ロンメルの受難   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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中美濃平定戦 前編

 永禄6年(1563年)

 

 美濃の膠着した戦線に動きがあった

 

 犬山城を守っていた城兵が突如裏切り犬山城が美濃の斎藤家に降伏する事件が昨年発生した

 

 西美濃から攻めていた信長は犬山城が陥落したことにより美濃の戦略を大きく転換する必要に迫られていた

 

 軍儀にはロンメルも呼ばれ、どの様に美濃を陥落させるか頭を悩ませていた

 

「西美濃からいままで通り攻略するのが良かろう。豪族達も徐々にであるが織田に降る者も増えておるゆえに」

 

「柴田殿、それは考えが無さすぎるぞ。美濃三人衆らの激しい抵抗でこちらの犠牲が増えるばかり……ここはまず犬山城を奪還し、中美濃からの侵攻に備えるべきかと」

 

「いや、少しの間戦を控えるべきだ。損害が多く兵が回復しきれてない。武器も多く失ってしまっている。1年程は戦を控えるべき」

 

 上から柴田勝家、丹羽長秀、滝川一益が発言していく

 

 ロンメルは地図をじっと見て打開策を考える

 

 すると評定の末席に居た木下藤吉郎が挙手をし、発言する

 

「皆々様、まずは犬山城を奪還して防衛をすると言うのが間違い、今犬山城は中美濃への表門が開いていると考えるのがよろしいかと」

 

「どういう事だ猿」

 

「は、柴田様、まず犬山城を早急に攻めるのは丹羽様意見と同じでありますが、そのまま木曽川を北上し、鵜沼城、猿啄城を攻略、中美濃の扉を瓦解させます。そのまま堂洞城、加治田城、関城を落とすことができれば中美濃を制圧したことになり、東美濃と西美濃を分断できまする!」

 

「なるほど分断することができれば美濃の斎藤家の求心力は地に落ちる! 時間はかかるが悪くない策だぞ藤吉郎!」

 

「ありがとうございます丹羽様」

 

「よし、猿の作戦で行こう。まずは中美濃への足掛かりとして小牧山に城を築く。そこに拠点を移し、来年以降に本格的な美濃攻略といこう!」

 

「は!!」

 

 方針が定まった織田家は美濃攻略の為の準備を始める

 

 ロンメルは鍛冶屋から流れ作業を導入した弩と矢の量産を指示、勿論普通の弓、槍、刀、火縄銃も鍛冶屋の数を増やすことで増産させ、港から入ってくる材料と合わせて鳴海は商業都市から武器工場や鍛冶屋が多数存在する複合都市へと昇華していくこととなる

 

 

 

 

 

「母上、弩の改良を致してみました! この棒を下に下ろすことで運から矢が下に降り、装填時間の短縮となります」

 

「そうかそうか! 茶四郎は面白いことをよく思い付くね」

 

「えへへ」

 

 子供達と遊びながらも政務をこなしていくロンメルは旧5砦を連結させた大堀作りと矢倉の増築を行い城塞都市開発も開始、更に6つに増えた村に税の引き下げを条件とした正確な検地を実行し、国高を自領だけだが正確に把握し、人口も含め掌握した

 

 ロンメルは信長から1万石の所領と言って渡された鳴海の地はロンメルが行っている養蜂や養蚕、養鶏、塩の専売、鳴海の町の税、6村から回収する穀物や芋の収入を合わせると実質国高は5万石にも膨れ上がっていた

 

 そんなロンメルは鳴海が栄えていると知ってやって来た流民を吸収し、美濃攻めの兵を確保していく

 

 ロンメルは黄坊から茶四郎までの息子達を集め、こう言った

 

「来年の中美濃平定戦をお前達の初陣とするが、その前に人殺しになれて貰わないといけない。半乃助」

 

「は! 既に用意を」

 

 ロンメルは鳴海の町に出た殺人犯、放火犯、山賊を捕まえ、それを磔にする時の槍突きを息子達に行わせた

 

 黄坊、茶一、茶次郎、茶四郎は罪人であることから容赦なく磔を行い、茶三郎のみ戸惑いながらも磔を完遂した

 

 茶三郎は磔後体調を崩し、数日寝込むが、数日後

 

「神というものを見た……恐れることは何もないと知った! 母上、もう大丈夫であります」

 

 茶三郎はその後罪人の処刑役を積極的に買って出て打ち首でも首の皮一枚残す斬首技術は称賛された

 

 合同訓練の紅白合戦や卓上模擬戦、戦将棋の比率を増やし、黄坊達はロンメルの期待に応えるため軍事技術を吸収していくこととなる

 

