問題児たちが異世界から来るそうですよ?人魚の恩恵   作:ホモ・サピエンス

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第3話

 

その後に四人と一匹は黒ウサギと十六夜と合流して話を聞くとそれはもうカンカンに怒って電光石火の勢いで説教と質問をはじめた。

 

 

「ど、どうしてこんな短時間で“フォレスガロ”のリーダーと接触してゲームをする状況になっているのですか?!」「ゲームは明日?!」「敵のテリトリーで戦うのですか?!」「準備をする時間もお金もありません!!」

「四人とも!聞いているのですか!!」

 

 

「「「「ムシャクシャして後先考えずに喧嘩を売った。今は反省しています。」」」」

 

 

「おだまらっしゃい!」

 

まるで口裏を合わせたかのような言い訳にまた怒る黒ウサギ。

 

 

それを見ていた十六夜はニヤニヤと笑っていた。

 

 

「まぁいいじゃねぇかよ、黒ウサギ。見境なく喧嘩をふっかけたわけじゃねぇしよ。」

 

 

「十六夜さんは面白ければ良いとお考えですが言ってしまえばこれはただの自己満足なのですよ。」

 

 

そう言って黒ウサギは“契約書類ギアスロール”を十六夜にみせる。

 

 

契約書類とは主催者権限を持たない者がゲームの主催者になる時に使われるギフトだ。そこにはゲームのルール、チップ、などゲームに関わる事が書いてある。そこの賞品の欄にはこう書かれている。

 

 

「参加者が勝利した場合は主催者は参加者が言及した罪を認め、箱庭の法に従い正当な裁きを受けたあとコミュニティを解散する。――――――まあ確かに自己満足だな、時間をかければ立証できるものをわざわざ取り逃がすリスクをしょってやるんだからな。」

 

 

「そうよ、あの外道を裁くのにそんな時間はかけてられないわ。」

 

 

箱庭の法は箱庭の中だけのもの外に逃げられた場合、ここの法律は通用しなくなる。だがギフトゲームでなら外に逃げたとしてもその契約がガルドを縛り続ける。

 

 

「僕もガルドは逃がしちゃ行けないと思う、彼のような悪人は野放しにしちゃいけない。」

 

 

ジンの同調する声を聞いて黒ウサギは今度こそ諦めたようにため息をついた。

 

 

「はあぁぁ、しょうがないのですよ、まぁ“フォレスガロ”なら十六夜さん一人でも楽勝でしょう。」

 

 

黒ウサギはため息を着いたあと顔を綻ばせながらそう言ったが飛鳥と十六夜は、怪訝な顔をして

 

 

「何言ってんだ俺は参加しねぇよ。」

 

 

「ええ、当然よあなたは参加さはせないわ。」

 

 

そんな二人の言葉に黒ウサギはあわわてて止めにかかる。

 

 

「だ、ダメですよお二人共!同じコミュニティなのだから協力し合わないと!」

 

 

「違う黒ウサギ。これはそういんのじゃない」

 

 

大牙の言葉に、へ?と声を上げる黒ウサギ、それに向かって十六夜は声をかける

 

 

「ああ、この喧嘩は“こいつら”が売って“あいつら”が買ったんだ、なら俺が手を出すのは無粋ってもんだろ。」

 

 

「あら、よく分かってるじゃない。」

 

 

「はあぁぁぁ、もういいのです。勝手にして下さいませ。」

 

 

十六夜と飛鳥のそんな言葉に黒ウサギはウサミミと肩を落としながら答える。この数時間の間にこの人達に何を言っても無駄なのだと学習したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして黒ウサギたちは一度ジンとは離れコミュニティとは別の方向に歩き出した。

 

 

「「「「ギフトの鑑定?」」」」

 

 

「YES!ギフトの鑑定とはその名の通りご自身のギフトが一体どんな力を持っているのか鑑定してもらうことの事です。皆様もご自身の力がどのようなルーツを辿るのか気になるでしょうし、ルーツを知った時の方が出せる力も大きくそして強くなるものなのですよ!」

