ロンメルの受難   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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伊勢攻め

 永禄12年(1569年)

 

 織田本隊が京周辺を制圧し、ロンメルは松永久秀と細川藤孝と共に二条御所の仕上げをしている頃、別動隊を率いて北伊勢を攻めている者が居た……

 

 そう滝川一益である

 

 滝川一益は別動隊を任されるくらいに出世しており、伊賀にいた一族を集めて滝川隊を編成、伊勢を織田支配下にするため猛烈な勢いで侵攻し、北伊勢の国人衆約四十八家だか五十三家だかよくわからない乱立する者達を一掃、ついでに寺領も攻め込み焼き付くしていった(後の比叡山延暦寺焼き討ちの数百倍ヤバイです 北伊勢の歴史的資料が殆どこの時に焼失しています)

 

 南伊勢でこの動きを見ていた北畠具教はこの惨状に激怒、織田と敵対を表明するが、北畠具教の実弟の木造具政が織田に寝返る事態が発生

 

 彼の言い分としては

 

「いや、新しい将軍様は織田を支持してるし、織田が本気になれば畿内と尾張、美濃合わせて7~10万の兵が動員できる。対してこっちはどんなに頑張っても8000が良いところ……現実を見てくれ兄上」

 

 とのこと

 

 歴史ある北畠の血が絶えない為の苦肉の策でもある

 

 弟の寝返りに激昂した北畠具教は弟木造具政が籠る木造城を包囲

 

 滝川はこの動きに木造城を支援し、織田信長に救援を要請

 

 信長は直ぐに滝川一益の要請に応え約7万人もの兵を動員し、伊勢攻めを行うこととなった

 

 二条御所建設に関わっていたロンメルにも召集がかかり、怪異織田家からも5000の兵が織田本隊に合流した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 怪異織田家軍儀にて

 

「おお! 岡部殿、朝比奈殿お久しぶりですな! 参戦ありがたく存じます」

 

「いやなに我らは論目流殿に臣従した身故に馬車馬のごとくお使いくだされ」

 

「岡部殿の軍略に朝比奈殿の外交術が有れば怖いものは無い! これより軍儀を開始する」

 

「「「は!」」」

 

「まず怪異織田軍の目標は田丸城の陥落。平城故に怪異織田軍5000だけで落とす。半乃助」

 

「は! 城兵の数はおよそ800、田丸直昌が守っております」

 

「田丸城は昔に作られ、更に政治的意味合いの強い城ゆえに堅城とは言いがたい。よって一気に攻め落とす」

 

「降伏勧告は」

 

「既に滝川殿が何度もしていますが駄目でしたので不要。作戦は夜襲にて搦手及び北門を襲撃する。門か壁を破壊でき次第本隊を中に入れ白兵戦となろう……白兵戦では私と私が鍛えた馬廻り衆にて本丸への道を切り開く。最後は囲んで大筒と鉄砲で威嚇した後今一度降伏を促し、蹴るようであれば焼き討ちとする」

 

「母上、俺に搦手を任せてくれ」

 

「では私が北の門を」

 

 左恵と忠輝が立候補したので

 

「左恵は半乃助を、忠輝には岡部殿をそれぞれ副将として着ける。無理は絶対にしないように」

 

「「は!」」

 

「母上、僕に面白い物を今回使用しようと思います。正門も同時に攻撃させてください」

 

「海軍衆に運ばせてたあれか? 本当に使えるのか?」

 

「実験は村で何度もした。この織田前秋にお任せあれ!」

 

「わかった前秋に大筒隊と500の兵を任せる。正門も可能であれば抉じ開けろ」

 

「は!」

 

「では今晩攻撃開始とする。各員奮闘せよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その日のうちの深夜

 

 数百本の火矢が田丸城に放たれたことで田丸城攻めが始まった

 

 忠輝は鉄砲隊と弓隊で矢倉の兵を早々に射殺すると北の門を破壊するため大木を木槌の代わりとして数度ぶつけることで門を抉じ開けた

 

 門破壊に忠輝が躍起になっている頃左恵は搦手より侵入し、食糧庫に火を放つと左恵は北門の忠輝隊を援護するために城壁に登り、そこから鉄砲や弓、弩等で援護した

 

 そうして北門が破壊されたと同時くらいに

 

 ドゴンドゴンと大筒よりも激しい爆発音が響いた

 

「木砲でも数が揃えば立派な攻城兵器だ」

 

 前秋が用意していたのは木砲50門

 

 平城であるため正面を弓や投石を竹を束ねた盾で防ぎながら発射までの時間を稼いだ

 

「次射用意……放て」

 

 ドゴンドゴン

 

 木砲から打ち出された粘土と鉄粉で固めた砲弾は土壁を破壊するには十分な威力であり、城壁の一部が崩れた

 

「一政兄上!」

 

「よし! 者共俺に続け!」

 

