スライム倒して300年×魔女の旅々×のんのんびより 作:香野ともき
「平和って最高だ」
私はポツリとつぶやく。
私が住んでいるフラタ村は平和そのものを表しているといっても過言ではない。
犯罪がおこることもないし、強いモンスターが現れることもない。そして何より過酷な労働というものがない。
みんな必要なだけの労働をみんなで協力して行っている。だからこの村はみんな仲が良い。普段から話し合っているからだ。
「魔女様―おはようございます!」
「うん、おはよー」
「魔女様の薬効きました! また今度もお願いしますー!」
「元気になってよかったよー!」
道行く村人に私は声をかけられる。
この村に来てから早くも250年が経った。村人が病気になったときに薬を作って、低価格で売ったりしていたら、自然と敬られるようになった。
別に敬られる必要はないし、むしろ普通に接してほしいと言ったら、村人さんたちは言うことを聞いてくれて、今は街のお医者さんみたいな立場になっている。
これくらいなら許容範囲だ。
「今日も換金お願いね」
「はい、魔女様。えっと……ひーふーみ……。今日は30魔法石ですね。今日は少し多めに倒されたんですね」
「今日はスライムがいつもよりいてね。だから倒しておいたの」
私はこの村に来てから毎日スライムを20匹くらい倒している。生活のためでもあるし、毎日のルーティンである程度の生活リズムを整えるためだ。
だから今日はいつもより10匹多く倒してることになる。今日は少し豪華なご飯でも食べようかな。
「はい。3000コイーヌです」
「いつもありがとね。それじゃ」
私はこの村の唯一のギルドを出た。この世界には各村に一つはギルドがおかれているらしい。ギルドと言ってもこの村だと職員は一人だけだけど。ギルドのイメージをしてもらうと、市の出張所みたいなものだ。
ある程度の事務作業はあるけど、そこまで忙しくない。かと言って不必要かと言われたら、絶対に必要な仕事。そんな感じ。
「ん?」
お昼も買っていこうと思い、村のパン屋に向かうと、パン屋の前で恨めしそうにパンをガン見している女の子がいた。
そしてその隣の小学校低学年くらいの女の子も同じようにパンを見ている。けどこっちは恨めしそうにはしていない。
「イレ姉はパンが好きなんなぁ」
いや少し呆れているのか、少し皮肉の入った言い方だった。
「れんげさん、こういうときはしっかりパンを見て、ここ数日まともにごはんを食べることのできない可憐な美少女を演じるのですよ」
「そうなんなー」
れんげさんと言われる女の子は更に呆れかえっていた。見た目の年の割にはかなりしっかりしている子だな。