 

 

そうゆうもんかと四人ともあまり乗り気を見せない表情を浮かべるが否定の声は上がらない。

 

 

黒ウサギは舗装された石の通路の上を歩きながら説明を続ける。その道には小さく薄い桃色の花を付けた木が並んで植えられていた。

 

 

「今回はかの大コミュニティ“サウザンドアイズ”に鑑定を依頼しようかとおもいます。」

 

 

「“サウザンドアイズ”?どんなコミュニティなんだ?」

 

 

花弁がヒラヒラと舞い落ちるのを見ながら十六夜が黒ウサギに問いかける。

 

 

「コミュニティ“サウザンドアイズ”は特殊な瞳のギフトをもつ者達の群生コミュニティです。箱庭の東西南北全てに通ずる超巨大商業コミュニティなのですよ。この先に支店があるので皆様着いてきてくださいな!」

 

 

黒ウサギは少しスキップ気味に歩きながら話しかける、すると飛鳥が並んである木を見て、

 

 

「桜、ではないわよね。花弁の形が違うし、何より真夏に桜があるわけないもの。」

 

 

「まだまだ初夏だろ。気合いのある桜ならまだ咲いててもおかしくねぇだろ。」

 

 

「・・・・・・・・・・・・今は秋だったと思うけど?」

 

 

「雪が降っていただろ・・・」

 

 

ん?と四人が顔を見合わせて不思議に思っていると、黒ウサギが少し笑いながら説明した。

 

 

「皆様は別々の異世界から召喚されたのでございますよ。季節の他にも歴史や文明、生態系などそれぞれ異なっているものがあるとおもいますよ。」

 

 

「パラレルワールドってやつか?」

 

 

「惜しいですね。正確に言えば立体交差並行世界論と呼ばれるものですけど、その話をすると一日二日では語りけれないので今回は辞めておきましょう。」

 

 

黒ウサギが振り返りながらそう言う。どうやら支店に着いたらしい。

 

 

青い暖簾に向かい合う女神が描かれている。どうやらこれが“サウザンドアイズ”の旗印のようだ。

 

 

支店から割烹着を着た女性店員が現れ、その暖簾を外し片付けようとしている。慌てて黒ウサギはストップをかける。

 

 

「待ってくださ・・・!」

 

 

「待ったなしですお客様。」

 

 

ピシャリと言い切る店員とストップをかけられず項垂れる黒ウサギ、さすが超巨大商業コミュニティ、お断りの言葉にもいちいち気品を持たせている教育をしているようだ。

 

 

「な、なんて商売ッ気のない店なのかしら!」

 

 

「文句があるのなら他所へ、あなた達は今後一切の出入りを禁じます、出禁です。」

 

 

「出禁! これだけで出禁とかお客様なめすぎでございますよ!」

 

 

黒ウサギがギャーギャー叫び声を上げるが女性店員は何処吹く風、といった態度で余裕だっぷりだった。

 

 

「そうですね天下に名高き“箱庭の貴族”にこの対応は失礼ですね、もしよろしければコミュニティの名前をお聞きしたいのですがよろしいですか。」

 

 

「うぐっ!・・・」

 

 

どこか嫌味な声で問いかける女性店員、これには黒ウサギも思わず黙ってしまう。“サウザンドアイズ”は“ノーネーム”との商売を禁止しているからだ。

黒ウサギが黙っていると、

 

 

「俺たちは“ノーネーム”ってコミュニティだ。」

 

 

と十六夜がなんの躊躇いもなくコミュニティの名前を言う。

 

 

「ほほう、ならばどこの“ノーネーム”様でしょう。旗印を確認したいので拝見させてよろしいですか?」

 

 

ぐっと黙り込む黒ウサギ。

 

 

コミュニティの名前と旗印がないというのは、信用がない、大企業なら信用のないコミュニティよりも信用があるコミュニティの方を選ぶのは当然と言える。

 

 

黒ウサギはここらの底から悔しさを滲ませながら

 

 

