このssにはキャラ崩壊・設定捏造が含まれます
ご注意ください!
「んん・・・ごめん、心配かけて。もう大丈夫だから。」
「ホントに大丈夫か?まだ顔赤いぞ、まるで茹でタコみたいだ。」
「いやホントに大丈夫だから!だから顔覗き込まないで!!」
マジかコイツ、そう思いながらソニアとマリーはルフィをみる。
ウタの顔が赤いのは、衆人環視の中で思い人と情熱的に抱き合ったのを自覚したからなのだが
この男は体調不良によるものだと考えているのだ。
こんなニブチンに惚れたウタに若干の同情を覚えるものの、自分たちには他人の色恋沙汰に関わる余裕はない。
ぶっちゃけこの二人の恋路に自分達姉妹は関係ないし。
「准将さん、あなたにお願いがあるの。」
「政府から姉様に要請された調書のことなんだけど…。」
「そうだった!ウタ、お前の映像電伝虫使ってさ!調書取ってるところを本部に配信してほしいんだ!」
「……映像電伝虫で?」
ルフィが考え着いた名案、それはハンコックから調書を取ってる様子を海軍本部に生配信することだった。
今回ハンコックが、他の七武海と違い海軍本部に呼びだされたのは、政府の要請に反応すらしなかったから。
政府および加盟国に危害を加える意思はないことを証明として海軍本部で調書を取ることになったのだ。
言い換えれば、証明さえできるのなら海軍本部に来る必要性は必ずしも存在しない。
(これは…いいんじゃないか?少なくとも海軍からは賛同が得られるはず!)
この件に関しては海軍内部から不満の声が上がっていた。
当然である、政府の尻ぬぐいで、この海の"正義の砦"に海賊を招くとは。
それをしなくて済むなら、少なくとも現大将のうち一人からは賛成票を得られる可能性は高い。
あとは政府を納得させられれば…
「それだと…二つほど条件を呑んでもらう必要があるね。」
「「条件?」」
「まず調書をとる場所、女ヶ島の海岸に止めてある軍艦内でとること。
九蛇と海軍、両方のテリトリーが交わる場所で調書を取らせてもらうよ。」
「なるほど…できる限り公平な状況下で調書を取りたいってことね。」
「そう、九蛇海賊団の協力からできうる限りの公平な状態を作りたいの。その方が政府を納得させやすいと思うし。
二つ目は…ハンコックには海楼石製の手錠をつけてもらうこと!」
二つ目の条件を聞いた瞬間、ソニアとマリーの表情が曇る。
能力者であるハンコックが海楼石の手錠をかけることは、能力だけじゃなく行動そのものを封じられることを意味しているからだ。
「いくらなんでもそれは…。姉様はもちろん九蛇の船員たちも納得しないわ。」
「勿論それはわかってる。だから…私も海楼石の手錠をつけるよ。」
「「!!!」」
そしてそれはウタも同じである。
海軍であるウタが海賊であるハンコックに対して、どこまでもフェアな姿勢を貫く意思をみせていることに、驚愕の表情を浮かべるソニアとマリー。
そんな二人に対し、駄目押しといわんばかりにニッコリと笑顔を見せる。
「そしてハンコックのそばにはルフィたち海兵を、私のそばには九蛇海賊団を配置!この状態で調書を取ってるのを配信すれば、海軍も政府も納得してくれると思うんだ!」
「…わかったわ。早速姉様に説明してくる、絶対条件を飲んでもらってくるわ。」
「私もいくよ。調書の内容とか段取りとかも決めておいた方がスムーズにいくだろうし。」
「んじゃあ、今からみんなでいくか。飲み物とか食い物も持っていこうぜ!」
いつの間にか両手いっぱいに料理を抱えたルフィが、ハンコックの部屋に向かって歩き出す。
勝手知ったるなんとやらな彼に続き、ウタと姉妹も宴会場を後にするのだった。
「おお、そなたら、その様子だと話はまとまったみたいじゃな…」
「あれ誰?」
「ニョン婆さんだ!ハンコック達の母ちゃんみたいなもんだって!」
ハンコックの部屋の扉のすぐ近くにニョン婆が立っていた。
心なしか、その顔色は優れないように見えていた。
