ロンメルの受難   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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前田利家無職になる

「論目流殿恥を承知でお願いしたく……俺を雇ってはくれぬか」

 

 前田利家母衣衆筆頭に任命されるほど出世していたがとある事件を起こして無職となる

 

 永禄2年(1559年夏頃)

 

 それは信長お気に入りの拾阿弥が多方面にちょっかいというか馬鹿にした態度を取っていた事から始まる

 

 というのもこの拾阿弥信長のセフレである

 

 顔が信行に似ていたこともあり大層可愛がっていた

 

 さらにこいつ同朋衆出身であり、教養人として採用されたエリート(ロンメルの世界で言うなら六大学の法学部出身くらい)

 

 学校側でも貴族を雇って教養の勉強を教えてはいるが、信長も自前の教養を教えられる人物を確保しておこうとことで信行の死後、信行の家臣であった拾阿弥が信長の小姓まで出世した経緯がある

 

 さらにさらにこの拾阿弥質が悪いことに血筋を辿ると源義円にたどり着く

 

 この源義円という人物は源義経の同母の兄でありとてつもなく由緒正しい血筋なのだ

 

 そうしたエリート坊っちゃんこと拾阿弥にロンメルも色々馬鹿にされており、信長の元案内をお願いしたら馬小屋に連れていかれてここで待てと言われ、数時間待たされたあげくおかしいと思い信長様を自力で見つけて聞いてみたらそんな事を頼んだ覚えは無いとのこと

 

 馬の妖怪なのだから馬小屋にいろという意味で馬鹿にされたり、信長様の寝床に入った際帰りに脇差が盗まれており、厠の中に捨てられるという嫌がらせをされていた

 

 ロンメルだけでなく丹羽殿や滝川殿も笄(髪をかきあげてマゲを作るための道具)や脇差を盗まれており拾阿弥に良い感情は持っていなかったが、信長様のお気に入りということで我慢していた

 

 そんな拾阿弥が目を付けたのが子分時代から目をかけられ、順調に出世していた利家である

 

 日頃から嫌みや嫌がらせを行い、喧嘩となったのだが信長の仲裁で事なきをえたが、それで何をやっても良いと勘違いしたのか利家の妻まつ(12歳 既に出産済み 従兄妹の関係 最後以外アウト 最後だけセウト)の親父の形見である笄を盗み、踏みつける等を目の前で行い、キレた利家が信長が居る目の前で拾阿弥を斬殺

 

 信長視点セフレ同士(利家も抱かれています)の痴情の縺れとも言えなくもないが、身内に甘い信長からもアウト判定の死罪を宣告される

 

 流石にそれは可愛そうだと森や柴田、丹羽やロンメルの連名で助命懇願をしたことで死罪は撤回され知行没収の上で追放処分となる

 

 この一連の事件を笄斬りと呼ばれ、エリートコースを進んでいた利家は一転して無職となり、12歳の妻と長男を養わなくてはならず途方にくれ、学校の先生生徒の間柄で交遊が続いていたロンメルに泣きついた

 

 ロンメルなら匿ってくれなくても仕事を紹介して貰えるだろうという打算も込みである

 

 が

 

「信長様からたぶん利家に泣きつかれると思うが無視しろって命令が出てるんだよね」

 

「そ、そんなぁ」

 

「いや、でもねまつちゃんやお子さんのことも有るから私が雇うのは無理だけど私の部下の半乃助に雇われるという形にしようか」

 

「いいのか!?」

 

「私は直接雇ってないし、半乃助には10石プラスで所行を増やすからその10石でやりくりしなさい。半乃助経由で仕事も斡旋するから……算盤忘れてないよね?」

 

「無論! もう算盤を使わなくても暗算で計算できる」

 

「よし、とりあえず便利屋として働いて貰うよ。うちは色々な職種があるからね養鶏、養蜂、養蚕、パン作り、食堂、農作業、子育てに内職複数……武芸指導もして貰おうか」

 

「貯蓄も底を着き路頭に迷って居たところだ。何でもやる! 二言はない!」

 

「よし! 半乃助聞いてたよね」

 

「は!」

 

 屋根裏から出てきた半乃助に驚く利家だったがロンメルと半乃助は普通に会話を続ける

 

「少し所領を増やすからそれで前田殿の働きに応じて分けなさい。あなたも将来的には忍衆だけでなく将として働いて貰わなくてはならないので部下の扱い方を学んでおきなさい……利家、住む場所は当面の間借家を貸すからそこに住みなさい。金が溜まり次第もっと良い場所に住んで良いから」

 

「ありがとうございます! 論目流殿!」

 

「私は半乃助に新しい部下ができた報告を聞いただけ、それがたまたま利家だっただけだから」

 

「このご恩一生忘れませぬ」

 

