洞窟から出ると、辺りは緑で覆われていた。
「森の中の洞窟だったのか」
「ああ、とりあえずこの辺り散策でもしようぜ」
俺とリムルはそう話していく。
リムルも発声練習を続けているおかげか流暢に話せるようになってきてるし、俺も六式やポケモンたちの技の練習を続けている。
大分使いこなせるようにはなってきた。
加減ができないと苦労する場面も多いだろうし。というかそれ経験済みだし。
…にしても。
「平和だな…」
「そうだな…」
木にもたれる俺と木の枝からぶらさがるリムルはそう呟く。
ちなみにリムルが使ってるスキル、『粘糸』は大分使い勝手がいいらしい。
洞窟の中にいた黒蜘蛛からもらったスキルらしく、もう一つの『鋼糸』も大分使いやすいそうだ。
…で、だ。
…洞窟を出てからというもの、まったく魔物に襲われる気配がない。
洞窟内で様々な魔物に襲われてたのがうそのようである。
…いや、一回魔物には出会ったか。
狼のような魔物…、『知識者』曰く牙狼族だっけか?
そいつらは俺達を見ると一回睨んできた。
だがリムルが「あ"?」と睨み返したら早々に逃げ帰っていった。
…何だったんだろ、あいつら。
そう思っていると俺の耳にある音が聞こえてきた。
「金属がぶつかり合う音…?足音も聞こえてくるな」
「ん、リアスどうした?っていうか何も聞こえないけど…」
リムルの言葉に俺は続けていく。
「俺は『身体能力強化』ってスキルを持ってるんだよ。視覚とか味覚みたいな五感は常人の5倍だったかな。
とりあえず、2、30人ぐらいか?
それぐらい近づいて来てる。一応警戒しとけ」
「了解、リアス」
俺とリムルがそう話していると、俺達の前にある魔物たちが現れた。
「こいつらは…」
「ゴブリン…みたいだな」
俺たちの前に現れたのは俺の予想通り、30体のゴブリン。
金属がぶつかってた音はこいつらの防具からなってたっぽいな。
…にしてもやせてるな。装備も刃毀れしたりしてボロボロだし。
正直、こいつらの攻撃でダメージを受ける気がしねえ。
「グガッ、強キ者ヨ…。
コノ先ニナニカ用事ガオアリデスカ?」
話した!?
そう思ってると『知識者』から俺に声がかかる。
《解。転生時より所持しているスキル、『魔力感知』の応用で理解できる言葉へと変換できます。
なお、「思念」を乗せれば会話も可能です》
…なるほどな。洞窟で冒険者たちの言葉が分かったのはそれが理由か。
そこが分からないとコミュニケーションできないからな、ありがたい。
そう思っていると、リムルがゴブリン達に話しかけていた。
「初めまして、俺はスライムのリムルという。
こっちは魔人のリアスだ」
リムルがそう言うとゴブリン達は一気に怯えだしていた。
一斉に跪き、中には腰が抜けて立ち上がれなくなってる奴もいる。
「グガッ、強キ者ヨ!アナタ様のお力は十分ニワカリマシタ、ドウカ声ヲ鎮メテ下サイ!」
どうやら思念が強かったらしい。
リムルもそれに気づいたみたいで小声で謝ると、ゴブリン達は「謝罪は不要です」と返してくる。
「それで、何か俺たちに用でもあるのか?
ただこの辺りを歩いてただけなんだけど」
俺がそう話すと、ゴブリンは「左様デシタカ」と返してくる。
「コノ先ニ我々ノ村ガアルノデス。強力ナ魔物ノ気配ガシタノデ警戒ニ来タ次第デス」
強力…?
「なあリムル、強力な魔物の気配って感じるか?」
「いや、全然だ」
俺とリムルがそう話していると『知識者』から声がかかる。
《告。個体名リムル=テンペスト、リアス=テンペストを上回る魔素を持つ魔物は存在しません》
うん、だよな。
そう思っているとゴブリン達から笑いながら話される。
「ゴ冗談ヲ、我々ハ騙サレマセンゾ。
ソコノ魔人殿ハトモカク、タダノスライムニソコマデノ
ってことは俺たち…か。
そう思い『魔力感知』を使ってリムルを見てみると、リムルからエグイ量のオーラが飛び出していた。
「うっわ、そんだけオーラ出してたら狼も逃げるわな…」
「確かにな…。っていうかお前からは出てないのな」
「『消失者』の応用。相手が認識できる程度にオーラだけを消すってこともできるのよ。
洞窟だと認識できないぐらいフルで使ってたけどな」
その後、ゴブリン達と仲良くなり話していると、話の流れで村にお邪魔することになった。どうやら泊めてくれるらしい。
話している内に『魔力感知』での聞き取りに慣れて来たからか、ゴブリン達の言葉もクリアに聞こえるようになった。
「あそこです」
そう言われて赤いバンダナを付けたゴブリンが指を指した方向にはボロボロな家(なのだろう建物)が建っていた。