家の中に通され、出されたお茶…のような飲み物はとても苦かった。
リムルは味覚がないらしいので感じなかったらしいが。
しばらく待っていると、俺達をここに連れてきた赤いバンダナを巻いたゴブリンが連れてきたのは、老人のゴブリンだった。
杖も持ってるしバンダナの奴にも支えられてるし、歩くのがやっとって感じか。
「大したおもてなしも出来ませんで申し訳ない。私はこの村の村長をさせて頂いております」
村長の言葉にリムルは「あぁ、いやいやお気遣いなく」と返していき、俺が続けていく。
「それで、何か用があるから俺達を招待してくれたんすよね?」
俺がそう聞くと、バンダナの奴は跪き、村長の方は土下座をする。
「貴方様方の秘めたるお力、息子から聞き及んでおります。
我らの願い、何とぞ聞き届けてもらえませんでしょうか?」
…俺達を引き入れたのはそう言うことか。
その後、話を聞いていくことにはこうである。
…ひと月ほど前、この地を護る竜の神…恐らくヴェルドラだろう、が突如消えた。
それにより、縄張りを求める近くの魔物たちがここに目を付けたらしい。
その中でも牙狼族…さっきの狼か。
そいつらは強力で、1匹に対してここのゴブリン達10匹で挑んでも苦戦するありさまらしい。
「…まずは戦力を確認させてくれ。
その牙狼族の数とこの村で戦える奴の数は?」
「牙狼族は群れで100匹ほどになります。
比べて我らの内、戦えるものは60匹程度です…」
(絶望的な戦力差だな…)
リムルの大きな心の声が俺にまで届いてくる。
このままほっとけばこんな村など一気に蹂躙されるに違いない。
「牙狼族は100匹程っていうのは確かなのか?」
リムルがそう聞くとバンダナのゴブリンが「それは確実です」と返して続けてくる。
「…リグルが牙狼族との死闘を経て手に入れた情報ですから」
俺が「リグル?」と聞くと、リグルはバンダナの兄、村長の息子に当たる存在らしい。
「…さる魔人より名を授かった村一番の戦士でした。
兄がいたから我らはまだ生きているのです」
「…もういないのか?リグルは」
リムルがそう聞くと村長は重い口調で話してくる。
「…自慢の息子でした。
弱いものが散るのが宿命だとしても、息子の誇りにかけて我らは生き残らなければなりません」
…そうか、ここは今まで俺達が生きてきた日本じゃねえ。弱肉強食のサバイバルが当たり前の世界である。
俺はリムルの心の中に話しかけていく。
(リムル、どうするんだ?ヴェルドラが消えたのは俺達の責任でもあるし…)
(ああ、頼まれるのに悪い気はしねえ。助けることに戸惑いはねえよ。
…一応体裁は整えさせてもらうとしますかね)
リムルはそう言って改めて話していく。
「村長、一つ確認したい。
俺達がこの村を助けるならその見返りはなんだ?
お前たちは俺達に何を差し出せる?」
リムルがそう話すと二人は顔を見合わせ、意を決したように話してくる。
「強き者たちよ、我々の忠誠を捧げます!」
忠誠…か。
俺がそう思っていると、どこからか狼の遠吠えが聞こえてきた。
ゴブリン達が一気に騒ぎだしているのを見るに、牙狼族の遠吠えなのだろう。
村長やバンダナのゴブリンが騒ぎを抑えようとするが、うまく行かない。
「…やるしかねえよな、リムル」
「ああ」
俺は左の手の平に右拳を叩きつける。
リムルも準備は満タンみたいだ。
「
リムルの言葉にゴブリン達から「では…」という声が出て、俺達はそれに返していく。
「ああ、お前らのその願い、暴風竜ヴェルドラに変わり、このリアス=テンペスト」
「そしてこのリムル=テンペストが聞き届けよう!」
俺たちがそう言うと、ゴブリン達は全員が一気に平伏していく。
「我らに守護をお与えください。
さすれば今日より我々は貴方様方の忠実なるシモベでございます!」
…さーて、こっちに来て初めての大戦闘だ。
いっちょやってやりますかね。
俺はそう思いながら気合を入れた。