海兵ルウタ   作:ニドラン

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海兵と歌姫と歌う骸骨 part5:同じ痛みを

このssにはキャラ崩壊・設定捏造が多分に含まれます

 

ご注意ください!

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゴムゴムのぉぉお!!」

 

 

 

突如として現れた古代巨人族の死体、オーズ。

 

それが自身とウタを狙っていると宣言された瞬間、ルフィは攻撃を開始していた。

 

 

 

「象銃ッ!!!!」

 

 

 

 

 

武装色の覇気を纏った、巨大な拳がオーズに直撃する、が

 

 

 

 

 

『んがぁっ!!』

 

 

 

巨体に振り払われた。

 

今度はオーズの巨大な拳がルフィに迫る。

 

ルフィは見聞色の覇気を用いて回避しようとするが…

 

 

 

「うわぁ!!」

 

 

 

避けきれず被弾、直撃こそしなかったが大きく吹き飛ばされた。

 

 

 

「いっっってえぇ~~…」

 

「ルフィ!?」

 

「どうして、どうしてオーズが動いているの!?あいつにはまだ影が入ってないはずなのに!」

 

「見てください!奴の拳に、何か黒いものが群がっています!」

 

 

 

驚愕するローラの横をすり抜け、ダメージを受けたルフィに駆け寄るウタ。

 

ブルックはオーズの拳に、夥しい数の小さな黒い物体が群がっているのを見逃さなかった。

 

 

 

「あれは…欠片蝙蝠(ブリックバット)!!」

 

 

 

ローラが黒い物体の正体を叫ぶ。

 

欠片蝙蝠…カゲカゲの実の能力で、モリアの影から生み出された、影のコウモリである。

 

オーズの攻撃が命中する瞬間、それらが一斉にルフィに嚙みついたのだ。

 

 

 

『キシシシシシシ!海兵、俺は殺そうと思えばいつでもお前を殺せるんだ!

 

けど殺さねぇ!お前の影を使って、このオーズに入れる!それでオーズは完成するんだぁ!!』

 

 

 

モリアは武装色の覇気を使っていなかった。

 

本人が言った通り、殺してしまっては影を奪うことができないからだ。

 

それに影を奪われたルフィは、ウタにウタウタの能力を使わせるために人質にしなければならなかった。

 

 

 

「ゴムゴムのぉ……象銃乱打ッッ!!!」

 

 

 

再び飛び出すルフィ。今度は、巨大化した黒腕の連打が高速で叩き込まれる…しかし

 

 

 

『無駄だぁっ!!』

 

 

 

またしてもオーズにダメージは無かった。

 

そして反撃…さっきと同じように直撃こそしなものの、ルフィの体力は徐々に削られていく…

 

 

 

(ちくしょう!あいつの攻撃が読めねぇ!見聞色で感じた気配と、実際の攻撃が何か違う!!)

 

 

 

見聞色の覇気で攻撃のタイミングは読めていた、しかし実際には少し遅れて攻撃が放たれていた。

 

それがルフィの回避のタイミングを狂わせていたのだ。

 

 

 

「ルフィ…私が、私がなんとかしないと…!」

 

 

 

苦戦する恋人の力になろうと、考えを巡らせるウタ。

 

モリアの食べた悪魔の実は"カゲカゲの実"、影を操るのが敵の能力である。

 

ウタはじっとオーズの影を見つめ続けた…すると

 

 

 

(……!?影の動きのほうが、体の動きよりも速い!?)

 

 

 

"影革命"…本来、影は肉体に同調して動く・肉体と影は同じ形というのが常識である。

 

しかしモリアのカゲカゲの能力はそれを逆転、影に合わせて肉体を動かしてせるのである。

 

 

 

「ルフィ!影だよ!影がその赤鬼を動かしているんだ!!」

 

「影……!ゴムゴムのぉ…鷹スタンプッ!」

 

 

 

ウタのアドバイスを受けて、即座にオーズの影に攻撃を加えるルフィ、だが…

 

 

 

「馬鹿め!影にそんな攻撃が通じると思ったのかっ!」

 

 

 

 

 

本来はモリアの影を実体化させた、影法師(ドッペルマン)を対象の影と同化させるのが影革命である。

 

しかしオーズ程の巨体を動かすためには、モリア自身が影と同化せざるおえず、さらに影の動きと肉体の動きにズレがあった。

 

…が、それは言い換えれば、モリアはいま実体のない影であり、オーズが痛覚の無い死体であることも合わさって

 

いくら攻撃してもダメージが通らないことを意味していた。

 

さらにもう一つ…

 

 

 

(どうする、ウタウタの能力を使えば…駄目だ!相手は聴覚のない死体と、それを操る実体のない影、歌を聴かせられるかどうかわからない!