 

 

 

 

 

「ロンメル様、清酒と芋を使った酒、大筒が完成致しました」

 

「そうか!」

 

 ロンメルは5年以上前から織田学校で研究を続けてきた清酒と芋焼酎、大筒が鳴海学校にて引き続き研究を続けてきたことにより、ようやく形となった

 

 清酒や焼酎で傷を洗えば矢傷や切り傷が膿むことを抑えられるので破傷風による死者を減らせるとロンメルは昔呼んだ歴史物の小説で得た知識を活用し、なんとか実現まで漕ぎ着けた

 

 酒は大きな利益となるためこの技術は織田学校にも共有され、薩摩芋や馬鈴薯を使った焼酎と清酒の一大生産拠点へと数年で整備され、莫大な利益を織田にもたらすこととなる

 

 

 

 

 

 

 

 

 永禄7年(1564年2月6日)

 

 美濃の稲葉山にて竹中半兵衛による少人数により城の乗っ取りというクーデターが発生する

 

 信長は直ぐに半兵衛に書状を送り稲葉山城を渡す代わりに美濃半国を与えるというものだったがこれを半兵衛は拒否

 

「民のため、斎藤家の為に行った乗っ取りでございまするゆえに城はすぐに龍興様に返還するゆえにご遠慮いたす。美濃を奪いたくは武力にて取っ手来るようお頼み申す。こちらも全力で相手するゆえに」

 

 と返信を貰い、信長は大笑い

 

「そうかそうか! 忠臣とはこのこと……ではこちらも予定通り中美濃攻めと参ろう!」

 

 信長の号令により8月には動員が完了し、ロンメル率いる怪異家は鳴海衆と流民から引き上げた者達で構成される約3000の兵が集まっていた

 

 町田半乃助、鈴川千秋、服部一忠、鈴木孫三郎といった主だった武将を始め、大筒10門、鉄砲1000丁、槍500本、弩や弓1500といった内訳であり、白兵戦の時は全員が装備している刀で斬りかかることになっていた

 

 鉄砲の数は織田本体の次に多く、ロンメルが鳴海の地をいかに発展させたかが織田家臣達にわかる明確な指標となった

 

 ちなみに鳴海城の留守は行徳定春が500の兵で詰めている

 

 信長のいる小牧山城を出発した

 

 部隊は森可成、佐々成政、池田恒興、丹羽長秀、ロンメル、そして織田本体の総勢1万3000

 

 この1万3000による犬山城攻めが開始される

 

 犬山城には斎藤方1000が詰めていたが

 

「半乃助」

 

「は!」

 

 ロンメルは半乃助達忍衆を使い搦手を開門させると一斉に城内に殺到

 

 ロンメルが先陣を斬り、最前線で鬼神の如く戦う姿に怪異隊の士気も高く犬山城は僅か4時間で陥落

 

「よくやったロンメル。犬山城は拠点にするのは不向き故に木曽川を渡った先の伊木山に砦を築き拠点とする。犬山城は池田恒興、森可成が残り兵を集めておくのだ! ロンメルは木曽川を渡った後そのまま北上し明王山にて陣をはり、猿啄城を監視、落としてしまっても構わぬ」

 

「「「は!」」」

 

 信長は伊木山にて砦の建築に入ると木下藤吉郎が虚言を使い犬山城のすぐ北の鵜沼城を降伏させ、ロンメルは明王山に入るとそこから10門の大筒が火を吹いた

 

 木でできていた壁の至るところに大穴を開け、忍衆がそこから焼酎等の酒類を使い城壁に火を放った

 

「母上、黄坊、茶一以下弟達で猿啄城を攻略してきまする」

 

「わかった!」

 

 二の丸が焼け落ちたことで本丸のみとなった猿啄城に大量の弓と鉄砲が襲い掛かる

 

「大筒放て!」

 

 ドゴンと二の丸から本丸に大筒が放たれ鉄砲や弓も合わさり城内は死傷者で溢れかえる

 

「よし! 茶次郎!」

 

「行くぞ野郎共!」

 

 大木を削った大杭を野郎300人が抱え茶次郎の号令で門に突撃する

 

 城からの抵抗も無く門は破壊され、城内にて掃討戦が始まり、城主が討ち取られたことで降伏

 

 こちらも1日での落城となった

 

「「「えいえいおー! えいえいおー!!」」」

 

 鳴海衆達は城を2つもあっという間に落としたことで多いに自信をつけ、黄坊は首2つ、茶一は首4つ、茶次郎、茶三郎、茶四郎はそれぞれ首1つあげ、最高の初陣となる

 

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