ロンメルの受難   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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清洲同盟

 永禄4年(1561年1月)

 

 工事中の鳴海城に変わり鳴海城下町の学校の客間にて松平方の代表本多正信とロンメルは密会を行っていた

 

「初めましてロンメルです」

 

「こちらこそ初めまして正信です」

 

 挨拶もそこらに話し合いが始まる

 

 松平は今川義元が討たれた混乱により三河の収拾をつけるため元々三河領主の息子であり人質であった松平元康が新当主今川氏真の命令により三河の岡崎城に入った

 

 元康は岡崎に入って早々に義元の敵討ちを氏真に進言し続けたが重臣、一門も多く失って建て直しに奮闘していてそれどころではないと却下し続けた

 

「敵討ちもしない弱腰な当主はいらない。三河衆よ時は来たぞ」

 

 と独立を宣言し、織田と今川双方に喧嘩を売る

 

 織田的にはめんどくさい三河よりも美濃攻略に動きたいが、三河情勢を考えロンメルを最東の鳴海城に配置し、監視を続けてきた

 

 松平的には織田とも争ってますよというポーズをしていたのだが、ロンメルが本気で迎撃して死者400という無視できない数となり、先の交渉で双方命のやり取りは無しというルールを決め、今回は更に踏み込んだ交渉となった

 

「まず松平としては織田にここ以上の三河進攻をしないで貰いたい。鳴海の町周辺の領有は諦めるゆえに不可侵を結びたい」

 

「こちらはそれでも構わないが、民が割れるとそちらも困るだろうから鳴海経由であれば織田、松平双方に税をかけないことにせぬか?」

 

「荷税を無くすと」

 

「松平は三河以東の今川に集中したい。こちらは北の美濃に集中したい。双方に利があると思う。同盟ともなれば物流を良くし、飢饉状態の三河に米を売り付ける為に尾張から商人の出入りが増えよう。この流れを利用すれば岡崎の町にも銭が落ちよう」

 

「しかし、それでは織田方の物質量に松平方が負けてしまうのではないか?」

 

「それを防ぐには何か売れる物を作られよ……三河には木綿が所々で栽培されていると聞いている。それを保護し、大規模にすれば特産品となろう」

 

「敵方の当家にその情報を渡しても良いので?」

 

「良いも何も私が知っている情報をあなた達が知らない分けないでしょうに……木綿は現状大陸からの輸入に頼っているけど日明貿易が大内氏の滅亡で途絶えた今密貿易しか木綿の輸入ができない。こちらは食糧を、そちらは衣類を双方得をしなければ駄目でしょうに」

 

「立派な心がけですな」

 

「商いの基礎ですから、損して得を取ることと、双方の利益はね。さてさて織田の一家臣でしかない私では局地的な不可侵しか約束はできませぬ。それでよいですかな」

 

「それで頼みまする。妖怪大将の名は尾張だけでなく東海の地に響いておりまするゆえにあなた様との約束があれば善きと」

 

 正信との密会は双方利のある提案で終わる

 

 ロンメルは村や町の復興に尽力できるし、松平は織田の東の要とも言えるロンメルから不可侵を約束することに成功

 

 更に交易の約束も取り付け、鳴海の地は徐々に回復していくこととなる

 

 

 

 

 

 

 

 

「という会話を松平の家臣と行いました」

 

「良い。東の事はお主に任せておるゆえにこれで美濃に集中できる」

 

 清洲の寝室にて抱かれながら報告を行う

 

「更に踏み込んでもよろしいでしょうか」

 

「申してみよ」

 

「これを気に正式な婚姻同盟に繋げませんか……私の娘である黄衣を嫁がせては」

 

「お主子供は政略に使わぬと申していたではないか」

 

「……では他に良い案は」

 

「徳を出そう」

 

「よろしいので?」

 

「お主の子供達は政略に使わぬと約束しておるからな」

 

 信長は髪色が違う息子達娘達を政略に使わないと黄衣や黄坊が生まれた時に約束しており、それを信長は口約束とはいえ覚えていた

 

「……それを聞いて安心しました」

 

「どうしてその様な事を申した」

 

「鳴海の地を統治する上で三河との連携は必須。信長様が約束を忘れているようでしたら三河の松平殿に黄衣を、西三河の水野殿に大雪か小雪のどちらかを嫁がせ、3家の結束の策を考えていましたが……信長様が覚えていてくださり私は嬉しいです」

