過去の女(誇張)に嫉妬して滅茶苦茶仲良く(隠喩)しようとするラニ様とかいう概念。

なおウチの褪せ人も女である模様。

ちなみに作者のエルデンリング理解度はあらすじを『宇宙の法則乱れたから直してこい。無理ゲーだから死んでも復活させてやるよ。まずは材料集めな』と語るぐらいです。
大切なのは世界観とか考察の鋭さじゃなくて嫉妬するラニ様だから。

pixivにも投稿してます。

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暗月の嫉妬

「これよりは、星の世紀……」

 

 ゆったりと伸ばされる青くたおやかな腕。

 

 これから4本の腕でも抱えきれぬほどの孤独を選んだ彼女だが、そこに震えや怯えはない。ただ為すべき事を為さんとする強い意志に支えられているから。

 魔術を、星を、神秘を、遥か彼方に隔離する。その為に、それら全てを率いて孤独の果てへ。

 

「さあ、共に行こう」

 

 だがその孤独には如何な妙あってか、道連れがいた。

 エルデンリングを掲げ、王となった褪せ人が。

 

 運命を鑑みれば、ある意味全てへの裏切りとも言える。

 本来なら、その神秘とエルデンリングで治世をするものだからだ。

 

 しかし裏切りも永遠も、こいつとなら悪くない。

 

 そう思うほど入れ込んだのは、運命には抗えても血は争えないということだろうか。

 夫に入れ込み、裏切られて心を亡くした母と同じように。

 

◆◇◆◇

 

 

「お前、臭いぞ」

「!?」

 

 永遠のふたりぼっちが始まってしばらく。

 

 暗闇を見て語らい、星を見て思案し、月を見て身を寄せる。

 停滞と安寧の満ち足りた時は、かつてラニが思った通りに悪くない。

 

 ラニのデリカシーに掛けた言葉は、ラニが連れてきた神秘ではなく、褪せ人が持ってきたエルデンリングを探求しているときに発せられた。

 

 宇宙の法則そのものともいえるエルデンリングが含む情報は莫大だ。入手しただけでも桁外れの権限を得はするが、それは完全な支配ではない。

 故に永遠に暇な二人は暇つぶしの一環としてエルデンリングの探求もしていた。

 

 ラニはともかく、褪せ人はそういう学問だの神秘だのには生来疎かったが、時間だけは無限にある。至難の業でちょうどよい。

 きっとラニの星と褪せ人のエルデンリングをどちらも完全に理解したとき、いわゆる『神』になるのだろうとぼんやり考えながら。

 

 今回探求していた部分は『死』。

 

 原理こそ理解していないものの褪せ人は何度か利用したし、ラニも儀式を行えば刃に刻印できる程度には精通した部分であると思われたが、意外と知らぬ要素は多く見つかる。

 

 そうしてラニは死への理解を深め……褪せ人を覆う異臭に気が付いた。

 

 褪せ人は反論する。

 あり得ない。『ここ』に来てから代謝は止まったも同然で、匂いが出る要因そのものが存在しないと。

 

「いや、それはわかってる。前々から存在はしていたが、私の死への理解が浅くて認識できなかったのだろう」

 

 やはり学のない褪せ人では付け焼刃の反論が精一杯だったようだ。

 知識が増えて見える景色が変わる。そんな経験は褪せ人にもあった。恐ろしき狂将が狂えども愛馬のために重力の魔術を行使していたとか。

 

 しかし気になることもある。

 

「何がだ?」

 

 褪せ人はラニに答える。

 なぜ自分に死の匂いが付いていたのか、と。

 確かに一切触れていなかったわけではない。それこそ死のルーンを利用した戦技や武器を使った経験はあるし、獣の司祭グラングに死の根を持って行ったこともある。何なら地下墓や英雄墓で墓暴きを働いた覚えもある。

 

 だが主な武器は輝剣の円陣を付けた打刀であったし、死の根など二桁も無い。墓暴きにしたってずっと潜っていたわけでもないのだ。地底人でもあるまいし、日光に当たった方が気分もよかった。

 

 それに死ねば全快して蘇るのだ。

 外なる神とかいう連中の差し金らしい紅い腐敗すら治るのに、匂い程度が例外というのも考えにくい。

 

