ロンメルの受難   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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野田・福島城の戦い 前編

 元亀元年(1570年5月)

 

 京に帰還したロンメルは体調を回復させると木下秀吉、明智光秀、池田勝正、徳川家康、斎藤利治等金ヶ崎の戦いに参加した諸将に礼を言って回った

 

 木下秀吉と明智光秀、斎藤利治の3名はロンメルを今回の件で全幅の信頼をよせ、徳川家康は旧今川家臣団を吸収した件を水に流した

 

 家康にとって今川家臣団は恨みの対象であり、特に岡部元信を凄い嫌っていたこともあり、それを召し抱えたロンメルにも悪感を抱いていたが、今回の見事な采配で敵にしてはいけないと思うようになる

 

 金ヶ崎の戦いの詳細な被害が京に到着してから判明した

 

 こちらは決死隊450人他全部隊合わせて800の合計1250名

 

 決死隊以外で一門や武将は亡くなった者は居らず、ロンメルは側近衆を生け贄に1万5000の朝倉軍を殲滅させたことになる

 

 ロンメルは決死隊に参加し生き残った者達全てを昇進させ、亡くなった者も遺族に普通よりも多くの弔慰金と感状を渡すこととなる

 

 京に戻ったロンメルは軍を再編させていると六角の再蜂起の知らせが入る

 

 六角の数はどこから集めたのか2万

 

 これに対して柴田勝家、佐久間信盛が激突、野洲河原の戦である

 

 これに勝利した織田家は六角残党を駆逐し、南近江一帯を完全に掌握

 

 中山道は浅井軍により封鎖中の為、東海道を通り本拠地の岐阜城へ織田家、徳川家は帰還

 

 信長は野洲河原の戦前に千草峠を通り岐阜へ帰還するのだが火縄銃にて狙撃されるという一大事が発生、犯人はすぐさま捕縛され斬首、信長はかすり傷を負ったものの命に別状はなく、難を逃れた

 

 

 

 

 

 

 

 岐阜城の評定にて

 

「ふぅ、何とか生き延びた」

 

「いやはや、流石ロンメル殿ですな。この木下秀吉感服いたしましたぞ。まさに無双!」

 

「まだまだ完成には程遠い……義輝公にはまだまだ及びませんよ……一之太刀必ず完成させて見せます」

 

「我々も大変でしたが柴田殿も流石ですな六角2万を撃滅するとは」

 

「ハッハッハ! 何のこの柴田勝家あれくらいな烏合の衆であれば恐れる必要も無いですからな!」

 

 この場に居るのは重臣達のみであり、佐久間信盛を筆頭に村井定勝、柴田勝家、森可成、丹羽長秀、滝川一益、木下秀吉、明智光秀、池田恒興そしてロンメルの10名だけだった

 

 信長が評定に現れると座りながら全員頭を下げた

 

「これより次の目標を決める……キンカン(明智光秀)図面を広げよ」

 

「は!」

 

 明智光秀が地図を広げる

 

 そこには細かく敵対勢力や味方の城と砦が書かれていた

 

「信長様発言を」

 

「キンカン認める」

 

「は! まずは中山道の回復を目標とするのが良いかと。現在東海道を使った大回りをしなければ京に進出することができなくなっています。なので刈安尾城、長比城をまず制圧し、浅井が出てくれば関ヶ原にて決戦を、出てこなければ北の横山城、佐和山城と次々に落とし、中山道を回復させます。浅井が出てくれば良し、出てこなければ支城を見捨てたことになるので浅井の土豪や国人衆への求心力は低下致します」

 

「よし、余の意見と合致した! それでいこう!」

 

「では長比、刈安尾城は竹中半兵衛が美濃を追われた際に身をよせておりましたので調略はこの木下秀吉が行いまする」

 

「猿(木下秀吉)任せる」

 

「は!」

 

