私は里の前に居た隠の人の案内で産屋敷邸の敷地に入ると殺気を感じた
「人の気配は君を除いて庭に9つ、殺気に溢れているのは7つか」
「わ、わかるのですか!」
「これでも一端の剣士だからね……屋敷の中にはもう少し居るけど彼らには殺気は無いようですね」
ロンメルは砂利の敷き詰められた庭に足を踏み入れた
「枯山水とは見事な……さて、庭に見とれるのは良いけど殺気を納めてはくれないかい」
「馬の耳に尻尾……お前鬼だよな? 派手に殺してやるからな! それはもう派手に」
「いや待て日光に浴びながら消滅していないから本当に鬼なのか?」
「うむ! 鬼にしろ妖怪にしろ人に危害を加えるのなら滅するのみ!」
「あぁ、なんとも可哀想な子供だろうか……」
「あの~お館様が来てから判断した方がよろしいのじゃないですか?」
殺気から困惑に変わる
ロンメルを見て鬼と判断する者、日光を浴びても消滅しないことから鬼ではないのではないかと思う者、そもそも鬼ではなく妖怪の類だと思う者それぞれであった
「9名ということは柱と呼ばれる人達ですね……なるほどなるほど……凄い練度だ。筋肉は膨れ上がり、呼吸の乱れもない、常に全集中の呼吸をし、肺や心臓は普通の人の倍以上に大きい……特に目が見えてないそこのお方……あなたほどの剣士を私は1人しか見たことがない」
ロンメルは腰から鞘に納まった刀を地面に置き争う気はないとアピールした
「鬼殺隊は隊員同士の斬り合いはご法度と聞いていたが違うのでしょうか? ……まぁ良いでしょう……」
ロンメルは砂利の上に正座する
「質問は幾らでも受けよう。ただ不思議な感覚の人がやって来る……お館様という方じゃないか?」
ロンメルはそのまま頭を下げた
それを見ていた柱達は屋敷の方を見るとちょうど襖が開く音がした
柱達も跪いた
「お館様の御成りです!」
「よく来たね……私の可愛い剣士達。お早う皆、今日はとても良い天気だね……うっすらとだけど空が見える。今日も空は青いようだね」
「時透無一郎君は始めての柱合会議、他の皆の顔ぶれも変わらず私は嬉しく思うよ」
「お館様におかれましても御壮健でなによりでございます。益々の御多幸を切にお祈り申し上げます!」
「ありがとう杏寿郎」
「恐れながら柱合会議の前にこのロンメルなる異形な者の隊士についてご説明いただきたく存じますがよろしいでしょうか!!」
「そうだね。驚かせてしまって申し訳ない……彼女は私が容認した人間だ。鬼でも何でもないよ。ただ足の速く、力の強い人だ」
「しかしお館様! 馬の耳や尻尾の付いた人間など聞いたこともございません。妖怪の類だとしても人に害する可能性があるのであれば殺すべきです!」
「そうだね実弥、でも人を害すると誰が決めたのかな? 人だって過ちを犯す人もいる。犯したことの無い彼女を容姿だけで決めるのは良くない」
「発言の許可を」
「なんだい? ロンメル」
「私は鬼に対して恨み等は無いですが人に対しては友だと思っています。私は異世界より来た為に誤解をされがちですが、私も人類であります。人が人を守って何が悪いのでしょうか? ……私は生きるために刀を振るいましょう。人を守る為に刀を振るいましょう」
「それで良いと私は思うよ。柱の皆はどうかな?」
「信用しかねます」
全身に傷だらけの男と炎の様な髪をした男、目が見えない男の3名が明確に反対、派手に派手にとうるさい男とロンメルよりも小さい男、蛇みたいな男と女性2人は中立
「俺は賛成だ」
「ちょ! 富岡さん!?」
半々羽織を着た男性は賛成した
「お館様の意見に反対するのは如何なものか」
「富岡! お前!」
「お前達と違う」
「はぁ!?」
傷だらけの男と富岡と呼ばれた男が一触即発の状態になるがお館様がしぃーと人差し指を口につけると直ぐに納まった