「ふむ、それはそうだな……」

 

 少し考え込んだラニを見て、『私も多少は学が付いてきたかもな』などと考えている褪せ人。

 

「お前じゃないのかもしれないな」

 

 その呟きを褪せ人はさらに問う。

 

「つまりだな、何かこう、死の臭いがするような……物品か、魔術や祈祷。そういったものを持っているんじゃないのか?」

 

 なるほど。それなら辻褄は合う。

 

「よし、ポーチの中身を見せてみろ」

 

 そういうことなら、と褪せ人はラニにポーチを預ける。

 大方武器のどれかだろう。最初に見えるのは消耗品だが、少し奥まったところに……。

 

「おい、これは何だ」

 

 ラニが取り出したのは、武器ではなく白い光の球。

 はて何だったかと思案を巡らせるうち、もう一度ラニが言う。

 

「『帳の恩寵』だよな? これ。なぜ何も言わないんだ? 何か後ろめたいことがあるのか?」

 

 しばらく何も言わなかったのは、それがなんであるか完全に忘れていたからだが、ラニはそうと取らなかったらしい。

 

「忘れていた? 本当か?」

 

 じっとりとした瞳を寄越すラニ。

 4本の腕でがっしりと顔を固定され、顔が近づいてくる。

 

「これは確か、死衾の乙女に抱かれて受け取るものだったはずだが」

 

 いよいよ視界のすべてがラニで一杯になる褪せ人。

 普段の冷たくも美しい瞳は鳴りを潜め、一種の激情が見え隠れする。

 

 だが、腕や瞳とは違い、声はわずかに震えて。

 

「お前、抱かれたのか?」

 

 その強すぎる想いに気圧され、思わず目をそらしてしまう。

 何も言いはしながったが、聡明なラニにとってはそれで十分だった。

 

「そうか……」

 

 激情の割にはあっさりと体を離したラニは帳の恩寵を拾い上げ、褪せ人に投げつける。

 

「使え。そして失くせ」

 

 言われたとおりに使い、褪せ人の体幹が強化される。

 効果を実感している間に、ラニが飛びついてきた。帳の恩寵の体幹強化もあって抱き留められたが、普段なら倒れ込んでしまいそうな勢いだ。落ち着いた彼女がこれほど素早く動くことは稀で、抱擁への歓喜よりもそのことへの驚きが勝ってしまった。

 

「おい、そこは倒れ込め。そうでないと始まらないだろう」

 

 何が? と問うほど褪せ人は愚かでなかった。

 それは始まる事を察していたからではなく、この期に及んでそれを問うことが彼女の機嫌を激しく損なうことを察してのことではあったが。

 

「私はお前のモノだ。だが、お前は私のモノだ。これからの未来も、今この瞬間も、そしてこれまでの過去さえも。全て私のモノでないと気が済まん」

 

 ゆっくり後ろに倒れ込みながら、ラニの言葉を聞く。

 

「だから、上書きする。私のモノということにしてしまえば、それで間違いない。お前がこれから何を抱こうと、絶対に私しか思い浮かばないようにしてやる」

 

 二本の腕で腰を抱き、一本の腕で胸を触り、最後の一本で頬をなでる。

 普段は冷静で怜悧で超然としたラニが、今は独占欲の強い等身大の女性になっている。

 

 褪せ人はラニの額に唇を落とし、二本だけの腕で体を抱きしめる。

 人形というくせに柔らかくて温かい。

 

 計6本の腕で二人の服をしゅるしゅると脱がしながら、今更気付いた彼女の温もりに褪せ人は苦笑した。

 

◆◇◆◇

 

 一通り終わって。

 睦言を交わす中でラニは知った。

 

 『抱かれた』というのは本当にただ抱きしめられただけで、今ラニとしたような交わりは無かった事を。

 全ては己の早合点であったことを。

 そして早合点してしまうほど、己はその『疑惑』にすら耐えられなかった事を。

 

 蒼い魔女は、ひどく赤面した。




続けるなら次はメリメリorハイータ
とはいえ大差なさそう。

特に関係ないことですが、作中の褪せ人描写は主に私の初プレイ時を使っています。
その時は女でしたが、特に関係はないことです。

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