 こうして利家はロンメルの領内に住むことになった

 

 

 

 

 

 

 

「という体にしました信長様」

 

「まあそれが妥当だろうな」

 

 信長様的には拾阿弥の度の過ぎた嫌がらせも耳にしており、いつか誰かがやらかすとは思っていた

 

「お咎め無しというわけにもいかぬからな。そうなると家臣に示しがつかぬ。学校で雇っている貴族連中にも影響が出るゆえに重めに言って家臣達に止めさせ、罰を軽くする……双方の顔を立てねばならぬのが国人の辛いところよ」

 

「しかしあやつ(前田利家)がやらかすとは思ってなかった……母衣衆筆頭だぞ、重臣の次位に偉いのにあの馬鹿は……ロンメル、あやつに政治のいろはも叩き込め、あのままでは将としては使えぬからな」

 

「まってください信長様、私も将のいろはなんてわかりませんよ」

 

「そこはなんとかせい! お主ならできる」

 

「無茶振りだぁ!」

 

 信長とイチャイチャ? しているころ利家もようやくまともな寝床ができて来てそうそうに子作りを開始するのだった(こういうところやで利家ぇ……)

 

 ちなみに利家20歳、信長25歳、ロンメル25歳と信長と同じ歳であったり……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この頃の動きとしては信長の後に長尾景虎(上杉謙信)が上洛

 

 軍神として戦上手……いや神がかり的な軍事センスの持ち主なのだが政治もこの人出来るのがポイント

 

 上洛時貴族や幕府に貢ぎ物いっぱいしてそれを扱って貰うことで広告塔になってもらい、商人達に買わせるイメージ戦略の先駆けをしたりする、複数の鉱山も管理下に置いていることから金持ちであった

 

 金持ちなのだがお米が足りなくて関東に攻めいったりしているのはご愛嬌

 

 この上洛に影響を受けたのが今川義元で本当は永禄2年に上洛と言う名の尾張攻めをしたかったのだが、長尾景虎が来たことにより断念

 

 大義名分がこの時上洛くらいしかなかったので万が一事が上手く進んで本当に上洛できた時に長尾家とぶつかるのは不味いと判断したからだ

 

 ちなみに更に詳しく言うと今川は鎌倉派、信長は室町派と鎌倉方を立てるか室町の将軍を立てるかの代理戦争的な側面もあり、過去に話した今川は難民を抱え続けると破綻するという話をしたと思うが、そろそろそれのタイムリミットが近づいていた

 

 ある程度は三河争乱で口減らしができたのだが、三河を取ったことで更に人口を抱え込んでしまったことになり、豊かな尾張を攻め取ら無ければ今川領という全体が破綻するという恐ろしい事が発生してしまうのだ

 

 この年の他の出来事は本願寺が朝廷に3万貫の献金をしたり大友宗麟が九州探題に就任して外国と貿易を始めたりしたり

 

 とにかく流民難民を多く抱え込んだ今川のキャパはオーバー寸前であり、運命の一戦が近づいていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 永禄3年(1560年)

 

「信長様、忍衆より今川領内での米及び馬の相場が上がりました。軍事行動の予兆かと」

 

「今川は今年に入り幕府と連絡を遮断した。上様は大層お怒りだが、今川の力と足利の一族に近いことから切れずにいる。しかしなぜ今年だ? 三河争乱があった為遅れたのはわかるが……」

 

「恐らく流民の抱え込みにより国として養える数に限界が近いのでしょう」

 

「……となると奴は熱田と津島が狙いか」

 

 二大商業都市を占領することが出きれば今川は駿河の名産を尾張を経由して大量消費地の畿内に送る事が出きる

 

 更に今年は気温が例年よりも低く冷害の恐れすらあったことで義元を焦らせた

 

「3万の動員をかける! 撤退は許さん。尾張を取るまでが戦ぞ」

 

 義元がそう号令を発している頃ロンメルは漏れ出た情報を信長に届ける

 

「動員準備の段階で2万5000から3万、戦闘員だけでも1万5000はいるかと」

 

「であるか……義元め、長期戦か負ければ国が滅ぶぞ」

 

 信長の読みは当たっていた義元は尾張制圧完了まで不撤退を指示し、上洛という名目で尾張の完全制圧を目論んでいたので尾張さえ取れれば何でも良く、逆に尾張が取れなければ国が滅ぶ一世一代の賭けに出た

 

 勿論ベットは今川の未来

 

 対する信長は

 

「津島と熱田が今川に付かぬように手配しろ」

 

「は!」

 

 伊勢神宮は独自勢力が居るため迂闊に手出しできないので信長は味方である津島と熱田を固めることに注力する

 

「学徒出陣の用意もしておけ」

 

「は!」

 

 信長も今ある全てを全ベット

 

 運命の一戦まであと1ヶ月

 

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