ロンメルの受難   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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そうだ京都へ行こう

 以前までは米転がしという禁断の技を使わざるえなかったロンメルだが、知行が増えたことで領土の経営が安定化した

 

「他の領土と比べると2倍近くの収穫量になっているから肥料の力はやっぱり凄いな」

 

「しかし、今年はイナゴが発生したのが痛かったですな。あれさえなければ2.5倍の収穫量は固かったかと」

 

 年末、半乃助や領内に住む小作人の代表や家臣達を集めて来年の目標を確認していた

 

「とりあえず尾張は統一したからまた内政に入ると思うけど三河忩劇が沈静化したため今川の進行も考えられる。忍衆は三河、駿河、遠江の米相場を調べろ。軍事行動の前には値段が上がるゆえに。無茶をして命を落とすなよ」

 

「「「は!!」」」

 

「領内は広くなった分小作人を追加で10組程(約50人)の家族を連れてくる。それと牛の数を増やし牛糞の肥料を増やせるように手配する。新領土は土地が痩せているから土壌改良を重点的に行う。スコップと備中鍬によって深くまで耕せるようになったので頑張れば来年も今年ぐらいの収穫量になると思われます」

 

「それは良いだぎゃ! 増えた分だけこっちも潤うだぎゃね」

 

「妖怪様が主になってから餓えとは無縁になっただぎゃ! おっかあのおべべも新しくできただぎゃ」

 

「それとこの前平野様経由でこんな物手に入れたんだ」

 

 ロンメルは種が入った袋と芋の入った袋を見せた

 

「なんですかそれは?」

 

「種の方が東洋人参と玉ねぎ、この芋は馬鈴薯……東洋人参は大陸からの商人が、玉ねぎと馬鈴薯は南蛮の商人が持ってきたらしくそれの一部を購入したんだ」

 

「これも救荒食物だぎゃ?」

 

「半分はそうだけど馬鈴薯は料理の仕方によっては米に代わりに主食として食べられている地域もあるから、腹の足しになると思うよ」

 

「料理が美味しくなるのは良いことだぎゃ」

 

「肉、魚、野菜、米を満遍なく取ることが体にはとても良いからね。婦人方にはこれらを使った新しいレシピも教えるからよろしくね」

 

「「「はい!」」」

 

「頼むでおっかあども! 俺らの腹はお前さんらに握られてるからな」

 

 食堂を利用、洗濯のまとめ洗い、子育ての集団化……ロンメルは負担を減らすのを徹底的させ、男達は小作人だけじゃなく家臣希望の者達にも農作業をさせて働かせた

 

 体をいっぱい動かしてしっかり飯を食うそうすると肉付きが全然違くなり、結果として足腰がしっかりしているので槍や刀の扱いも練習すれば上手くなる

 

 勿論達人クラスは槍や刀ばっかりやっているが、家臣候補の人達は農業や商業についても詳しくなって食いっぱぐれないようにするのがロンメルの目標だし、ロンメルが万が一戦死しても黄坊を含めた息子達娘達を立てて欲しいと願っているので、息子達に教える為にも農業や商業のいろはを叩き込んでいった

 

 

 

 

 

 

 

 永禄2年(1559年2月)

 

「尾張も統一したので将軍様にお会いして尾張統一の報告を行う。80名で上京する」

 

 と信長様から号令が急遽かかり、母衣衆やら馬廻りやら幹部候補達が召集され、敵地美濃を突破し、六角領も通過して京に入る

 

 道中3組程山賊が出たが、ロンメルと下方貞清、母衣衆達でほぼ掃討し、ロンメルは15名、下方貞清は20名、前田利家は5名討ち取った

 

 で、将軍に会いに行き、信長様は面会を許され、尾張統一の報告を行う

 

 京は長い間の戦火により治安は崩壊しており、ロンメルは複数回京に出入りしていたので知っていたが、初めて京を見た面々はその荒れ具合に華やかな京のイメージが幻滅してしまった

 

 物乞いをする貴族、山賊や荒くれ者、野武士のたまり場、孤児や老人が壁にもたれ掛かり、そこら中に死体が転がっている

 

 幕府のお膝元がこれなのだからどれだけ幕府の権力が無いかを物語っている

 

「これが……京か」

 

「利家、どうした」

 

「論目流か……帝も将軍も居る京がこれなのだなと」

 

