スライム倒して300年×魔女の旅々×のんのんびより 作:香野ともき
さて。この状況のパン屋さんに買いに行ってもいいのだろうか。絶対パン屋さんにどうにかしてくださいよと言われる。面倒だけは嫌だ。
さっきの女の子、面倒な性格してるのがわかる。関わりたくない。それと小さい女の子の方、れんげは明らかにこの世界の恰好ではない。ジーパンをはいている。何かの手違いでそのままこの世界に転生してきたタイプだ。
「あ! 魔女様!」
ゲッ! 見つかってしまった。
店主の声の向かう方に女の子二人は見る。
完全に灰色の髪をした女の子と目が合った。
「この自称魔女がパンを譲ってくれってさっきから店から出ていかないんですよ。魔女様どうにかしてくださいよ」
自称魔女か。
とても関わりたくない。
「初めまして。灰の魔女、イレイナと申します。今は各地を旅しています」
灰の魔女のイレイナさんは良いところのお嬢様みたいにローブの裾をあげて、礼をした。良いところのお嬢様はパンを譲ってくれって言わないか。
「にゃんぱすー。うちは宮内れんげっていうのん」
宮内れんげ。完全に日本人の名前だ。頭が痛くなってくる。百パーセント、面倒ごとに巻き込まれる。
「それで二人ともどうしたんですか? パンを譲ってくれっていうのは」
「私たち、今訳あって二人で旅をしているのです。そしたらつい昨日、資金が尽きてしまいまして。お金稼げるところないかな、と思いながら箒を飛ばしていたら、この村に到着しました。けど、ここの村はアルバイトとかがなくて……。にっちもさっちも行かなくなって、お金も稼げなくて、パンを譲ってもらおうと思ったわけです」
イレイナさんはうんうんとうなずきながら話した。
旅人か。ここは相互扶助の村だからアルバイトがないのは仕方がないな。ここはひとつ、優しさで奢ってあげようかな。
この世界に来て250年、フラタ村から一回も出たことがないから、この世界の旅の話を聞いてみたいし。
「おじさん、このパンとこのパンちょうだい」
「ごちそうさまです」
「ありがとなん!」
私はパンを購入して、とりあえず私に二人を呼んで、ごはんを食べることにした。
「えっとここまでの話を一回整理するね」
家に帰りながら二人の旅の話を軽く聞いてみたわけだが。驚くことというか驚くことしかなかった。
「えっと二人はこの世界に転生したんだよね」
「はい」
「そうなん」
「イレイナさんは旅の途中、フラっと寄ってみた森の中で急に霧に囲まれて、気がついたらこの世界にいたと」
「間違いありません」
「れんげちゃんはいつものように秘密基地に行ったら、霧に囲まれて、気が付いたら
この世界にいたと」
「全くもってそのとおりなん」
「で、同じ場所に二人は転生させられていたわけね」