海兵ルウタ   作:ニドラン

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番外編:ハリケーン 海軍本部に接近!! その三

このssにはキャラ崩壊・設定捏造が含まれます

ご注意ください

 

 

 

 

 

アマゾン・リリーにおいて最も高く、最も堅牢な建造物…九蛇城。

そこにある女帝ボア・ハンコックの寝室にルフィはいた。両隣にはソニアとマリーもいる。

 

「まだか~?心配しなくても、もう海軍本部に来てくれなんて言わねぇぞ~。」

 

ベットに掛けられたベール越しに、ハンコックへと声をかけるルフィ。

もうすでに十分は待たせられている。

ベールの向こうからはかすかに衣擦れの音が聞こえてくる。

 

「…ソニア、マリー。ベールを開けよ。」

「「はい、姉様。」

 

やがて何らかの準備が終わったのか、妹に指示を与えるハンコック。

ルフィの前に現れた彼女の姿は、一糸まとわぬ全裸で合った。

 

「んん?なんで裸なんだおめぇ?風邪ひいちまうぞ!」

「………なんとなく、こうなる気はしてたが…本当に"男"なのか、お主?」

 

あまりにも平然としているルフィに、思わず脱力してしまうハンコック。

彼女が裸体を晒したのは、有り体言えば色仕掛けである。

己の美貌を"戦力"になると理解している彼女は、それによってルフィの本心をさらけ出そうとしていたのだ。

最もメロメロの能力が効かない時点で、あまり期待はしていなかったが。

 

「では率直に言おう。…そなた何が望みだ?」

「??? いやだから、もう本部には来なくていいって何度も言ってるじゃねぇか。明日には帰るよ、俺たち。」

 

ハンコックの問いに関して、首を傾げるルフィ。

彼の中で、この問題はすでに終わったものなのだ。

だが…ハンコックは止まらなかった。

 

「金銀財宝か?わらわたちの武力か?それとも‥‥わらわたち"女"が望みか?」

「いやだから!俺たちはもう何も「信じられぬっ!!!」………!」

 

誤解を解こうとするルフィの言葉を遮って、ハンコックが激昂する。

その顔には、溢れんばかりの敵意の表情が浮かび上がっていた。

 

「姉様!その男は、本当に我々を捕まえるつもりはありません!」

「そうです!先ほども‥‥私はその男に守られました!!」

「黙っておれ、マリー、ソニア。お前たちも知ってるはずじゃ…海兵がわらわたちの味方をするはずがないということを!!」

「…っ!!俺はなにもしねぇ…お前らを捕まえたりしねぇ!!」

「まだ言うかっ!!かくなるうえは、この場でその命を…っ!!」

 

もはや妹たちの言葉も聞き入れないほどヒートアップしたハンコックが身を乗り出す。

この場でルフィの命を奪うために…自分たちの身を守るために‥‥その時だった。

 

 

「そニョ男はそなたらニョ敵ではない!!話を聞きなされ!!」

 

 

現れたのは、杖をついた一人の老婆だった。

その手には世経…"世界経済新聞"が握られていた。

 

「「「ニョン婆!!」」」

「誰だバアチャン?」

「わしの名はグロリオーサ、皆からはニョン婆と呼ばれとる。」

「そっか、よろしく。俺は…。」

 

突然の乱入者に驚く姉妹と、挨拶を交わすルフィ。

自己紹介しようとするが…

 

「知っておるよ、モンキー・D・ルフィ少将…いや大佐じゃったか。」

「バアチャン、俺のこと知ってるのか?」

「調べたニョじゃよ、今回来る海兵がお主とウタ准将であることは事前に知らされたことじゃからニョ。」

 

さて、と三姉妹の方に振り返るニョン婆。

そのまま持っていた新聞をハンコックに手渡した。

渡された新聞の一面をみて、ハンコックは息を呑んだ。

 

 

 

【ルフィ少将、世界貴族の奴隷を逃がしスピード降格!!!】

〇月×日付けで史上最年少で少将に任命されたルフィ海兵が、それからわずか三日後に大佐に降格されることが判明した

ルフィ海兵は東の海にて、十数年前に"聖地 マリージョア"から脱走した奴隷を見つけるも

それが脱走奴隷と気づかず、それどころか奴隷が向かおうとしていた島まで護衛までしたとのこと。

これを受け海軍上層部は、ルフィ海兵の降格処分及び世界貴族の次期航海の護衛任務に就かせることを決定した。

 

 

 

「そなた、本当に…奴隷だと気づかなかったニョか?」

「いや、全然、これっぽちも、…気づかなかったぜ!」

「…嘘が下手じゃな、そなた……。」

 

冷や汗をかき、目を泳がせ、吹けてない口笛を吹くルフィに呆れたような眼を向けるニョン婆。

 

「‥‥仮に見逃したとしても、こうやって新聞のった以上この者は助からんだろう…。」

「いや、大丈夫だぞ!じいちゃんの知り合いでさ、こういう連中を匿ってくれるやつらがいてさ!

