『皇帝』の茶会   作:exelion

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高級バーでの密会を目撃せよ!

「これ冷蔵庫になおしといてください」

「アイアイサー」

「っぷはァアアーー!!」

「晩酌は家でやれよ……」

 

閉まった店で酒盛りを始めるダメ女ミズキ、相変わらず機械を触る幼女クルミ、クソが付くほど真面目なたきなと、雑用係の俺。そこに、今しがた店の札を反転させた千束が深刻そうな面持ちで店内に戻ってくる。

 

「どうかしましたか?なんか今日は変ですよ?」

 

俺が地下に備えられた射撃場で訓練をしている間に、何か変なものでも食ったんだろうか。たきなが言うには、今日の千束は変らしい。俺が今日千束と初めて顔を合わせたのは今だから知らないのは当然だ。

まあでも、いつも能天気そうなやつが顎に手を当てて考える素振りをしているのはそりゃあ変か。

 

「……んー、先生は?」

「さっき買い出し行ったー……何ぃ~?もうおっさんが恋ちいのかなぁ?千束ちゃんは!」

 

ミズキの煽りにも大して反応せず、皆の居るカウンターへ近寄る千束。

 

「そんなことより、皆さん……」

 

如何にも重大なことを発言するかのような面持ちで、らしくない千束が告げる。

 

「「「ん?」」」

「リコリコ閉店のピンチです」

「「「「……え?」」」」

 

 

 

 

 

──────

 

 

 

 

 

「人のスマホを覗き見すんじゃありません」

「だって見えちゃったんだもーん!」

「……目がいいと余計なものまで見えてしまうんですね」

「はは、パンツとかな……イデッ」

「んで、メールの相手はDAの総司令だって?」

「なんでわかる?」

 

俺が死んでも顔合わせたくねぇ奴だ。面と向かったらマジで発砲されそうで。

空条承太郎でも少しの猶予は与えてくれるだろーよ……まあ、自分の方が強ぇって分かってるからなんだろうが。

 

「でも何で千束が戻ることとリコリコの閉店に関係があるんだ?」

「小さいとはいえ、一応DAの支部だからねぇ……ファーストリコリスが居ないと存続できないのよ」

「じゃ私が戻りますよ」

 

すかさずDAに戻る好機だと捉えたたきなだが、恐らく戻されはしないんだろうな。ミカから聞いた話だと、まあまあ手段を選ばないやつっぽいし。

 

「皆だってお店が閉店したら困るでしょ!?」

「まあ……私は養成所戻りですし」

「まだ此処に潜伏しないと僕は命が危ない……」

「俺はスタンドがあるから何とかなるだろうが……まあでも日本から出られなくなったら日本で『皇帝』をぶっ放すことになるだろうな」

「私は「ほら!こんな無敵の暗殺者、国内に放っておけるわけないでしょう!?」

「そもそも俺は無敵じゃあねぇ……閉店する前の日にでも俺を殺しゃあいいじゃあねぇか」

「私は!人を!殺さ「たきなが」

 

俺に向かって説教するように顔を強張らせていた千束の首が、グリンと回ってたきなの方を向く。俺の位置からじゃあ見えないが、恐らくたきなに対して俺を、というより人を殺さないように願ってるんだろう。

甘っちょろい奴だ。それでガキの頃から生き残っているんだっていうから、俺なんぞよりよっぽどバケモンだと俺は思うね。

 

「……殺しませんよ、心配しなくても……」

「まあ待てよ、メールの内容はバーで会うことだろ?別に千束を連れ戻す話じゃあねえかもしれねぇ」

「えー?でも先生と楠木さんとで話すこととか……ねぇ?」

「逢引の可能性もあるだろ」

「「ないないないない」」

「何でだよ、ありうる話だろ!」

「「ないないないないないない!」」

「……本題は此処からです、次に店長が外出した時に尾行すればわかる話です」

 

「俺は行かなくてもいいよな?」

 

「そうですね、流石に楠木司令には顔を覚えられているでしょうし、来ない方がいいかもしれません」

 