 崩れた城壁から服部一忠や織田一政を先頭に斬り込みを開始

 

 城壁がこんなに容易く崩れると思っていなかった城兵達は混乱し、持ち場を離れて逃げ出す者も現れた

 

「よし! 朝になる前に二の丸も攻め込め! 私に続け!」

 

 奇襲による力が二の丸前で止まるとロンメル率いる馬廻り衆が突撃を開始

 

 次々と二の丸に侵入され、混乱が広がっていく

 

「雑魚に構うな! 本丸を目指せ!!」

 

 ロンメルは先頭で大声をあげながら突撃を防ごうとする者共を斬り殺し、前進を続ける

 

「本丸の門が見えた! もう一押しだ!」

 

 ロンメルは本丸の門に到達し、周囲の雑兵を踏み殺し、斬り殺し、首を跳ねて本丸の中に放り込む

 

「大筒隊、鉄砲隊射撃開始」

 

 本丸めがけて大筒と鉄砲による射撃が開始され、日が登り、9時過ぎまで撃ち続けられた

 

「撃ち方やめぇ! 矢文を放て」

 

 ロンメルは使者を送るのは危ないと判断し、矢文を送った

 

 矢文の内容は、城主及び城兵の命はこれ以上取らないことと武装解除、城主田丸直昌の田丸城からの退去の3つを条件とし、これを田丸直昌は了承

 

 北畠氏が伊勢神宮の守りの要として整備してきた田丸城が1日も経たずに陥落した情報は織田信長と大河内城にて籠城する北畠具教にも伝わった

 

「流石妖怪殿だ。噂に違わぬ武勇誠に天晴れ」

 

「父ちゃん不味いよ南伊勢の豪族が次々に離反していく!」

 

「なに、天下の堅城ここ大河内城に8000もの兵で守っているのだ早々には落ちん……とにかく相手の出鼻を折り続けるぞ」

 

「わかったよ父ちゃん!」

 

 息子北畠具房がドタドタと皆に伝えに行く

 

「あやつ(北畠具房)ではお家は暗い……武芸の1つもできない、大食い……そして豆と米の区別もつかない大うつけだからな……降伏条件はあやつ(北畠具房)の隠居と織田から息子を養子としてそやつに北畠の家督を譲るでよかろう……その条件にするには今しばらく戦う必要が有るがな!」

 

 その後北畠方は滝川一益、明智光秀、丹羽長秀、柴田勝家等の織田方の将による奇襲攻撃を天候が味方したこともあり全て撃退する

 

 ただこの際に食糧庫を燃やされ攻めあえぐ織田にじり貧の北畠という構図が出来上がり、伊勢侵攻が始まって約1ヶ月半後、将軍足利義昭の停戦及び和平交渉の場が設けられ、北畠親子が大河内城からの退去、北畠具房の家督放棄、織田からの養子を貰う事となり、その養子として怪異織田家の八太郎を北畠側が希望し、将軍が了承したことにより怪異織田家で兄達からとにかく愛されていた八太郎が北畠に養子として向かうことになってしまった

 

「信長様! 家の子は政略に使わないと約束はどうしたのですか!」

 

「すまぬ、将軍からの要請じゃし、北畠側もロンメルの息子であれば納得すると言われ、北畠具教が烏帽子親を勤めて元服もさせると言ってきた故に断れなくてな……」

 

「あの暗君めぇ……」

 

「北畠具教はお主の剣術の兄弟子であろう。だから余計にその子供を欲したのだ……すまぬが伊勢安定化の為に飲んでくれ」

 

「……わかりました。なら他の娘や息子達の婚約や婚姻はこちらで決めますからね!」

 

 そう言ったロンメルは直ぐに水野信元殿に連絡を入れ大雪と嫡男信政殿と婚約させ、小雪は信長の弟で謀叛を起こして処刑された信行の息子津田信澄と婚約させた

 

「おい、お前の方が政略に使っておるではないか! それでは派閥ができるぞ」

 

「どのみち織田本家と怪異織田家では対立は私や息子達が生きている間は対立しないでしょうが、力を持った分家が本家を脅かすのは信長様自身がわかるでしょ。ならばどうするか」

 

「派閥の解体……いや、お主国替えを狙っているな」

 

「はい、今回水野殿や津田信澄を巻き込んだのはいつか鳴海の地や水野領を織田に返却し、遠くの代替え地にて暮らすための布石です。その為には怪異織田家はもう少し力が必要なのでね」

 

「そこまで考えておったか」

 

「あとはウマ娘の娘達をどうするか……第二第三の私になられても困りますからねぇ」

 

「1人は奇妙に着ける。残りは重臣に分け、遠くに分散するのが良かろう。妖怪の全滅だけは避けなければなるまいて」

 

「そうですね……」

 

 この婚約が後々の騒乱に効いてくるのだが、それは後のお話

 

 

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