ロンメルの受難   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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御館の乱

 天正5年(1577年12月)

 

 ロンメルは約2年で起こった事を振り返っていた

 

 まず阿久利黒の第二子出産と望月、磨墨、薄墨の第一子出産があった

 

 磨墨以外はウマ娘であり、長男ではないことを羽柴や柴田の周りからは残念がられたが本人達は大層喜んだ

 

 阿久利黒の方からは最近信忠様は武田の松姫と仲良くイチャイチャしているとの報告が入っており、前よりは回数が減ってホッとしているとも報告された

 

 ドンだけヤりまくってたんだよと信忠の絶倫ぶりにロンメルはドン引きしたが、問題は磨墨である

 

「謙信としかヤってないから謙信の子供以外あり得ない」

 

 と謙信の男児が産まれてしまった

 

 天正4年の8月に黄虎丸と名付けられた男児が産まれたが、既に上杉家とは敵対関係になっていた

 

 というのも足利義昭が京を追放され頼ったのが毛利家であり、毛利に身を寄せていた将軍から上洛要請が謙信に入り、それを謙信が承諾したことで信長との同盟が破棄され、石山本願寺との和睦が天正4年5月に成立したことで加賀一向一揆とも和睦が成立、越前ルートでの京への道が開かれたのだった

 

 これに対応したロンメルは北条と共同で能登に侵攻していた謙信の背後を取り越後へ侵攻

 

 上杉に割譲していた信濃の水内郡、高井郡を奪還し、謙信と直接対決すること無く兵を引いた(第一次越後侵攻 天正5年3月)

 

 他には信忠に信長が家督を継がせたり、安土城が建設されたり、松永久秀が裏切ってそれを信忠に鎮圧されたり、紀州征伐が行われたりした

 

 そして12月の今、ロンメルは信長より関東御取次役を承り関東平定を行っても良いという御達しを受け取った

 

 北条はこの事実上織田政権内での関東管領就任とも言える役職の贈呈に反発し、織田家と急速に関係が悪化

 

 まだ戦とはいかないがロンメルは上杉と北条を同時に相手取る必要性が出てきてしまった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ロンメルは堺と連絡を取り合いアラブ種やマルワリ種とカチアワリ種といった外国の中型の馬多数を輸入し、軍馬の改良に着手

 

 木曽の馬と交配させ牧場を作り、織田家の軍馬を供給していくこととなる

 

 更に堺から衝撃の情報を手に入れた

 

 それは硝石の作り方であり、古い家屋の床下の土から硝石を抽出する方法であり、ロンメルはすぐさまそれを人工的により多く硝石を取れる方法が無いか探すように猿渡朱という鳴海学校出身の秀才に命令

 

 同時に火山から硫黄を回収や火薬の調合を含む怪異火薬衆を設立し、猿渡朱を筆頭に任命した

 

 火薬が安定供給されるようになるのは天正5年から約5年後の天正10年からであり、ロンメルはそれを怪異織田家の極秘機密とした

 

 ロンメルは信長様の事だから別の堺衆からこれを聞いており既に動いていると判断したのだが、その商人は織田家内での亀裂を作るためにわざとロンメルだけに漏らした情報であり、ロンメルはそれを知らないまま硝石量産化に動いてしまう

 

 

 

 

 

 

 

 

 天正5年9月には柴田勝家と上杉謙信が激突した手取川の戦いが発生

 

 望月が殿として孤軍奮闘するが柴田勝家率いる北陸軍は大敗し、ロンメルはすぐさま柴田勝家を助けるべく越後侵攻を開始したように動き牽制を行ったが、越後の本格侵攻は見送った

 

 

 

 

 

 

 

 天正6年(1578年3月)

 

 上杉謙信死去……この情報をいち早く知ったロンメルは信長に報告すると上杉に介入するように命令され、御館の乱が発生しそうになっていた上杉家に謙信の実子である黄虎丸を担ぎ出して介入

 

 謙信が酒の席で妖怪(ウマ娘)である磨墨と勝負し、交わったというのは越後では有名な話であり、黄虎丸の髪色が祖母であるロンメルと同じ黄金に輝く黄色だったこともあり信憑性が増してしまい上杉景勝や上杉景虎の両名に荷担したところで利益があまり無いと考えた家臣達が黄虎丸に忠誠を誓い、春日山城内で激闘を繰り広げる両名に対して外部からじわじわと侵食していった

 

