ロンメルの受難   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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武田滅亡

 天正2年(1574年10月)

 

 ロンメルが現在拠点にしている信濃の上原城にやって来た磨墨にロンメルは拳骨をした後説教を行い、織田の外交状況や内部事情を語った上で磨墨がいかに軽率な行動を取ったか怒り、丹羽殿に謝り、ロンメルは磨墨を上原城の1室で蟄居処分とし、監視下に置いた

 

「磨墨は危険すぎて私の監視外に出せない。丹羽殿には申し訳ないが磨墨は実家預かりとしなければ駄目だ……もしこれで上杉謙信の子供でも孕んでいたら……とりあえず信長様にも報告をしないと」

 

 ただ今回の件を上杉に詫びたところ妖怪なのだから仕方がない

 

 久々に血が滾り楽しかった

 

 敵として出てきたら容赦はしないと好感触であり、ロンメルはそれでよいのか上杉と困惑

 

 信長も

 

「余に置き換えたら単身で今は同盟国だがいつ敵国になるかわからない場所に行き、姫と行為をして帰ってくるみたいなものだろ……引くわ……余でもやらんぞ」

 

 と信長自身の娘の行動にドン引き

 

「確かに磨墨は重臣の下に出すのは危険すぎるな。丹羽への褒美でもあったがこれでは心労、苦労の足枷となってしまう。ロンメルが預かり罰を与えるのが正しかろう」

 

 と蟄居処分を賛成し、磨墨のやらかしが大きすぎて信忠、柴田、羽柴の3名を怒る気力は無くなっていた

 

 

 

 

 天正3年(1575年3月)

 

 ロンメルが信濃統治のためにあっちこっち走り回っていると、信濃奪還の為の武田挙兵の報せが入る

 

 武田勝頼は敗戦による急速な領土縮小、怪異織田家、徳川家、上杉家の共同による経済制裁、力を無くした武田を見限る国人衆も増えてきており、疫病と干ばつのダブルパンチで武田が生き残るのは信濃を奪還するか北条を攻めるか、徳川を攻めるかの3択のどれかから米を奪わないと国が終わるという国の末期病を発症していた

 

 真田からも武田が法外な税の取り立てを行っているため助けてほしいと連絡があり、ロンメルは近々武田が挙兵するなと判断し、決戦に備えていた

 

 武田の財政難は深刻で諜報機関に金を出すのも渋っていたらしく、この頃二代目望月千代女なる若い女性忍衆棟梁及び三ツ者と歩き巫女がロンメルの調略に乗り降伏、初代望月千代女の首を差し出しての降伏だった

 

「約束通り全員の士分と各々1万石分の田畑を約束しよう。望月千代女だったか」

 

「はい」

 

「半乃助の側室となり子を産み、育てよ」

 

「は!」

 

「半乃助良いな」

 

「貸し1つですよ」

 

「今回の仕事の褒美として500貫出す。三ツ者も歩き巫女も半乃助が管轄することも許す。甲賀の者元人質衆と競い会わせ武田の情報を引っこ抜き、撹乱しろ」

 

「は!」

 

 三ツ者と歩き巫女を組み込んだことで忍衆1万人というこの時代だと忍びの里以外だとここまで巨大な諜報機関を持つ家は存在せず、近畿、畿内、東海道、関東と膨大な情報及び工作活動が可能となり、その力を遺憾なく武田は思い知ることとなる

 

 

 

 

 

 

 武田が侵攻を開始して数日

 

 兵糧が焼かれるのはザラ、火薬が爆発したり、矢が燃えたり、飲料水に毒が入れられていたり、中には同士討ちが発生したりと戦う前から兵が離散していき、勝頼は戦うこと無く撤退

 

 最初1万人居た兵は5000人まで減っていた

 

「左恵やれ」

 

「は!」

 

 左恵に兵8000を預け追撃を行わせた

 

 その活躍は凄まじく甲斐の山脈をものともせずに神速と言える速度で行軍し、毎日城か砦を落とし、白山城にて武田勝頼を捕捉すると猛追を開始

 

 ロンメルの血の滲む様な努力の末に完成させた騎馬鉄砲隊、騎馬弩隊の大々的な初投入であり、一撃離脱、先回り、待ち伏せを繰り返すことで武田の機動力を奪うと同時に出血を強いた

 

 白山城の戦いと呼ばれる合戦で蟄居を抜け出した磨墨が無双し、左恵の軍略と合わさり武田軍は壊滅

 