そこまで話して俺の方の話が終わったと解釈し、自分の部屋に戻る。

考えることも有るだろうが、明日のことは明日の俺が何とかするさ……。

 

 

 

 

 

──────

 

 

 

 

 

「……フゥ、こんなもんかな、っと」

 

今日は本部のリコリスがやってくるらしく、俺は地下の射撃場で身を隠している。

……最近の俺、射撃場に籠りっぱなしだぜ。

俺は最近跳弾の練習をしている。この射撃場の壁は固くできていて、『皇帝』でもブチ抜けはしないし、目立って損傷することも無い。

跳弾の利点としては、俺のスタンドには出来ない、「角度」をつけて曲げるということが出来る。

俺のスタンドは曲がっている際に大きく減速するが、跳弾であれば減速はしないし、遮蔽に隠れた敵も直線的にブチ抜くことが出来る。

最も一番練習しているのは、弾丸のパワーを落とすこと。弾丸は回転の力と速度で貫通していく。

弾の重さもある程度必要だが、俺のスタンドはハッキリ言ってパワーが過剰なんだ。

跳弾させようと思っても『皇帝』の弾丸のパワーが強すぎて物を跳ね返らずに貫通してしまっている。

その為にスタンドのパワーを落とそうと試みたものの、あえなく俺の策は撃沈していた。

 

「もう夜か……そろそろ行かねぇとな」

 

そろそろ行く。いや、本来は行かない予定だったんだが今朝、たきなが俺をミズキ、クルミと共に車で待機させると言い出した。

そんなわけで地下から一階まで上がってきたんだが、まだミカがいる。

 

「お、まだいるじゃねぇか……それより、何か食うもんねーか?昼から何も食ってなくて腹が減ってんだ」

「あ、ホルホースさん。おうどんでも湯がきましょうか?」

「いいねぇ」

「私も食べるー!」

 

他にも食うヤツが二人増えたようだ。だが、そんなことをしている場合じゃあないかもしれねぇ。

 

「あぁ、悪いが私は用事で外出する」

「あら、そう」

「戸締りを頼むよ」

 

ミカはそう言って扉を閉めた。

部屋に残されたのは静かな空間だったが、その中には5人の人間がいた。

静かだったのは全員が共通した思考になっていたからだ。

 

「「「よしっ」」」

 

示し合わせたように俺を含めて全員が動き出す。

各自がカバンなどに自分の荷物を詰めていく。俺も帽子を取りに行かねぇとな。

 

「言い忘れたがガスの元せ──どうした?」

 

マ、マズいぜッ!ここで「帽子を取りに行く」と言うのはマズいッ!俺はこの喫茶に泊まり込んでいるッ。つまり、千束やたきなのように外に出て自分の家には帰らねーってことだ!

俺が最近店内でテンガロンハットを被っていないのは店の人間全員が知っていることッ!

ここで帽子を取りに行ってしまえば「今からどこかに行くのか」という疑問が湧いて出るのはトーゼンのことだッ!そうなっては感づかれてしまうかもしれない……。

 

「いやっ……うどんは何処かなー、とっ」

「ここにうどんはありませんでしたー」

「あ、無いかぁ……」

「……俺はちょっとトイレ行ってくるぜーッ」

「あ”……行ってらっしゃいー」

 

オイッ千束、声が上擦っているじゃあねぇか。

だが、危なかったぜ。トイレと俺の部屋が一緒の方向で良かったァーッ。

 

 

俺を象徴するような帽子を被って戻ってくる。どうやら既にミカは出掛けたようだ。

潜入班の千束とたきなは既に着替えていた。

 

「何とか乗り切ったかぁー」

「荷物纏めましたか……って、貴方は持つ物無かったですね。それじゃあ行きましょう」

「おー!」

 

たきなのGOの合図に乗っかって張り切ったように手を掲げる千束。

一応俺もスタンドの状態を見ておく。いつも通りだな。

手を凝視しているからバレたのか、たきなに「戦闘をすることはない」と釘を刺される。

仕方なくスタンドを解除して、車に乗り込んだ。

 

