問題児たちが異世界から来るそうですよ?人魚の恩恵   作:ホモ・サピエンス

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第4話

 

 

「今一度名乗りをあげ、問おうかのう。私は“白き夜の魔王“太陽と白夜の星霊、白夜叉。ーーーおんしらが望むの試練への“挑戦”?それとも対等な“決闘”か?」

 

 

星霊、それは惑星級の星に存在する精霊で妖怪、妖精、悪魔と言った概念の最も上の種であり、同時にギフトを与える側の種でもある。

 

 

「なるほど、水平に動く太陽・・・白夜と夜叉。この世界はあんた自身の示しているのか。」

 

 

十六夜は背中に冷や汗を流しながら白夜叉を睨む。

 

 

「ふふふ、この雪原と水平に動く太陽が永遠に世界を薄く照らす。ここは私が持つゲーム盤の一つなのだ。」

 

 

白夜とは特定の緯度を越えた北欧地域に起こる現象で、太陽が沈まないことを指す。

 

 

そして夜叉とは水と大地の神霊であると同時に悪神としての側面をもつ。

 

 

つまり白夜叉は“星霊”であり“神霊”、この箱庭を代表する魔王の一人なのだ。

 

 

「これだけで広大な土地がただのゲーム盤ですって!」

 

 

「・・・すごい。」

 

 

「驚愕だな」

 

 

「して、お主らの返答を聞こうか。私の試練に挑戦するのなら暇つぶし程度に遊んでやろう。だがもし決闘ならば魔王としての誇りと命をかけて存分に死合おうではないか。」

 

 

この言葉には飛鳥、春日部、十六夜、大牙は答えに戸惑う。これだけのことを平然とできる白夜叉に喧嘩なんぞしおうものなら、本当に勝負にならない。そんなことは天地がひっくり返ってもありえない。たが一度吐いた唾は戻せない。あれだけの大口を叩いて置いてそれを取り下げるねは、彼らのプライドが許さなかった。

 

 

「・・・はぁ、降参だ白夜叉」

 

 

静寂を破ったのは意外にも十六夜からだった。

 

 

「こんなすげーことをやるんだあんたになら“試されてやるよ”。」

 

 

「なるほど、つまりはおんしはゲームに挑戦すると言うのだな。・・・他の者達はどうする?」

 

 

「えっ、ええ試されてあげるわ。」

 

 

「右に同じ。」

 

 

「“今回は”だ。」

 

 

くっくっく、と嫌な笑いをする白夜叉、四人はそれぞれ苦虫を噛み潰したような顔をしてどこか居心地が悪そうにしていた。そんな光景を見ていた黒ウサギは緊張が溶けたのかうるさく騒ぎ立てる。

 

 

「もう、皆さん少しは考えて相手を選んでください!“階層支配者フロアマスター”に喧嘩を売る新人に、新人の喧嘩を買う“階層支配者”なんて冗談にしても笑えません!それに白夜叉様が魔王だったのはもう、何千年も前のことではありませんか!」

 

 

「は?んじゃあ今は元魔王様ってことか?」

 

 

「さてさてどうだったかな?」

 

 

その時、はるか遠くの山から奇妙な鳴き声が聞こえた。

 

 

「今の声・・・初めて聞いた。」

 

 

「ふむ、奴か、お主らの相手なら十分にやってくれるだろう。」

 

 

そう言って白夜叉は山に向かって手招きをする。すると体長5mはありそうな獣が翼を広げ滑空し四人のもとに現れた。

 

 

鷲の上半身に獅子の下半身を持った幻獣、グリフォンを見て春日部は驚きと歓喜のある声を出した。

 

 

「グリフォン?!・・・うそ。本物?」

 

 

「して、肝心のゲームはそうだのう、お主らとここにいるグリフォンとで力、知恵、勇気を比べこやつの背に跨り湖畔を一周するとゆうのでどうだろうかの?」

 

 

白夜叉はパンパンと柏手をすると空中から“主催者権限ホストマスター”を持つものだけに許された輝く羊皮紙が現れ、四人はそこに書かれている内容を確認する。

 

 

『ギフトゲーム名“鷲獅子の手綱”

 

プレイヤー名

 

逆廻十六夜、

久遠飛鳥

春日部耀

大鮫大牙

 

 

