いま、モビー・ディック本船に乗る権利が奪い合いになっている。でんでん
「本船の奴ら羨ましい……ばり憎いわ……! 見てん、あの人っ子一人見えん甲板。アイツら船ん中で読み聞かせ聴いとるったい。おかしかろ?」
モビーに随伴する船の一つを任された男は副船長の肩に腕を回して引き寄せ、自分が指差す方向つまりモビー・ディックの甲板に目を向けさせる。しかし当の副船長は呆れ顔だ。
「やや、センセーほぼ週一でうちらの船にも来てくれるやん。リクエストも聞いてくれるし……。この二年間一度も聴けんで飢えとる他の海賊連中と比べたら……な? 天と地やん?」
「やけん本船は毎日昼飯食いながら聴いとーとよ!? はァ!?……って、な?」
「まあそりゃな、
「お前には失望した」
「ビビるやろがい、おま、いきなり共通語しゃべんなや」
――そんな会話が繰り広げられているのと同じとき、モビーの食堂には、女の声だけがおっとりと響いていた。
「そんなレッカを影から見つめる男が一人。つるりと丸い仮面を付けていて造作は窺えないものの、彼はレッカと同じ黒髪で、指先まで闇に紛れる服装をしている……」
手書き原稿を手に朗読しているのは白ひげ海賊団の二代目船長・エースの遠縁のおば、マリンローズだ。彼女いわく「エースは炎の能力者だからコレにハマること間違いなしあます」とのことで、昼食のたびに『炎の超能力を手にした少年の物語』を読み聞かせている。
ライバルとの友情、甘酸っぱくキラキラしい恋、手に汗握るバトル、ちょっとエッチな描写――少年らの好む要素が詰まった物語を白ひげ海賊団の面々は熱烈に歓迎した。
そう、本船の彼らはリクエスト
すぐ隣を航行する博多弁と関西弁がそれを聞いたら迷わずモビーに放火することだろう。
さて、今日の読み聞かせを終えてマリンローズが休憩を取りに部屋へ下がると、食堂は息を吹き返したようにざわめき出す。
「センセーの読み聞かせはやっぱいいな……おれらはこの声で育ったんだって思うと胸がいっぱいにならぁ」
一人がそう言えば周囲の何人もが頷く。
「読むスピードとか、声の調子とかな、電伝虫越しでも聴きやすいようにハッキリしっかり喋ってくれてんの。そういう心配りしてくれるところマジでママみがあるんだよな」
「先生の声は疲労回復に効く。だってホラ見ろよおれのこのお肌。先生がモビーに来てからピチピチなの、十代前半かよってレベル」
「お前は前からピチピチだろ、シャツが」
「ワンサイズ大きいの着ろよ」
話題はすぐに逸れるが、すぐにまた戻る。
「まあ、先生のママみが誰のためのママみなのかって言ったら……船長だよなぁ……」
「主人公がメラメラの実っぽい能力の主とかもうそんなのママの愛だろ。愛が海より広い」
「船長のおこぼれでもいい。新作面白くて楽しいです……ありがとママ……」
物心ついた時分には既にラジオが身近だった面々にとってマリンローズは「頻繁に世話を見てくれた近所の姉ちゃん」や「第二の母親」のようなものだ。マリンローズがエースのためにあれこれと手配するのを見ても、さほど心が波打たずにいられる。
羨ましくないかと言うと別の話だし、例外もいるが。
しかし、マリンローズ(の声)と少年期に出会い、読み聞かせ物語とともに青春を過ごした世代――つまり四十路――は違う。同年代か年下だろう女の子が「大切なあなたのため」と読み聞かせをしているのを聞いてみろ……思春期の自我の拡大その他の要素が重なった結果、「コレ(大切なあなた)ってさ、おれのことだろ。へへ、困っちゃうなァ」と都合の良い思い込みをした者は数多いた。
そのガキくさい初恋から二十年以上が過ぎ、思い出はとっくに錆びついていたが――「声の本人との対面」という供給により経年の錆が剥げ落ちる。
木製の椅子をガタガタ言わせエースの隣に腰掛けたのは、隊長の一人――鮫魚人のナミュールだ。もともと前傾姿勢の体を更に前のめりにして縮みながら、おずおずとエースに声を掛ける。
「なあエース。聞きたいんだが……あー……おじさんも欲しいとか思わないか?」
「ナミュール……。それ言い出すのさ、お前で五人目なんだわ」
ナミュールはエースの呆れ声に「ハッ」と目を見開き腰を浮かす。
「五人目ということは、ローズさんはもう誰かとお付き合いを!?」
「してねーよ」