 

 

 

 

──────

 

 

 

 

 

目的のバー付近の駐車場に到着、千束とたきなは車から出て店に向かっていく。

ハッキングされた街のカメラから千束達の映像がクルミのタブレットを介して映し出される。

 

「これ、店内も見えるのかよ」

「ああ、問題ないはずだ」

「いやぁー、ウォールナット様様ねー」

「すっげぇなぁ、アフリカにもこんなことが出来る奴がいたらいいのによォー」

 

生憎俺が拠点としているアフリカは貧困による紛争が未だに続いており、俺の仕事も大量に舞い込んでくる。

カネは大量に手に入るが、俺はそもそもハイリスクハイリターンは好きじゃない。しかも一人でってのはもってのほかだ。

このクルミのような奴が相棒に居れば、一番仕事にいいのかもしれない。支援役という意味で、役割被ってっけどなァーッ。

 

「お、入っていくぜ。ここにDAの総司令が来るのか?」

「多分ね。まあリアルで会わなきゃいけないような話なんて、そんなに思いつかないけどね」

 

少なくともアタシには、と括るミズキを横目にタブレットを見る。

 

『ようこそいらっしゃいました。恐れ入りますがお名前をお聞かせいただけますか』

『わさびのり子』

『かば焼き太郎』

 

嘘のような名前に思考が固まる。────なんて言ってた?コイツ等。

 

「そんな名前の日本人は聞いたことないぞッ!?」

「阿呆!そんな偽名があるか!」

「平気だって」

 

少し不安な気分になったが、タブレットに映し出された映像からは、そのまま店奥に入っていく二人が映っている。

 

「マジかっ」

「データしか信じない。人はどんどんアホになるなぁ?お前らも気をつけろー?」

 

クルミが画面の操作を切り替える。すると、映し出される映像が店内に変わった。

 

「お、まだミカだけか……オイ、スーツに、ネックレスだと?あんなの着てるの見たことないぞ」

「だぁから言っただろ?逢引だって。楠木が来る前に撤退した方がいい」

 

至極当然のことを言っているはずのクルミに、眉をひそめて渋るミズキに、何か引っかかりを覚える。

 

「だって楠木は女性だし……」

「……まさかとは思うがよォーッ」

 

『あっ、来た!』

 

無線からの声に、車で話していた皆がタブレットを凝視する。ミカの座るカウンターに、一人の男が近づいてきた。

 

「ったァァ──……逢引だなこりゃあ」

「……オイ、楠木は女って聞いていたが……」

「あぁ、アンタあんまり店番しないから見たことなかったっけ。あの人、うちにもたまに来る吉松って人よ」

 

吉松。どうやらミカがメールをやり取りしていたのはコイツだったのか。とりあえず店が潰れるという最悪の事態は回避したことに一旦安堵する。

 

「……え?」

『……えっ?』

『私としたことが……』

「まて、ミカは()()()()()?お前らそれ先に言えよー……」

「……つまり、ミカは」

「わー!言わんでいい!たきなも聞いてんだからさぁ!」

『行こう。邪魔しちゃ悪い』

 

ミカは同性愛者だったのか?……YES!YES!YES!“OH MY GOD”

 

どうやら千束達は撤退するようだ。……と、思いきや。

 

『ヨシさんだよ……!』

『ちょっと千束……!?』

 

「おいおい、何してる……?」

「はぁ、ホラ行くぞ!あ、ホルホースはちょっと留守番しといてね」

「あ、おい……はあ、クソ」

 

エンジンを付けたまま行っちまいやがった。タブレットもねぇんで完全に暇になっちまったな。

千束が暴走して接触しに行ったようだ。あのヤロウ、これが隠密作戦だってことを完全に忘れやがって。

 

 

仕方が無いので待って、10数分。

撤退するだけだったはずだが、なんでこんなに時間がかかっていやがる。

少し悩んだが、俺は車のエンジンを切ってキーを外し、車を出る。

 

