ロンメルの受難   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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関東平定戦

 天正7年(1579年12月)

 

 小田原城を囲んで2ヶ月が経過した

 

 別動隊が下野、下総、上総を平定し、里見攻めを開始

 

 徹底的なゲリラ戦を展開する里見軍に苦戦しながらも忍衆の数で防諜能力も高い東方方面軍は1つ1つの村や拠点を潰していった

 

 この快進撃を見ていた小田家が降伏し、所領安堵及びご子息の人質を条件とした降伏を承諾した

 

 里見さえ潰せれば北条への海上からの兵糧運搬が困難になるため別動隊が鍵になっていたが、超巨大な小田原城にはまだ1万人以上の兵が詰めているので油断はできない

 

 一方できがあんまりよろしくなかったとはいえ嫡子や一門を多数失った当主北条氏政は断固とした徹底抗戦を意気込み、その熱意に動かされた者、冷めた目で見る者と様々であった

 

 ロンメルの方も全部が全部上手く行っていた訳ではない

 

 忍城という武蔵の国にある城攻めに失敗し、神馬慈が負傷して約5000の兵でいまだに落城せずに戦い続けていたり、甲斐にて旧武田残党が蜂起し、城が1つ陥落するという状態が発生し、左恵が反乱鎮圧の為に急遽帰国するということもあった

 

 佐竹も下野に侵攻してきたり、それを上杉の援軍が撃退したりと関東争乱は長期化の様相を呈してきた

 

 ロンメルは一刻も早い織田本隊の援軍要請を信長に送ったが、まだ伊賀平定に時間がかかっており援軍には迎えないとのことだった

 

 ロンメルは落胆したが、徳川が秘密協定を破棄して信長の要請で援軍1万5000を送ってくれる事が決まり、小田原の陣にて徳川家康と面会となった

 

 ただこの時徳川家康から聞いたのは信長が尾張と三河の間にある水野領を邪魔に感じており、ロンメルが関東平定で忙しくなっていた隙をついた形で水野信元に武田残党との繋がりがあるとして切腹をするように処分が言い渡されるという大事件だった

 

 これを小田原の陣で知ったロンメルは信長の行動に激怒し、忍衆を使い水野一族を信濃で匿った

 

 水野一族とロンメルの怪異織田家は婚姻関係であり、ロンメルの娘の小雪の長男を水野の家督を継がせる計画をしていた様だが水野信元は何も罰せられる行動はしておらず冤罪であり、ロンメルは抗議をするために安土城に向かった

 

 

 

 

 

 

 

 

「面を上げよ……久しいなロンメル。数年振りか」

 

「そうですね。数年振りとなりますね」

 

「用件は何だ?」

 

「水野の事でございます。武田に通じている等と言う出任せを使い今まで協力してくれていた水野を切り捨てる行為は義に反します故になぜその様な事をしたのですか!」

 

「尾張本国の安定化の為に極力外部の勢力を廃す必要があった……わかれ」

 

「いや、しかし切腹は納得がいきません。領地替えで済んだハズです」

 

「余の決定に指図するのか」

 

「水野は私の外戚でもあります。信長様にとっても親族でしょう。小雪の息子に引き継がせるのにも時間を掛ければ組み込む事が可能なのになぜ武力のみで行おうとしたのですか!」

 

「ロンメル……もう良い下がれ」

 

「いえ下がりません! 何を信長様をここ数年で変えてしまったのですか!」

 

「ロンメル、余はお前をこれ以上言えば処分しなければならぬ」

 

「何を信長様を変えたのですか……なぜ……」

 

「……変わって等おらぬ……余は天下人、1家臣が天下の政治に口出しするなどと部をわきまえよ! ロンメルこの度は忠言としておくが二度は無いと思え……水野領は三河は徳川へ、尾張は余の直轄地とする」

 

「……はは」

 

「下がれ!」

 

 

 

 

 

 

 

 とぼとぼと変わってしまった信長様に落胆しながら安土城内を歩いていると明智殿と出会った

 

「論目流殿、お久しぶりでございます」

 

「おお! 明智殿もお元気そうで……生食も元気でしょうか」

 

「はい、細川殿や千(利休)殿に茶道や歌道等を教わり文化人の才能も有るようで。勿論武芸も素晴らしいですよ」

 

「元気そうならなによりです。信長様はどうなされたのですか? いつもああいう風になられたのですか?」

 