「なら良かった」と安堵した様子で椅子に座り直す魚人の男へ、エースはテーブルに片肘を突いて向き直る。
「おばちゃんの前に辿り着くまでに、ハートの海賊団と九蛇海賊団を乗り越えなきゃいけねーけど、自信あるか?」
ハートの海賊団は口撃で心を折る。――容姿、財産、強さ、その他様々な要素において一流であることを求めてくるうえ、少しでも不足があるとハートのクルー全員に囲まれて「それでマリンローズさんとお付き合いしたいなんてよく言えるな」「恥を知れ恥を」と口々に罵られる。もちろん一つでも不足する要素があればその場で敗退だ。
九蛇海賊団は誘惑で心を折る。「ボア・ハンコックのメロメロ
「九蛇もか……」
「面倒に感じるだろうけどよ、まだ二つだけなんだからマシだと思うぜ。おばちゃんのことをビッグマムに嗅ぎつけられたらお前も他の連中もスタートラインにすら立てねえよ」
我が強すぎるうえ手前勝手極まりない主張だが、それを論破できる者はいない。
なんせビッグマム海賊団は公式版の出版権を得るためにライバル全てを殲滅した海賊団であり、また、祝砲と称してドレスローザに砲撃した最初の海賊団でもあるのだ。ビッグマムが「おれこそが相続人」と言うならそういうことにしよう。くわばらくわばら。
ならば、動くなら今だ。ビッグマムにマリンローズの生存を嗅ぎつけられる前にゴールイン、これしかない。
――異常しかないこの婚活戦争の勝利は誰の手に渡るのか? 白ひげ海賊団船員約五万人を野次馬に、バチェロレッテ・モビーが、いま、幕を開ける。
ちなみにマリンローズとの交際には自動的に元婚約者ドフラミンゴとの確執や大親友シャーロット・ブリュレによる嫉妬、聖地からの刺客その他様々な生命の危機が付属する。
そんなバチェロッテに参加しようという
****
エースから「おばちゃん、これ」と渡されたのは五枚の手配書で、その全員が白ひげ海賊団の隊長とかそのあたりだった。
「え、これが何? これをどうすればいいの?」
「こいつらの中で『どうしても生理的に受け入れられない』ってヤツ、いる?」
「え……? どういうこと? 面接でもするの?」
「面接って言えば面接だな。で、どうよ」
一枚目は強面だけど強くて優しい(らしい)ジョズさん、二枚目はザ・女形って格好をしてるけど体幹がしっかりしてて腰回りも厚いイゾウさん、三枚目は泳ぐのが速そうな鮫魚人のナミュールさん……手配書の順番にあからさまな意図が透けて見えて笑うに笑えない。
「――とりあえず、この手配書用意したのって誰あますか?」
「え、おれだけど」
エースにはそんなことをする頭などない。そっか、私がうがち過ぎてたのか……。
大人になるって嫌だね、心が世俗の煤で薄汚れちゃったような気持ちになる。汚れちまった悲しみに。
「そっか……うん、全員特に好きでも嫌いでもないかな。生理的に無理って人はいないあますよ」
手配書をエースに返してそう答える。
何の面接か知らないけど、私にそう訊いてくるということは……私の護衛を決めるためのものだろうか? 私が白ひげ海賊団が支配する地域の島に下りる機会もあるだろうし――そうだ、大きな島に下りられたなら本屋に行ってみたい。ブリュレちゃんたちが監修してくれた公式海賊版が本屋に並んでるのを見たい。
原稿も溜まってきたから印刷屋にも行きたいな。本の形にしたいと思ってるものが何冊分もあるから。
「わちしの知る限り、この五人ともみんな素敵で良い人あます。わちしはそういうことはよく分からないし、選べる立場でもないから……そちらで決めてくれればそれに従うよ」
言い訳させてほしい――知らなかったんだ、私にモテ期が来ていたなんて知らなかったんだ。自慢ではないが私は前世と今生を合わせればウン十年モノのガチの喪女……レッドラインの鉄の処女とは私のことよ。よって、自分に向かうラブの波動を察知する第六感の持ち合わせなどない。モビーに乗ってからずっと続いてるイゾウさんのあの態度だって「ファンサやばいな」としか思ってなかったのだ。エースの唯一の親族だからファンサしてもらえるのかも、とか思ってた。
だから、そうなのだ。知らなかったのだ――知ってたら迷わずイゾウさんを選んでた。だって毎日見るならイケメンの顔がいい。ツラの良さは他の全ての欠点を補って余りあるって田舎のばっちゃも言ってたもん。えーんイケメンのイケメンムーブ毎時間吸入して過ごしたいよー!