 

「余を試すとは妖怪らしくなってきたじゃないか……松平に伝えて申せ、春になり次第協議に入ると」

 

「は!」

 

 信長は元康に配慮して長女(ということになっている)徳姫を松平元康の息子竹千代(元康の幼名と同じ)を提案協議の末永禄4年(1561年6月)に同盟が締結されることとなる

 

 織田と松平は親の代から争っていた敵同士であったことで反発も大きいと思われていたが、ロンメルが松平家臣団の説得や説明会を幾度となく開き、食糧の援助も合わさり一部の頑固者以外は納得

 

 頑固者達はロンメルが反論ある者はかかってこいと言って武力にてわからせた

 

 この時松平元康様にも面会することができ

 

「今川の時に妖怪の噂はよく耳にしていた。こうして会うことができたのは感慨深い」

 

「お初にお目にかかります松平様」

 

「元康でよい」

 

「では元康様」

 

「論目流殿の同盟締結への尽力誠に感謝いたす」

 

「いえ、それを言うなら水野様のお力のお陰です」

 

 水野一族には三河の松平方との繋ぎをして貰い、好物、酒が好きかどうか等の贈り物の相談、説明会の場所の提供など尽力してくれた

 

 元々織田に近く、それでいて松平にも恩がある国人衆の水野にとって織田と松平の同盟が締結されれば外敵が存在しなくなり約10万石の所領も相まって織田松平双方に協力すれば戦国の世を乗り越えられるのではと思っていた

 

 更に水野家当主水野信元は戦国の世では珍しい良い人であり、義や恩、縁を大切にする人だった

 

 彼とロンメルの尽力により同盟締結派の家臣が多くなり、元康は清洲城にて信長と面会し同盟締結へと至る

 

 今回の共同作業でロンメルは水野信元と仲良くなり、鉄砲や武具の購入を津島や熱田ではなく鳴海の町でしてくれたり、鳴海方面の関所を無くしてくれたり(物流が流れやすくなる)と手を貸してくれた

 

 借りっぱなしも悪いので飢餓で苦しむ水野領に食糧の援助を行ったりとズブズブの関係になっていく

 

「しかし斎藤義龍も亡くなられたらしいな」

 

「はい、それにより斎藤家の結束も亀裂が入るかと」

 

「美濃を手に入れれば織田家は100万石をも超える一大勢力となりましょうぞ」

 

「はい、ただその為にも松平様との協力は不可避……今後ともよろしくお頼み申す」

 

「あいわかった! 本家は当面今川勢力を三河から駆逐することを優先するゆえによろしくお頼みもうす」

 

「信長様に伝えておきます」

 

 

 

 

 

 

 

「忠勝」

 

「は!」

 

「論目流殿は殺れるか」

 

 元康は本多忠勝を呼び殺れるかどうかを問いた

 

「相討ち覚悟で有りましたら殺れます」

 

「そなたでも相討ちか……敵にならないだけでも良しとするか」

 

「殿、次の一手はいかがいたしますか」

 

「論目流殿にも言ったが三河統一を急ぐぞ。幸い叔父殿(水野信元)から援軍を頂けた。これに三河衆を集めれば4000はなろう……当家が独立して混乱の極みの今川に国分裂の策を行った来年には遠江にて国人一揆が発生するだろう」

 

「さすれば三河どころの話ではなくなりますな」

 

「さよう。そして三河を統一すれば反乱で疲弊した遠江の制圧も容易かろう。遠江を押さえれば駿河制圧も狙えるからな……さすれば儂も東海一の弓取じゃ!」

 

「義元様に最高の手向けとなりましょうぞ」

 

「松平のな! ハッハッハッ!」

 

 

 

 

 

 

 永禄4年(1561年11月)

 

 鳴海城の大規模な改築が終わり、港の大型化も済んだことで津島や熱田の二大商業都市と連携が可能となり、船で三河や遠江、駿河や関東から流れてきた商品が荷税がかからない為ここを拠点に津島や熱田、伊勢方面に商売がしやすいと商人達が集まること集まること

 

 商人達が来れば生活するために銭を町に落とす

 

 その一部を税として集めることができれば母数が大きいと税も大きくなる

 