 送り届けた後でコッソリ連絡したら、もう保護したんだってよ。」

 

ハンコックの呟きに、安心させるように声をかけるルフィ。

どうやら本当に嘘を貫き通すのが下手なようだ。

それが…ハンコックの心を解かした。

 

「本当…なのか‥‥。」

「おう!保護してもらった奴と電伝虫で話させてもらえる時もあってさ、元気そうだったぞ!」

「ほんとうに…わらわたちを…わらわたちのひみつを、いわないでくれるのか…。」

「……言わねぇ!!誰にも!!俺が奴隷にされても、お前らのことは言わねぇ!!!」

「‥‥っっっ!」

 

繰り返されるハンコックの問い、二回目にしてルフィもそれが理解できた。

力強く応えたルフィに…ハンコックが縋り付いた。

この世の全てを魅了するその瞳から、ぼろぼろと涙がこぼれだしていく。

 

「ありがとう…ありがとう!!こわかった……また、あのじごくにぎゃくもどりするのかと…

 またいもうとたちをまもれなくなるのかと‥‥!!!」

 

敵だと思い込んでいた"男"に泣きながら縋り付くハンコック。

やがてソニアとマリーもルフィに顔を寄せる。

しばしの間、三姉妹の悲しみと恐れの涙を受け止め続けるルフィであった…。

 

 

 

十数分後、ハンコック達が泣き止むと、改めて今後についての話し合いが行われていた。

 

「して、蛇姫よ。海軍に関しては大佐どニョがなんとかしてくれるとして、政府の方はどうする?こちらのほうは、そう簡単に諦めんじゃろう。」

「う~~~ん、流石にじいちゃんも政府の決定捻じ曲げるのは難しいだろうな。あんまやりすぎるとセンゴクのおっさんも怒るだろうし。」

「…しかし、海軍本部いや聖地に近づくのは無理じゃ…。あの場所を思い出すだけでも体が震える…体が受けつけぬ……。」

 

政府の要請を無視し続ければ、諜報機関からのスパイが送り込まれる可能性がある。

そうなればボア三姉妹の秘密が暴かれるかもしれない。それだけはなんとか避けたかった。

 

「だから最初から言っておいたのじゃ、政府の要請に応えなされ!と…。」

「うっ…す、過ぎたことをいつまでも言うでない!ニョン婆こそ、妙案を思いつかんのか!歳を取って、増えたのは皺だけか!」

「なんじゃと!そなたも歳を取れば皺まみれじゃぞ!!」

 

やがてハンコックとニョン婆が喧嘩を始める…が、それは傍から見ると口うるさい母親と反発する娘のような姿でもあった。

 

「なあ、あの二人仲いいみたいだけど親子なのか?」

「血のつながりはないわ、でも天竜人の元から逃げ出した私たちをニョン婆が助けてくれたのよ。姉様もああいってるけど、本心ではニョン婆に感謝してるの。。」

「外界にもツテがあるみたいで、女ヶ島にないものを時々持ってきてくれるの、電伝虫とか。」

「電伝虫……そうだ!いいこと思いついた!」

 

そういって勢いよく立ち上がったルフィを四人が見つめる。

その顔はいたずらが成功した子供のような笑みを浮かべていた。

 

 

 

 

 

九蛇城にある宴会場、先ほどまで島中に聞こえるほど賑やかだったのが嘘のように静まり返っていた。

その場にいる全員がある女性海兵を見つめていた。

 

(綺麗だったもんなぁ、海賊女帝。ルフィも女の子に興味ないように見えてたけど、もう立派な男になってたんだなぁ…。)

 

ウタである。ルフィがハンコックの寝室に行って半刻ほど、彼女は宴会場の隅にずっと座り込んでいた、三角座りで。

その身体からは、見てるだけで気分が沈み込んでくるほどの暗いオーラが発せられていた。

 

(馬鹿だなぁ私。今までルフィに女っけが無かったからって油断して、なんのアクションも起こさなかったなんて…。)

 

凪の海に囲まれた女ヶ島は容易に立ち入れる場所ではない。

だからだろうか、女ヶ島とそこに住む女たちについての噂は絶えなかった。

例えば、女ヶ島では女しか産まれてこない。ではどうやって人口を維持するのか。

それは、外界で武勇を示した男から子種を奪い、島に戻って子を産むというものだった。

あくまで噂であるが

 

(ルフィは闘技場で強さを示して、女帝の寝室に招かれた…つまり、そういうことなんだろうなぁ…)

 