イケメンにイケメンボイスで「おはよう、よく眠れたか?」とか囁かれたいでしょうよ、普通に考えて。それにイゾウさんは「歳を重ねて色気を増した四十路男で二丁拳銃でチラリズムの胸元がムキムキな女形の男」だぞ? そんなのゴールインしてハッピーエンド迎えたいに決まってる!
モテてるよって教えてよぉ!!
「頼むわね」
――だけど知らなかったから。そんな事情があるなんて全くこれっぽっちも知らなかったから、手を振って部屋に戻った。
エースは絶対に許さんからな。
****
誰よりも先に食堂へ入ったサンジは、さっき――数十分前――ルフィに投げ渡された紙袋をポンとテーブルに放った。
食堂の本棚に突っ込んでおいてくれと言っていたから、紙袋の中身は本なのだろう。
これのせいで片腕を使えないまま海軍と追いかけっこさせられたのだ、扱いが適当になるのも仕方ないことだろう。
新しいタバコに火をつけて一度飲む。煙をぶはぁと口から吐き出して紙袋を片手で持ち、逆さにした。
次の瞬間。「キャー!!」とカマバッカ王国に染まりきった悲鳴が上がる。
「どうしたサンジ!」
「虫でも出たのか!? 燻煙剤要るか!?」
どたばたと足音をさせて先ず食堂に駆け込んできたのはルフィとチョッパー。その後ろからゾロたちも「次は何だ!?」と駆けつける。
サンジはぶるぶると震える手で視線の先――テーブルの上に転がる本を指差した。
「これ……こいつぁ……」
タバコがぽろりと落ちる。
「ご本人版を、どうしてまた、この野郎、ルフィ……!」
サンジの途切れ途切れの罵倒も当たり前のことだった。ドタバタとシャボンディ諸島を発ったばかりで気が立っていたところ、新たな火種を投げ込まれたようなものだ。
テーブルの上にころんと落ちているのは、マリアローズ宮本人から入手するほかない本人版「ヤマタノオロチ退治」と、一年半ほど前からアンダーグラウンドで流通するようになった海軍発禁本「RRR」。
本人版の価値を知るナミ、二冊の価値を推察できるロビン、そしてチョッパーが「えええー!!」と叫んだ。
「なんだよぉサンジ、本棚に入れといてくれっつったのにィ……」
事の大きさが分かっていないらしいルフィはびよーんと腕を伸ばして本を取ると、私家版でみちみちに詰まっていて隙間などほとんどない本棚にそれを無理やり押し込んだ。今度は「ひえええー!!」と悲鳴が上がる。
「る、ルフィ、あんたってヤツは……! 本人版の価値を知らないの!? それにラジオの主マリアローズ宮はあの日から行方はもちろん生死すら不明! 二度と手に入らないお宝よ! そんな雑に扱うんじゃないわよーっ!」
「へー」
「本人版ねェ……おれは文字が印刷されてる本より白紙のノートのがいいと思うぜ。そしたらなんだって書き込めるだろ? な?」
「だよなぁ」
「まっ……おっ……ぶくぶく…………」
本は本であってそれ以上でもそれ以下でもないというスタンスらしいゾロやフランキーと、白目を剥き泡を吹いたサンジを横目に、ナミはルフィのびよんびよんと
本人版に折れ目などがついていないか確認して、ほっと胸を撫で下ろす。外側は新品同様の見た目だ。だが――
「ナミの言うとおりだぞ、ルフィ……。本は雑に扱っちゃダメだ」
「そうね、本がすぐに悪くなっちゃうわよ――それで
? 本人版っていうのは本当なの?」
二人はそうルフィを叱ったが、本人版という付加価値についてはチョッパーもロビンもきちんと理解はしていないようだ。二人とも「本を大事にする」という考えはあっても、本人版の価値――たとえばナミの故郷コノミ諸島であれば、全ての有人島を買ってもお釣りが来る――を分かっていない。ナミの焦る気持ちを理解してくれる人が一人もいないのだ。