 その金を町や村、流民を集めて荒廃した地に村を作らせたり、肥料確保や軍馬飼育、労働力確保のために家畜にも投資したりと金をどんどん回した

 

「妖怪様は凄いな……金を回すことでどんどん金を呼び込んでいる。口が悪い者は金遣いが荒いと言うがとんでもない! 使うべきところを見定めてやっているから無駄が無い」

 

「そうだぎゃ! 妖怪様は凄いだぎゃ! おら達も代官達に文字と算術教えて貰って商人と作った物や道具、肥料を交渉できるようになったのは大きいだぎゃ! 学がなんぞやと思っていたが学があれば金を増やせるだぎゃ! 金が増えれば餓えないですむし、美味しいもの食べれるようになった」

 

「妖怪様の代官達が来てどこの村も大豊作! 税が安いから他の作物も育てられるし、それらは食っても良いし売っても良いからな! 倅を学校で学ばせて町で野菜や漬け物を売れば金になる!」

 

 そんな妖怪様ことロンメルは1月に信長とヤッてまた懐妊し、子供を産んでいた

 

「初めて1人だ……いや、双子なんかに慣れててこれが普通なんだけどさ」

 

 信長に手紙で報告したところ美濃との小競り合いで忙しくて来ないが名前が書かれた書状が入っていた

 

 八太郎らしい

 

 黄坊から男の数が8番目だかららしい

 

「母上おめでとうございます」

 

「黄坊か」

 

「はい!」

 

 黄坊は7歳なのに既に身長が140近くあり、この時代の大人の女性と変わらないくらいの大きさになっており、言動も悪ガキだったのに今じゃ子供達の中でガキ大将をしているくらい統率力というかカリスマを備えていた

 

「一門が増えることは良いことです。父上の手伝いも早くしてみたいところですが、今は勉学や鍛練に励み弟や妹の面倒を見て今一度初心に帰り、頑張ります!」

 

 もうなんか7歳の発言とは思えないくらい立派である

 

 黄坊達には特に教育係は着けないが学校にて大人達に混じって勉強しているのが良かったのか友達(数個年上)の商人の家に行っては商いの手伝いをしたりして小遣いを稼ぎ、その金で食べ物を買って友達達に配ったりして従えていた

 

「僕は織田の一族ではあるが母上が妖怪だから異端だ。いつ一族から捨てられるかもしれないからな! 商いやって食っていけるようにしないとならん」

 

「息子ながら本当に7歳か?」

 

 黄坊もヤバイが黄衣はもっとヤバイ

 

「ワハハハハ!」

 

「狼様が来たぞ!」

 

「狼様! 今日は何を?」

 

「鹿狩り!」

 

 どこからか拾ってきた日本狼4匹を従えながら(最終的に30匹まで増える)馬に乗って弩片手に鹿狩りや猪狩りをしたり、海に行って釣りや素潜りをしたりとやりたい放題

 

 野生児に育ってしまったが友達も多く、村の衆からも害獣を駆除してくれるので有り難がり狼様と呼ばれている

 

「母上! 今日は熊鍋にしよう! 熊狩ってきた!」

 

「どうやって狩ったの!?」

 

「鈴川に手伝って貰って狼に熊を誘き寄せてさせて逃げている間に鈴川の手下が弩や鉄砲で狩ったよ!」

 

「黄衣は安全な所にいたんだよね?」

 

「うん! 小熊と戯れてた」

 

 ほらと絶命した小熊を狼達が運んで来た

 

「……怒るのが正しいのか呆れるのが正しいのか……鈴川! 黄衣を甘やかすなってあれほど言ったでしょうが!」

 

「ですが、狩りだと黄衣様がここらでは一番お上手なので熊なんかは狼達の手伝いが無いとこちらまで被害が出るので」

 

「賊にでも目をつけられたらどうするの!」

 

「あいにく狼を4匹も従えている者を攻撃しようとする賊は居ないかと……」

 

 ちなみに1つ下の茶一達も茶一達で色んな方向で問題児であったりするのだがロンメルは子育て難しいと思いながら今日も書類と格闘するのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 ちなみに利家君は美濃との小競り合いで武功をあげて信長に許されて半乃助の家臣から信長の家臣に戻るのだった

 

 半乃助は利家を犬と呼び、利家は半乃助を忍者と呼び会うくらい仲良くなっていたため、信長の家臣に戻っても交友は続くのだった

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