「ハァ、手間かけさせやがって……」

 

車にロックをし、向かう先はバーのある建物。ガラスで仕切られたドアの向こうから、誰か、いや吉松が歩いてくる。

 

吉松が出てくるんなら千束たちも出てきていいと思ったが、まさかミズキの奴が飲み始めたんじゃあないだろうな。

ハッキリ言ってホルホースはミズキに信用を置いていなかった。

酒に酔ったミズキを引きずりながら帰んのかよ。気楽に考えていたホルホースは足を止めることになる。

 

「……君」

 

二人分の足音が、その場から消えた。もう一人の足が止まるのは少し遅れていた。自身の店の知り合いのことを考えていたためである。

ホルホースは先ほどまでの考えを即座に頭から失くす。考えたのは唯一つだけだった。『()()()()()()()()

 

「確か、ホルホース君……だったね?」

「……そういうおめーは何モンだ?」

 

悟られないよう『皇帝(エンペラー)』を握った右手を隠すように振り向き、二人は対峙する。

 

 

 

 

 

────

 

 

 

 

 

店を出た吉松氏に非礼の詫びと、少しの猜疑心を失くすために吉松氏を追いかける。

建物を出た直ぐで、今まさにタクシーに乗って帰るといった所の吉松氏と顔だけを向けるようにしたホルホースさんが立ち尽くしていた。そこで、少し注意して見れば、すぐに気が付く。

 

(ホルホースさん、握っているかは分からないけど、殺意を感じる……)

 

()()()()()、は完全に見えないだろう。しっかりとした判断は出来ないけど、一触即発といった様子はガラス越しでも伺えた。

私はエントランスで聞き耳を立てることにした。柱からずれてガラス一枚しかない。良くはないけど聞こえるだろう。

呼んでいたタクシーが吉松氏を乗せずにその場から去っていく。

それは恐らく、今ホルホースさんと話すことが出来たということなのだろう。それがどういった意味を孕むのか私には分からない。

 

いかにスタンドと言えども、手を向けた相手がいきなり不審死するような映像を記録されれば、最悪DAが強硬手段に出る。

私が京都、そしてDA本部に居たところでは対スタンド使いの勉強なんてしなかった。

スタンド使いみたいな超能力者を裁くための法律も聞いたことはない。

 

だが、そういう犯罪者を消すのがDAの仕事。それを知っているホルホースさんが先手を打つとは思えない。

 

たきなはそう考えていたが、ホルホースは実際に銃を撃たれれば普通に死ねるため、いつでも先に()()準備はしていた。

 

 

「タクシーを送ったってことは、「話し合う」ということと受け取るぜ」

「あぁ、それで構わないが、質疑応答は一回ずつだ。一回質問して、一回答える。これを繰り返さないと公平じゃない」

「OK。先ず聞くが、おめーの中で()()()()()()姿()を知っているのは何故だ?」

「何故、か。知り合いが君に仕事を一件頼んだようだね。そこからだよ。それに、この時代で君のような姿をしているものは、世界広しと言えどもそう多くはないだろう」

 

吉松氏が取り出した何かをホルホースさんが左手で受け取る。ここからじゃあまり見えない。

 

「……なるほどな」

「次は私の番だね。……君は、なぜ日本に居るんだ?君の仕事場はアフリカを中心とした紛争地域だろう?」

「……あー、言っても信じてもらえるかは分からんが、旅行だよ。金がたまったから、『世界一平和』だっつー日本にきただけだぜ。だから悪いが、仕事だって言うのなら受けられねぇな」

 

それは、前に言っていた。吉松氏は若干疑っているようだ。実際、彼の素性を知っているのなら信用できないだろう。……私も少し、信じ切れない。

 

「……まあ納得しておこう」

「よし、なら次だな。何しに此処に来たんだ?」

「……旧友と酒を飲みに」

「ッチ」

 

当てを外したようだ。というかそんなストレートな聞き方で他人の真意を聞けると思ったのだろうか。

ホルホースさんは意外と()()()()人なのかもしれない。

 