「あの・・・・・わ、私たちに旗印は、・・・・ありませ・・・」

 

 

「ぃぃいやっほほおおぉぉぉーーーい!!!くーろーうーさーぎー!!!」

 

 

黒ウサギは店内から出てきた和服を着た少女に柔道の鯖折りのような技をかけられ、少女と共に空中で四回転半ひねりを繰り出したあと、道の向こう側にある浅い水路に吹き飛んだ。

 

 

「きゃあぁぁー!!」

 

 

ぽちゃん。小さくなる悲鳴。

 

 

十六夜と白道は目を丸くしてその様子を眺め、女性店員は頭痛がするのか頭を抱えていた。

 

 

「おい、店員、この店にはドッキリサービスがあるのか。なら俺も別バージョンで是非!!」

 

 

「ありません。」

 

 

「なんなら有料でも」

 

 

「やりません。」

 

 

十六夜は真剣な表情で、女性店員は冷えきった目をして、きっぱりと言う。

 

 

この二人の目は割とまじだった。大牙は水辺を眺めてぼおっとしていた。

 

 

「白夜叉様?! どうしてこんな下層に?」

 

 

「そんなの、黒ウサギが来そうな気配がしたからに決まっているだろう! ふほ、ふほほ、ふほほほほほほー!黒ウサギのさわり心地はやはり最高だ!」

 

 

すりすりすりすり、

 

 

「放して下さい!!」

 

 

黒ウサギは白夜叉と呼ばれた少女の頭をつかみ思いっきり投げる。クルクル飛んでくる和装少女を十六夜が足を使って受け止める。

 

 

「てい」

 

 

「グオッハー!!おんし!私のような美少女を足で受け止めるとは何様だ!」

 

 

「十六夜様だぜ、よろしくな和装ロリ。」

 

 

この一連のやり取りにすっかり翻弄された飛鳥は気をとりなして白夜叉に話しかける。

 

 

「あなたここの店の人なの?」

 

 

「そうじゃよ、何かの依頼なら歳の割に育っているおんしの体をワンタッチで引き

受けようではないか。」

 

 

「オーナー、それでは売上が伸びません。ボスが怒ります。」

 

 

水路から戻ってきた黒ウサギはスカートの裾を絞りながら戻ってきた。

 

 

「ううっ・・・・・・まさか私まで濡れることになるなんて。」

 

 

「・・・・・・因果応報かな。」

 

 

黒ウサギが悲しそうにそう言って春日部が答える、三毛猫が、にゃーっと言った、その通りですよと春日部に同意しているようだった。

 

 

「ふーむ、お前達が黒ウサギの新しい同士か、なるほどのー」

 

 

白夜叉は異邦人たちをまるで値踏みするかのような目付きでみる。

 

 

「フムフム、つまりおんしたちがここに来たということはつまり、・・・・黒ウサギがついに私のペットになりに来たのか!」

 

 

「違います!一体どんな事があって私がペットにならなきゃ行けないんですか!!」

 

 

「まぁ良い、話なら中で聞こうかの。」

 

 

白夜叉がそう言うとさっきまでの態度とは違い、女性店員は問題児たちが店内に入るのを止めなかった。

 

 

“サウザンドアイズ”の支店は外観ではありえない大きさをしていた。

 

 

「生憎と店自体は閉まっているのでな私の私室で話を聞こう。」

 

 

そう言って白夜叉はある和風の一室に通した。

 

 

「さて、一度しっかりと自己紹介をしておこうかの。

私は四桁の門、三三四五外門に本拠を構える“サウザンドアイズ”幹部の白夜叉だ、そこの黒ウサギとはちょっとした縁があってなちょくちょく手おかしてる懐の広い優しい美少女なのだ。」

 

 

「はいはい、お世話になっておりますよーだ」

 

 

白夜叉の言葉をどこか投げやりに答える黒ウサギ、その隣にいる春日部が手を上げて聞いた。

 

 

「外門ってなに?」

 

 

「箱庭の階層を示す外壁にある門のことですよ。数字が若いほど都市の中心部に近く、同時に強大な力を持つものが住んでいます。」

 