 

仮にウタワールドに引き込めても、影から実体化させられないと意味がない!)

 

 

 

ウタワールドに相手の精神を引き込み、現実の体を味方に取り押さえさせるのが、海兵時代のウタの必勝パターンだった。

 

だがモリアが影のままでは、手出しできないままなのは変わらない。

 

ウタワールドでモリアの精神を倒す手も考えたが、逃亡生活とトラウマで衰弱した体力と精神力。

 

今の自分に、王下七武海の精神を倒せる自信が、ウタにはなかった。

 

 

 

「……みんな、ここはひとまず撤退するぞ!!」

 

「こっちよ!こっちに抜け道があるわ!!」

 

 

 

倒す手段がないと判断したルフィは一時撤退を選択。

 

それを聞いたローラは、近くにある墓を動かし、地下への階段を開いた。

 

 

 

『逃がすかぁ!!』

 

 

 

逃げようとする獲物に向かい、欠片蝙蝠を差し向けるモリア。

 

 

 

「ヨホホホホ!」

 

 

 

それをブルックが瞬く間に切り伏せる…そのまま階段に飛び込み、四人は地下道へと進んでいった…

 

 

 

『ちっ…、まあいい。精々怯えて、心をすり減らせばいいさ…俺の負けはあり得ないんだからな、キシシシシシ!」

 

 

 

 

 

自身の完全勝利を確信し、悪夢の島の主は高らかに笑い声をあげるのであった…。

 

 

 

 

 

 

 

「こんな道があったなんて。私、この島色々調べていましたけど気づきませんでした。」

 

「ここは私たちゾンビ兵にしか教えられてないのよ、この道を通って、島の各所に行き侵入者を包囲するの。」

 

 

 

地下道の説明をしながら先導するローラ、その足に迷いはなく、どんどん進んでいった。

 

 

 

「ねえ、ノシシ。さっきからやけに早足だけど、なにか目的地があるの?」

 

「ええ、正直今の私たちだけではあの巨大な死体兵には勝てないわ。ここは…味方を増やすの。」

 

「味方?ここに俺たちに味方してくれる奴がいんのか?」

 

「ええ、影を取られた人間は殺されることはないわ。そうなれば奪った影も消えてしまうから

 

そうならないように、影を取られた人間たちが乗ってた船に送り返され、海に放流されるの。」

 

 

 

やがてローラは立ち止まり、そこにある梯子を指さした。

 

 

 

「影を取られた人間は数日は目を覚まさない…けど中には偶然目を覚まして、影を取り返しに来るものもいるの。

 

けどそういう連中は大概返り討ちにされて…この上の森に隠れているのよ。」

 

 

 

 

 

 

 

負け犬の森…モリア達はこの場所をそう呼んでいた…影を奪われ、取り返しに来るも返り討ちにあった負け犬の集まる場所と…

 

 

 

「で、この森のどこにいんだ?」

 

「それは、流石にわからないわ。けど彼らも今のスリラーバーグの状況を察しているはずよ。

 

幹部であるアブサロムとペローナを倒し、影を奪った張本人であるモリアが出てきた。

 

これは連中にとって千載一遇のチャンスのはずよ!モリアさえ倒せば、奪われた影も全部戻ってくるんだから!」

 

「…ノシシ。その、味方になってくれる人たちって、もしかしてさ…。」

 

 

 

だんだん湧き上がってくる懸念を口にしようとするウタ、がその直前である人物が現れた

 

 

 

「もし…!あ、あんたたち…待ってくれ!わ、わしらの話を聞いてくれないか…!!」

 

 

 

ボロボロの衣服をまとい、所々包帯や縫い傷をもつ、泥だらけの…その姿はまるで

 

 

 

「大怪我した年寄り!?」

 

「大変!大丈夫、おじいちゃん!動いちゃだめよ!横になって!」

 

「私、救急箱持ってます!」

 

「いや、そのおじいさんがさっき私が言ってた…。」

 

 

 

ブルックが、自身の頭を横方向に開け(!?)救急箱を取り出す。

 

急に現れた重傷者に、海兵としての条件反射もしくは生来の善良さからか

 

すぐに治療を行おうとするルフィとウタ。

 

 

 

「ああ、心配しないでくれ。そんなナリだが、治療はちゃんとしてんだ。」

 

