続きを書いてたら何故か閑話が出来上がりました。他の方の二次創作見るまでまっっったく知らなかったけど今日はウタの誕生日ということもありちょうどいいんで投稿。
誕生日おめでとうございます。
次こそはローグタウン編。しばらくお待ちください。
──エレジア
ルフィくんは朝ごはん食べたら出たいとか言ってたけど、ウタ含めみんな出発の準備をしていないので出発は延びることになった。現在は女性陣がウタの、男性陣がゴードンの荷物を整理しているところである。……ウタの方はもう終わるけど。ほぼ服じゃん。あと映像電電虫。思い出の品…は置いていくにしても少なくない?
「あはは…。ゴードンもわたしも音楽ばっかやってたからね。エレジアに来る定期船では生活に必要な分しか買ってなかったんだ。だからもともと最低限のものしかないの」
「その“最低限”にこれ選んだの…?」
「……? なんか変?」
……? いや特には。かわいいと思うよ。このエビ?のギターする姿が描かれたシャツとか。
「かわいいよねー。何の生物かはわかんないけど」
「えぇ…。私にはすごくダサく見えるわ…」
ダサ…これが…? …やっぱりかわいいと思うんだけど。ウタと見合わせてお互い首をかしげる。外に出る服ではないとは思うけど、船内で着るなら別にいいんじゃないかな。…どうしたウタ、裏切られたような顔をして。
「……これって、その、いわゆる部屋着だったの?」
もじもじと指先を遊ばせて、後ろ髪をへにゃりと下げながらウタが聞いてきた。外出着ではないかなぁ。私の回答を聞いてさらに後ろ髪が下がる。
「なによ。これまで見せる相手もいなかったでしょうに」
「うっ……。いや、その……。配信でも何回かこういう私服で映ったといいますか……」
……あー、ナミくん。ローグタウンで服の用意を頼んでもいいかな。普段着もそうだけど、夏服冬服も。
「…任せてちょうだい」
代金は出すよ。
「やってみせるわ!!」
チョロいな。
「急な配信でごめんね、ウタだよ」
ナミがコーディネートした服を着て配信を始める。いつもは開始の時間を決めているからか、今回は集まった人が少ない。……うっ。「大丈夫だよ」「ウタの配信が見れて嬉しい」とかの声に混じって「今日はオシャレだね」って聞こえた……。やっぱりダサかったんだ…。
……気をとりなおして。
「今日はちょっと、みんなにお知らせしたいことがあって急遽配信を始めました」
ざわざわとする画面の向こうのみんな。察しがついていたりするのだろうか。
「……前にも話したけど、これまでずっとここエレジアで暮らしていたから、わたしは外の世界について知らないんだ。みんなのおかげで、海賊たちが、大海賊時代がひどいものだってわかったけど、でもそれしかわからなかった。……だから、実際にあちこち世界を見てこようと思う」
実は今回の発言はレコーの用意した台本に沿ったものだったりする。その台本の中には予想されるみんなの反応なんてものも載ってて、実際その通りに「危なすぎる!」「ウタは海賊の恐ろしさを知らないんだ」「やめておけ」なんて声があがる。…本当に、全部台本に載ってる。……こうなると、あのこともレコーの言う通りなのかな。
「ウタ、配信やめちゃうの……?」
そんな声が、あがった。誰が発言したのかとつい視線が向く。配信を見てから髪を二色に染めたと言ってくれた、小さな女の子だった。……この声は、台本には載ってなかった。…そっか。良かった。
「配信はやめないよ! 街に着いたらできるだろうし、もしかしたら船の中からも配信するかも。これまでみたいにやるのが難しいってだけ。海賊についても大丈夫! わたしも多少は戦えるし、仲間だってすっごく強いんだから! この前なんて賞金首の海賊をやっつけたらしいよ!」
……安心する声もあれば、納得する声も、それでも危険だと言う声もある。これまでは一つにまとまっていたみんなが、バラバラの声をあげている。視聴者から民衆になっていく姿を初めて見た。でも、そうだ。もともとは違う人たちで、だから考えも違って当然。…そういうことなのかな。レコーに聞いてみよう。
「だからしばらく定期的な配信はおやすみ。不定期にはなっちゃうけど、これからも応援してくれると嬉しいな。それじゃあ今日はお知らせだけの予定だったのでここまで。歌はまた今度ね。バイバイ」
……配信を切って、映像電電虫の調子を確認。よし、ちゃんと止まってる。配信に映らないようにしながら見守っていたレコーにサインを出してから近づく。…始まる前にもらったアドバイスを思い出す。
『ウタの配信が好きな人は大きく三種類に分けられる。「歌」が好きな人、「配信」が好きな人、「ウタ」が好きな人。それぞれ特徴があるんだけど…それは後で話すとして。今はまだ三つ目、君のことを好きな人の数は少ない。まぁどの種類のファンが多ければいいというものでもないけれど……「ファンの大声」に惑わされないでね』
ふんわりしすぎていて何を伝えたかったのかあまりよくわかんなかったけど、わたしのことを気にかけて言っていた。わたしが羽ばたけるように。押し潰されないように。だからわたしも信じられる。仲間でいられる。その思いに応えるため、自分からも歩み寄るための一歩として。あとわたしにもファンはちゃんといるんだぞって伝えたくて。「良かったじゃないか」なんて笑みを浮かべて手を振りながら言うレコーにハグをするのだった。
そこはハイタッチでは!?
お茶目さんだね 君が言うか