 ロンメルは半乃助に上杉の忍衆である軒猿の超略を命令したのだが、既に軒猿は上杉景勝に忠誠を誓っており失敗

 

 ここに黄虎丸の援護の為に手取川で大敗した柴田勝家が復活して加賀侵攻を開始

 

 どんどんカオスになっていく北陸方面だったが、そんなある日とある人物が信濃にやって来る

 

「御初にお目にかかります妖怪大将論目流殿」

 

 ロンメルを訪ねたのは直江兼続という若い上杉の武将であった

 

「当家と敵対している上杉が何の様だ?」

 

「敵対とは違いますな……どの陣営も次の上杉家家督を誰に継がせるか躍起になっているのみでございます」

 

「謙信は織田との同盟を破棄し、敵対する本願寺と組んだが?」

 

「それはそれは互いをよく知らないから起こった不幸な出来事でございます。当家はこれまで将軍様を力で廃した者と織田を見ておりましたが……どうやら違うようで」

 

「違うとな? 何が違う」

 

「民の為、帝の為にいち早く乱世を終わらせる為に動いていると思いましたが……それであれば義で動く上杉にとっては織田と再び組む事が出きると考えております」

 

「妖怪の前でよく吠える小僧だ。上杉は何を差し出すのだ?」

 

「所領の全てを差し出す代わりに上杉景勝様を当主補佐にしていただきたい」

 

「当主補佐……あぁ、なるほど……景勝陣営は黄虎丸を当主にすることは了承していると」

 

「はい。我々はもし織田が北条や北陸大名と敵対した場合援軍を送る用意があります。謙信様が鍛えた越後の兵は甲斐の武田兵よりも勝ると確信しております。所領替えも呑みましょう。今は一刻も早くいこの不毛な家督争いを終わらせるべきですのでね」

 

「よし! よく吠えた! 怪異織田家及び織田北陸軍による越後侵攻は行わないと約束しよう。黄虎丸はまだ幼い。元服するまではこちらで預かりとし、当主不在の間は景勝殿が越後を任せる。これでどうだ?」

 

「互いの誤解が解けた様で何よりです。すぐさま私は主の景勝様に伝えてきますので……書にて印をお願いしたく」

 

 そう言って直江兼続は持っていた巻物の1つを取り出すとロンメルの前に広げた

 

「クックックッ……様々な状況でも何かしらの契約をするつもりだったな……よし、もう1つ条件を足そう。兼続、私の娘黄器と婚約を結べ、両家の繋がりとしよう」

 

「ね、願ったりかなったりでございます」

 

「流石にそこまでは読めていなかったか……まぁ黄器に何かあったら妖怪は族滅まで戦い抜くから覚悟しろよ」

 

「心に刻んで起きましょう」

 

 

 

 

 

 

 

「勝手に上杉と停戦してよろしかったので?」

 

「なーに、今回の乱はまだまだ続く、今回の乱の介入でいよいよ北条が同盟を破棄する動きに出ているからな。上杉と和議を結び北条に備えるのが得策だと判断したまでよ。北条だけでなく伊達等も上杉の乱に介入しているからな。軒猿との諜報戦で忍衆を消耗させるわけにもいかないからね。一政、お前ももう24だろ? そろそろ家督譲るから準備しておいてね」

 

「わかりました」

 

「さーて忙しくなるぞ。信長様や柴田殿に連絡して加賀と能登で我慢してもらわないと……これで上杉も織田の包囲網から離脱したから徳川殿と連動で北条切り取りを行わないと! 物資の仕入れ、兵の徴兵いろいろあるから頑張るぞ!」

 

 ロンメルは次の目標を北条及び周辺諸国の佐竹、里見を含めた関東一帯の制圧に切り替えていた

 

 近畿から関東一帯を制圧すれば残るは東北と中国四国、九州だけであり、経済の中心地近畿と旧幕府(鎌倉幕府)や関東平野といった広い土地が手に入れば織田家とっても良いだろうと判断、関東が手に入れば信濃や甲斐、鳴海等を没収されても巨大な権益を確保となり、織田家の中で一定の権利を獲得しつつ地方の為政治中枢の邪魔にもならないだろうと判断していた

 

 更に関東の広い土地があれば家を複数個に分けて怪異織田一門を緩やかな連合体に落とし込めば最良と判断した

 

「その為には関東をなんとしても取る必要があるからねぇ……北条には滅亡してもらわなくちゃ」

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