「そのじいさんは、俺たち"被害者の会"の会長なんだ。」

 

 

 

そんな彼らのもとに、森の奥から続々と人が現れ始めた。

 

同じようにボロ布を纏いドロドロで傷だらけの姿はまさしく…

 

 

 

「大怪我した連中がこんなに!?」

 

「傷が酷い方から一列に並んで!」

 

「大変です、ウタさん!治療道具の数が足りません!」

 

「いやだからね、私が会わせようとしたのはさ…」

 

 

 

…三人にはただの重傷者にしか見えなかった

 

 

 

「優しい~~~~!?やっぱお前らこそ、俺たちの希望の星だ!!」

 

「頼む、俺たちの船長に会ってくれ!そこでお前たちに渡したいものがあるんだ!」

 

「…船長?」

 

 

 

ついさっきまで"被害者の会"の心配をしていたウタの表情が険しくなる。

 

やはり、彼女の懸念は当たっていたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

「あら!あんた、好きよ!!結婚して!!!」

 

「い「絶対にっ!!駄目!!!!」やだ」

 

「破談だー!4444回目の破談!!」

 

 

 

被害者の会に案内されて進んだ森の奥では、一人の女性が待っていた。

 

いきなりルフィに求婚し、ウタに力強く却下された女性の名は…

 

 

 

「私はローラ、ローリング海賊団の船長、"求婚のローラ"よ!」

 

「やっぱり…海賊だった……」

 

 

 

助けを求める相手が、よりによって海賊…今はそんなことを言ってる場合ではないとわかってはいるが…

 

沸き起こる頭痛と眩暈は抑えきれなかった…

 

 

 

「あれ?ひょっとして海賊嫌いだった?」

 

「当たり前でしょ!この海で、海賊のせいで不幸になった人がどれだけいると思ってるの!」

 

 

 

(ウタ視点で)素っ頓狂な質問してくるローラ船長に、たまらず怒鳴るウタ。

 

そんな恋人をルフィは抱きしめ、頭を撫でて宥める。

 

 

 

「ちょ、ちょっと待ってくれ!俺たちローリング海賊団は略奪行為なんてしたことねぇんだ!」

 

「そうだ!やった悪事といえば、寄る街寄る街で、見かけた男にローラ船長が求婚したぐらいだ。」

 

「それ、悪事といえるんですか?恋愛は自由なものでしょうに。」

 

 

 

船長を擁護する船員たち、悪事とも言い難い珍事にブルックは疑問を投げかける。

 

 

 

「いやそれがよ、求婚した男が市長だったり政治家だったり海軍支部長とかでよ。」

 

「柵越え、フェンス越え、城壁越えて、4443回突撃求婚してたら、懸賞金2400万ベリーかかっちまったのよ!」

 

 

 

恋はいつでもハリケーン! 馴染みの海賊団のコックの口癖をルフィとウタは思い出していた。

 

 

 

「そっか、とりあえず悪い海賊団じゃねぇんだな。心配すんな、ウタも昔ほど海賊嫌いじゃねぇんだ!

 

少なくとも海賊とみるや、手足へし折ったり、甲板に磔して嵐の日に放置とか、今はしねぇ。」

 

「恐えぇぇぇぇ!?そこまで海賊嫌いなのか、希望の歌姫!?」

 

「いや、待ってくれ!ローラ船長は好きで海賊やってるわけじゃねぇんだ!全部船長の母親が悪いんだ!」

 

「………親、が…?」

 

 

 

親のせいで海賊をやっている、という船員の言葉に、一瞬ウタの思考が停止する。

 

 

 

「…私の親、ちょっとした大海賊でね…色んな勢力と政略結婚を勧めているのよ・・・それで、巨人族の王子が私を見初めて…

 

でも私は政略結婚なんて真っ平だったわ! それで海に飛び出したの!」

 

「………同じだ…」

 

「え?」

 

「私も、親だと思ってた海賊に捨てられて…それで海賊が憎くて、海軍に入って…」

 

 

 

ローラ船長の過去を聞き、思わず共感してしまうウタ。

 

その口からは、自身の半生がこぼれだしていく…

 

 

 

「それで海の平和を守るために頑張ってたのに…天竜人に、妻になれって言われちゃって…」

 

「「「天竜人!!??」」」

 

「ルフィさん、あなたたちは天竜人に追われているんですか!?」

 

「ああ、そうなんだ。おれ、その天竜人ぶん殴っちまってよ。」

 

「「「ええええええええええええええ~~!!?」」」

 

 

 

