのことで取って食ったりせぬ。我を誰だと思っている。

 

 くつろいでもらって構わぬよ)

 

 

 

 あ、結構やさしかった。ビビッて損した気分である。

 

「ありがとうございます、それじゃ遠慮なく」

 

 俺はヴェルドラさんにそう返しながら胡坐でその場に座る。

 

 その後、俺はヴェルドラさんとスライムを含めた3人で話をしていった。

 

 ヴェルドラさんは話していくと結構気さくな人だった。

 

 で、話を聞かせてもらうとスライムも俺と同じ元日本人の転生者らしい。

 

 …スライムの方は通り魔にやられてこっちにきたんだとか。

 

 

 

(ものすごく希な生まれ方をしたな、お前達。

 

 転生者はたまに生まれてくるし、異世界人も時たまやってくるが、異世界からの転生者は我の知る限り事例はない)

 

 

 

(へぇ…)

 

「異世界人って、俺達以外にもいるんすね」

 

 ヴェルドラさんの話を聞いていくと、異世界人は珍しくないらしいが、異世界からの転生者は珍しいみたいだ。

 

 俺たちの能力も死んだときに望んだ能力を得るらしい。

 

 …死んだときのあれはそういうことか。

 

 にしても身体能力強化と六式、それに『変身者』以外のスキルは俺が覚えてる限りでは求めていないスキルだ。

 

 …まあ、知らずの内に求めてるのかもしれないし、使えるものは使わせてもらうとしよう。

 

(もしかして俺達以外にも日本人もいるかも。捜し出して会ってみるのもいいな)

 

「そうっすね。そういうのも面白そうですし」

 

 そう話しているとスライムから俺に注文が入る。

 

(あー、別にタメでいいぜ?俺の方が死んだ年齢は上だけど今はそんなことねーしよ)

 

(我もだ。その話し方は逆に壁を感じるのでな)

 

「…そうか?ならそうさせてもらうよ」

 

 それでいいのか。なら遠慮なくタメで話させてもらうとしよう。

 

(…にしても、行ってしまうのか…)

 

 ヴェルドラはその体に似合わないしょんぼりとした声でそう話す。

 

「ヴェルドラはここから出れないのか?」

 

(うむ。300年前に勇者に封印されて以来このままよ)

 

 ヴェルドラはそう返してくる。やっぱ勇者とかもいるのか。

 

 にしても300年か…。

 

 ここに来て数年の俺でも飽きを感じたのに、途方もない時間だ。

 

(勇者は強かったぞ。見た目は可憐な少女といった感じだったが、ユニークスキル「絶対切断」と「無限牢獄」を駆使し、我を封印せしめたのだ)

 

(…もしや見とれて負けたんじゃ…)

 

(ばっ…そんなわけなかろう!)

 

 スライムに痛いところを突かれたのか、ヴェルドラは焦った声で否定する。

 

 …だが。

 

(やや小柄でほっそりしていて、白い肌に、黒銀の髪を一つにまとめていて、真紅の小さな唇…)

 

「いや、ガッツリ見てんじゃねえか」

 

 ヴェルドラが話す勇者の話はやけに具体的であった。

 

 そう話しているとスライムが俺達に切り出してくる。

 

(よし!じゃあ自分…いや、俺の友達にならないか?もちろんお前も!)

 

「…あ、そうなのか?てっきりこの後別行動するのかと…」

 

(おいおい、同じ異世界転生者仲間だろ?これからも一緒にいようぜ!)

 

 スライムは恐らく笑顔?なのだろう。そんな表情で話してくる。

 

 …というかなんだこのスライムのコミュ力は。

 

 まあ、友達になれって言われて悪い気はしないしな。

 

「ま、そうだな。1人よりそっちの面白いだろうし。

 

 俺は構わねえよ」

 

(決まりだな!)

 

 スライムは俺の言葉にそう返してくる。

 

(で、お前はどうする、ヴェルドラ?)

 

 スライムがそう話していくと、ヴェルドラはすごい剣幕で返してくる。

 

(…ス、スライムとただの魔人の分際で、この暴風竜ヴェルドラとトモダチだと!?)

 

(いや、嫌ならいいんだけど…)

 

「まあ無理強いはしねーよ。お前がそう思うならな」

 

(ば、馬鹿お前!誰も嫌だと言っておらぬだろうが!!)

 

 …ツンデレか?このドラゴン。

 

「そうなのか?ならどうすんだよヴェルドラ」

 

(そうじゃなぁ…どうしてもと言うなら、考えてやっても…)

 

 ヴェルドラは意味ありげにこっちをチラチラと見てくる。

 

 …素直にならねーな、このドラゴンは。

 

(どうしても、だ。決定な!嫌なら絶交、二度と来ない!)

 

 スライムはそう言ってそっぽ向いて何処かに行こうとする。

 

(し、仕方ないな。我がお前らの友達になってやるわ)

 

 ヴェルドラは慌ててそう言葉を発していく。

 

(おう!よろしくな)

 

「ああ、こっちこそよろしく」

 

 俺とスライム、そしてヴェルドラはそう言いながら握手をするように手を触れさせた。

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