「では猿の調略が完了し次第軍を進める! 別動隊は柴田勝家、丹羽長秀が編成し、佐和山城を牽制し、本隊が横山城を落としやすいようにせよ。関ヶ原にて決戦となった場合は背後から浅井軍を脅かせ良いな!」

 

「「「は!」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 鳴海城に戻ったロンメルは薄墨の容態を確認する

 

「大丈夫薄墨?」

 

「熱は下がりましたのでだいぶ楽になりました母上、膿まなくてよかったです」

 

「当面の間は寝ていなさい。傷口が開くと不味いから……侍女達に身の回りの世話をさせるようにしておくから」

 

「はい!」

 

「阿久利黒、望月、磨墨、生食」

 

「「「「はい!」」」」

 

「浅井討伐の軍に兄達と共に参加せよ。前回は首を取れなかったらしいが、次こそ頼むぞ」

 

「「「「は、はい!」」」」

 

 ロンメルは負傷者を鳴海の地にて療養させ、軍を再編し、畑仕事に影響のでない3000を今度は連れていくことにした

 

 ロンメルは鳴海に到着して数日のうちに金ヶ崎の戦いでの功労を行うと信長からの出陣命令を待った

 

「母上、急ぎの知らせが」

 

「何事だ前秋」

 

 鳴海の地を纏めていた前秋が悲痛な顔をして私の前に現れた

 

「母上、流民が例年より多くなっております。どうやら甲斐や関東から流れてきているとの事、急ぎ対象しなければ一揆が発生する可能性がありまする」

 

「一揆は不味いな……」

 

「職は何とかなるのですが食料が足りませぬ。一時備蓄してある食料の一部を放出する許可をください」

 

「わかった。ただ近畿では戦が多くなるゆえに近畿でも食料が不足すると見るが」

 

「3000の兵による遠征でしたら9ヶ月は大丈夫ですが、それ以上であれば金が嵩むと思ってくだされ」

 

「わかった。前秋、奉行衆と共に領内を頼むぞ」

 

「はは!」

 

 この頃には織田前秋はロンメルの代官として鳴海8万石を掌握しており、兄弟が居ない間に黄衣、奉行衆筆頭平野長治を補佐として領内改革を実施し、開発好景気ともいえるお金と物流の好循環を産み出していた

 

 そこから浮いたお金で鳴海城の城壁の改築に入る

 

 これが第四改築となり土塁から石垣への変更だった

 

 多数の矢倉、武器や食料庫、なにより村を6つも囲んでいることから食料供給にも余念が無く5万以上の軍勢が入れる巨大な城が完成となる

 

 やりすぎと怒られて尚ロンメルがこの城を完成させるに至った理由は信長様に万が一が合った場合最後に籠ることができる城が必要とロンメルなりに考えての築城であった

 

 なにより武田への守りとしても機能するこの城を今さら破棄する気も信長には無かったが、民と近すぎ妖怪様と人々から崇められていることに信長が危機感を抱いているため、ロンメルが前にも言った国替えは必ず実施しなければならないと思っていた

 

 そして遂に秀吉と半兵衛の調略により刈安尾城、長比城両城が無血開城

 

 織田軍が動き始める

 

 

 

 

 

 

 

 

 ロンメル率いる3000はすぐさま織田本隊に合流すると中山道を通り横山城を急襲、これを陥落させる

 

「浅井は動きませんでしたね。信長様」

 

「うむ、長政は余の事をよく知っておる。出てくれば叩かれることも熟知しておろう……佐和山城からも出てくる様子は無いか……朝倉の援軍を待っているのであろう」

 

「しかし朝倉主力1万5000は壊滅した為今は援軍どころでは無いでしょう……早急に佐和山城を落とし、欲張らずに街道の回復に留めるのが先決かと」

 

「よし、佐和山城を守るのは磯野だったか……猛将故に力攻めは危険。ここは兵糧攻めにて落とすぞ」

 

 別動隊が佐和山城を包囲し、織田本隊は横山城、刈安尾城、長比城に軍を分けて浅井の出方を警戒した

 