 

箱庭は都市の上層から下層まで七つの支配層に別れている。

箱庭で四桁の門となればそこにいるのは名高い修羅神仏で完全に人外魔境だ。

黒ウサギは四人にわかりやすいように上空から見た箱庭の図をみせる。

 

 

その図をみた四人は、

 

 

「巻物か?」

 

 

「・・・私は超巨大玉ねぎ」

 

 

「いえ、超巨大バームクーヘンじゃないかしら?」

 

 

「そうだな、どちらかと言えばバームクーヘンだ。」

 

 

そんな感想に黒ウサギはまたガックリと項垂れてしまう。反対に白夜叉は笑いながら、答える。

 

 

「うまく例えるの、その例えで行くとここの七桁の外門はバームクーヘンの一番外側の部分に当たる。さらに言えば外門の外側にはコミュニティに属さないが強力なギフトをもつ者もいて独自にギフトゲームをやっていたりもする。その水樹の持ち主のなどな。」

 

 

白夜叉はそう言って黒ウサギのもつ水樹をみる。

 

 

「白夜叉様はあの蛇神様のご知り合いたのですか?」

 

 

「うむ、何を隠そうそやつに神格を与えたのは私だからの!もう何百年も前にな。」

 

 

ハッハッハと声高らかに笑う白夜叉。

 

 

神格とは生来の神を指す言葉ではなく、持ち主の体を最高の状態にするギフトを指す。更に神格を持っていれば他のギフトも強化されるので下層のコミュニティはまず神格を手に入れるのが目先の目標になる。

 

 

その発言を聞いた十六夜は目を細めて、

 

 

「へぇ?じゃああんたはあの蛇よりも強いのか?」

 

 

「ふふん、当然よ!私は東側の“階層支配者フロアマスター”この東側の四桁以下では敵無し、最強の主催者なのだから。」

 

 

“最強の主催者”という言葉に、十六夜、飛鳥、春日部、大牙は一斉に目を輝かせて立ち上がる。

 

 

「そう・・・・・・ならあなたを倒したら私たちが東側で最強となるわけね。」

 

 

「無論。そうなるのー」

 

 

「景気が良いな」

 

 

「ああ、探す手間が省けたぜ。」

 

 

「・・・」

 

 

敵意をまるで隠さない四人は真っ直ぐに白夜叉を見つめる。それに気づいた黒ウサギは慌てて止めにはいる。

 

 

「ちょ、ちょっと待ってください皆様!」

 

 

「よいよい、黒ウサギ、私も最近は遊び相手がいなくて退屈していたのだ。」

 

 

カッカッカッと笑いながら白夜叉が黒ウサギをとめる。

 

 

「あら、素敵ね。そうゆうの好きよ。」

 

 

「ほう、そうか。―――――――――しかし、ゲームの前に一つ聞いておくことがあるのぉ」

 

 

白夜叉は懐から“サウザンドアイズ”の旗印が入ったカードを取り出しながら敵意を込めた目と壮絶な笑みを浮かべ、

 

 

「おんしらが望むのは“挑戦”か?それとも“決闘”か?」

 

 

瞬間、世界に変化が起きた。光が四人の視界をうめていく。光が収まり、顔を上げるとそこには――――――――――――水平に太陽が回る世界だった。

 

 

「「「「・・・・・・・・・」」」」

 

 

四人は唖然として、何をされたのか待ったか理解が追いつかないようだった。

 

 

世界を一つ創り出したかのような奇跡。

 

 

口を開けて立っている四人に白夜叉が問いかける。

 

 

「今一度名乗りをあげ、問おうかのう。私は“白き夜の魔王“太陽と白夜の星霊、白夜叉。ーーーおんしらが望むの試練への“挑戦”?それとも対等な“決闘”か?」

 

 

そこにいるのは最初に見た時のおちゃらけた少女のものではなくーーー正しく世界の敵、魔王と呼ぶに相応しい顔をしていた東側最強の主催者だった。

 

 

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