「ここだけの話、最近の信長様は少し様子がおかしい事がある。どうやら体調が優れないとのことだ。頭痛が増えておりそれで短気だった側面が増長しているご様子……尾張は極力国人衆を排除したいと申しておりましたので、今回の水野氏の切腹もその一貫かと」

 

「信長様の体調が……そうですか……」

 

「論目流殿は体調はお変わり無いですか?」

 

「そうですね……今のところは大丈夫です。毎日体操を良くしているのが効いているのかと」

 

「体操ですか……教わってもよろしくて?」

 

「ええ、明智殿になら是非」

 

 ロンメルはそうか……信長様も体調が優れなくなってきたのかと変わってしまった理由の1つに慢性的な頭痛があるのだとしたら食生活を変えるように進言するべきなのだが、今言っても怒られるだけなので、明智殿に信長様の食事の味付けを少し薄めた方が良いと忠言したのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 小田原の陣に戻ったロンメルは戦中に陣を離れた事を皆に詫び、徳川殿と軍儀を再開した

 

 といってもロンメルが離れている間に家康殿が中心となり今後の方針が決まっていた

 

 小田原に籠る北条1万に対しては3万5000の徳川、怪異織田家本隊で引き続き包囲し、怪異織田家の鳴海水軍と徳川水軍合同で海も封鎖する

 

 鳴海水軍は信長に叱られてから数年の時間をかけて安宅船10隻、関船150隻、小早船沢山を用意しており、徳川水軍も合わせれば関隻は400隻を超える

 

 ロンメルは水軍のことは専門外なので鈴木や岡部達に任せ、小田原城への大筒200門による砲撃を続けた

 

 

 

 

 

 

 

 

「堅城小田原はそう簡単に落ちん……武田にも上杉にも落とせなかったこの城を簡単に落とせると思うな妖怪が」

 

 北条氏政は怒り狂っていた

 

 家族愛に溢れる北条にとって息子と上杉景虎も合わせれば兄弟3名をも殺したロンメルの事を許すハズもなかった

 

「しかし殿、敵はこれまでの敵と違い退く気配が全くありません海上を抑えられると兵糧運搬に支障がでます! それこそ石山本願寺と同じ様になるかもしれません」

 

「癪だが里見水軍と連絡を取り、北条水軍と合わせれば500を超える船が集まろう。海上の防御を固めるのだ」

 

「た、大変です!」

 

「なんだ!」

 

「里見氏の本拠地安房国が陥落! 里見水軍は怪異織田家により船を破壊され、主だった将は処刑されたとの事!」

 

「な!? 里見は我が北条でも鎮圧できなかった家だぞ……それをそんな簡単に……」

 

「里見水軍の一部はこちらに逃れてきましたが、その数100もおりません」

 

「そうか……」

 

 北条氏政の苦難は続く

 

 

 

 

 

 

 

 天正8年(1580年6月)

 

 2月の荒れた海にて怪異織田徳川連合水軍と北条水軍による海上にて決戦が行われ双方100隻近くの船を失う壮絶な死闘の末数で勝る怪異織田徳川連合水軍が勝利し、海上封鎖が完了

 

 怪異織田別動隊は上杉と共闘して佐竹も撃破し、支城も抵抗を続けていた忍城も陥落させ、小田原の支城を全て陥落させた

 

 怪異別動隊も本隊に合流し、小田原を包囲する兵数は6万にも登った

 

 夜襲や鉄砲による威嚇射撃、海上からの砲撃を繰り返し、忍衆を使った流言で士気を落とした

 

 先の見えない包囲により城兵は皆疲れきり、内通者や脱出する者が出始め、甲斐の反乱鎮圧から戻った左恵による3の丸奇襲攻撃がトドメとなり内部から火の手が上がった

 

 これが内通者によるものか自暴自棄になった兵によるものか、ただの事故なのかわからないが、その火が小田原の火薬庫に引火し、大爆発を引き起こし、城は大炎上となった

 

 火は5日ほど燃え続け、北条一族や重臣達は自害、門を開き出てくる者は射殺したため殆どの城兵が炎に巻き込まれて焼死し、完全鎮火した10日後に小田原城にロンメルは入った

 

 ロンメル自身も長期の大軍による遠征で軍事費が枯渇してきており後2ヶ月粘られたら撤退するしかなかったのだが何とか北条を滅亡させることに成功した

 

 ロンメルは徳川殿に約束通り伊豆を渡し、ロンメル率いる東方方面軍は関東の大半を手中に納めることとなる

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