永禄9年(1566年)
「美濃平定をしたことで武田と近くなった故に同盟を結んだ。武田から姫を2人貰ったのだが、奇妙の正室に松姫を、黄坊いや一政の正室に信玄の庶子の朝姫をくっつけるのはどうか? 余の息子が婚姻の1つも無ければ箔がつかないだろうに」
「……それ政略に絡んできませんか?」
「いや、奇妙と松姫は婚約に留めておるが、一政と朝姫は婚姻させる。政略であれば奇妙だけで事が済むが武田方に無理を言って通して貰った」
「妖怪の世界だと基本自由恋愛ですが、この戦国の世ではどうしても政略が絡んできますか……一政の件は了承しました」
「あとは黄衣の方か」
「誰か良い人は居ませんか?」
「黄衣は政務や内政をこなせることがわかっているからな……外部とは婚姻させられない」
「……あ、でしたら平野様の次男の平野長景と婚姻させるのはどうでしょう? 両家とも繋がりがありますし、次男なので婿とすればあちらも納得するでしょう」
「なるほど妙案だな。平野の次男は何歳だ?」
「今年で10歳かと」
「よし、それでいこう。とりあえず顔合わせを両名行うぞ」
「は!」
「婚姻ですか」
「早くない?」
「いや、怪異織田家は全く親族がいないから婚姻は早い方が良い。一政も黄衣も今年で12でしょ……他の人も元服をする頃だし丁度良いでしょ」
ロンメルは一政には朝姫、黄衣には平野長景と婚姻するようにと伝えると
「まぁ会わないことにはなんとも言えないが……側室は自分で決めて良いか?」
「平野の次男……あぁあの子か」
と一政はどうやら好きな子が居るらしく、黄衣は長景が誰か思い出していた
「庶子とはいえ他の国からやってくる子だから仲良くしてね」
「まぁ仲良くはするつもりだが」
「黄衣は……もう少し大人しくして欲しいな母親としては」
「型破りな村を許可したのは母上だよ! 米が無いから加工品で勝負してるんだから……あ、周辺の村も巻き込んで良い?」
「黄衣の直轄の村以外は米作を続けさせるんだったらある程度は弄っても良いけど、黄衣の村は一応一政と忠輝の領土の中間だから一政と忠輝の許可を得てからにしてね」
「一政兄上……」
「やめろ気色悪い! お前が媚びるとろくなことになった試しがない……村の提携は良いが、母上そうなると黄衣の村はどうするんだ?」
「別にどうもしない。黄衣と平野長景が一緒に住む屋敷ができるくらいで統治も続けさせる……というか村1つ3年はまともに統治できなかったら統治能力が欠如していると思ってるから頑張りなー。容赦なく信長様に言って領土の増減させるからね」
「ちなみに母上の中で今一番統治が上手いと思っているのは誰ですか?」
「前秋、黄衣がトントン、一歩下がって一政と忠輝、次いで右恵で最後左恵かな? 左恵は最近頑張ってるから右恵と逆転するのも時間の問題かもしれないけど……右恵は並み以上にはできるけど何かに特化しているわけでもないし……器用貧乏な感じがするんだよねぇ……右恵もわかっているけど下手にやると迷惑がかかると思ってるのか段階を踏んで改革してるし」
「前秋と黄衣に現状負けてるかぁ」
「母上、これ言って良かったの?」
「別に? 聞かれたら教えてるし現状の評価を客観的に見て判断してるだけだからね……まぁとにかく一政は好きな子を側室にしても良いけど朝姫も大切にすること、黄衣は長景を虐めないこと……良いね」
「「はい!」」
村の発展をさせている兄弟達は次第に1村だけでは発展が難しいと判断し、ロンメルに周囲の村も巻き込む許可を求め
「どんどんやって良いよ」
と次々に許可を出した
半乃助の忍衆や鈴木達元雑賀衆の海軍衆も巻き込み造船所を建築したり、大きな牧場を建てたりしていった
「となると連結するための道をなんとかした方が良いな……道幅を広げ、馬が通りやすい道を作るか」
前秋は他の者よりもいち早く街道整備に取り掛かり、それに遅れまいと街道整備の競争に入った
商人達はこの開発競争に惜しげもなく投資し、街道沿いに店を建てたり、宿を建てたりして賑わいを見せた
その噂を聞きつけた三河や遠江の流民達が押し寄せ、これをどうやって捌くかが次の課題となった
一政、忠輝、黄衣は楽市を作らせ闇市にならないように統制しながら市場を作り、そこで生まれる雇用で流民を捌く