「……おや、もうこんな時間か。思ったより長く滞在してしまったな」

「質問しないのか?後一回だぜ。一回答えて、今日は終いだな」

「そうだね……じゃあ最後に」

 

「君はあの店で何をしているんだ?」

「ッ!!」

 

タクシーが吉松氏の前で止まる。

ホルホースさんを店で匿っているのがバレた……?そんなバカな、そうたきなは思う。

店で仕事をしているときにホルホースさんを見た事なんて()()()()ない。

 

……いや、でも、ホルホースさんが飲み物を取りに来たときや食事をするときには台所を兼用する厨房に現れる。その時に確認されたのか?

 

「しっかり『聴いた』よ。その目から、仕草から、挙動から、()()()()()。遊びなんて辞めて早く職場に帰りたまえ」

「……あぁ、帰るさ。言われなくても。俺をココに連れてきたのは俺であって俺じゃあない。『運命』がそうさせたらしい……。だから、遠くない未来に、俺は必ず『還る』んだぜ」

「運命ね……君は格好に似合わず意外とロマンチストなのか?」

「……俺の言う『運命』と、おめーの言う()()は一緒じゃあない。と言っても、俺が言ってる()()も他人から聞いたモンだがな」

 

吉松氏は聞きたいことが増えたかのように目を見開いたが、タクシーの運転手に促されたようで、ドアから車内へ消えていく。

ドアが閉まったタクシーが吉松氏を乗せて走り出した。

走り出した瞬間からホルホースさんは右手を向けていたが、タクシーの姿が見えなくなると右手を下げ、大きなため息とともに帽子を深く被りなおした。

 

私には分からなかった。聞きたいことを聞けたわけではないし、寧ろ悩みの種は増えたといっても過言ではない。

本当にホルホースさんは味方なのだろうか?

だが、吉松氏は、吉松は恐らく……

 

「オイ」

 

ホルホースさんに呼ばれて気づく。

は?え、なんで?気づかれた?

 

「な、なんで気づいたんですか?」

「仕事柄他人の殺気や視線は感じるんだよ。お前ほど長く見続けられるとな」

「……しっかし、アイツは分かんねぇな」

「……そうですね」

 

彼が指したのは間違いなく吉松の事だろう。

だが、私にとってはホルホースさんも()()()()()()()()一人だ。……けど、敵意は感じない。

 

「おーい、何してんだアンタら?」

 

エレベーターから不貞腐れたミズキやクルミ、千束、店長が降りてくる。

 

「ミズキ、おめーが遅ぇから来たんだっつーの!」

「何であたし限定なんだよッ!」

 

……何だか、ミズキがホルホースさんみたいになってきた気がする。何がとは言わないが。

千束と店長は若干居所が悪いようだ。……寧ろ申し訳ないのはこっち側な気がするけど。

 

こんないつもと違う雰囲気も、明日になればいつもの日常になるのだろうか。

私としては、ホルホースさんが敵なのか味方なのかをハッキリさせなくてはいけない。

 

恐らく、ホルホースさんはその気になれば千束ですら大した抵抗もできずに店の皆を殺すことは出来るだろう。

それをしないのは、協力関係であることもそうだが、一番はDAの組織全員に顔が割れて、狙われることだと思う。

ホルホースさんは『多対一』の構図が最も苦手だ。銃弾は一度に放てる回数は限られているし、心臓に銃が命中すれば死ぬ。

同士討ちの可能性を考慮しないのならば、二人がホルホースさんを中心に挟み込んで銃を撃つ。それだけで殺せるだろう。

 

「もう夜も遅いし焼肉食いに行くかァ~??」

「いいね!焼肉!」

 

それを実行する気は未だに無い。千束が信じている以上は、私からは何もできることはない。

今が起こりうる惨劇を止める最後のチャンスだったとしても。

 

たきなには分からなかった。ホルホースの真意が。

そう、分からない。現時点では、ホルホースの思いを誰も知ることは無かった。

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