この忠誠心、統率力は流石である
信長様は力と行動力、武力と持ち前のカリスマで家臣を統率していたが、目の前の方は言葉と雰囲気で皆を従えている
「なるほどなるほど、私はどうやら主君には恵まれているようだ」
「馬女! 無駄口を開くな!」
「良いんだ天元……ロンメル、君はまだ実績が無い。皆に認められるような実績が。まずは十二鬼月を倒しなさい。瞳に数字が刻まれた強い鬼だ。ここに居る柱はその十二鬼月を倒した者もいる猛者達だ。十二鬼月を倒せば皆も認めるだろう」
「わかりました。倒させていただきます」
「じゃあロンメルは下がって良いよ。任務に励むんだ」
「は!」
ロンメルは屋敷から出ていった
柱達は納得した者、納得しなかった者と様々だがとりあえずロンメルの動向に注視するに留めた
ロンメルはその日から直ぐ様行動を開始した
全集中の呼吸を常に行うことにより爆発的に増えたスタミナで関西から関東、東北、北海道と走り回り、小物の鬼を斬りまくった
その数は1ヶ月で60を超え、東北に至っては鬼の活動が数日間沈静化するほどだった
ただどれもこれも人を1人や2人食っただけの小物であり。血鬼術という妖術を使う鬼と出会ったのはロンメルが北海道に遊泳した時であった
一目につくわけにはいけないのと鍛練のために津軽海峡線を泳いで渡り、北海道に到達してからこの様な噂を聞いた
人食い熊が出てとある村が壊滅したらしいと
ロンメルは直ぐに村についての情報を集めると次の様な事がわかった
約30名程の村だったらしいが郵便屋が村人が食い散らかされているのを発見し、軍に報告
遺体の人数の多さから複数の熊に襲われたと思うが、村人全滅というのは聞いたことが無く、体は殆ど残っていないが大半であった
深夜に襲われたらしく寝室が血だらけになっていた
とのことだった
「臭いな」
ロンメルはその話がまだ2週間も経過していないこと、鬼で有ればそろそろ次の獲物を求めて行動する頃だと判断し、人口の少ない近くの村をピックアップし、鎹鴉に協力して貰い2つの村を監視した
深夜となり、ロンメルは村に異変が無いことを確認すると鎹鴉の監視する村の方に走った
「鬼! 鬼! 発見! 発見!」
ロンメルは鎹鴉の指示に従い鬼が居場所に向かうとそこで人を貪っている男が居た
「ん? なんだお前は」
「鬼狩りですよ。貴方が隣の村を壊滅させた鬼でしょうか?」
「あ、ああ! あいつらは病気の俺を殺そうとした! 移るからと隔離した! だから鬼になって復讐してやったんだ! 旨かったぜ……人の肉があれ程旨いとは思わなかった」
「30人も食べたのですか」
「正確には34人だがな……ちょうど今食べた男で35人だ」
「うーん、糧を得るために人を殺すことを咎めるところでしょうが、私も動物を食べますので命を食べること事態を悪いとは言えませんが……私も生きるために鬼を狩っているのでお互い様ですね」
「なんだ! やる気か! ……ギャハハ馬の耳に尻尾が生えてやがる! お前も俺と同じような化物じゃないか!! 人でこれだけ旨いんだから人外は更に旨いんだろうな!!」
「水の呼吸漆ノ型 雫波紋突き」
「ぐぎゃぁ!?」
ロンメルの高速突きにより鬼は胴体を串刺しにする
「陸ノ型 ねじれ渦」
そこから体を引き裂きながら2回転で首を落とす
「おおお!? さ、再生しない!? か、体が崩れる」
「じゃあね鬼さん……地獄に落ちろ」
ロンメルは崩れかけた鬼の頭を踏み潰した
「……ここにいるのも不味いですね……行きますか」
人食い熊の噂は直ぐに消えていった
痛ましい事件として記録には残ったが、全滅してしまったことにより語り手がおらず記憶からは直ぐに消えていった
ロンメルは北海道を拠点に鬼を斬る
同時に北海道の大自然で鍛練を続ける