 躑躅ヶ崎館をも包囲し内部に突入したときには武田四天王と呼ばれた内藤昌豊、山県昌景、高坂昌信に武田一門、武田勝頼やその息子、娘達が揃って自刃

 

 武田は最後の決戦もままならずに信玄の死から約2年という短期間で名門甲斐武田氏は滅亡することとなる

 

 織田信忠の婚約をしていた松姫含め信玄の姫や室達は左恵が救出し、松姫はそのまま信忠の元に送られ、他の室や姫達は実家があるものは返し、滅亡したり縁切りされている者はロンメルが保護した

 

 大半の姫達は尼になったが、武田一門の姫の1人が武田の血を残したいと左恵に嫁入りを懇願し、左恵はロンメルの許可のもと承諾

 

 姫の名は鶲姫といい左恵とはじめはギクシャクしていたが子供を1人作ってからは仲良くなり最終的に男3人女8人を生むこととなる

 

 

 

 

 

 左恵が武田を短期間で滅亡に追い込んだことにより信長は左恵とロンメルを呼び出し

 

「左恵よくやった! 天晴れだ! これで東方の脅威は当面無くなった北と西に集中することができる」

 

「信長様の力となるのであればどこへでも行きます」

 

「そうかそうか! 流石余の息子だ……左恵武田滅亡の褒美として甲斐をやる! しっかり領地経営をしてみろ」

 

「は!」

 

「ロンメルは引き続き東方方面大将として北条、佐竹、上杉を監視せよ」

 

「はい」

 

「蟄居処分をほっぽりだして出陣した磨墨は蟄居処分は解くが信濃、甲斐から出ることは許さんと伝えよ」

 

「わかりました」

 

 武田平定によりロンメルは真田を同盟を改めて組み、吾妻郡、碓氷郡は真田に渡したのだが利根郡、群馬郡は北条が接収し、真田は北条に恨みを抱くこととなる

 

 真田との同盟は上杉への緩衝地を作ることであり、信濃北部の一部地域的のみ接するに留まる

 

 甲斐は武田の本拠地なだけあり武田にあれだけ重税でも忠誠を誓っている者が多く左恵はあの手この手で懐柔しようとし、上手くいかなかったので忠輝の力を借り武田旧臣や足軽から才能のある者を引っ張り、ロンメルが最初期に小作人として雇い、各地の代官まで昇格していた神馬慈、飯沼袖、垪和臨、小野木局の4名を左恵の与力とし、忠輝も左恵に任せた

 

 弟を支えることになった忠輝だったが全く気にすること無く左恵の副将として活躍していく

 

 左恵が引き上げた者の中に大久保長安等もおり、使える者を引き上げていった結果武田旧臣5割、鳴海学校出身者3割、国人衆1割、百姓上がり1割というなんとも歪な組織が出来上がったが、忠輝の調整能力によりなんとかなる

 

 家臣問題はなんとかした左恵だったが、甲斐にある風土病(日本吸血虫症)はどうすることもできず、頭を悩ませ続けた

 

 

 

 

 

 

 甲斐と信濃の殆どを手中に収めたロンメルはばかすか生まれる孫達と戯れながら両国安定化の為に走り回り1年が過ぎる

 

「……しっくりくる大太刀が無いなぁ……影月が恋しい……」

 

 2年前に折れた愛刀を懐かしみ、大量の名刀、良物をコレクションしていたが、手にこれといって馴染むのが無かった

 

 ロンメルの剣の腕は肉体と技術がこの時がピーク……いや肉体の衰えが始まっており、若い頃に無茶をしたせいか肩こりだったり膝に痛みを覚えるようになっていた

 

 ストレッチやマッサージは前からやっていたが、お灸、針治療等も取り入れるようになり、ロンメルは今度は老いとの戦いが始まる

 

「一之太刀も何かがまだ足りない……これが完成とは思えないんだよなぁ」

 

 ト伝が生み出し足利義輝、北畠具教、ロンメルの3名が繋ぎ発展させた一之太刀……ロンメルは蟄居から解放され案の定孕んでいた磨墨を呼び出して一之太刀を伝授した

 

 が、子供を孕んでいることもあり上手くいかず子供を産んでから本格的に教えると言い、ロンメルは利行に剣術を教え込んだ

 

 利行は勝成の死からなんとか立ち直ったが、人を殺すことができなくなってしまっていた

 

 軍の指揮をすることはできるのだが殺せない

 

 なのでロンメルは身を守るために利行に剣術の更に高みを教えた

 

 利行はそれを自己解釈し、守りの剣術を編み出していくこととなる

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