「ええ、准将さんからいくつか条件を言われたけど、どれも納得できるものだったわ。」
「早速姉様と打ち合わせするんだけど…ニョン婆?どうかしたの?」
「…実はニョ、蛇姫が倒れたのじゃ。大佐殿が准将殿ニョところへ行った直後じゃ…。」
「「「「……えええっ!?」」」」
突如として告げられた蛇姫の一大事。
四人、特にソニアとマリーは強いショックを受けたようで、ニョン婆に詰め寄った。
「ど、ど、どうして!?さっきまではそんな素振りはなかったのに!!?」
「姉様は!?姉様は大丈夫なのよね、すぐ元気になるわよね!!?」
「……このままでは、蛇姫は…死ぬ。」
「「っっっっ!!!」」
姉の身に迫る"死"を突き付けられた妹たちが、言葉を失いへたり込む。
ルフィとウタも、いきなりの急展開にただただ言葉を失うだけだった。
そんな彼らを諭すように、ニョン婆は冷静に話を続けた。
「これはアマゾン・リリーの代々の皇帝が命を奪われた病なのじゃ…。
わしもかかったことがある…外界に飛び出し、なんとか生き永らえることに成功はしたがニョ…。」
「!! ってことは、治す方法があるんだな!」
ニョン婆が口にした一抹の希望に、ルフィがいち早く反応する。
ニョン婆もまた、ルフィの顔を複雑そうな表情で見つめた。
「どうすりゃハンコックは助かるんだ!?治せる薬があるなら取ってくるし、医者も連れてくるよ!
俺にできることあるなら何でも言ってくれ!!」
「ルフィ…‥‥。」
海賊女帝を救おうと必死な幼なじみを見つめるウタ。
やはり何かがあったのだようだが、先ほど自分が想像していたことではないようだ。
ボア三姉妹には、なにかルフィが肩入れしたくなるような事情があることに、なんとなくウタは気がつき始めていた。
「蛇姫を救う手段はただ一つ。それには…大佐殿、そなたにあることを言ってほしいのじゃ…。」
「え…どういうことだ? 俺、病気の治し方なんてわからねぇよ!!」
「それはニョ…」
ニョン婆が告げた、蛇姫を救う方法。
それを聞いたルフィたちは、驚愕した。
「そ、それ大丈夫なのか!? 下手すりゃ病気が悪化するんじゃねぇか!?」
「ニョン婆、なんてことを…!本当に姉様を助ける気があるの!!?」
「そうよ!さっきも姉様が、身体が受け付けないって言ってたじゃない!!」
「私たちはそうしてもらえると助かるけど、ハンコックの容態を無視するつもりはないよ。」
「信じてもらえんかもしれんが、蛇姫を助けるにはこれしかないのじゃ。大佐殿、これ以上は聞かずに…お頼み申す!」
四者四様、口々に反論するが、ニョン婆は前言を撤回せず、さらにその場で土下座までした。
娘同然の存在の為にプライドを捨てた老婆の姿に、ルフィも何も言えず、ニョン婆の言葉に従うしかなかった。
「…ハンコック、大丈夫か?」
「ルフィ…。大丈夫じゃ、病などに屈するわらわではない。…他の者たちはどうした?」
「あ、ああ、それなんだけどよ。」
ハンコックの看病をしていた女たちを下がらせ、この場にはハンコックとルフィ、離れたところにソニアとマリーとニョン婆、そしてウタだけが残っていた。
ベッドの上で、ハンコックが苦しそうに息を吸い、吐く。
その頬は紅潮し、意識を保つのさえやっとといった具合であった。
「電伝虫、やっぱ使えそうにないみたいなんだ。だから…やっぱ本部に来てもらいたいんだけど…。」
病床のハンコックに、気まずそうにルフィが嘘をつく。
"ルフィがハンコックを本部に連れ出す"…これがニョン婆がいった"蛇姫を救う方法"だった。
「それによ!本部には腕利きの医者がいっぱいいるんだ!お前の病気もきっと治せる!俺が絶対守るから、本部に来てくれ!!」
ルフィが語り掛けるたびに、ハンコックの頬がさらに紅く染まっていく。
それを体調の悪化と捉えたルフィが、必死に励ましの言葉をかけ続けた。
「わらわを…守ってくれるのか?治したいのか?……わらわに生きていてほしいのか…?」
「ああ!当たり前だろう!!」
「ああ……ルフィ…!」
(‥‥んん?)