思わぬカミングアウトに、ルフィとウタの二人を除いた全員が驚愕する。

 

それほど、天竜人に逆らうということが驚くべきことだったのだ。

 

 

 

「わ、わたし…のせいで、ルフィまで……せっかく、え、えいゆうってよばれてたのに…わたしのせいで…」

 

 

 

ウタの眼から大粒の涙がボロボロと零れ出す。

 

自分の為に、海賊になるという夢を諦め、一緒に海兵になってくれたルフィの人生を台無しにしてしまった…心の奥に閉じ込めていた罪悪感が溢れ出したのだ。

 

 

 

「っ! 駄目よ!泣いちゃ…愛する人がいるなら笑っていなくちゃ!」

 

「ローラ…?」

 

「隣にいる恋人を見なさい!後悔してる?貴方を憎んでる? してないでしょ!貴方のことを、心の底から愛しているの!

 

貴方も、恋人を愛しているなら、笑っていなさい! 貴方も、恋人が笑顔でいるほうが嬉しいでしょう!」

 

 

 

ローラ船長に抱きしめられるウタ。その目から涙が消えていく。

 

 

 

(そうだ、いつだってルフィは笑ってた…私を安心させるために…!)

 

 

 

涙の代わりに力強い光が灯る…これからは、自分がルフィを守るという決意の光が…。

 

 

 

「ありがとう"私"。ウタを元気づけてくれて。ルフィもブルックもいいやつよ。力になってあげてね。」

 

「"わたし"って…まさかあんた!?」

 

 

 

そんな光景を見て、ローラ船長が登場して以来、ずっと口を閉じていたイノシシのローラが話しかける。

 

 

 

「ええ、そうよ。私が貴方の影、今まで気づかなかったの?」

 

「いや…どう見ても白骨死体なのに生きてるやつもいるから、そういう生き物なのかなって。

 

っていうか貴方、ゾンビ兵なのに、私たちに協力してくれるの?」

 

「ええ、ウタのおかげでね…。」

 

 

 

まさか自分の影を入れたゾンビが味方してくれるとは思いもしなかったローリング海賊団。

 

イノシシのローラは、ルフィたちに向き直る。

 

 

 

「本体から抜き取られた影は、カゲカゲの実の力で洗脳され、能力者に従順な奴隷にされてしまうのだけれど

 

ウタ、貴方の歌を聴いたときに、その洗脳が解除されたみたいなの。」

 

「あのゴーストの能力者の時の歌に?…あの時の記憶はあまりないんだけど…」

 

「そうなの?それでも、貴方が私の恩人であることに変わりないわ…そして、ブルック。」

 

「ヨホ?私は何も…」

 

 

 

本当に心当たりがないブルックに対し、イノシシのローラは心からの感謝を告げる。

 

 

 

「貴方とクジラの約束を聞いた時思ったの…本体のところに戻らなきゃって。きっと本体にも、絶対に成し遂げたい人生の目標があるはず…

 

それなのに、影の私がいなくなったせいで、こんな薄暗い島に閉じ込められているだなんて!って…」

 

 

 

そしてイノシシのローラは、本体であるローラ船長に歩み寄った。

 

 

 

「これでお別れね。ウタ、ルフィ、ブルック、最後に貴方たちみたいな素敵な友達ができて幸せだったわ…。

 

"私"、どうかウタ達にめいいっぱい力になってあげてね…。」

 

「そんな、ノシシ!せっかく友達になれたのに!」

 

「わかって、ウタ。これが…影である私がとるべき道なの。」

 

 

 

突然すぎる別れに困惑するウタに、あやすように言葉をかけるイノシシのローラ。

 

しかし…

 

 

 

「ちょっと、私を置いて話を進めないでよ"私"……船員の影が戻ってないのに、船長の私だけ元通りってわけにはいかないでしょ!」

 

「ローラ船長!? お、俺たちのことは気にする必要ないですよ!」

 

「そうですよ!せっかく影が自分から戻ってきてくれるっていうのに!」

 

「おだまり!影を取り戻すのは船長である私が最後、それが船長のケジメってもんよ!

 

"私"!今までほっつき歩いてた分、しっかり働いてもらうからね!」

 

「ええ、もちろん…私、"私"の影で良かったわ。 ウタ、もう少しだけ…一緒に入れるみたい。」

 

「うん!」

 

 

 

手を取り合って喜ぶウタとイノシシのローラ。短い時間であったが、二人の友情は本物だった。

 

 

 

 

 

 

 

To Be Continued

 

 

 

 

 

 

 

 

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