 が、浅井は動くこと無く磯野が守る佐和山城は降伏

 

 ここに中山道が回復

 

 横山城は秀吉に与えられ浅井の監視役に命じられる

 

 ちょうどその頃松永久秀の伝令から緊急事態を信長は報告される

 

 三好三人衆挙兵

 

 摂津の中嶋に進出して野田と福島の砦を改築しているとのこと

 

 信長は別動隊を吸収すると京に入り、将軍義昭を担ぎ出して再び幕府軍を編成すると中嶋に急行した

 

 野田城及び福島城は淀川下流で西は海、それ以外を川に囲まれた天然の要塞であり、大軍をもってしても侵攻は困難だと思われる場所であった

 

「半乃助」

 

「は!」

 

「三好の動きは」

 

「兵数約1万3000が集結し榎並城を落城させ、現在三好義継が守る古橋城も落城させたとのこと」

 

 三好義継は元々三好家の主であり、三好三人衆の主君でもあったが松永久秀の手引きのもと信長に降っていたため攻撃対象となってしまった

 

「畿内にて兵はいくら集まった」

 

「ざっと3万程、内雑賀衆及び根来衆が2万、織田本隊と合わせると約7万の軍勢になりました」

 

「鉄砲は?」

 

「雑賀衆と根来衆が3000丁、織田本隊が4000丁、怪異織田家が1000丁、他部隊合わせて2000丁、合計1万丁有るかと」

 

「それだけあれば十分だな」

 

「この前に堺衆に鉄砲と弾薬を全て買い上げたのが大きいですな」

 

 京にて将軍出陣の準備を行っている頃、先鋒隊の前田利家が松永久秀と合流し、古橋城、榎並城を次々と奪還

 

 将軍が動くとわかると三好三人衆は中嶋に撤退し、籠城の構えを見せた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 信長本隊が中嶋近くに布陣し、松永久秀が浦江城を攻略させている頃、ロンメルの下に半乃助の部下が三好方の兵と密書を捕えたとして報告された

 

 内容は織田の本当の目的は三好攻めではなく石山本願寺であるという内容であった

 

 確かに天王寺の陣も含めると石山本願寺を包囲しているように見えなくもない

 

「密使が1人だとは考えにくい……しかしなぜ石山なのだ? 半乃助」

 

「以前信長様は石山と堺より銭の徴収を行い、各々2万貫(20億)を徴収され、信長様は石山本願寺に対して石山からの撤廃を求められておりました……これに応じなかった為今回攻めてきたと考えてもおかしくは無いかと」

 

「信長様に伝えるべきか……」

 

「母上」

 

「左恵どうした?」

 

「良いではありませぬか。相手は勝手に罠に掛かってくれるのですから」

 

 左恵は罠を張れば簡単にかかると判断した

 

 つまり釣り野伏せをここでもやるとのこと

 

「しかし、どこでやる? 開けたここでは伏兵も難しいぞ」

 

「一政兄上別に伏兵だけが釣りではございませぬ信長様は淀川の下流の福島城と枝分かれしている場所を塞き止めると思いますが、我々はそれよりも上流で塞き止めを行います更に良い場所に森がありまするゆえにここに潜ませましょう」

 

「天満森か」

 

「然様、ここであれば伏兵も隠せます」

 

「よし、左恵、伏兵1000はお前に任せる。一政、忠輝!」

 

「「は!」」

 

「弓、弩、鉄砲隊1500はお前達に任せる」

 

「「は!」」

 

「右恵!」

 

「は!」

 

「信長様へこの事を伝えに行け、後方は私が命に換えても守ると」

 

「は!」

 

「残り500は私と共に塞き止め工事を行い、川を渡るぞ……側面より奇襲する部隊とする」

 

「「「は!」」」

 

「では皆の衆用意に掛かれ!!」




姉川の戦いが消えてしまったので浅井はピンピンしてます
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