左恵、前秋は新しい村を作らせて黄衣が成功させた米を作らなくても食っていける仕組み作りを組み立てた
右恵は鳴海学校の分校を作り、そこに流民を入れていった
学校というより職業訓練所的な意味合いの強いが、そこで木綿や絹の加工を行う紡績業務に人を集中させることで流民を捌いていった
ロンメルは誰も兵にしなかったことに疑問を持ち、全員を集めてその旨を聞くと
「「「金にならん」」」
と答えた
生産性が全くない軍は外敵が居ることで成り立つが、外敵がほぼいないここで流民を使った士気の低い軍を作るのだったら職業軍を作った方が良いし、今回の競争はあくまで与えられた村をどれだけ発展させられるか、それに付属する形で自身が与えられる予定の領土を発展させれば良いという考えなので軍を作る意味合いが薄かった
まぁそうだろうなと思っていたロンメルは息子達が軍を作らないので鳴海衆を中心とした軍を作っており、主兵装は弩で時点で槍、数が1000丁以上は維持できない鉄砲は数的にはその下であり、騎兵と続く
総勢5000ほどが怪異織田家の最大兵数であり、今のところ拡張予定は無かった
ロンメルは更に鳴海城の改築も第二段階が終了し、更に拡張した第三段階に移っていた
第三段階が終わると全長約15キロにも及ぶ土壁や空堀が完成する
ロンメルは第四段で完成とし、第四段で土壁を石垣にし、鉄砲や大筒矢倉を幾つも建て、村を囲うことで食料生産も行える様にしていた
井戸も何十ヶ所もあり、兵糧攻めをされても海路にて補給を可能にし、その様から難攻不落の城まで改築するに至った
ロンメルは後日信長にやりすぎだと拳骨されることとなる
「朝ですよろしくお願いします」
「織田一政だ。怪異織田家の嫡男で織田本家の分家となる。よろしくな」
「は、はい」
武田の侍女達はロンメルを見て本当に妖怪が存在したのか、お館様に伝えなければとこそこそと話しているし、一政や黄衣の金色の髪を見て妖怪の子とこそこそと話す
が、朝姫は
「話に聞く獅子のようですね!」
と興奮気味
信長を少しやらわかくした感じのイケメン一政に朝姫はもうメロメロ
一政と同じ年ということもありロンメルは朝姫と一政を2人きりにさせて退室した
退室した後侍女達を集め
「武田に情報を流すのは構わないけど一政に嫌がらせをするようであれば妖術にて殺すよいな」
と脅しておいた
朝姫には一政を支えるために侍女達と一緒に学校に通って貰った
侍女達は困惑したが、鳴海学校は基本男女平等、身分の上下もあまりない
女が政務の真似事などは馬鹿げていると侍女達は反発したが、恋で盲目となっていた朝姫は一政の助けになろうと頑張った
頑張りすぎて算盤の成績が学年1を半年で取るくらい頑張った
侍女の反発にも耳を聞かずに頑張る朝姫の姿に徐々に侍女達も学校に馴染んでいき、学友と恋仲になっていった
「そのコミニティーに馴染むのが手っ取り早いからね……仮想敵国でもハニトラを仕掛ければコロッと転ぶ。これであの侍女達は信玄に都合のよい情報のみを送るだろうよ」
「恐ろしいお方ですなぁ論目流様は」
「半乃助、忍衆のご子息を使った恋罠(ハニトラ)をして悪かったな」
「いえいえ、侍女と言えど武田方は格式がしっかりしていますのでそこと繋がりは下賎と言われる忍衆にとって糧となりまするゆえに」
「そうかそうか……」
「政略に子供を使わないと言いながらずいぶんと暗躍しておりますなぁ」
「まあね。さて次の策は今川を盛り返させようか」
「しかしそれは三河を刺激しませんか?」
「なあに、商人が武器を少し安い値で今川に売るだけだ……鈴木、左恵」
「「は!」」
「商人に扮して駿府に入れ、左恵の統治評価は一旦棚上げにする。鈴木、左恵……血に飢えているであろう?」
「大将はやっぱり妖怪だわな……どこと戦えば良い?」
「武田と戦ってみなさい。バレないように名前を変えてな。左恵、氏真殿にこの書状を……威力偵察程度で良い。死ぬなよ」
「は!」
ロンメルは忍衆から武田が数年以内に今川に侵攻しようという意見が台頭してきていると耳にしていた
その為先手をうち、氏真に恩を売るために戦才が飛び抜けている左恵と補佐に鈴木を付けた
左恵と鈴木は氏真にロンメルからの書状を渡した後偽名を使いながら今川領に潜伏しながら駿府の川衆や流民を吸収し、村を作り兵を鍛えながら時を待つことになる