『マナナの料理は美味しいですもー!』に殺意を覚える監視の2名 作:気力♪
現在、私の心は折れかけている。
ウロボロス達は現在、フォーニス地方を抜けてテンペラス地方方面へと向かうインヴィディア坑道の中にいる。
ここのエーテル鉱石は質が良いもので、レウニス部隊の誰かがコレペディアカードに登録していた記憶があったりする。割に合わないしそいつの喜ぶ顔なんぞ見たくもないのでやる訳がないけれども。
閑話休題
ウロボロス一行は坑道内で戦闘中だ。仕掛けているのはアグヌス側のコロニー。地理的に近い事、自立型レウニスを主力に使うことからコロニーラムダの部隊だろう。彼らは自立型を使う戦術のエキスパートなのだ。*1
そう、自立型レウニス。
奴らには人が乗らず、自動で動く。
そして当然ながら、自動で発生した戦闘行為についての分析を行うために高度な測定機器が搭載され、映像、音声の記録を行なってもいる。
奴らは、ありとあらゆるデータを記録しているのだ。人が見落とすような僅かな痕跡でさえも見つけてしまえるように、細やかに。
「逃げよっかな……」
一応、ロストナンバーズ熟練の連中は見つかった瞬間にレウニスを破壊して、データの共有をさせないという事をしているらしい。そんな事が人間に出来てたまるか。*2
「シャナイア、二号ならやれるよ?あの型の壊し方は慣れてるし」
「それでボロボロ鉄騎兵が壊れたらどうすんのさ。アンタが捕まって『仲間がいるのか?』とかになったら私の方も巻き添えになる」
「えー?シャナイアならいけるって」
「無理だから。私に幻想抱きすぎないで」
などとこそこそ話しているうちにウロボロス共は追い込まれた。というよりも自ら進んで向かったのか?あの激しい流れで何が混ざってるか知れたもんじゃない排水路に。
「ちょっと待って。いや待ってお願いだから」
『瞳』に地図を出す。この排水路の出口になりそうなのは、デカい滝の周辺だろうか?排水路がどこに出るかなんて知っているものかよ!*3
アタリをつけるにしたってバカみたく広いが、追いかけて水路に飛び込むのは無理だ。存在がバレるだろうし、普通に死ぬ。*4
「仕方ない、出来るだけ先回りするよ。二号、アンタの透過迷彩に相乗りさせてもらって良いよね?」
「オッケー!狭いコクピットですがどーぞどーぞ」*5
鉄騎兵のコックピットはとても狭い。だが、13かそこらの小さなガキである二号と、誠に遺憾ながら成長の乏しき私の身体ならばぎりぎり二人乗りできたりもする。とても狭いし、パイロットスーツの金具なりが素肌に当たって地味に痛いけれども。
鉄騎兵の透過迷彩で包囲網を抜けていく。
どうにも敵方は元より水路に誘導するつもりだったようで、包囲網は見せかけのハリボテだった。これなら普通に行けたわちくしょうめ。
……嘘だ、見つかるか見つからないかは半々くらいだろう。兵士の様子はおかしいが、兵士の練度はバカ高い。
「とうちゃーく。綺麗な眺めだねー」
「本当にね。これで視界の端々に戦争の跡が無ければ最高なんだけど」
少しずつ心を開いてしまっている二号の感想を流して、この風景を見る。
こんなにも綺麗な光景なのなら、きっと過去の誰かはこの風景を絵にしてるだろう。そんなふうに自然に思い、時間を作って私も描いてみようかと思えてきた。
その数秒後に空にぶっ飛んでひっくり返る鉄巨神の光景を見て、私はもうあの光景のインパクトを拭えないと、諦めたのだけれども。
亀じゃないんだからひっくり返るな!*6
さて、ウロボロスはその後メビウスとの戦闘があったりとか色々やったが犠牲なしで切り抜けて、コロニーラムダの火時計をぶった切りコロニーを解放した。
コロニーが解放されるとどうなるか?決まっている、食事の時間だ……
あのノポン、『マナナのウルトラクッキングタイム』なのだ!
「ねぇシャナイア、どうせ食べなくなるだろうから、先に食材集めて来ない?」
「私らの料理で作る下手なモンだよ?余計に減るよ、腹は」
彼女の料理の恐ろしさは、肉体的な空腹ではなく、精神的な空腹、『美味しいものが食べたい!』というグルメ空腹中枢*7に影響を及ぼす類だからだ。
それに個人的にだが、同時に食べるよりかは時間をずらして同じ材料を出来るだけ使いたい。というのもある。
「さてさて、見てやろうじゃないか。コロニーラムダの料理って奴をさぁ!」
「出来るだけ簡単な奴でお願い!」
そうしていろいろあったりした後に彼女が作り出した料理。それは『大魚のふっくらツツミ焼き』だった。
材料は主にサモン。
サモンを塩だとか味噌だとかで下拵えして、キノコや豆とかと一緒にプレートラオブとかいう葉っぱで包む。
しっかりと火を通して、葉っぱの内部に熱とラオブの香りとかを通したそれが、ツツミ焼き、だった。
それだけならば、まだ良かった。
問題なのはそのツミミ焼きと一緒に出てきたもの。白い輝きを持ったその粒達は、人間の本能的な何かに語りかけてくる。『食え』と。
「バカな、コメヒカリだとぉ⁉︎」
「知ってるのシャナイア⁉︎あの輝きを⁉︎」
「シティでも栽培されてる作物だよ。バカみたいに水をつかうから何度となく他の作物に変えようと話が出て、その度に過激な反対派が出てくる魔性の食料。それがコメヒカリだ。正直単体だとそんなに馬鹿みたく美味いって感じはしないんだが、何かと一緒に食った時の爆発力はぶっ飛んでやがるのさ!聞いた話じゃ、アレに合う最高の料理を探しに旅に出た馬鹿はシティに多くいて、シティに知らぬ者も居ない『味噌キング』もその一人だったらしい」*8
あんなに美味そうなモノを生み出して、周りの仲間達を笑顔にする。なんなら一緒に料理をした人たちに技術を渡して彼らが作る食事のレベルすらも引き上げる。
恐るべきノポンだ。メビウス達はウロボロスより一行に同行してるあのトンデモノポン共を始末する方を優先するべきではなかろうか。そんな事を思いながら、野生のコメヒカリを食べれるようにするまでの工程*9を考えて絶望を感じる私だった。
なお、ツミミ焼きの方は若干火の通りが悪い気がするものの成功はした。珍しく普通に美味しく作れたのだ。
現在、二号がシャナイアについて行っているのは『理由がないから』です。命令されなければ何をしていいのか分からないので、なぁなぁとシャナイアに付き合っているので『未来にも現在にも目的はありません』