ウソップも本を書く側のせいか「楽しく読めたらそれでいいだろ。私家版とかなんとか版とか考えないでさ」などと言っている。
ウソップは今回も役に立たない。
「――それに、何よこれ!? ページがスカスカ、大量に切り取られてるじゃない!!」
ナミに詰め寄られたルフィは「それがどうした」と言わんばかりの表情で、頭をぐにょりと横に倒した。
「うん。エースとサボに好きなページやった」
――ルフィが初めて手にした本は、ガープに渡された「ヤマタノオロチ退治」だ。
そのとき七歳かそこらだったルフィに、ガープは本を差し出してこう言った。
「ラジオ聴いとるだろ? わしの孫にな、お前に本をやりたいからいい本選んでくれとあの人に言うたら、これをくれたんじゃ」
つまりその本は、ルフィが好きにして良いたった一冊の本だった。
マキノによれば、「文字を読めるようになったら、ルフィが生まれるより前にラジオで流された物語を知ることができるし、好きな物語を好きなときに何度でも楽しむことができるのよ」という。それまで文字や単語に興味関心のなかったルフィだったが、「いつでも楽しめる」という言葉にがぜんヤル気を出した。
はじめはつっかえつっかえだった音読も慣れれば滑らかになり、ハキハキ読み上げれば酒場の客にも好評でオヤツなどをもらえた。誰かが持ちこむ私家版を借りては読んだ。
ダダンに預けられてからはエースらと三人で一冊の本を覗き込んで、どのシーンが好きだとかそういう話で盛り上がった。
何度も何度も指でなぞったせいでページの文字は掠れ、表紙の厚紙は手汗や雨で膨らみ歪んだ。綴じ糸が一部剥き出しになりほつれていった。しかし三人にとってそんなことは何の問題にもならなかった。
なんせ、この本だけは、暗唱できるほどに読み倒していた。文字が少しくらい掠れていようがページが脱落しようが、足りない部分は記憶から補える。
思い出の詰まった本だ。ルフィたち三人兄弟の繋がり全てを見てきた本だから――三人で分け合いたいと思ったのだが、当の本はサニー号に置きっぱなし。仕方がないので同じものをもらい、それをエース、サボ、ルフィの三人で分けたというわけだ。
文句を言うに言えなくなったナミをよそに、チョッパーは「義兄弟、いいなぁ〜」と身をくねらせたし他の面々も「素敵な絆だな」と笑顔だ。
「でも、これ一冊で……これ一冊で……! くっ!」
「もう切っちゃったものはどうしようもないわね……。たしかに市場での価値はなくしたかもしれないけど、ルフィとルフィのお兄さんたちにとってはそうじゃない。それでいいんじゃないかしら?」
解体のショックが大きすぎて……または兄弟の絆に心打たれて、どこで、どうやって、誰からこの本を入手したのかを聞き忘れたまま――麦わら海賊団の冒険は再び幕を開けたのだった。
****
麦わらのルフィが仲間と共にシャボンディ諸島を発ったらしい。その知らせ――新聞をニュース・クーから受け取り、マルコは目を細めた。
そこに島民らから「おかえりぃ」と声をかけられて「ただいま」と笑顔で手を振る。
モビーで預かった荷物をしっかり持ち直し、つま先を丘へ向ける。
ここは白ひげ海賊団の支配下の有人島。港は島の一部を丸くえぐったような形になっていて、外からの波が直接響かず水面は穏やかだ。そして港に並んでいるのは小舟ばかり――島の周囲は遠浅。明度の高いマリンブルーが広がっている。