「私の国だと死体が転がっていることも無ければ孤児達があんな風に路上で物乞いをしなければならないことも無かった」

 

「妖怪の国の話か」

 

「まさにここは地獄だな。閻魔も呆れるよ」

 

「だな……妖怪の国の方が発展し、人の国が荒廃しているとはなんとも皮肉だな」

 

「もっとももうこの世界に迷い混んで10年もたった。25だよ私……元の世界に戻っても居場所は無いからね。ここで頑張るしか無いんだ」

 

「論目流……」

 

「おーい! 論目流! 信長様がお呼びだ!」

 

「わかりましたすぐに向かいます。じゃなね利家」

 

「おう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「そなたが妖怪か……」

 

「頭巾を取りましょうか将軍様」

 

「良い、人とは違う雰囲気を感じる……尻の膨らみは尻尾か?」

 

「はい」

 

 ロンメルは信長様に呼び出されると将軍様に面会するように言われ、大太刀を幕臣に預けて面会している

 

「女なのだな」

 

「そうですね」

 

「だが、その肉付きはなかなか……太刀を見せよ」

 

 幕臣に命令した将軍はロンメルの大太刀を握る

 

「妖刀の類では無いな……しかし100は斬っている……うむ血をよく吸い込ませてある名刀だな」

 

 この義輝将軍は何か見えているのか雰囲気だとかで斬った人数まで当ててくる

 

 妖怪なのはそっちじゃないかと言いたくなる

 

「剣術の師はおるか?」

 

「塚原卜伝先生です」

 

「なに? ト伝先生か! 同門じゃないか! どこまで教わった」

 

「奥義以外は……一之太刀は見せて貰えませんでしたが」

 

「そうか……先生の許可も無く教えることはできぬが……立ち合え、実戦で見せるのは良かろう」

 

 そう言うと立ち合いとなった

 

 剣豪将軍の渾名があるように将軍義輝は気に入った人物が居るとよく立ち合いを行っている

 

 そんな将軍なので政治音痴に思われるかもしれないが、各地を放浪した時期に国の争いを治め、石山本願寺と越前朝倉を和睦させたり、第三次川中島の戦いの仲裁をしたりと普通に政治力はあったりするが、自身の兵力が全く無いので歪んだ権力のみで統治しようと奮闘しているのでそれが他から見たら滑稽なのだろう

 

 ロンメルと将軍は構えるロンメルは自慢の突きで勝負に出るが、次の瞬間ロンメルは反対方向に吹き飛ばされていた

 

「かは!?」

 

「今のが一之太刀だ」

 

 全く見えなかったその一撃恐らくロンメルが踏み込んだ瞬間にカウンターをしたか、それよりも速く木刀を振るったか……

 

「参りました」

 

「うむ、そなたの突きもなかなか危なかったぞ。だが面白い物は見れた……褒美に奥義以外の技を纏めた書物をやろう。恐らくト伝先生は人と作りが違うそなただけの奥義を作れと言うことなのだろう。励め論目流」

 

「はは!」

 

 それと将軍様から何か役職を送ろうと言われたので

 

「妖怪が政治に関与したら録な歴史が無いので蝦夷地にでも飛ばしてください」

 

「じゃあ正八位下の蝦夷地守護兼妖怪大将の地位を与える……名字等はあるのか?」

 

「一応砂山と名乗っていますが」

 

「これより名字を怪異と名乗れ」

 

 となんか北海道の守護の地位と妖怪大将なる役職、扇子と書物、名字を貰った

 

 なのでロンメルの正式名称は怪異正八位下蝦夷地守護東狐論目流となる……長いわ! 

 

 

 

 

 

 

 

 

「良かったな妖怪大将」

 

「いや? 妖怪が他に居ないから大将にされただけで何の権威も無いですからね」

 

「いや旗に書けるだろ妖怪大将」

 

「信長様茶化さないでください」

 

 信長様だけでなく他の者からも妖怪大将だの将軍にこてんぱんにされたのだの言われた

 

「よーし! 怒った! お前ら一騎討ちだ! 影月の錆びにしてやる!」

 

「やっべ!」

 

「利家です! 利家が一番言ってました」

 

「お、お前ら! 俺を売るのか!」

 

 流石に遊びすぎたのかロンメルと利家は信長様から拳骨をもらい、とぼとぼと尾張に帰るのだった

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