クリア条件

グリフォンの背に跨り、湖畔をまう

 

クリア方法

力、知恵、勇気のいずれかでグリフォンに認められる。

 

敗北条件

降参か、プレイヤーが上記の勝利条件を満たせなくなった場合。

 

宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗とホストマスターの名のもと、ギフトゲームを開催します。

 

“サウザンドアイズ”印』

 

 

 

 

「私がやる。」

 

 

読み終えた途端に春日部が指まで真っ直ぐに手を上げる。猫が心配そうににゃーにゃーいっている。

 

 

「大丈夫、問題ない。」

 

 

「ふむ、自信アリかね、コレは結構ななん物だぞ。」

 

 

「大丈夫、問題ない。」

 

 

春日部の瞳はずっとグリフォンに固まったまま動かない、まるで新しいおもちゃを

買ってもらった子供のような瞳を輝かせていた。

 

 

「ファイトだ」

 

 

「ああ、先手は譲ってやるよ。しくじんなよ。」

 

 

「ええ、頑張ってね春日部さん。」

 

 

大牙たちは春日部のそんな顔を見て少し笑いながら応援する。

 

 

「うん、頑張る。」

 

 

顔は無愛想のまま瞳だけ輝かせていた春日部は答える。

 

 

(・・・すごい、本当に上半身が鷲で、下半身が獣なんだ。)

 

 

「え、えーと、初めまして、春日部耀です。」

 

 

ビクンっ!!とグリフォンの体が揺れる。瞳から警戒心が薄れていく。

 

 

「ほう、あの娘グリフォンと言葉を交わすのか。」

 

 

白夜叉は少し関心したのか、扇を広げて彼らを見守る。

 

 

グリフォンにまたがる方法は大きく分けて二つある。

一つは力もしくは知恵でグリフォンを打ち負かすこと。

屈服によって背に跨る方法だ

 

 

もう一つはその心に認められること、獣の王である獅子と鳥の王である鷲、その二種の王であるグリフォンは誇り高い。

その心に認められれば背に跨る事ができる。

 

 

春日部は大きく息を吸って、グリフォンに要件を伝える。

 

 

「私をあなたの背に乗せて・・・誇りをかけて勝負をしませんか?」

 

 

『・・・何?』

 

 

「あなたが飛んできたあの山を大きく時計回りをしてこの湖畔を終点とします。あなたは湖畔までに私を振り落とせば勝ち。私がまだ乗っていたら私の勝ち。どうかな?」

 

 

春日部は首傾げてグリフォンに問いかける。

 

 

『娘よ、お前は私に誇りをかけろと言った。お前ごとき小娘を振るい落とせなければ確かに私の誇りは地に落ちるだろう、―――だが娘よ。お前は私の誇りの対価に何をかけるのだ?』

 

 

「命を賭ける。」

 

 

即答した。だがあまりに危険なことを言うので黒ウサギと飛鳥は声をあげる。

 

 

「だ、だめですよ!」

 

 

「春日部さん、本気なの?」

 

 

「貴方の誇りの対価に私は自分の命をかけるもし転落しても、私は今夜の貴方の夕食になる。・・・ダメかな?」

 

 

『・・・うむ』

 

 

「やめておけ」

 

 

「ああ、無粋な事は辞めておけ。」

 

 

「で、ですがこんな分の悪いゲームを同士にやらせるなんて。」

 

 

「大丈夫だよ。」

 

 

春日部はそう言って黒ウサギと飛鳥に瞳で心配するなと言っていたグリフォンは少し考えると頭を下げ、

 

 

『乗るが良い娘よ、鷲獅子の疾走に耐えられるかその身で試すがいい!』

 

 

春日部は頷いてグリフォンの背に跨る。そしてゲームが始まる前にグリフォンに、

 

 

「・・・私、貴方の背中に跨るのが夢の一つだったんだ。」

 

 

決闘前に何を言っているのだ。そう思ったがグリフォンは何も言わずに、全身に力を込め、空に駆け出した。

 

 

グリフォンは一度翼を広げたあとそのまま固定していた、その事に気がついた春日部は驚いて、

 

 

「凄い!・・・あなたは、空を踏みしめて走っている!」

 

 

鷲獅子は翼を羽ばたかせて飛んでいるのではなく、風を操作するギフトで空を疾走しているのだ、

 

 

