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街を出た時、ガストンの胸にあったのはやってられないという一言だけだった。マイアもマイアである。ロイが好きならいっそ振ってくれれば良いものを、変に気を持たせるから期待してしまう。あの男なら、ヨハンならこんな時どう言うだろう、とガストンは考えてみた。お前の機嫌を取る事は俺の仕事か、それはお前の仕事じゃないのか、だがどうしてもと言うのなら十銅貨だ、払えば助言をくれてやる……大方そんな所だろう。だが今のガストンは金を払ってでもそのクソ助言とやらが欲しい気分だった。
「やってらんねーな……」
イスカには今夜には着く。ガストンはこの先の事を考えなければならなかった。
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「じゃあ……私達、明日の朝にはヴァラクへ向かうから……。シェイラ。今まで本当にありがとう。……ほんとうにっ……」
やれやれという顔でシェイラがセシルを抱き締める。シェイラの腰にはリズも抱きついていた。
「気にしなさんな。あんた達と組めて幸せだったよ」
リズも涙をぽろぽろ垂らして頷いている。
「ぜじるっ……ふくものちょうだいっ……」
セシルも欲しいと手を伸ばすので、シェイラはまたやれやれという顔をして布を取り出した。
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「貴様ァアアアア! カナタァ!! 借金の請求書が団に届いておるぞ! どこだ! カナタァ!」
ラドゥ傭兵団の本拠地の扉が吹き飛び、顔を赤く染めたラドゥが怒鳴りこんできた。ドアは木っ端微塵だ。木屑になっている。ラドゥの二つ名ともなっている重い波は寄せては返す波の動きを参考に、はつりの原理で物体を叩き壊す絶技であるが、その絶技をラドゥは自らの拳で放ってしまった。
彼がここまで怒るのも無理はない。ラドゥがカナタの借金を肩代わりにしたのは既に二度だからだ。普通だったら行状不良で叩ききっているが、カナタの神がかりとも言える勘働きはココ最近の依頼で数名の団員の命を救った功績がある。だからといって我慢しなければならない法はないため、今度という今度は骨の一本二本は覚悟してもらう、そんな決意で怒鳴りこんできた次第だった。団員達は青褪め口々にカナタについて話す。
「つい先ほど、今日は具合が悪いといって帰ってしまいました!」
「本当に具合が悪そうだったので……」
「捜索隊を編成しますか!?」
ラドゥの目が完全に据わる。かつてオルド騎士として辣腕を振るっていたあの頃の目だ。
「彼奴を引っ立てぃ!」
傭兵達が街へ散っていく。そしてカナタはその時、なじみの娼婦と良い事をしていた。
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「教師コムラード、その足なのですが治癒にはもう少し時間が掛かりそうですね。そこで提案なのですが……」
コムラードは禿げ頭に血管を浮かべ断固とした
「教師ミシル! 結構だと何度も言っております! 我輩の手足を平然と切ろうとしないで頂きたい! 我輩は生身が良いのです!」
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「そこでわたくしは彼のえげつない凝視を真正面から見つめて言いましたの! 戦士達は自らの命を勝利への必要経費だと考え(十分程話す)、ですがわたくしは全くビビる事はありませんでしたわ! なぜならば! わたくしには真の術師の魂が宿っているからですわ! さしもの術師ヨハンも(十分程話す)」
素敵です、アリーヤお姉様……とマリーが感激する。ヨハンとの模擬戦で情けない姿をさらした自分とは大違いだ、とマリーは思っていた。流石小炎姫、幼くして野盗を六人焼き殺しただけの事はある。だがアリーヤの話を喜んで聞いているのはマリーだけであった。ルシアンはマリーをみて喜んでいるし、ドルマは疲れている。