「で、どうするんだ?」
俺はヴェルドラにそう聞いていく。
(ん?どうするとは?)
「お前の封印、どうやったら解除できるのかって話だよ」
(確かに、この封印をどうにかしないと、ヴェルドラが動けないからな。
俺達だけ出て行くって訳にもいかないし)
俺の言葉にスライムはそう返してくる。
(お、お前たち…!)
ヴェルドラは俺達がそう言ってるのが嬉しいのか瞳をうるうるとさせてくる。
「それで、ヴェルドラ。脱出方法や解除方法とかは分からないのか?
お前も無策のままずっとここにいたわけじゃないだろ?」
俺がそう聞くとヴェルドラは首を振ってくる。
(うむ…、我もできることは考えつくしたのだがそもそもこの『無限牢獄』は我のユニークスキルを封じる効果もあってな。どれもダメだったわ。
それにな……実は後100年ほどで我の魔力が底を尽く。魔素が漏れ続けておってな)
魔素…、確か俺達が活動するエネルギーの源になるやつだっけか。
「それって…ヤバいんじゃ?」
(ああ。確か、全ての魔物の生命の元って大賢者が言っていたな。
それが漏れ続ける…って、かなりヤバイじゃないか!)
(その通り、魔素がこのまま漏れ続け、底を尽きたら我は、朽ち果てる!)
「いや、そんな胸を張って言えることじゃねえだろ…」
ヴェルドラの言葉に俺はそう返していく。
(よし。一回試してみるか…)
スライムはそう言いながらヴェルドラの周りに展開されている『無限牢獄』に振れる。
(…ダメだった。俺の『捕食者』で『無限牢獄』を捕食してみたんだが…。
…ちょっと待っててくれ。俺の『大賢者』が考えてみるってよ)
スライムのユニークスキルには『捕食者』というものがあるらしい。
それと俺の『知識者』と似たような効果の『大賢者』というスキルも持ってるそうだ。
とりあえずはそれで考えてみるらしい。
(…『無限牢獄』の外と内から情報を解析することで『無限牢獄』を破ることが出来るかもしれないってよ)
スライムはそう俺とヴェルドラに話してくる。
(しかし、我のスキルは我と同様に封印されて使えぬぞ)
(ヴェルドラは情報を寄越してくれればいい。解析は俺の「大賢者」がやるらしいから)
(それには時間が掛かろう。お前らは早くここを出発して他の同郷の者に会いに行きたいのだろう?)
(うん、だから提案だ。
ヴェルドラ、お前俺の胃袋に入る気ない?)
What's、胃袋?
…後でスライムに聞かせてもらえば、捕食対象を収納、また解析により作成された物質の保管が可能出来るスキルの一つらしい。
(く、クハハハハハハハッ!!)
その説明を聞いたヴェルドラは高笑いをする。
(面白い、ぜひやってくれ。お前に我の全てを委ねる!)
(おいおい、そんなに簡単に信じていいのか?)
スライムはそうヴェルドラに返すがヴェルドラは態度を変えない。
(無論だ。ここでお前達の帰りを寂しく待つよりも、共に「無限牢獄」を破る方が面白そうだ!)
(分かった。じゃあ今から「捕食者」でお前を喰うけど…)
(おっとその前に)
ヴェルドラはそう言ってスライムを止める。
(お前達に名をやろう。お前達も我ら共通の名を考えよ。同格ということを魂に刻むのだ)
…あー、確かに。名前ないと色々と不便だろうしな。
(暴風だから、"テンペスト"とかでいい…かな?)
「いいんじゃねえか?俺も異論はねえよ」
(素晴らしい響きだ!)
ヴェルドラも気に入ってくれたみたいである。
よかったよかった。
(今日から我はヴェルドラ=テンペストだ。そしてお前達には…
お前には“リムル”の名を。
そしてお前には“リアス”の名を授ける。
リムル=テンペスト、リアス=テンペストと名乗るがよい!)
…リアスか。今の俺にとっては丁度いい名前だ。
…まあ、それは置いといて…そろそろヴェルドラともしばらくの間お別れである。
(では頼んだぞ、リムルよ。
リアス、少しの間待っておれ)
「りょーかい。気長に待たせてもらうとするよ」
俺はヴェルドラにそう返していく。
そしてスライム…、いやリムルか。
リムルは『捕食者』のスキルを発動させ、ヴェルドラを捕食する。
…あんなに大きかったが、無事にリムルの中に納まったみたいだ。
「リムル、ヴェルドラを頼むよ。
俺は何もできないからさ」
(ああ、任せてくれ!
それと、これからよろしくなリアス!)
…こうして、スライムと一人の魔人の奇妙な冒険が始まったのである。
リアスの名前はもちろんガブリアスから。