中型船以上の船では乗り付けられないこともあって島の治安は良いのだが、つまり、モビー・ディックもこの島へは近寄れないわけだ。白ひげ海賊団の面々は今頃エンヤコラ小舟を漕ぎ漕ぎこっちに向かっているはずだ。
ゆっくり目的地に向かえば追いついてくるだろう。
そう考えていたマルコの予想は外れ、しばらく歩いても誰も追いつく様子がない。話好きの島民らに捕まっているのだろうか――まあ、そのうち来るはずだ。きっと。
港から歩いておよそ十五分。眼下の断崖に打ち付ける波音がドドン、ドドウ、と響く岬に、クジラを模したデザインの一軒家があった。造形はデフォルメされていて愛嬌がある。
マルコはクジラの側面にある巨大なドアを開け、新聞を頭上に掲げた。
「帰ったぜ、オヤジ。――あと、これ。エースの弟は無事出発したらしいよい」
出発前に海兵と追っかけっこしたと書いてあったが、海賊をしていればよくあることだ。
「グラララララ! おう、そうか、出発したか!」
窓際の安楽椅子に沈み込んでいた男――白ひげはマルコの言葉を聞くや、肘掛けを掴んで背中を浮かせ椅子から身を乗り出した。その勢いのまま立ち上がった巨体は以前より大きく見える。
血色が良い額と頬、シャツから覗く首や腕は力強い。部屋の壁をびりびり揺らす笑い声にも張りがある。
キッチンの扉が開いてコックが顔を出した。コック長の怒声と鍋やらなんやらの音がガチャガチャと居間に漏れてくる。
コックは白ひげとマルコを見比べると「マルコだけか、他のみんなはどうした」と訊ねてくる。
「島民に捕まってるのか、まだ来てねえよい」
「そうか。そろそろ仕上げだからもう着いといてくれねぇと困るんだがなァ……困ったなァ」
ドアが閉まると、調理道具の大騒ぎは聞こえなくなった。
白ひげの寝室とキッチン以外は全て居間という間取りの一階は広々としている――ちなみに便所と風呂は外だ――。白ひげ用のお誕生席、長テーブルの左右に三十人分の椅子が並ぶ。
パーティをするのだ。
――数年前まではナースが常時十人ちかく付き添わなければならない身だった白ひげだが、ローの協力とイワンコフによるホルモン投与その他のおかげで、今はナース三人が昼間に交代勤務しているばかり。検診も二ヶ月に一度受ければ良いほどに回復した。
なお、この定期検診は三年内に再発する可能性があるためであって体調が悪いためではない。
白ひげは元気だ。それは血色にも声の張りにも表われている。……となれば、感染症を持ち込むかもしれないからと制限してきた白ひげ海賊団の面々との面会を認めてもいいのではないか?
半月前の血液検査結果を見て、ローも、マルコも、頷いた。
人数を絞っての面会なら、問題ない。
次の瞬間、ドアが爆破されたような音が響いた。
「おやじー!」
「おおおおおやじぃ!!」
「おやじっ!」
島民を振り切ったらしい。ドアを蹴倒す勢いで入ってきた者たち――何十年も白ひげと共に歩んできた隊長格や麾下の船長たちが競泳の飛び込みよろしく居間の床にダイブし、転がる。
ドア付近には親亀から数えて六親等の昆孫……孫の孫の孫亀まで積み上がった。亀たちの親、白ひげはくしゃりと破顔して両腕を大きく広げる。
「おう、お前ら――元気にしてたか?」
ローズの駄々を書くのが楽しすぎて書き足しては削った。
掲示板回要る?
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掲示板回も書くっきゃ騎士団
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本編を進めよう、話はそれからだ