ハンコックの反応に何か違和感を覚えるウタ。
心なしか、声にも力強さが戻り始めた気がする。
何か嫌な予感がする、そう身を乗り出そうとするも…
「待たれい、准将殿。もうしばらく!見守ってくだされ!」
どこか申し訳なさそうなニョン婆に止められた。
「一体なにを考えてるの、ニョン婆?」
「そうよ、いい加減に教えて。姉様はなんの病気なの?」
「‥‥恋の病じゃ。」
「「「………‥‥は?」」」
「蛇姫は大佐殿に心を奪われたのじゃ!歴代皇帝と同じように、歴代皇帝の死因は恋した相手に置いて行かれた苦しみによる"恋焦がれ死に"!!」
ニョン婆から明かされた、ハンコックの病名に…三人の時間が一瞬止まる。
その間にハンコックは起き上がり、ルフィに詰め寄っていく。
「聖地の傍へと‥‥ついて来いと、そなたがそれを望むなら………。」
そして、ルフィの両手を…自らの両手で包み込んだ。
「わらわは…、わらわはどこまでもついていきます……!」
「これが蛇姫の病を治す唯一の方法じゃ!東の海にはこんな諺があるという…"恋はいつでもハリケーン"!!」
「ふ、ふ、ふふ、!!!?」
ふざけんなぁぁぁあああああ!!!
海軍准将の魂の叫びが、女ヶ島の夜にこだました。
時は戻って、女ヶ島から海軍本部へと向かう航路を進む海軍の軍艦にて。
ウタとハンコックが睨みあっていた。
ルフィは、日課としているウタの楽譜の整理をするため席を外していた。
「あれほどの男を雑用に扱うとは、なんとも高慢な女じゃの。わらわ以上に性格の悪い女がいるとは驚いたぞ。」
「あれはルフィのほうから進んでやってくれてるの。自分は、歌も楽器も下手だから、せめてこれくらい手伝いたいって。」
「それを受け入れたのか、なんとも甘やかされて育ったものよのう。」
「ええ、昔っからルフィは私のことを思いやってくれてるの…これからもきっと。」
一歩も引かない両者を、青い顔をした海兵が遠巻きに眺めていた。
泡を吹いて気絶するものまで出始めていた。
曇天の天候の中、軍艦の真上だけが晴れている‥‥まるで偉大なる航路の気候が、二人の女傑に恐れをなしたかのように…。
軍艦内のウタの自室で、ルフィが彼女の楽譜の整理をしていた。
彼が楽譜の整理をするのは、少しでもウタの夢の手伝いがしたいというのもあるが…別の目的もあった。
「…やっぱり今回もあった。」
目当ての楽譜を見つけた。
白い紙製の楽譜の中で、古めかしい羊皮紙でできた楽譜。そこに刻まれた名前は…
「トットムジカ…。」
怪しい楽譜を見つめるルフィの脳裏に、自身に自由とその責任を教えてくれた恩人…シャンクスとの約束が蘇る。
(ルフィ、お前に一つ頼みがあるんだ…この世界にはな、歌手の才能をもつ者を悪夢の世界に誘う楽譜があるんだ。)
(じゃあ、ウタのところにもその楽譜が来るのか!?嫌だよ!俺、ウタが悪夢の世界に行くなんて!!)
(ああ、だからウタのところにその楽譜が来たら、ウタがその歌を歌う前に楽譜を燃やしてほしいんだ。)
(おれが?もちろんいいけど、シャンクスはどうするんだ?)