鷲獅子が空を駆けるその姿はまさに、幻獣と呼ぶに相応しい。

 

 

 

 

 

ーーーそれを地上で待つもの達は、春日部を心配そうに眺めていた。

 

 

「流石天下のグリフォン。そうとうスピードが出ております!さらに加えてその寒さと何よりも問題なのはあの速度からくる空気圧です!」

 

 

黒ウサギはグリフォンの様子を見て、実況をする。

 

 

「ああ、あとこれからは振り回されたりするだろうからな、その慣性にも耐えなくちゃならねぇ。」

 

 

そう言って十六夜もそのままゲームをながめている。

 

 

グリフォンと春日部は山からの旋回を終えて湖畔に戻ってきた。グリフォンは今までの中で最高速度を出し、地平と並行になるように振り回す。そして勢いもそのままに湖畔に到着したグリフォン。

 

 

春日部耀の勝利が決まったその瞬間、春日部は手綱から手を離した。

 

 

『何!?』

 

 

「!?」

 

 

「春日部さん!」

 

 

春日部はグリフォンの止まった勢いのまま湖畔に落下した。助けに行こうとした黒ウサギと大牙を十六夜がとめる。

 

 

「おい!」

 

 

「十六夜さん!放してださい!」

 

 

「まだだ、まだ終わってない。」

 

 

焦る黒ウサギと白道、だが春日部にはそんな声が聞こえず、さっきまで見ていたグリフォンの疾走をその瞼に映し出していた。

 

 

(四肢で・・・風を絡めて、大気を踏みしめるように!!)

 

 

ふわっと春日部耀の体が翻った。落下の速度がだんだんと落ちていき、最後には湖畔の水に触れずに飛翔した。

 

 

その光景を見ていた全員が言葉を失う、今の今までそんな素振りを見せなかったのだ、だが実際に春日部は今風を使って飛翔して、ゆっくりと雪原におりた。

 

 

四人と1匹は歩いて春日部に近づいて、十六夜は歩きながらを見ながら満足そうに頷きながら、

 

 

「やっぱりな、お前のギフトは、他の生き物の特性を手に入れるものだったんだな。」

 

 

十六夜が軽薄そうに笑い白道が驚いた顔をして声をあげる。

 

 

「・・・違う。コレは友達になった証、けどいつから気づいてたの?」

 

 

「ただの推測だよ、黒ウサギにあった時に風上に立たれたら分かるって言ってたろ、それは人間じゃあ出来ねぇからな他種族のギフトを手に入れてるんじゃないかとおもったのさ。」

 

 

十六夜が興味深いものを見たかのような目をして春日部にそう言うと、白夜叉が近づいて、

 

 

「いやはや、すごいギフトじゃのう、してそれは生得的なものか?」

 

 

「違う。これは、お父さんからもらった木彫りのおかげ。」

 

 

「木彫り?・・・すまんがそれを見してもらっても良いか?」

 

 

うん、と言って春日部は首にかかっていた木彫りを取り出し白夜叉に渡す。残りの四人も白夜叉に習い横から観察する。

 

 

木彫りは手のひらの大きさで表面に幾何学的の模様が掘ってある、模様を辿って中心に行くと不自然な空白の欄があり、そこにはなにも掘られていなかった。

 

 

「材料は楠の神樹?、神格は残っていないようですね。」

 

 

「複雑な模様だな・・・どんな意味があるんだ?」

 

 

「分からない・・・意味は昔にお父さんに教えてもらったけど忘れた。」

 

 

「これは、おんしの知り合いに生物学者はおらんかったか?」

 

 

「いた、お母さんがそう。」

 

 

なるほどのう、と白夜叉は頷いてまた顔にシワを入れて考える。

 

 

「ならこれは、系統樹を表してるってことでいいのか?白夜叉」

 

 

「系統樹ってあれ?、生物の進化と系統を示すやつ?でもあれって。」

 

 

「ああ、本来なら樹木の形をしているものだがな、ふむふむなるほどここはこっちに繋がるのか!・・・となるとこっちは・・・いや、すごいぞ!これはすごい!もしこれをお主の父親が作ったのならそやつは神代の天才だ!これは正しく“生命の目録”と呼ぶにふさわしいものだろう!」

 

 

白夜叉が声を上げて興奮してそう言う。他の者達は価値がイマイチよく分かってないのか首を傾げるだけだ。

 