最初の内はそんなことあり得ない!と強がっていられた。

あり得ないのだから、踏み込む必要などない。ここで待っていればいいと。

実際には怖かっただけだ。踏み込んだ先で見るものに。

もし噂通りのものを見ることになったら、生きていられる自信がなかった。

 

(こんなことなら、寝室に行ったって聞いた時に踏み込んどけばよかった……そしたら、まだ間に合ったかもしれなかったのに。)

 

もう指一本も動かせる気がしなかった。

海楼石の手錠をかけられたかのように、身体が重かった。

その時、ウタの手が何かに触れた。

 

「………なに、この楽譜?」

 

それは楽譜だった。随分と古ぼけているが、この島の楽譜だろうか。

楽譜に書かれた名前は

 

「…トット、ムジ「ウタ!!!」‥‥ルフィ?」

 

楽譜を見ようとした瞬間、ルフィがウタめがけて駆けてきた。

彼女の不調を遠くからでも見極めた彼は、心配そうな顔で覗き込んでくる。

 

「どうした、ウタ!気分悪いのか!?ごめんな気づかなくて!悪ィ、さっきの話待ってくれ!ウタを軍艦の医務室に連れてってくる!!」

 

後ろについてきていたソニアとマリーに謝罪するルフィ、そのままウタを抱き上げようとしたが

逆にウタに抱きしめられた。

 

「ウタ?」

「ルフィ…海賊女帝の寝室で、なにしてたの…?」

 

ああ、なんて諦めの悪い女なんだろう。ウタは自分を嘲笑った。

この期に及んで、まだ希望に追いすがるのか。幼なじみの恋路を応援しようと思わないのか。

 

「…悪いけど、ウタにも話せねぇ。」

 

その言葉はウタにとって死刑宣告も同然だった。

天地がひっくり返ったかのように平衡感覚が失われ、逆流してくる胃液を抑えるので精一杯だった。

手足の先から冷たくなっていき、自分が呼吸できているのかどうかすらわからなくなってゆく。

その時だった、ウタの身体をなにかが濡らした。

 

「ウタ!しっかりしろ!!大丈夫だからな!俺が、俺がきっとなんとかしてやるから!!」

 

顔を上げたウタの眼に飛び込んできたのは、大粒の涙を流すルフィ。

必死にウタを励ますと、彼女の身体を痛いほどに抱きしめた。

 

「ルフィ…。」

 

冷たくなっていた身体に体温が戻ってくる。心臓の鼓動がハッキリと感じられるようになり

心の底から暖かいものがこみ上げてきた。

 

(ルフィは帰ってきてくれたんだ…私のところへ。私の為に涙を流してくれてるんだ。)

 

そんな二人にソニアとマリーが微笑みながら語りかけた。

 

「なるほどね…何故姉様の魅力が通じないか、やっとわかったわ。もう既に心を奪った相手がいたのね。」

「素敵…悪魔の実の力も、真実の愛の前には敵わないのね。」

 

どこかうっとりとした表情の二人だったが、やがて申し訳なさそうな顔でウタに謝ってきた。

 

「ごめんなさいね、あなたには一言声をかけておくべきだった。」

「大丈夫、大佐さんと姉様の間にやましいことは一つも起きなかったわ。アマゾン・リリーの戦士の誇りにかけて誓うわ。」

 

ルフィの身の潔白を訴えかけてくるソニアとマリー。

ウタも、改めてルフィに顔を向ける。

 

「ルフィ…私、ルフィのこと信じていい…?」

 

言葉の少なすぎる問い、それでも今込められるだけの勇気を込めた問いかけだった。

 

「ああ、信じてくれウタ!俺も、ウタを信じてる!!」

 

ウタの精一杯の勇気に、真正面からルフィが応える。

いつもウタが見ている、自分を守ってくれる大好きな幼なじみの姿がそこにあった。

 

「そっか…ありがとう。私もルフィを信じてる…!」

 

ルフィの肩に顎をのせ、抱きしめた手にゆっくりと力を込めていくウタ。

その手にあったはずの楽譜は、いつの間にか消えていた。

 

 

 

To Be Continued

 

 




補足
ルフィが言ってたじいちゃんの知り合いとは、ドラゴンたち革命軍のことです。
この話のルフィとウタはドラゴンのことは存在すら知りません。
ドラゴンもまた、ウタについてはあまり知りません。精々ルフィとよく一緒にいる女海兵程度の認識です。
ガープは革命軍の名前は出さずに、『奴隷を保護する民間団体』としか言ってません。
そのため世界から追われる身になった時も、ルフィは彼らと連絡を取りませんでした。
海軍や政府に追われてる自分たちを保護すれば、彼らは無事では済まないと思ったからです。
なので、ドラゴンと革命軍の名を伏せていたガープはそのことを後に死ぬほど後悔することになります。
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