(俺たちも、いつもウタのそばに居られるとは限らない。俺たちがいない間は…ルフィ、お前がウタを守ってくれ。)
(…わかった!ウタは、俺が守るよ!!)
(頼んだぞ、ルフィ。…この麦わら帽子は、約束の証だ。)
そういってシャンクスは、麦わら帽子をルフィに託した。
…ウタをフーシャ村に置き去りにした日の前日のことだった。
今思えば、シャンクスがウタを置いていったのは…この楽譜が関係していたのだろう。
「この楽譜のせいで…ウタとシャンクスは…!」
憎い楽譜を握りしめて、甲板にでる。
この楽譜は、ウタが強い悲しみに暮れる時、一番近くにある楽譜が変化して現れるのだ。
最初に見つけた時はシャンクスと別れた日の夜、泣きかれて眠るウタの部屋でのことだ。
その次は、ウタから海兵になること、そしてルフィと離れ離れになることを彼女から告げられた日。
あの時もウタは大粒の涙を流して、泣いていた。結局自分も海兵になったので離れ離れにはならなかった。
「今回も、なんとか気づかれる前に燃やせたな…。」
この楽譜のことをウタに説明したことはある。ウタ自身に楽譜を燃やしてもらったこともある。
しかし、楽譜を燃やした瞬間に、ウタからトットムジカについての記憶が消えてしまうのだ。
それ以来、ルフィはウタに隠れてトットムジカを燃やし続けていた。
「シャンクス…俺、約束守ってるからさ。いつか…ウタに会いに来てくれよな。」
いつ終わるともしれない約束を果たす決意を新たに、ルフィの呟きは大海原へと消えていく。
その瞳に、海軍本部マリンフォードが見えてくるのだった。
「おお!ルフィにウタ!ご苦労じゃったの!よくぞ海賊女帝を連れてきた!流石はワシの孫たちじゃ!!」
「「げぇっ!!じいちゃん(ガープおじいちゃん)!!」
「げぇっ!とはなんじゃ!!久しぶりのじいちゃんだぞ!!!」
海軍本部の船着き場で、ルフィの祖父にして海軍中将であるガープが待ち構えていた。
彼としては、政府の尻ぬぐいをするはめになった孫たちに労いの言葉をかけようとしていたのだ。
後ろを見てみると元帥であるセンゴクと、ルフィとウタによく訓練をつけてくれる大将サカズキの姿もあった。
二人の眼は、王下七武海の一人であるハンコックを睨みつけている。
「そなたが、ルフィの祖父か。」
「おお、そうじゃ。お前がボア・ハンコックか。」
自分に話しかけてきたハンコックに、ぶっきらぼうな言葉を返すガープ。
海軍では自由人で有名な彼も、海賊にいい顔をするつもりはなかった。
「さよう、王下七武海・海賊女帝ボア・ハンコックじゃ。今回は、わらわのために海軍本部に招いてもらったこと…心から感謝する。」
頭を下げはしなかったものの、男嫌いで通っている海賊女帝が感謝の言葉を口にしたことに、ガープはおろかセンゴクとサカズキも目を丸くする。
そんな彼らをよそに…ハンコックが、爆弾を投下した。
「早速だが…祖父殿!孫を…ルフィをわらわにくだされ!!!」
「「「‥‥はあっ!!?」」」
爆弾発言をするハンコックの下へ、"飛ぶ斬撃"が放たれた。
ウタの六式武術"嵐脚"である。
「いきなり何言ってんだ!さっさと調書取ってさっさと帰れ!!」
「うるさいぞ小娘!"恋はいつでもハリケーン"なのじゃ!!」
「うるせぇのはお前だ!この色ボケ女帝!!!」
到着早々に、女帝と准将の決闘が始まった。
こうして、恋という名のハリケーンは海軍本部に上陸したのだった。
これでハンコックとルウタの出会いの物語はおしまいです
もっとウタとハンコックのバトル書こうと思ったけど
二人の実力差が大きすぎるのと、バトル描写書く自信がないので断念しました。
このssに関しては一気に投稿したかったのですが
結果として、楽しみにしてくれていた方々を待たせてしまいました。
本当に申し訳ありませんでした。