 

「この木彫りを円形にしたのは輪廻、もしくは生命の流転を表したもの。それを辿り進化を追い求めて進む世界の中心、中心が空白なのは世界の中心だからか生物が未だに完成してないからか、おぉー。これはなかなかにアートだ、想像力を掻き立てられる。お主が良ければ私が買い取りたいほどだ。」

 

 

「ダメ」

 

 

興奮して春日部問う、白夜叉

 

 

即答する春日部。白夜叉からあっさりと木彫りを取り戻すと白夜叉は未練がましい顔をして春日部が木彫りをつけ直すのを見ていた。

 

 

「んで、それは一体どんなギフトなんだ」

 

 

「それはまだ分からぬ、店のギフト鑑定士を呼ばないとな、だがもう店は閉まっておるぞ。」

 

 

「えっ!白夜叉様は鑑定できないのですか?今日はギフトの鑑定をお願いしにしたのですけど。」

 

 

「ぇ、まさかのギフトの鑑定ぇ。専門外どころか無関係もいいとこなのだが。」

 

 

白夜叉はゲームの報酬に依頼を受けるつもりだったようだが、思いのほか難しいのが来て困惑しているようだった。

 

 

「うーん、四人とも素養は素晴らしそうだ、だがこのままではいかんともしない。お主ら自分のギフトに冠してどこまで知っておる。」

 

 

「企業秘密」

 

 

「秘密主義」

 

 

「右に同じ」

 

 

「以下同文」

 

 

「うおおーい!対戦相手にギフトを教えるのが怖いのは分かるが、それではなにも始まらないだろうに。」

 

 

ハッキリと拒絶した四人に白夜叉ははァとため息をついて、少し考える。そうすると妙案が浮かんだように手を叩いてつげる。

 

 

「まあこれでも主催者、星霊の端くれとしてゲームをクリアしたおんしらには報酬をあたえねばの。ちょいと贅沢品だがお主らならうまく使うだろう。」

 

 

白夜叉はそう言って一つ拍手をする。

 

 

そうすると四人の頭上にそれぞれカードが現れる。

 

 

コバルトブルーのカード、逆廻十六夜“正体不明コード・アンノウン”

 

 

ワインレッドのカード、久遠飛鳥“威光”

 

 

パールエメナルドのカード、春日部耀“生命の目録ゲノム・ツリー”“ノーフォー

マー”

 

 

パープルシルバーのカード、大鮫大牙“人魚の寵愛”

 

 

「ギフトカード?!」

 

 

「お中元?」

 

 

「お歳暮?」

 

 

「お年玉?」

 

 

「ご祝袋?」

 

 

「違いますよ!というかなんでみなさんそんなに息ぴったりなんですか!?これはギフトカードと言ってギフトを自在に収納できるとても高価なものなのです。」

 

 

「つまり、超素敵アイテムってことでいいのか?」

 

 

「ああーなんでそんなに適当なんですか!そうですよ!その超素敵アイテムってやつです!」

 

 

「そのカードの正式名称は“ラプラスの紙片”と言って全知の一端に当たるギフトだ。そこに書いてあるのはお主らの魂にあるギフトネームだ、鑑定は出来ずとも大体のことはそれで分かるだろう。」

 

 

(恩恵だと?これは恩恵なんかじゃない。これは”呪い”だよ。決して恩恵なんかじゃない)

 

 

「へぇなら俺のはレアケースなわけだな。」

 

 

何?そう言って白夜叉は十六夜のギフトカードをみる。そこには確かに“正体不明”と書かれていた。ケラケラと笑ってるが反対に白夜叉は厳しい顔をしていた。

 

 

(“正体不明”だと?!ありえんラプラスの紙片で分からないことなど・・・まさかギフトを無効化した?)

 

 

いやそれこそありえないと白夜叉は自分の考えを否定する。

 

 

この箱庭ではギフトを無効化するギフトは確かに存在する、だが十六夜は既に蛇神を打ちのめすギフトを持っており、その上ギフトを無効化するギフトではその存在同士が大きく矛盾し合うため、同一のギフトととして存在することができないのだ。

 

 

(恐らく、ギフトカードの故障だろう。)

 

 

そう、白夜叉は結論づける。その方が有り得る話だからだ

 

 

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